一般的にもよくみられる「頭痛」ですが、一度は経験したことがある方も多いのではないでしょうか。
頭痛を引き起こす原因や病気はさまざまです。目の疲れや肩こり、睡眠不足、天候などが関係することもあります。
また、立っていると頭痛が強くなり、横になると軽くなる場合は「起立性頭痛」と呼ばれる特徴に当てはまり、脳脊髄液の漏出や起立時の循環調節に関わる病気が原因となっていることがあります。
今回は、立つと頭痛がするものの、横になると改善するタイプの頭痛について、考えられる原因や病気、対処法を中心に解説します。
子どもに立つと悪化し、横になると軽減する頭痛が続く場合、起立性調節障害が関係していることもあります。
朝起きられない症状や立ちくらみ、倦怠感などを伴う場合は、起立性調節障害のセルフチェックも参考にしてください。

立つと頭痛がするが横になると治るのはなぜ?
立ったり座ったりすると悪化し、横になると軽くなる頭痛は、一般に「起立性頭痛」と呼ばれます。
起立性頭痛では、脳脊髄液の圧や量の変化、起立時の血圧・心拍数の調節などが関係している場合があります。一方で、片頭痛や首・肩の筋肉の緊張などによる頭痛が、身体を動かしたときに悪化し、横になって休むことで軽くなることもあります。
ここでは、立つと悪化し、横になると軽くなる頭痛に関係する可能性がある要因を解説します。
首や背中の筋肉の緊張
長時間同じ姿勢でいることにより、首や肩、背中、肩甲骨周辺の筋肉が緊張し、それが頭痛の原因になることがあります。
特に姿勢が悪い場合や、デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けると、このような症状が現れることがあります。
起立時の循環調節の変化
立ち上がると、重力によって血液が下半身にたまりやすくなります。通常は、自律神経の働きによって血管の収縮や心拍数などが調節され、血圧と全身の循環が保たれます。
しかし、この調節がうまく機能しない場合は、立位で頭痛や立ちくらみ、めまい、動悸、倦怠感などが現れることがあります。横になると重力の影響が小さくなるため、症状が軽減する場合があります。
立ち上がったときに頭痛だけでなく、目の前が暗くなる、ふらつく、動悸がするなどの症状もある場合は、起立性低血圧や体位性頻脈症候群、起立性調節障害なども考えられます。
ストレスや緊張
立っているときにストレスや緊張が強まることで、頭痛が引き起こされることがあります。
ストレスは筋肉の緊張、血管収縮作用があり、頭痛の原因になることがあります。横になりリラックスした状態になると、頭痛が治まることがあります。
眼精疲労
長時間のパソコン作業や集中作業によって眼精疲労が進み、それが原因で頭痛を引き起こすことがあります。横になり目が休まると、頭痛が和らぐ場合があります。
立つと頭痛がするが横になると治るというように、体位で頭痛の程度が変化する場合は血流が重要な影響を与えている可能性が考えられます。
立つと頭痛がするが横になると治る場合に考えられる病気
立つと頭痛がするが横になると治る場合、筋肉や血流、ストレスなどが関与していることはご理解頂けたと思います。
その他、病気が原因でこの様な頭痛を起こすことがあり、解説していきます。
起立性低血圧や体位性頻脈症候群
立つと頭痛やめまいなどが現れ、横になると軽くなる場合は、起立性低血圧や体位性頻脈症候群などが考えられます。
起立性低血圧は、立ち上がったときに血圧が低下し、立ちくらみやめまい、ふらつき、頭痛などが現れる状態です。脱水、薬の影響、神経疾患など、さまざまな原因によって起こります。
体位性頻脈症候群は、立ったときに血圧が大きく低下しないものの、心拍数が過度に増加し、動悸や頭痛、めまい、倦怠感などが現れる病気です。
症状だけで両者を区別することは難しいため、繰り返す場合は医療機関で血圧や心拍数などを確認してもらいましょう。
