起立性調節障害とは

起立性調節障害の発作とは?症状・対処法・病院受診の目安を解説

2026年1月8日

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医
2018年から起立性調節障害患者の診療を行い、累計30人以上の起立性調節障害患者を担当。

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

起立性調節障害は、自律神経である交感神経と副交感神経の調整がうまくいかないことで、立ち上がったときなどに血圧や心拍数の調節が乱れ、さまざまな不調が現れる病気です。特に思春期の子どもや若年層に多く見られ、「朝起きられない」「学校に行けない」といった生活への影響が問題になることもあります。

発作と呼ばれる症状の悪化時には、めまいや動悸、強いだるさなどが突然起こり、本人も周囲も戸惑いや不安を感じやすくなります。

症状が強く現れたときは、安全な姿勢をとって休むことが大切です。一方で、失神や強い胸痛、呼吸困難などを伴う場合は、起立性調節障害だけが原因とは限らないため、医療機関への相談が必要です。

本記事では、起立性調節障害の発作時にみられる症状や家庭でできる対処法、医療機関を受診する目安について解説します。

起立性調節障害の発作時に見られる症状

起立性調節障害の発作時に見られる症状を5つ解説します。

めまい・立ちくらみ

起立性調節障害でよくみられる症状の一つが、立ち上がったときや立った状態を保っているときに起こるめまいや立ちくらみです。起立時に血圧や心拍数の調節がうまくいかず、脳への血流が一時的に低下することなどが関係していると考えられています。

「目の前が暗くなる」「視界が狭くなる」「体がふらつく」と感じることがあり、症状が強い場合は失神や転倒につながることもあります。

めまいや立ちくらみは貧血などでも起こるため、症状だけで起立性調節障害と判断することはできません。繰り返し症状が現れる場合は、医療機関で原因を確認しましょう。

起立性調節障害によるめまいの特徴や、症状が現れたときの対処法について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

動悸・息苦しさ

症状が強く現れたときには、心臓がドキドキする動悸や、息がしづらい感覚が生じることがあります。立ち上がった際に血圧を保とうとして心拍数が増えることなどが関係していると考えられています。

突然の動悸や息苦しさによって、「心臓の病気ではないか」「このまま倒れるのではないか」と不安を感じる人も少なくありません。不安や緊張によって、動悸や息苦しさを強く感じることもあります。

ただし、動悸や息苦しさは心臓や呼吸器などの病気でも起こります。初めて強い症状が現れた場合や、胸痛、失神、呼吸困難などを伴う場合は、自己判断せず医療機関に相談しましょう。

起立性調節障害で動悸が起こる理由や、医療機関への相談を検討したい症状について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

強い倦怠感・脱力感

起立性調節障害の発作では、急に体から力が抜けたような強い倦怠感や脱力感が現れることがあります。「立っていられない」「横になりたい」と感じるほどで、周囲からは怠けているように誤解されることもあります。

しかしこれは本人の意思とは関係なく、自律神経の乱れによって全身の血流やエネルギー供給がうまくいかなくなっている状態です。無理に頑張ろうとすると症状が悪化することがあります。

頭痛・頭がぼーっとする感覚

発作時には、締めつけられるような頭痛や、頭に霧がかかったようなぼーっとする感覚が出ることがあります。集中力が低下し、会話や作業が難しくなる場合もあります。これも脳への血流低下や自律神経の乱れが関係しています。

「考えがまとまらない」「意識が遠のく感じがする」と表現されることもあり、学校生活や仕事に大きな支障をきたす原因となります。

起立性調節障害に伴う頭痛の特徴や、家庭でできる対処法について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

吐き気・腹部不快感

自律神経は消化管の働きにも関係しているため、起立性調節障害では吐き気や胃のむかつき、腹痛、食欲不振などが現れることがあります。

緊張や不安、睡眠不足、疲労などが重なることで、消化器症状を強く感じる場合もあります。吐き気が強いときは無理に飲食せず、落ち着いてから少量ずつ水分を摂りましょう。

嘔吐を繰り返す、水分を摂れない、強い腹痛が続くといった場合は、脱水やほかの病気の可能性もあるため、医療機関に相談してください。

起立性調節障害の吐き気の原因や、症状が強いときの過ごし方について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

起立性調節障害の発作が起きたときの正しい対処法

起立性調節障害の発作が起きたときの正しい対処法を5つ解説します。

まず安全な姿勢をとり、無理に動かない

発作を感じたら、まず転倒を防ぐことが最優先です。可能であればその場に座る、横になるなどして安全な姿勢をとりましょう。立ったまま我慢したり、無理に歩こうとすると失神や転倒の危険があります。

