朝なかなか起き上がることができないことはありませんか?
寝たはずなのに、体がだるく、重たい、寝起きがすっきりせず、体が動かないことはありませんか?
この記事では寝起きが悪く、朝体が動かない原因、病気の可能性や対処方法などについて解説していきます。
「朝 体が動かない」ときの原因
夜勤などで昼夜逆転になり生活リズムが乱れている場合は睡眠時間が減少します。
また、睡眠の質が低下している場合、体に疲労や負担が蓄積され朝体がだるく、起きあがれない状況になってしまいます。
<生活リズムの乱れ>
多忙により食事が不定期なったり、就寝時間が遅くなったりすることで体へ悪影響を及ぼします。
睡眠時間が短いことで体の休養時間が短くなり睡眠中に整える様々な代謝活動が不十分になります。結果的に自律神経のバランスやホルモンバランスなど様々な機能に不具合が生じ体調不良を招きます。
生活リズムの乱れ、睡眠の状況が整っていないことは体内時計に影響を与えてしまいます。ここで体内時計について少し解説します。
私たちの体内には地球の自転周期である24時間に合わせて、体内の様々な機能を自然に調節する仕組みが備わっており、このことを体内時計と言います。
特に睡眠に関しては、自律神経も大きく関連しています。自律神経には交感神経と副交感神経があり、これら2つバランスにより体の様々な調整が行われています。
これら2つの神経は常に同じ程度活性化しているわけではなく、日内変動があります。
朝起床頃より交感神経が優位になり、午後になると徐々に副交感神経の割合が増加していき、夜間には交感神経の働きは弱くなり、就寝が近くなる頃には副交感神経が優位に働き、睡眠中体を休めます。
したがって、自律神経のバランが崩れることで睡眠の周期が乱れてしまうことは十分にあります。
自律神経以外にも、メラトニンという物質によって覚醒と睡眠のリズムを作ることで私たちの体内時計に影響を与えています。
メラトニンは脳内から分泌される眠りを司るホルモンです。1日中メラトニンは分泌されていますが、夜分泌が高まり、朝方は分泌が非常に弱まります。
メラトニン分泌と光は密接に関係しており、光を浴びることでメラトニンの分泌は抑えられます。
つまり、日中は日光をたくさん浴びることでメラトニン分泌が抑えられ、日が沈んだのち、夜間はメラトニン分泌が増え、睡眠へと誘導するというわけです。
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「朝 体が動かない」場合に考えられる病気とは
<低血圧>
血圧が低いことで、全身の血のめぐりが悪くなり、脳への血流が低下することで朝起き上がれず、体が動かない、ふらつきやめまい、頭痛や体のだるさなどが見られます。
生まれつき血圧が低い、睡眠不足、筋肉量の不足などが原因として考えられます。
<低血糖>
体の(特に脳の)エネルギー源となるブドウ糖が低下することで、冷や汗、ふらつき、体のだるさなどが見られます。
忙しい現代人は朝食をしっかり食べる習慣に乏しく、朝の起きにくさや体が動かないことの大きな原因の一つと考えられます。
また、もともと糖尿病がある方は傾向血糖降下薬やインスリンが効きすぎている可能性も考えられます。低血圧、低血糖を起こす病気として、副腎機能不全があります。
<副腎機能不全>
感染や炎症、腫瘍など様々な原因により副腎の機能が低下することで、副腎から分泌されるホルモンが十分に分泌されず、様々な症状を来す病気です。
副腎は両側の腎臓の上に乗っかるようにして存在しており、アドレナリンやステロイドホルモン、性ホルモンを分泌しています。
特にステロイドホルモンが欠乏することで低血圧や低血糖、全身の倦怠感などが出現し、朝体が動かないことへも関連する可能性があります。
<睡眠時無呼吸症候群>
睡眠中に呼吸が停止する(無呼吸)、もしくは呼吸が弱くなることで、睡眠の質が低下し、朝すっきりしない、体がだるく動かない、日中も強い眠気に襲われる病気です。
この状態を放置すると、全身様々な臓器に負担がかかります。特に心臓への負担が非常に問題であり、心筋梗塞や脳梗塞、最悪の場合は突然死のリスクにもなります。
