- 腹痛に襲われる機会が多くて授業に集中できない
- 頻回に腹痛に襲われるけど何かの病気?
このようなお悩みを抱いている高校生も少なくないでしょう。
高校生で慢性的に腹痛に襲われると、通学や授業、部活動など、生活のさまざまなシーンに支障をきたすため、大変厄介な症状です。多くの場合、高校生における腹痛は普段の生活習慣やストレスなどが原因となります。
一方で、何らかの病気によって腹痛がもたらされている可能性もあるため、注意が必要です。場合によっては命に関わる病気に進展する可能性もあるため、早期から原因を突き止め、適切に対処する必要があります。
そこでこの記事では、高校生の腹痛の原因や対処法、考えられる病気について詳しく解説します。この記事を読むことで、高校生の腹痛の原因を理解し、改善への第一歩を歩めるでしょう。
高校生で腹痛が続くのはなぜ?原因とは?
一言に腹痛と言っても、腹部にはさまざまな臓器が存在し、そのいずれかの臓器に異常が生じることで腹痛を自覚するため、原因となりうる要因も多岐にわたります。
また、各臓器はさまざまな神経によって知覚をコントロールされているため、神経に異常がある場合も腹痛を感じることがあります。
このように、腹痛という症状は非常に多彩な原因で起こるものですが、特に高校生の腹痛に多い原因は下記の3つです。
ストレス
高校生の腹痛の原因としてストレスが挙げられます。ストレスが溜まると、心拍・血圧・体温・呼吸・睡眠・排尿・排泄など、多くの生理機能を調整している自律神経のバランスが乱れてしまい、消化管の蠕動運動に支障をきたすためです。
過度なストレスによって交感神経が興奮すると、消化管の蠕動運動が止まってしまい、胃の内容物がうまく消化されなくなったり、腸に便が溜まることで腹痛を感じる可能性があります。
また一方で、過度な交感神経の活性化から解放されると、急に副交感神経が活性化し、今度は逆に腸管が激しく蠕動することで急激な腹痛を自覚する可能性もあります。
高校生はテストや受験・部活動の試合や恋愛など、さまざまなシーンで過度にストレスを感じるリスクを抱えているため、十分注意が必要です。
月経
高校生の腹痛の原因として、特に女性の場合は月経が挙げられます。通常、28日周期の中で体内の女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンの分泌量が変動し、排卵などの生理現象が引き起こります。
その際、排卵時や子宮収縮を伴う生理期には女性は腹痛を感じやすく、人によっては生理痛なのか腹痛なのか判断が難しいこともあります。
また、普段は生理周期が整っており、生理痛も強くない方であっても、食事や睡眠・ストレスなど、さまざまな要因で女性ホルモンは変動し、影響を受けるため、高校生活の中で女性ホルモンのバランスが大幅に乱れ、生理痛が悪化する可能性がある点には留意すべきです。
さらに、月経以外にも卵巣出血や卵巣捻転など、女性器に関わる腹痛は少なくないため、特に不正出血を伴うような腹痛の際は早急に婦人科への受診がおすすめです。
食生活の乱れ
高校生の腹痛の原因として、食生活の乱れも挙げられます。これまで家族で食事を摂る機会が多かった子供も、高校生になると部活動や受験勉強、友人関係などさまざまな理由で、家庭ではなく自分で好みの食事を摂取する機会が増えます。
その結果、胃腸に負担のかかりやすいジャンクフード、揚げ物、脂っこい食べ物の摂取が増えたり、香辛料やスパイスの効いた料理、カフェイン類などの摂取も腹痛の原因となるため、注意が必要です。
摂取内容はもちろんのこと、摂取時間も不規則になると自律神経の乱れを誘発するため、可能な限り規則正しい食事摂取を心がけることが肝要です。
高校生で腹痛が続く場合の対処法とは?