横になる場合は、足を少し高くすると脳への血流が改善しやすくなります。「少し休めば大丈夫」と無理をしないことが、回復を早める重要なポイントです。

水分・塩分を補給し、体を落ち着かせる

水分不足は発作を悪化させる大きな要因です。可能であれば水や経口補水液を少量ずつ摂取しましょう。医師から指示がある場合には、塩分補給も有効です。一度に大量に飲む必要はなく、ゆっくりと体に入れることが大切です。

吐き気が強い場合は無理をせず、落ち着いてから少しずつ補給します。

呼吸を整え、回復を待つ時間を確保する

動悸や息苦しさによって呼吸が速くなっている場合は、無理に大きく息を吸おうとせず、楽な姿勢でゆっくり息を吐くことを意識しましょう。周囲の人は急かしたり質問を重ねたりせず、本人が落ち着いて休める環境を整えます。

症状が落ち着くまでに時間がかかる場合もあります。焦って立ち上がらず、めまいや動悸が十分に軽くなったことを確認してから、ゆっくりと動き始めてください。

安静にしても症状が改善しない場合や、呼吸困難、意識がもうろうとするなどの症状がある場合は、速やかに医療機関へ相談しましょう。

周囲に状況を伝え、ひとりで抱え込まない

発作時は「迷惑をかけてしまう」と感じて我慢してしまう人も少なくありません。しかし、周囲に状況を伝えることで安全が確保され、精神的な安心にもつながります。

学校や職場、家族には、起立性調節障害の発作が起こりうることを事前に伝えておくと、いざという時に助けを得やすくなります。ひとりで抱え込まないことが大切です。

発作が落ち着いたら、経過を振り返って記録する

発作が治まった後は、簡単な記録を残しておくことが今後の治療や症状改善に役立ちます。

  • いつ、どこで、何をしていたか
  • 回復までにかかった時間
  • 睡眠不足、疲労、気温、ストレスなど、きっかけになりそうな要因

これらをメモしておくことで、発作の傾向が見えてきます。記録は医師への相談時に重要な情報となり、生活改善のヒントにもなります。

病院を受診すべき発作の目安と検査・治療の流れ

病院を受診すべき発作の目安と検査・治療の流れを解説していきます。

病院を受診すべき発作の症状目安

症状が繰り返し起こる場合や、朝起きられない、学校に通えないなど、日常生活に影響している場合は、医療機関に相談しましょう。

特に、次のような症状がある場合は、起立性調節障害以外の病気が隠れていないか確認する必要があります。

  • 失神を繰り返す
  • 強い胸痛や呼吸困難がある
  • 安静にしても症状が改善しない
  • 運動中に失神や胸痛が起こった
  • けいれんや意識状態の変化がある
  • 突然の激しい頭痛がある

症状が強い場合や判断に迷う場合は、「成長期だから仕方がない」と自己判断せず、早めに医療機関へ相談してください。

病院で行われる主な検査内容

医療機関では、症状が現れた時間帯や状況、生活リズム、学校生活への影響などについて問診を行います。あわせて、診察や血圧・脈拍の測定などが行われます。

必要に応じて血液検査や心電図などを行い、貧血、甲状腺の病気、心臓の病気など、似た症状を引き起こすほかの原因がないか確認します。症状や診察結果によっては、心エコーなどの追加検査が検討される場合もあります。

検査内容は症状や医療機関によって異なるため、すべての人が同じ検査を受けるわけではありません。

起立性調節障害と診断されるまでの流れ

起立性調節障害の診断では、問診や診察によって症状を確認し、似た症状を引き起こすほかの病気がないかを調べます。そのうえで、必要に応じて起立試験を行います。

起立試験では、横になった状態から立ち上がった際の血圧や脈拍の変化、症状の現れ方などを確認します。ただし、検査結果だけでなく、日常生活での症状や生活への影響なども含めて総合的に判断されます。

受診時には、症状が起こった時間帯や状況、持続時間、学校生活への影響、睡眠や食事の状態などを伝えると、診断の参考になります。

起立性調節障害の診断基準や、受診時に行われる検査について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

起立性調節障害の治療方法

治療には薬物療法と非薬物療法がありますが、治療の基本は非薬物療法である生活指導です。十分な水分・塩分摂取、規則正しい睡眠、無理のない運動が重要となります。症状が強い場合には、自律神経の働きを助ける薬が処方されることもあります。

