起立性調節障害とは

起立性低血圧の治し方を原因別に解説-治す上での注意点も紹介

2023年11月26日

この記事の監修者

医師(匿名)

医師歴:10年
勤務病院:某3次救急病院

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

  • 起立性低血圧の原因によって治し方は違うの?
  • 日常生活で気をつけるべきことや取るべき行動がわかならい

起立性低血圧に対して、このようなお悩みをお持ちの方も少なくないでしょう。

起立性低血圧は特に立位でめまいやふらつき、最悪の場合失神などの症状をきたす病気であり、社会生活のさまざまなシーンで症状が出現する可能性があるため、厄介な病気です。

起立性低血圧の治し方は、基本的に日常生活での行動による非薬物療法が主であり、症状の重い方の場合は飲み薬による薬物療法も併用します。

そこで、この記事では医師である筆者の経験を基に、起立性低血圧の治し方について詳しく解説します。この記事を読むことで、起立性低血圧の方が控えるべき行動や注意点もわかるため、ぜひご一読ください。

【医師の見解】起立性低血圧を治す上で重要なポイント

  • 規則正しい食事・睡眠・運動
  • 十分な水分摂取
  • 日常生活での正しい姿勢
  • 乳酸菌の摂取

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

起立性低血圧の治し方

起立性低血圧の治し方は、主に下記の2つです。

  • 非薬物療法:医薬品に頼らない治療方法
  • 薬物療法:医薬品によって症状の改善を試みる治療方法

それぞれについて解説します。

非薬物療法

起立性低血圧の治し方として、最も重要なことは非薬物療法です。

起立性低血圧の原因は多岐に渡りますが、どのような原因であっても共通して、起立時に脳血流が低下することでさまざまな症状をきたします。

そのため、それぞれの原因に合わせて、脳血流を保持するような行動を取ることが非常に重要です。主な原因と、それに対する非薬物療法は下記の通りです。

  • 自律神経の乱れ:規則正しい生活習慣
  • 循環血液量の減少:積極的な飲水や塩分摂取
  • 血管緊張の低下:適度な運動や節酒・断酒
  • 心拍出量の低下:適度な運動や節酒・断酒
  • 薬剤性:常用薬の確認

起立時には重力に従って血液が下肢方向に多く流れるため、心臓に戻ってくる血液量が減少し、結果として脳血流も減少します。

通常であれば、血圧や脈拍をコントロールする自律神経が正常に働き、末梢血管を収縮させ、心臓の拍動を強く・早くすることで、減少した脳血流を迅速に元に戻すため、ほとんどの人は起立時に症状が出ることはありません。

しかし、上記のような原因で脳血流が低下しやすい状態に陥ると、起立性低血圧を併発してしまいます。

例えば、脳卒中やパーキンソン病などの中枢神経系疾患や、糖尿病・アルコール過剰摂取などの末梢神経障害はともに、自律神経の機能が障害されるため、脳血流が低下しやすくなります。

自律神経の乱れを元に戻すためには、定期的な運動や規則正しい食生活、十分な睡眠時間の確保などの非薬物療法が重要です。

脱水や出血に伴う循環血液量の減少は、血液そのものが減っているため、当然起立時に脳血流は低下しやすくなります。特に、夏場の長時間の立位は脱水による脳血流低下の原因となるため、積極的な飲水や塩分摂取を心がけましょう。

長期臥床やアルコール摂取に伴う血管緊張の低下では血管が機能的に収縮できず、弁膜症・不整脈などの心疾患を持つ場合はうまく脳に血液を送ることができなくなるため、共に脳血流が低下します。

可能であれば適度な運動を行い、血管緊張や心拍出量の維持に努めましょう。

最後に、常用薬を確認し、血管拡張作用のある内服薬がある場合は継続の可否を医師に確認しましょう。

高齢者に限らず、若年の方でもミノキシジルなどのAGA治療薬を飲んでいる方は血管拡張作用があるため、起立性低血圧には注意が必要です。

また、どのような原因であっても、日常的に姿勢に注意することが重要です。長時間の座位や立位は避け、起立時は急に立ち上がるのではなく、ゆっくりと立ち上がることを意識しましょう。

