起立性調節障害とはストレスなどの影響で自律神経のバランスが崩れ、早朝の起床困難や午前中のめまい、ふらつき、腹痛など様々な不調が見られる病気です。
ホルモンバランスが大きく変化し、体も大きく成長する思春期多い病気です。症状に悩まれているお子さんも多いのではないでしょうか。
こちらの記事では、起立性調節障害について、原因や症状、治療方法などをまとめて解説していきます。
起立性調節障害とは
起立性調節障害とは、自律神経系である交感神経と副交感神経の働きのバランスが崩れることで様々な症状を引き起こしてしまう病気です。中学生高学年~高校生にかけての思春期に多く、症状の程度も人により変化があります。
特に、体内の血液の流れが大きく変動する臥位→立位、長時間の立位などの時に症状が出やすいです。
一般的に、私たちは座っている時には、重力に従って、血液は下肢に溜りやすくなっています。そこから立ち上がると、心臓や脳への血流が下がってしまうことは容易に想像がつくと思います。
しかし、実際には私たちは立ち上がる際に失神することはありません。なぜなら、立ち上がる際に私たちの体は自動的に交感神経を活性化し、下肢などの末梢の血管を収縮させ、心臓、脳への血流を保っています。
起立性調節障害の子どもはこの交感神経の自動的な活性化に乏しいため、起床時や立ち上がる際に多様な症状が出てしまいます。起立性調節障害の症状については、のちほど解説いたします。
起立性調節障害の原因
はっきりわかっていないことも多いですが、発症に関与していると報告されている要因は、遺伝的要因、ホルモンバランスの変化、急速な体の成長、ストレス、ウイルス感染、熱中症などがあります。
また、季節や天候によって症状の程度が変わりやすくなります。熱い時期、曇りや雨などの低気圧は副交感神経が優位になりやすく、症状が重くなりやすいです。
貧血や脱水、下肢特にふくらはぎの筋力が低下しているなど、心臓へ戻る血流量が少ない時に症状が出現しやすいです。起立性調節障害の原因の詳細は下記記事でご紹介しているので、ぜひご覧ください。
起立性調節障害の症状
起立性調節障害は体やホルモンバランスが大きく成長する思春期に多い病気です。小学生高学年から高校生頃に好発しますが、大人になってからも見られることがあります。
ここからは、起立性調節障害の症状を小学生・中学生・高校生・大人と、成長別に解説していきます。
小学生の症状
小学生全体の約5%程度が起立性調節障害に罹患すると言われています。
朝起き上がれなくなる、夜寝つきが悪い、立ち上がるとふらつく、学校に登校できなくなるなどの症状が見られます。多彩な症状が見られ、子供自身もうまく症状を大人に伝えられない場合もあります。
中学生の症状
中学生では全体の約10%程度が起立性調節障害を罹患すると言われています。
朝起き上がれなくなる、夜寝つきが悪い、立ち上がるとふらつく、学校に登校できなくなる、イライラする、自己肯定感が低くなるなどの症状が見られます。学校生活に参加できないことによる不安や焦りも大きくなります。
高校生の症状
午前中は気分が悪いことが多く、授業に集中できない、保健室によく通うなどの症状が見られます。受験や学生最後の部活動の大会などがあり、不安や焦りなどが大きくなります。
成人の症状
午前中は体調不良であることが多く、仕事のことを考えると気分が重くなる、遅刻が増え、午前中は特に仕事に集中できない、日々の体調が安定しないなどの症状が見られます。
朝礼などで立って話を聞いているとバタッと失神してしまうことは起立性調節障害の症状としてよく知られており、どの年代にも見られます。
起立性調節障害の症状の詳細は下記記事でご紹介しているので、ぜひご覧ください。
起立性調節障害のセルフチェック
小児心身症学会ガイドラインによると、下記11項目のうち、3つ以上、あるいは2つ以上でも症状が強いと起立性調節障害の疑いがあります。
- 立ちくらみ、めまいを起こしやすい
- 立位になると気分が悪くなり、症状が重いと失神する
- 入浴時あるいはストレスを感じる嫌な事を見聞きすると気分が悪くなる
- 動悸や息切れ
- 朝なかなか起き上がれず、特に午前中は調子が悪い
- 顔色が悪く、青白い
- 食欲がない
- なんの前兆もなく、臍の周りが痛い
- 頭痛
- 乗り物に酔いやすい
起立性調節障害のセルフチェックの詳細は下記記事でご紹介しているので、ぜひご覧ください。
起立性調節障害の治し方
貧血、心臓の病気、てんかんなどの脳や神経の病気、甲状腺などのホルモンの病気の除外を必ずした上で、まずは、起立性調節障害の診断を受けることが重要です。
診断を受けることで周りから理解されない辛い症状は自分の弱さではなく、自律神経の病気であることがわかります。
起立性調節障害の治療は薬物治療と非薬物治療があり、どちらも重要ですが、日常生活でのちょっとした工夫、注意することで症状を緩和させることができるため、非薬物療法を試してみてください。
起床時は、すぐに起き上がらず、頭を下に向けたままゆっくりと起き上がり少しの間座位を保ち、少しずつ離床することが推奨されています。
起床後は窓を開け、光を入れ、なるべく規則正しい生活、食生活を心掛けましょう。知らないうちにストレスが溜り、体にも負担がかかっていることがあるので、定期的に気分転換、リフレッシュをしてください。
また、起立性調節障害には光療法も効果的です。起立性調節障害の光療法の詳細はこちらで解説しています。
さらに、脱水は悪化の原因になるため、こまめな水分摂取(1.5~2.0L)も忘れずに行いましょう。
下記の記事では、起立性調節障害の子どもに親ができることをご紹介しています。ぜひご覧ください。