起立性調節障害とは

高校生で寝ても寝ても眠いのはなぜ?対処法や潜んでいる病気を解説

2024年2月24日

この記事の監修者

医師(匿名)

医師歴:10年
勤務病院:某3次救急病院

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

  • 寝ても寝ても日中耐えられない眠気に襲われる
  • 睡眠時間は確保しているのに起きると眠いのはなんで?

このような疑問やお悩みをお持ちの方も少なくないでしょう。

寝ても眠い場合、朝起きられなくなるだけではなく、仕事や勉強など日中の生活にも支障をきたす可能性があります。特に高校生の場合、通学や通塾に支障が出れば進学できない可能性もあり、最悪の場合は将来の進路にも悪影響を与えてしまうため、早期から適切な対策を取ることが肝要です。

寝ても寝ても眠い原因は、不規則な食生活や運動不足など生活習慣によるものもあれば、中には睡眠時無呼吸症候群やうつ病など、早期に対策すべき病気が隠れている可能性もあるため、注意が必要です。

ここでは、高校生で寝ても寝ても眠い原因や対処法について詳しく解説します。ぜひこの記事が、眠気に悩む方の参考になれば幸いです。

高校生で寝ても寝ても眠いのはなぜ?原因を解説

高校生で寝ても寝ても眠い場合、まずは自身の就寝環境や生活習慣を振り返るべきです。自分では睡眠と関係ないと思っていた行動でも、案外思わぬ形で睡眠に悪影響を及ぼしている可能性があります。

ここでは、原因となる可能性のある行動を具体的に3つ紹介します。

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不適切な就寝環境

高校生が寝ても寝ても眠い場合、就寝環境が不適切である可能性があります。就寝環境が自身の身体に合っていないと、睡眠時間としては確保できていても睡眠の質が低下し、脳や身体が十分休息できないために日中の眠気の原因となります。

睡眠中に音や光が差し込む、工事の振動が伝わる、過剰に高いもしくは低い室温や湿度など、睡眠の妨害になるような環境は日中の眠気の原因となるため、注意が必要です。

また、寝具と身体のフィットも非常に重要です。枕の高さが高すぎると気道が閉塞して取り込める酸素の量が低下し、睡眠の質も低下することが知られています。枕の高さが7cm以上の場合は特に要注意です。

他にも、固すぎる、もしくは柔らかすぎるマットレスの使用は身体の一部分(腰部や腸骨・坐骨)に負担をかけてしまい、睡眠の質の低下に繋がります。自分の寝室の環境や寝具のフィットを、改めて確認すると良いでしょう。

就寝直前でのスマホいじり

就寝直前でのスマホいじりをする方は増加傾向ですが、眠気の原因となるため控えるべきです。就寝直前までスマホやPCをいじると、電子機器から発せられる光が網膜経由で脳を刺激し、睡眠の質を低下させるためです。

光刺激が脳に伝達されると、睡眠ホルモンである「メラトニン」の分泌が低下し、睡眠を得られにくくする、もしくは睡眠が浅くなることで、日中の眠気の原因となります。

特に高校生ではつい眠る直前までスマホをいじってしまうことも少なくないと思いますが、可能な限り就寝の2時間以上前にはスマホいじりは控えるようにすべきでしょう。他にも、ブルーライトをカットするようなメガネなどの使用も効果的です。

カフェイン離脱

カフェインの離脱症状も、寝ても寝ても眠くなる原因のため注意が必要です。カフェインはコーヒーやお茶・エナジードリンクに豊富に含まれており、継続的に摂取している方が急にカフェインを中止することでカフェイン離脱が出現します。

これは、カフェインが体内にあることに慣れてしまった身体が急に体内でカフェインが枯渇したことに驚いてさまざまな症状をきたす状態です。

主な症状としては、頭痛・著しい疲労感または眠気、気分不快、抑うつ気分、易怒性、集中困難、感冒様症状(嘔気、嘔吐、筋肉の痛みか硬直)などが挙げられます。

日常的に摂取する場合、カフェインの1日摂取量としては300mg程度に控えることを勧めます。玉露が100mlに約160mgのカフェインが含まれているので、玉露2杯でも上限量と考えておくと良いでしょう。

高校生で寝ても寝ても眠い時に考えられる病気

高校生で寝ても寝ても眠い時、生活習慣やセルフケアだけでは改善困難なケースもあり、その場合なんらかの病気に罹患している可能性もあります。場合によっては放置すると命に関わる危険性もある病気の可能性もあるため、早期発見し、早期から適切な対応を取ることが肝要です。

ここでは、高校生で寝ても寝ても眠い時に考えられる病気を3つ紹介します。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は、日中の眠気を引き起こす病気の代表格です。睡眠時無呼吸症候群とは、その名の通り睡眠中に呼吸が止まる、もしくは弱くなることで、取り込める酸素量が低下してしまう病気です。

睡眠中は舌の筋肉が弛緩することで舌根が落ち込みやすくなり、気道が狭くなることで呼吸が阻害されます。脳は持続的な低酸素状態となるため、そのストレスによって睡眠の質が低下し、睡眠時間に関わらず日中に強い眠気が生じます。

睡眠時無呼吸症候群を放置するとストレスによって交感神経が持続的に活性化してしまい、高血圧・糖尿病・心房細動などの不整脈・脳卒中など、命に関わる危険な病気に進展する可能性もあるため、注意が必要です。