高校生で腹痛が続く場合、通学や学業に支障をきたすだけでなく、部活動や友人関係にも支障をきたすため、学校生活における影響は少なくありません。
基本的に高校生で腹痛が続く場合、まずは上記のような原因を疑い、セルフケアでの改善を目指す必要があります。
ここでは、高校生で腹痛が続く場合の対処法を3つ紹介します。
生活習慣の改善
高校生で腹痛が続く場合、まずは生活習慣を整えましょう。お腹の調子には自律神経が関わっており、生活習慣を整えることで自律神経の調子を整えることができるため、結果としてお腹の調子の改善につながります。
規則正しくバランスの良い食事はもちろん、土日でも同じような時間に起床・就寝し、定期的に運動を行えると良いでしょう。
特に近年注意が必要なのは、中学生や高校生における深夜のスマホいじりです。SNSが普及し、スマホを見る時間が格段に増加すると、睡眠のリズムに支障をきたし、夜に眠れなくなり、朝起きられなくなります。
その結果、自律神経が乱れて腹痛が生じている可能性もあるため、スマホいじりは就寝の少なくとも2時間以上前には終わらせるようにしましょう。
安静や休息
高校生で腹痛が続く場合、安静や休息が必要です。腹痛が生じている状態で無理に動いたり、無視して油分の多い食事や刺激の多い食事を摂取すると、かえって症状が悪化する可能性があります。
また、心身に過剰なストレスが溜まっていると交感神経が過剰に活性化し、自律神経が乱されることで腹痛が生じる原因となるため、ストレス発散するための休息も必要不可欠です。
お腹が痛い時は安静にし、そうでない時も自身の好みに合った方法でストレスを発散させることを意識しましょう。
市販薬の使用
高校生で腹痛が続き、上記のようなセルフケアでも思ったような効果が得られない場合、市販薬の使用を検討しましょう。市販薬には胃腸症状を改善させる多くの処方が存在し、医療機関で処方されるものと用法用量が異なるだけで成分は同一のものも多いです。
胃酸分泌の低下作用、消化管蠕動運動の抑制効果などを持つ市販薬が腹痛には有効であり、また漢方も市販で購入することができるため、選択肢は多いです。
一方で、腹痛だからと言って市販の痛み止めを内服したり、自身の病状に合っていない薬を選択してしまった場合、症状がさらに悪化する可能性もあるため、注意しましょう。
必ず薬局にいる薬剤師に相談の上、自身の症状に対して購入する処方が不適切ではないか確認してから購入するようにしましょう。
高校生で腹痛が続く場合に考えられる病気とは?
上記のようなセルフケアを行なっても腹痛が続く場合、何らかの病気を発症している可能性があるため、注意が必要です。
腹部には胃・十二指腸・膵臓・胆嚢・脾臓・肝臓・小腸・大腸・腎臓・子宮など、非常に多くの臓器が存在しており、このいずれかに異常が生じても腹痛として認識する可能性があるため、腹痛はとても起こりやすい症状の1つです。
また、重症度の低い疾患もあれば、中には命の危険性もある疾患も隠れている可能性があるため、早期発見・早期治療が重要であり、そのためにはどのような病気が原因となりやすいか把握しておく必要があります。
そこで、ここでは高校生で腹痛が続く場合に考えられる病気について4つ紹介します。
便秘症
高校生で腹痛が続く場合に考えられる病気の1つが、便秘症です。便秘症とは、本来体外に排出すべき糞便が何らかの原因で十分量かつ快適に排出できない状態が続く状態を指します。
多くの場合、原因は食事の水分量や食物繊維の量が少ないことや過剰なストレスによって生じますが、中には電解質異常、二分脊髄、薬の影響、内分泌代謝疾患の発症など、病気が隠れている可能性もあるため、注意が必要です。
便秘状態が続き、放屁すら見られなくなると腸閉塞に陥ってる可能性もあるため、早急に医療機関を受診する必要があります。