<うつ病>
はっきりとした原因はわかっていませんが、精神的・身体的ストレスなどを背景に、脳の働きに何らかの不調が起きることで発症するとされています。
気分が落ち込み、何事にも興味が持てなくなり、食欲低下や睡眠障害を来し、疲れやすく、日常生活に支障をきたす場合も多い病気です。
朝体が動かないことの原因になることも十分に考えられます。
「朝 体が動かない」場合の治療法
睡眠時間の確保、良質な睡眠をとることで生活リズムを整えましょう。
また、体内時計を整えるために起床後は日光を浴び、夜間はテレビやスマートフォンを控えることが重要になります。
上記ご説明しました病気の治療方法について一つずつ解説していきます。
<低血圧>
体内の塩分と水分は血圧の維持に密接に関連しており、適量の塩分と水分の摂取を心がけましょう。
特に持病がない場合の塩分摂取量の目安は、1日あたり成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満とされています。
<低血糖>
忙しい朝でも、朝食は欠かさず摂取することが重要です。間食や甘いものを控え、バランスのとれた3食をしっかり摂取しましょう。
また、糖尿病がある方は、経口血糖降下薬やインスリンの減量が必要かもしれませんので、主治医に相談しましょう。
<副腎機能不全>
最も重要な治療は不足したホルモンを補充するホルモン補充療法であり、ステロイドの服用です。症状をもとにして、主治医によりステロイド薬の減量の計画がなされます。
決して自分の判断で減量しないでください。また、体調を崩した場合には増量が必要になることがありますので、主治医と相談してください。
<睡眠時無呼吸症候群>
肥満があれば減量を行います。検査結果により適応がある場合、CPAPという呼吸器を使用することがあります。
<うつ病>
抗うつ剤などの薬物療法に加え、心と体を休養させることが重要です。
もしかしたら起立性調節障害かも
朝体が動かないという症状は体が休息できていないことが大きな原因であると考えられます。睡眠時間が短いことや睡眠の質の低下などにより体内時計にも悪影響を及ぼしている可能性があります。
体内時計のコントロールには自律神経も関わっており、朝体が動かないという症状は自律神経の異常が関与している可能性があります。自律神経の異常が原因である疾患に起立性調節障害があります。
起立性調節障害とは、自律神経である交感神経と副交感神経の働きのバランスが崩れることでめまいやふらつき、たちくらみ、頭痛、腹痛など様々な症状を来す病気です。体が大きく成長し、ホルモンの変動が大きい思春期に多くみられます。
一般的に、私たちは朝起床頃より交感神経が優位になり、午後になると徐々に副交感神経の割合が増加していき、夜間には交感神経の働きは弱くなり、就寝が近くなる頃には副交感神経が優位に働き、睡眠中体を休めます。
起立性調節障害の子どもは交感神経と副交感神経の働きのバランスに不具合が生じ、適切に神経をスイッチすることができないため、色々な症状に悩まされます。
特に、朝は活性化されるべき交感神経がうまく活性化されないために体はなかなか覚醒状態にはなりません。朝起き上がることができず、起きたあともめまいやふらつき、頭痛、吐き気など体調不良が続きます。
時間とともに症状は和らぎ、午後からの活動は特に問題ないことが多いです。したがって、起床時や午前中にひどい吐き気が見られた場合には、起立性調節障害の可能性があります。
下記の記事では起立性調節障害の可能性があるのかをセルフチェックすることができます。ぜひ参考にしてみてください。
【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)
日本消化器病学会ガイドライン
日本甲状腺学会 甲状腺機能低下症の診断ガイドライン
日本内分泌学会 副腎クリーゼを含む副腎皮質機能低下症の診断と治療に関する指針
日本うつ病学会治療ガイドライン
日本呼吸器学会 睡眠時無呼吸症候群の診療ガイドライン2020