起立性調節障害とは

思春期の体調不良は何が原因?男の子・女の子別に現役医師が解説

2024年9月23日

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医
2018年から起立性調節障害患者の診療を行い、累計30人以上の起立性調節障害患者を担当。

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

思春期には、体と心の急激な変化に伴って、あらゆる面で変化が多く、さまざまな体調不良が現れることがあります。

こちらの記事では、思春期の子どもにみられる体調不良の原因について解説していきます。

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思春期の体調不良は何が原因?

思春期は身体や心の発達が著しく変化する時期で、体調不良や様々な症状が現れやすくなります。これにはホルモンバランスの変化や、心身のストレスが大きく関与しています。身体が急成長するため、関節や筋肉に痛みを感じることがあります。

学業や学校での人間関係など様々なストレスで頭痛や腹痛が現れたり、情緒に影響することもあります。ホルモンバランス、特に性ホルモンの分泌が増えることで身体的な変化から精神的な変化まで多様な影響を及ぼします。

また、この頃には学業や交友関係、バイトなど様々な影響から夜更かしをしがちになることも考えられます。睡眠への影響から生活リズムが乱れやすく、体調、精神面へ大きな影響を及ぼします。

この様に、思春期の子どもは多様な側面から体調不良を来しやすいことが考えられます。

男の子、女の子それぞれで見られやすい思春期の不調について、以下を確認してみてください。それぞれの疾患や症状についての解説も付け加えているので、併せて確認してみてください。

男の子の場合

男の子の場合の原因について解説します。

成長痛

男の子は特に思春期に身長が急激に伸びることが多く、これに伴って成長痛が現れることがあります。

特に、膝や脚に痛みが出ることが多く、夕方から夜間にかけて強くなる傾向があります。

過敏性腸症候群

腸に目立った炎症や病変がないにもかかわらず、腹痛や不快感、便通の異常(下痢や便秘)が慢性的に続き、消化機能に問題が生じる疾患です。

腹痛やお腹の張り、腹部の不快感は排便によって軽減することが多く、排便後もすっきりしない、残便感が続く場合もあります。

明確な原因は完全には解明されていませんが、ストレスや不安、緊張が腸の機能に大きく影響を与えることが多く、心理的なストレスが症状を悪化させることが知られています。

ニキビなどの肌トラブル

女の子にも見られるニキビなどの肌トラブルですが、男の子場合、男性ホルモン(テストステロン)の分泌が増えるため、皮脂の分泌が活発になり、ニキビや脂性肌といった皮膚トラブルがよく見られやすくなります。

また、これが原因で精神的なストレスを感じることもあります。

不安障害

不安障害は、過剰な不安や恐怖を感じ、それが日常生活に支障をきたす精神的な疾患の総称です。

不安は誰にでも起こる正常な感情ですが、不安障害の場合はその不安が長期間にわたり、通常の生活を送ることが困難になるほど強く現れます。

うつ病

はっきりとした原因はわかっていませんが、精神的・身体的ストレスなどを背景に、脳の働きに何らかの不調が起きることで発症するとされています。

症状としては、気分の落ち込み、何事にも興味が持てない、不安、食欲低下、疲れやすい、頭が重い・頭痛、首や肩のこりなどがみられ、症状の程度も個人差があります。思春期の子どもが発症することも多くみられます。

女の子の場合

女の子の場合の原因について解説します。

やせ

思春期には身長も伸び、筋肉や骨格の発達が活発になり、体内でのエネルギー消費も増加します。このため、食事の摂取量が足りないとエネルギー不足に陥り、やせることがあります。

思春期は外見や体型に対する意識が高まる時期でもあり、特に女の子は理想的な体型を求めて過度なダイエットを行うことがあり、やせにつながってしまいます。

過換気症候群

呼吸が過度に速くなることで、体内の二酸化炭素が急激に減少し、呼吸困難、胸の痛みや圧迫感、めまい、ふらつき、手足や唇のしびれ、冷感、顔や指先が麻痺したような感覚、体が震える、筋肉のこわばりや痙攣などの症状を来す疾患です。

