体調不良時などに、めまいや立ちくらみを経験したことがある方は多いと思います。寝不足や疲れがたまっている場合などにも見られますが、背景に病気が隠れている可能性もあります。
思春期のお子さんや大人には「起立性調節障害」という病気が立ちくらみの原因になることもあり、早期発見、早期治療が重要になってきます。
こちらの記事では、立ちくらみに関して、症状や対処方法、病気の可能性などについて解説していきます。
立ちくらみの原因
立ちくらみは比較的よくある症状の一つです。しかし、中には病気が隠れている可能性もあり注意が必要です。
下記に立ちくらみの原因と考えられる状態や病気をご紹介します。
寝不足など体に疲労が蓄積している状態
十分な睡眠、良質な睡眠は体の色々な代謝機能の調整を図り、疲労回復にもつながります。睡眠が不足すると、血圧や脈を調整する機能が乱れ、めまいや立ちくらみなど様々な不調につながります。
貧血
貧血とは、血液中で全身に酸素を運搬する働きがあるヘモグロビンの濃度が低下することで、全身で酸素が不足している状態です。脳に十分な酸素が行き届かない場合立ちくらみなどの症状につながってしまいます。
脱水症(特に夏期なら熱中症)
血管内を循環している血液量、水分量が不足すると、循環する血流が低下し、脳への血流低下から立ちくらみの症状がみられます。特に夏場は熱中症に注意が必要です。
自律神経の問題
血流の低下、血液の質の低下以外にも、血圧や脈拍などの生命活動を調整している自律神経に異常がある場合も立ちくらみの症状がみられます。
立ちくらみの症状
上体を起こしたり、立ち上がったりした際に気が遠くなる、ふらつき、めまいなどの症状が見られることが典型的です。
持続時間は比較的短く、一般的には数秒間から数分間程度です。横になると症状が改善することが多いのも特徴の一つです。
これらの症状は、体位を変換したことによる血圧や脈の変動が影響しています。一般的に、座っている時には、重力に従って、血液は下肢に溜っています。
その状態から上体を起こしたり、立ち上がると、心臓や脳への血流が下がってしまうことは容易に想像がつくと思います。
しかし、実際には私たちは立ち上がる際に失神することはありません。なぜなら、立ち上がる際に私たちの体は自動的に交感神経を活性化し、下肢などの末梢の血管を収縮させ、心臓、脳への血流を保っています。
この自律神経の調整がうまくいかなかった場合、立ち上がる際に立ちくらみなど多様な症状が出現します。
立ちくらみの治し方
上記でご紹介した立ちくらみの原因となる状態や病気に対する治療方法などをそれぞれご紹介していきます。
寝不足など体に疲労が蓄積している状態
何よりも、十分な睡眠、良質な睡眠を確保することが重要です。
厚生労働省によると、年齢により睡眠時間の必要量は変動しますが、平均7時間程度の睡眠時間を確保することが重要と推奨しています。
良質な睡眠を確保するために、寝室の環境、寝具なども体にあった適切なものであるかを確認し、睡眠前のテレビやスマホ操作、アルコールやカフェインの摂取は控えましょう。
貧血
貧血の原因は様々であり、年齢や性別によっても異なります。女性の場合は月経、30-40代の働き盛りの世代では胃潰瘍や十二指腸潰瘍、加齢に伴い悪性腫瘍や血液疾患の可能性も考えられます。
月経の場合は、過多月経や血の塊が多くみられ、胃潰瘍の場合は、食事中のみぞおち辺りの痛み、胃もたれ、むかつき、十二指腸潰瘍の場合は空腹時の痛みなどが見られます。
貧血であるとわかった場合、原因をはっきりさせた上でそれぞれの治療を行います。同時に食事療法、鉄分やビタミンなどをしっかり摂取することが重要です。
脱水症(特に夏期なら熱中症)
何よりも水分摂取が重要です。特に、心臓病や腎臓病などの病気がある場合は過剰な水分摂取が病気のコントロールを悪くすることがあるので、主治医と相談してください。
病気がない場合、のどの渇きを感じなくても、こまめな水分摂取、特に、夏場であれば水分とともに塩分も少し補給することが重要です。
自律神経の問題
ストレスや乱れた生活習慣は自律神経の調整に異常を来す大きな原因です。したがって、ストレスを溜めないこと、ストレスを発散させること、生活習慣の見直しが非常に重要です。
生活習慣では、適切な睡眠、食事、運動を心がけ、夜更かしは控え、定時に食事を摂取し、定時に就寝、起床、週に2-3回はウオーキングや水泳などの全身運動をするなどを心がけましょう。
立ちくらみの予防方法
まずは、上記でご説明した水分や塩分の摂取、ストレスの解消、生活習慣の見直しを行いましょう。
その上で、立ちくらみが見られた場合、立ち上がり方、体位の変換の方法に気をつけるといいでしょう。立ち上がる際に、急に立ち上がるのではなく、基本的にすべての動作をゆっくりと行いましょう。
横になっている時や座っている時、これから起き上がることを体に知らせるように足を動かしてみてください。その後に、ゆっくりと起き上がります。
途中で立ちくらみの前兆がある場合はすぐに横になったり、しゃがみこみましょう。ゆっくりと動作を行うことで症状の多くを回避できます。
もしかしたら起立性調節障害の疑いが
上記でもご説明したように、血流量や血液の質の低下が脳への血流補足を引き起こし立ちくらみの症状を引き起こしますが、自律神経も大きく関与しています。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、それぞれがうまくバランスをとりながら生命維持に必要な様々な代謝活動を調整しています。
交感神経は体を活発にさせる神経であり、獲物を狩る際の戦闘態勢の状態とイメージするとわかりやすいです。瞳孔をひらき獲物を見て、心臓の拍動を増やし、末梢の血管を収縮させ、血圧を上げます。一方で、このとき消化管の運動は抑え、排泄機能も抑えます。
副交感神経は体をリラックスさせる神経であり、交感神経とは反対の作用があります。
起立性調節障害とは、この自律神経の働きのバランスが崩れることで朝起き上がれない、立ちくらみやめまい、腹痛、頭痛など多様な症状を来し、特に午前中は体調不良が多くなってしまう病気です。体の成長が著しい思春期に多く、成長とともに症状が改善することが多いです。
立ちくらみの症状に困っておられたり、その他悩んでいる症状がある場合、一度セルフチェックを行うことをおすすめします。下記の記事では、セルフチェックについて解説していますので、ぜひ一度ご覧ください。