治療は一人ひとり異なり、症状の程度や生活環境に合わせて調整されます。すぐに完全に治る病気ではないため、継続的なフォローが大切です。

受診後の経過と長期的な向き合い方

起立性調節障害は、短期間での改善を焦らないことが重要です。症状には波があり、良い時と悪い時を繰り返しながら徐々に安定していくことが多いです。家族や学校、周囲の理解と配慮は回復に大きく影響します。

特に親の立場では「怠けではない病気」であることを理解し、責めずに見守る姿勢が大切です。本人が安心して生活できる環境づくりが、長期的な改善につながります。

起立性調節障害の発作体験談と改善事例

  • 起立性調節障害の発作は本当に改善するの?
  • 起立性調節障害の発作時にはどのように対処すべき?

このような不安やお悩みを抱く親御さんも少なくないでしょう。

起立性調節障害の発作はさまざまな原因で生じ、発作時の適切な対処法や改善方法も人によって異なります。他の子供の発作に対する対処法を知ることで、自分の子供の改善に役立てることができるため、ここでは起立性調節障害の発作体験談と改善事例 を3つ紹介します。

10歳女子:生活習慣の見直しで改善した事例

10歳女子のAさんは以前から生活習慣の乱れが目立ち、朝食を抜いたり、土日に昼まで寝るなど、食事や睡眠が乱れていたそうです。親御さんが注意してもなかなか治らず、部活動にも所属していないため、運動習慣もありませんでした。

ある日の朝、起床時にめまいやふらつきを認めましたが、少し体調が良くないだけと判断してそのまま登校したところ、通学路を歩いてる途中でめまいが悪化し、その場でしゃがみ込んでしまいました。

その日は母親が迎えに来て学校を休みましたが、夜になると症状は改善したため、やはり一時的な体調不良と思い安心していたそうです。しかし、翌朝以降、毎朝のようにめまいやふらつきが頻発するようになり、その姿を見た親御さんが心配して病院に連れて行きました。

病院で血液検査や問診、身体診察を行った結果、検査値に大きな異常を認めず、起立性調節障害の可能性が非常に高いことを知られたそうです。重病でないことに安心した一方で、Aさんの生活習慣に問題があることを指摘され、食習慣や睡眠習慣を正すように指示されました。

それから、1日3食、バランスの取れた食事を摂取し、起床時間・就寝時間を一定に保つように生活習慣を整えたところ、徐々にめまいやふらつきの程度や頻度が低下し、2週間ほどで一人でも通学できるまでに改善したそうです。
これをきっかけに、それ以降はできる限り生活習慣に注意し、運動も定期的に行うように意識しているそうです。

11歳男子:飲水療法で改善した事例

11歳のB君はサッカー部に所属し、毎日のようにサッカーを楽しむ活発な男の子です。毎日3食、たくさんのご飯を摂取し、夜も早い時間帯に寝る、いかにも健康な生活を送っていたためか、11歳に入ってからは身長が急激に伸びていました。

とある日、授業が終わって椅子から立ち上がると、動悸と息苦しさ、めまいを自覚し、立っていられなくなったそうです。再度椅子に座ると症状が落ち着く、また立ち上がると同様の症状が繰り返したそうです。

それ以降、同様の症状が頻発し、特に午前中は症状が重いことが多く、保健室で休む機会が増えて行きました。学校側から親御さんに連絡が入る機会も増え、親御さんが近隣の小児科に連れて行ったところ、起立性調節障害と診断されました。

B君の場合、生活習慣自体には特に問題はないものの、急激な身長の伸びによって脳血流が低下しやすい状態であるため、症状を抑えるためにはしっかり飲水するように指導されました。
1日1.5〜2L近くの水分をこまめに摂取し、特に朝は起き上がる前にコップ一杯分の水を飲んでから起き上がるように工夫したところ、動悸や息苦しさ、めまいを認めなくなったそうです。

部活動で汗をかく機会も多いため、症状改善以降も毎日十分量の水分を摂取するよう心がけているそうです。

12歳女子:発作時の記録を記録を付けることで改善した事例

12歳の女子であるCさんは中学受験を控えており、毎日学校と塾で勉強漬けの日々を過ごしていました。食事や睡眠は規則正しいものの、受験が近づくにつれて徐々にストレスが溜まっていったそうです。