特にストレスや不安が原因で発症しやすいとされています。感情の波が大きい思春期は強い不安やストレスを感じやすく、過換気症候群を発症しやすいと言われています。

月経前症候群

月経が始まる1~2週間前に心身にさまざまな不快な症状が現れ、月経が始まると軽減または消失する状態を指します。

PMSは一般的に思春期以降の女性に見られますが、特に思春期においてはホルモンバランスの変動が激しく、PMSの症状が強く出ることがあります。

症状としては、乳房の張りや痛み、だるさ、むくみ、頭痛などの身体の症状、イライラや集中力低下などの精神的な症状があります。

摂食障害

食事に対する異常な行動や考え方が、身体や精神に深刻な影響を及ぼす精神的な疾患です。絶食する、大量に食べて自分で吐く、体重や体形への強い不満がある、やせに対し異常な程の強い願望があるなどの症状が見られます。

思春期の子どもや若い女性に多く見られ、特に思春期には身体的な変化や感情の不安定さが増すため、摂食障害のリスクが高まると言われています。

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偏頭痛

脳血管が拡がることでズキンズキンとした強い頭痛がみられることが特徴です。

誘因はない場合も多いですが、よく知られているものとしては、飲酒や空腹、チョコレートやワイン、ナッツ類の摂取、睡眠不足や過眠、天候や気温の変化、ストレス中やストレスから解放された後などに頭痛が見られることが多いです。

やや女性に多く、生理周期や女性ホルモンとの関与も指摘されています。

貧血

思春期ではエネルギー、栄養素などすべての面で需要が増しており、特に鉄の不足から鉄欠乏性貧血に注意が必要です。

特に女の子の場合、月経が始まることで鉄分が不足しやすくなるので、食事で栄養素をしっかり摂取することを心がけることが重要です。

貧血により、身体のだるさ、息切れ、動悸、立ちくらみなの症状が見られ、朝起きられない、集中力が低下するなどの状態につながることもあります。

思春期で体調不良が続く場合に考えられる原因とは?

思春期は、子どもが身体的、心理的、社会的に大きな変化を経験する重要な発達段階で、性的成熟と共に心身の成長が著しく、子どもから大人へと移行する時期でもあります。

身体的には身長も体重も大きく増加し、男女ともにホルモンの変化により、身体が大人の体に近づいていきます。心理的には、自我が発達し、自己意識も高まり、他人からの評価に敏感になり、場合によっては周りの大人などに反抗的情動が見られることもあります。社会的には、親からの独立、仲間とのつながりが重要になり社会的責任感が少しずつ強くなることも考えられます。

これらすべての変化が思春期に訪れるので、色々な要素が絡み合い上記のような体調不良を来すことがあります。基本的なこととしては、食事、睡眠、運動、これら日常生活のリズムを崩さないよう、整えながら毎日を過ごすことが重要と考えます。

多様な栄養素の摂取、適切な睡眠時間を確保し、運動などのストレス解消につながることを取り入れましょう。それでも改善しない場合、早めに一度医療機関を受診することをおすすめします。

もしかしたら起立性調節障害かも

ここまで、思春期における身体、心の変化、思春期に見られやすい身体の不調について解説してきました。

食事や睡眠などしっかり注意して過ごしているにも関わらず、体調不良がなかなか改善しない場合、自律神経の問題があるかもしれません。自律神経の働きに異常を来し、思春期に特に多いのが起立性調節障害です。

この病気は自律神経である交感神経と副交感神経の働きのバランスが崩れることで、特に早朝起きられないことが大きな問題になります。夜はなかなか眠気がおきず、つい夜更かしをしてしまい、適切で良質な睡眠を十分にとることができません。

そのため、めまいや頭痛、腹痛、気分不良、動悸など様々な症状がみられます。身体的・精神的な発達、ホルモンバランスが大きく変動する思春期に特に多いとされており、長期間にわたり不調に悩んでいる場合、もしかしたら起立性調節障害かもしれません。

下記記事ではセルフチェックについて解説していますので、気になる症状がある方は是非ご一読ください。

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