五月病という言葉をこの時期よく聞いたり、使ったりすることがあると思います。疾患ではありませんが、ストレスが原因で様々な体調不良がみられる状態のことを指します。
一方でうつ病もよく似た状態であることが多いです。こちらの記事では、五月病とうつ病について、それぞれの特徴と違いについて解説していきます。
五月病とうつ病の違いとは
まずは、それぞれの特徴について解説していきます。
五月病の特徴
五月病は、一般的に使われている言葉で、特に新入社員や学生などが春先に感じる心身の不調を指します。 新学期、新年度が始まる4月、新たな環境に適応しようとする時期や、新しい生活スタイルに慣れようとする時期に起こりやすいとされています。
新しい環境に慣れないことやストレスが原因で五月頃から様々な症状が見られることが一般的です。 五月病の症状は、食欲低下、集中力の低下、身体のだるさ、疲れやすい、など実に様々です。
五月病という病名は医学的にはありません。医学的には、適応障害、状況によってはうつ病という診断になります。
うつ病の特徴
はっきりとした原因はわかっていませんが、精神的・身体的ストレスなどを背景に、脳の働きに何らかの不調が起きることで発症するとされています。
症状としては、気分の落ち込み、何事にも興味が持てない、不安、食欲低下、疲れやすい、頭が重い・頭痛、首や肩のこりなどがみられ、症状の程度も個人差があります。
五月病とうつ病の違い
基本的には両者ともに精神的や身体的なストレスが原因で様々な体調不良が見られる状態であり、とても症状も似通っています。
しかし、違いの一つとしては、持続期間が大きなポイントとして挙げられます。基本的に、五月病は一過性であることが多く、うつ病は長期間継続します。
また、五月病もストレスが蓄積し続けることで症状が長期化し、うつ病へ移行することもあるので注意が必要です。
五月病・うつ病のセルフチェック
五月病・うつ病のセルフチェック方法について詳細に解説していきます。
五月病のセルフチェック
新年度や新学期が始まった頃から5月頃までに以下のような症状がないかチェックしてみてください。
- 不安や焦燥感がある
- 人間関係が煩わしく感じる
- 外出をあまりしなくなった
- 学校や会社に行きたくないと感じる
- 疲れやすく、疲れがとれない
- 食欲がない
- 寝つくまでに時間がかかる
- 眠りが浅い
- 頭痛や肩こりがひどい
- 集中力が低下し些細なミスが多い
うつ病のセルフチェック
うつ病も五月病と非常に似た症状が多いですが、特徴としては、食事や睡眠・休息を中心に日常生活に支障を来すことが多いです。
以下の症状が比較的長く継続している場合は注意が必要です。
- 寝つきが悪い
- 寝ている間に何度も目が覚める
- 寝ても寝ても寝足りない(過眠傾向である)
- 食欲がない
- 食欲が異常に旺盛である
- 体重が低下した
- 体重が増えた
- 集中力・決断力が低下した
- 自分はあまり価値がないなど自分に対してネガティブな考えが多い
- 物事に興味がなくなってきている
- 疲れやすい
- 落ち着きがない、そわそわする
もしかしたら起立性調節障害かも
五月病もうつ病もストレスが原因で様々な体調不良がみられる状態ですが、特にうつ病は体調不良の症状が朝に重い傾向にあります。
よく似ており、間違われやすい病気の一つに起立性調整障害というものがあります。
起立性調整障害とは、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが崩れることが原因で頭痛や腹痛、めまい、ふらつき、吐き気、睡眠障害など様々な不調が出現する病気です。 自律神経の働きは一日のうちでリズムがあります。
起床時から午前中にかけては交感神経の働きが優位で、午後から睡眠時にかけて副交感神経の働きが徐々に増してきます。
したがって、起立性調整障害の症状も起床時、午前中が最もつらい時期になり、午後にかけて和らいでいきます。五月病やうつ病と起立性調節障害は症状も似ており、朝が最も症状が重いという特徴もよく似ています。
起立性調節障害の場合、早期受診・早期治療が症状の早期改善に重要です。セルフチェックを行い起立性調節障害の可能性が疑われる場合、早期受診をおすすめします。
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【参考文献】 日本小児心身医学会