また、高校生では稀ですが、遺伝などの理由によって腸管に腫瘍が形成されて便秘に陥っている可能性も0ではないため、便秘が続いている場合は一度、医療機関を受診すると良いでしょう。
過敏性腸症候群
高校生で腹痛が続く場合に考えられる病気の1つが、過敏性腸症候群です。過敏性腸症候群とは、特に消化器疾患を発症しているわけではないにも関わらず、腸管の運動が異常に亢進して、刺激に対して非常に敏感になってしまう病気です。
原因は明らかになっていませんが、ストレス、不安、抑うつ、恐怖などの心理的要因や自律神経の失調が原因と考えられています。
診断基準としては、過去3ヶ月間に少なくとも週1回の頻度で腹痛がみられ、かつ①排便に関連した痛みがある。②痛みが排便回数の変化(便秘または下痢)に連動している。③痛みが便の硬さの変化に連動している。の、3つのうち、2つ以上に該当する場合に診断されます。
食事内容の見直しや生活習慣の是正とともに、医療機関での各種検査や薬物療法、心理療法などが必要ですが、これといった原因がないからこそ、完治が難しい慢性疾患です。
月経前症候群
高校生で腹痛が続く場合に考えられる病気の1つが、月経前症候群(Premenstrual Syndrome:PMS)です。はっきりとした原因は不明ですが、おそらく月経周期に伴う女性ホルモンの変動によって、PMSを発症すると月経前に心身にさまざまな不調が生じます。
心理的症状としては、情緒不安定、易怒性、抑うつ気分、不安、不眠・眠気(睡眠障害)、集中力低下などが挙げられ、身体的症状としては、のぼせ、偏食や過食、めまい、倦怠感、腹痛や腰痛、むくみ、便秘などが挙げられます。
女性ホルモンは自律神経と密接に関わっているため、規則正しい生活習慣やバランスの取れた食事摂取によって症状改善を目指せます。また、ピルや漢方などの薬物療法も有効です。
高校生におけるPMSは成人発症者よりも症状が重症化しやすいことが知られており、普段から月経痛が重い方は特に発症しやすいため、注意が必要です。
胃潰瘍
高校生で腹痛が続く場合、胃潰瘍の可能性もあります。胃潰瘍とは、何らかの原因で胃酸分泌が亢進し、胃の粘膜が損傷することで腹痛や胃部不快感などの症状をきたす疾患です。
主な原因は過度なストレスやヘリコバクターピロリの感染、鎮痛剤の長期使用などが挙げられ、一般的には40〜50代に多く発症する病気ですが、中には受験のストレスやいじめなどによって高校生でも発症する方もいます。
胃潰瘍を放置して胃穿孔に陥れば、命に関わる危険性もある病気であり、また医療機関での治療によって比較的容易に改善できる病気でもあるため、疑わしい場合は医療機関を受診すると良いでしょう。
もしかしたら起立性調節障害かも
高校生で腹痛が続く場合、もしかしたら起立性調節障害かもしれません。起立性調節障害とは、身体の急激な成長に対して自律神経の成長が追いつかず、自律神経のバランスが乱れることで動悸や発汗など、さまざまな症状をきたす疾患です。
特に小学生高学年〜中学生で発症しやすい病気ですが、高校生でも十分発症する可能性のある病気であり、朝の起床困難や夜間の不眠症状によって通学に支障をきたし、最悪の場合は引きこもりになってしまいます。
自律神経は睡眠以外にも、血圧や脈拍、排便や排尿など、さまざまな生理機能をコントロールしているため、起立性調節障害の発症によって腹痛や嘔気・立ちくらみや眩暈などさまざまな症状をきたします。
多くの場合は成長とともに自然軽快する病気ですが、中には重症化する子供もいるため、注意が必要です。特に高校生の場合、出席できなければ停学となったり、その後の進路に支障が出れば将来にも関わるため、こういった状況を未然に防ぐためにも、早期発見・早期治療が肝要です。
下記の記事では、子どもにおける起立性調節障害のセルフチェック方法を詳しく紹介しているため、気になる方はぜひ一度チェックしてみましょう。