歩行時はやや前傾姿勢で頭を低い位置に置くことで、症状の軽減が期待できます。症状が重い場合は、下肢の血管を体の外から締め上げることができる弾性ストッキングの着用もおすすめです。

薬物療法

上記のような非薬物療法を実践しても症状が改善しない場合は、薬物療法を併用することもあります。

薬物療法に対して期待される薬理作用は、血管の収縮と循環血液量の保持です。

鉱質コルチコイドであるフルドロコルチゾンには、血液中にナトリウムを保持する効果があり、ナトリウムには水分を引き込む力があるため、結果として循環血液量の保持につながります。

また、塩酸ミドドリンや非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)などの薬剤は血管収縮作用を持つため、脳血流を維持しやすくなります。

しかし、これらの薬物療法はあくまで一時的に症状を改善するためのものであり、長期服用は副作用のリスクも高まるため、あくまで非薬物療法をサポートするための治療であることを理解しておきましょう。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

起立性低血圧を治す上で控えるべき行動

起立性低血圧を治す上で控えるべき行動は、過剰な運動と過度のアルコール摂取です。どちらも脳血流を低下させる可能性が高まるため、控えましょう。

適度な運動は自律神経の乱れを改善し、程よい血管の緊張や心機能の維持にも有用ですが、過剰な運動はかえって逆効果です。

特に、夏場に多量の発汗を起こすような激しい運動は脳血流の低下を招くため、控えるべきです。

また、過度のアルコール摂取は脱水を招きやすく、血管拡張作用もあるため、脳血流を低下させる原因になります。

さらに、アルコールは心機能にも悪影響を与え、心房細動などの不整脈や心筋炎の原因にもなるため、起立性低血圧の方は極力摂取を控えるべきです。

起立性低血圧を治す際の注意点

起立性低血圧を治す際の注意点として、下記の2つが挙げられます。

  • 原因疾患次第では、命に関わる
  • 転倒に注意する

前述したように、起立性低血圧はさまざまな原因で発症する可能性があります。

生活習慣の乱れやストレス、思春期特有の女性ホルモンの乱れなど、時間の経過とともに自然軽快が見込める原因もあれば、放置しておけばそのまま命に直結してしまうような原因疾患もあるため、注意が必要です。

特に注意が必要な原因疾患は弁膜症であり、早期に手術を行わなければ非常に死亡リスクが高いです。

また、起立性低血圧を治すための運動で症状が出てしまうと、ふらつきや失神による転倒リスクもあります。

立位で転倒すると、顔面や頭部を強打して脳出血やくも膜下出血などの致命的な外傷を負う可能性もあるため、最初はベッドやマットの上でのストレッチなどから始めることを勧めます。

起立性低血圧を治すには自律神経を整えることが重要

起立性低血圧を治すには、自律神経を整えることが重要です。

自律神経は交感神経と副交感神経の総称であり、相互に作用し合うことで脈拍・血圧・体温・睡眠・排泄などさまざまな生理機能を調節しており、脳血流の維持にも大きく寄与しているためです。

自律神経が整えば、末梢血管の収縮や心機能の向上によって一過性の脳血流低下を迅速に是正することができます。

自律神経のバランスを整えるためには、下記のような行動が必要です。

  • 規則正しく栄養バランスの取れた食生活
  • 睡眠時間の確保
  • ストレス発散
  • ホルモンバランスの安定化
  • 適度な運動

今一度生活習慣を見直して、より良い生活習慣を心がけましょう。

自律神経を整えるには乳酸菌を効率良く摂取しましょう

自律神経を整えるには、乳酸菌を効率よく摂取することも重要です。

乳酸菌の摂取は腸内の悪玉菌の増殖を抑え、便通の改善などをもたらします。

胃腸と脳は相互に影響し合うことが知られており(これを腸脳相関と呼ぶ)、腸の調子が良くなることで脳の機能にも良い影響を及ぼすことが知られています。

以上のことから、乳酸菌の摂取によって腸内環境や免疫システムが向上し、体調が整うことで自律神経も整う効果が期待され、起立性低血圧の改善につながる可能性があるため、より効率的に摂取することがおすすめです。

下記の記事では、具体的に乳酸菌を効率良く摂取する方法について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

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【参考文献】
MSD マニュアル
日本神経治療学会
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