代表的なリスクとしては肥満が挙げられるため、肥満度を示す係数であるBMIが25以上の方はダイエットを意識しましょう。

うつ病

「うつ病=眠れなくなる」というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、実は過眠症状をきたす方も少なくありません。また中高年が発症しやすい病気ではありますが、中学生や高校生の子どもでも発症しうる病気です。

うつ病は脳内の神経伝達物質、ノルアドレナリンやセロトニンがうまく作用しないことでさまざまな神経症状をきたす精神疾患であり、症状の1つに過眠を含みます。

うつ病では睡眠が浅くなりやすく、睡眠時間を確保しても質が低いため、日中に強い眠気を自覚すると考えられています。放置すれば自殺企図や希死念慮など、命に関わる状態を招く可能性もあるため、十分注意すべき病態です。

ナルコレプシー

ナルコレプシーとは、睡眠時間に関わらず、日中に自分では制御できないレベルの強い眠気が生じる病気であり、現在でも原因は解明されておりません。性別に関わらず2000人に1人ほどの割合で発症します。

主な症状は、日中の過度な眠気、突然の一時的な筋力低下(情動脱力発作)、入眠時や覚醒時の幻覚、金縛りなどが挙げられます。

高校生の場合、当然日中の学業にも大きな支障をきたし、テスト中に眠気に襲われた場合は成績が優秀であっても落第してしまう可能性もあるため、非常に厄介な病気です。また、ナルコレプシーでは強い眠気による事故や転倒などを併発する可能性もあり、十分注意すべき病態です。

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高校生で寝ても寝ても眠い時の対処法

上記で示したように、高校生で寝ても寝ても眠い時は原因が生活習慣によるものもあれば、なんらかの病気を併発している可能性もあります。どちらにせよ、日中の学業に支障をきたすため、早期改善が好ましいです。

そこで、ここでは高校生で寝ても寝ても眠い時の対処法を3つ紹介します。

生活習慣・就寝環境を整える

高校生で寝ても寝ても眠い時の対処法として、まずは生活習慣・就寝環境を整えましょう。多くの場合、自身のセルフケアで改善可能なことが多いです。規則正しい食生活や運動習慣はもちろんのこと、眠りやすい就寝環境を整えることで睡眠の質が上昇し、日中に眠気を感じにくくなるでしょう。

一方で、注意すべきは入浴と運動のタイミングです。入浴や運動は快眠を得るためにはぜひ行うべき行動ですが、その方法を誤るとかえって睡眠の質を低下させるため、正しい方法で行うことが重要です。

就寝直後に深部体温が一気に低下することで睡眠の質を効率的に上げることができますが、睡眠に良かれと思って入浴や運動を就寝直前に実施すると深部体温が上昇したまま、就寝後も下がりにくくなり、むしろ睡眠の質は低下します。

そのため、少なくとも就寝の2時間以上前には入浴や運動は終わらせておくべきです。また、あまりにも熱すぎるお湯での入浴や、身体に過剰な負担の掛かる運動もストレスになるため、睡眠の質を低下させる恐れがあり注意が必要です。

自分に合った方法でストレスを発散する

自分に合った方法でストレスを発散することも、日中の眠気対策には肝要です。強いストレスは交感神経を活性化させ、睡眠の質や量を低下させる可能性があるためです。

ランニングなどの有酸素運動・リラクゼーション効果のあるアロマやヨガの実施・読書・映画鑑賞など、ストレス発散の方法は人によってさまざまであり、自身の身体や心に合った方法で実施しましょう。

医療機関を受診する

上記のようなセルフケアでも日中の眠気が改善しなかった場合、睡眠時無呼吸症候群やうつ病・ナルコレプシー・甲状腺疾患などを患っている可能性もあるため医療機関を受診すべきです。

特に睡眠時無呼吸症候群やうつ病は放置すると脳卒中などの命に関わる病気の発症リスクを増加させることが報告されているため、早期診断・早期治療が肝要です。

また、中学生までの子供はかかりつけの小児科へ受診すべきですが、高校生の場合は小児科では対応してくれないことがほとんどのため、どこに受診すればいいのかお悩みの場合はまずは総合内科を受診すると良いでしょう。

もしかしたら起立性調節障害かも


高校生が寝ても寝ても眠い場合、もしかしたら起立性調節障害の可能性もあります。

起立性調節障害とは、小学生高学年から中学生・高校生のはじめくらいに発症しやすい身体疾患であり、身体の急激な発達に自律神経の成長が追いつかないことで自律神経が乱れる病気です。

特に午前中、活性化すべき交感神経がうまく活性化しないことで、起立時や起床時に脳血流を一時的に維持できなくなり、めまい・ふらつき・嘔気・嘔吐・体動困難などの症状が出現します。

逆に夕方や夜になると交感神経が活性化してしまうため、身体や精神が興奮状態になって睡眠の質が低下してしまうのです。そのため、寝ても寝ても眠い場合は起立性調節障害の可能性があることも覚えておきましょう。

診断が遅れると通学や通塾に支障をきたし、高校生なら進級や進学にも影響が出るため、可能な限り早期発見・早期治療が重要です。下記の記事では、子供の起立性調節障害のセルフチェック方法について詳しく解説されています。ぜひ参考にしてください。

【参考文献】
厚生労働省
厚生労働省
MSDマニュアル

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

起立性オンラインセミナー

トトノエライトプレーン

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