とある日の午前中、突然めまいや動悸を自覚し、その場で動けなくなってしまったそうです。1日で症状は改善せず、その日を境に毎日のように症状を繰り返すようになり、通学や通塾にも支障を来すようになりました。
徐々に外出や通学への不安感が増え、「外で発作が起きたらどうしよう」と考えてしまうと、そのストレスでさらに症状が起こりやすくなっていたそうです。

勉強が手に付かなくなっていたため、医療機関に受診したところ、受験のストレスに伴う起立性調節障害の可能性が高く、発作への恐怖心やストレスを除去するために発作時の記録を付けるよう指導されました。
発作が起きやすい時間帯や状況、その際の対処法などを毎回記録したところ、特に午前中、屋外で症状が出やすく、一定時間座ることで発作が改善することを把握できたそうです。

自分なりに対処法を把握できたことで不安が軽減し、自分でコントロールできる感覚が安心感や自信となり、それに伴い発作も起こりにくくなったそうです。
数ヶ月で起立性調節障害の症状も自然に軽快し、症状改善によってどうにか受験も乗り越えられたそうです。

異変を感じたらすぐに病院へ受診を

起立性調節障害では、めまいや動悸、倦怠感などの症状が一時的に強く現れることがあります。症状を感じたときは、転倒を防ぐために安全な姿勢をとり、無理に動かず休むことが大切です。

一方で、症状が繰り返し現れる場合や、朝起きられない、学校に通えないなど日常生活に影響している場合は、医療機関に相談しましょう。失神、強い胸痛、呼吸困難、意識状態の変化などを伴う場合は、起立性調節障害以外の病気も考えられるため、速やかな受診が必要です。

起立性調節障害に対応している医療機関を探したい方は、下記のページを参考にしてください。

>>起立性調節障害に対応している病院を探す

また、「病院に行くべきか迷う」「自分の症状が当てはまるか知りたい」という方は、下記ページの【起立性調節障害セルフチェック】を試してみてください。

>>起立性調節障害のセルフチェックリスト(子ども向け)

>>起立性調節障害のセルフチェックリスト(大人向け)

起立性調節障害の治し方や家庭でできる対応については、下記の記事も参考にしてください。

 

早期発見と適切な治療が、回復への第一歩です。無理をせず、体のサインを見逃さないようにしましょう。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

トトノエライトプレーン

【無料】起立性調節障害の相談窓口

関連記事:起立性調節障害とは

・起立性調節障害の子供に親ができること・治療法・治った方の事例

・起立性調節障害の方の体験談

・起立性調節障害が治った人の声

・起立性調節障害における「光療法」効果や仕組みを解説

・起立性調節障害の原因は?発症期間や発症しやすい人の特徴

・起立性調節障害の症状を小中高生別に解説|重症・中等症・軽症の事例

・起立性調節障害患者の血圧数値はどれくらい?測定方法なども紹介

・起立性調節障害 6つの種類とその特徴【医師解説】

・起立性調節障害 重症での入院基準は?入院中の治療や期間を紹介

・起立性調節障害の子供はどうして遊びには行けるの?

・起立性調節障害はいつまで続くの?治療期間とは

・起立性調節障害は治る病気?それとも治らない?

・起立性調節障害に効果的な薬はある?その種類や薬物療法について解説

・起立性調節障害が「難病指定」されない理由|今後指定される可能性について解説

・季節や気圧によって起立性調節障害の症状が悪化|対応方法や原因を解説

・小学生でも起立性調節障害になる?原因や主な症状とは

・中学生の起立性調節障害。原因・症状・生活への影響・うつ病との違いとは

・高校生の起立性調節障害。原因・症状・うつ病との違いとは

・起立性調節障害のセルフチェックリスト(子ども)|すぐにできる診断テスト

・大人の起立性調節障害セルフチェック項目|診断テスト

・大人の起立性調節障害について

・全記事の一覧

関連記事:子どもへの対応

起立性調節障害に対応している病院紹介
本コンテンツは一般社団法人 起立性調節障害改善協会が独自に制作しています。メーカー等から商品・サービスの無償提供を受けることや広告を出稿いただくこともありますが、メーカー等はコンテンツの内容やランキングの決定に一切関与していません。当協会では編集ポリシーに則って製品・サービスを紹介しており、企業等の意見を代弁するものではありません。当記事では正確な情報提供に努めておりますが、内容の正確性を保証するものではありません。サイト内に表示している広告については、広告掲載ポリシーをご覧ください。当記事で記載している価格は全て税込み表記です。記事内容についてのご意見・誤字脱字のご指摘はお問い合わせフォームからお寄せください。

-起立性調節障害とは