起立性低血圧の症状や起こる仕組みについて詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
片頭痛
片頭痛は、脳内の神経や三叉神経血管系など、複数の仕組みが関係して起こると考えられています。遺伝的な要因に加え、ストレス、睡眠不足や寝すぎ、月経、天候の変化などが発作のきっかけになる場合があります。
こめかみから目の周辺にかけて、ズキズキと脈打つような痛みが現れることが多く、片側だけでなく両側が痛む場合もあります。
吐き気や嘔吐、光や音への過敏症状を伴うことがあり、頭痛の前に、視界にギザギザした光が見える閃輝暗点が現れる場合もあります。痛みは数時間〜数日間続き、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。
片頭痛は身体を動かすことで悪化しやすいため、立ったり歩いたりすると痛みが強くなり、暗く静かな場所で横になると軽減する場合があります。ただし、立位そのものによって悪化する起立性頭痛とは区別して考える必要があります。
脳脊髄液減少症
脳脊髄液減少症は、脳や脊髄の周囲を満たす脳脊髄液が漏出することなどによって、頭痛やめまい、首の痛み、倦怠感などが現れる病態です。「脳脊髄液漏出症」や「低髄液圧症候群」など、関連する病名が使われることもあります。
特徴的な症状の1つが、立ったり座ったりすると悪化し、横になると軽くなる起立性頭痛です。首の痛みや耳鳴り、聞こえにくさ、吐き気などを伴う場合もあります。ただし、発症から時間がたつと、体位による変化が目立たなくなることもあります。
脳脊髄液が漏出するきっかけとしては、交通事故などの外傷、腰椎穿刺、脊椎周辺の処置などがあります。一方で、明らかなきっかけがなく発症する場合もあります。
診断には、症状の経過に加えて、造影MRIなどの画像検査が必要になることがあります。起立性頭痛が繰り返し現れる場合は、脳神経内科や脳神経外科などへ相談しましょう。
脳脊髄液減少症と起立性調節障害の違いについて詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

立つと頭痛がする場合の対処法
立つと頭痛がする場合は、まず無理に立ち続けず、安全な場所で休みましょう。
ただし、立位で悪化して横になると改善する頭痛が繰り返される場合は、休息や市販薬だけで対処せず、原因を確認することが大切です。ここでは、一時的な対処法と受診の目安を解説します。
横になって休む
頭痛が強い場合は、無理に立ち続けず、転倒しないよう安全な場所で横になって休みましょう。
片頭痛が疑われる場合は、暗く静かな部屋で休むことで、光や音による刺激を避けられます。
ただし、横になるたびに症状が改善しても、原因となる病気が治っているとは限りません。起立性頭痛が繰り返される場合や、日常生活に支障が出ている場合は受診を検討してください。
首・肩・目の疲れをとる
首や肩のこり、目の疲れが頭痛に影響していると考えられる場合は、作業を中断して休憩を取り、軽いストレッチなどを行いましょう。
ただし、原因がわからない新しい頭痛や、突然始まった頭痛がある場合は、首を強くもんだり動かしたりすることは避けてください。
休息しても改善しない場合や、立つたびに頭痛が現れる場合は、肩こりや眼精疲労だけと判断せず、医療機関へ相談しましょう。
鎮痛剤を服用する
日常生活に支障を来す程の頭痛である場合、とてもつらいと思います。その際には、鎮痛剤を使用することも選択肢となります。
鎮痛剤にも種類がありますが、できれば胃腸障害や腎機能障害の来す可能性が少ないアセトアミノフェンという種類の鎮痛剤を使用する方が良いでしょう。
しかし、効果に乏しいこともあるので、その際にはロキソプロフェン(ロキソニン)を使用することになりますが、漫然と使用していると胃潰瘍や腎機能障害、鎮痛剤が効かない頭痛などの副作用が出現してしまう場合もあるので注意が必要です。
鎮痛剤がなかなか効かない場合も一度受診する方が良いでしょう。
立ち上がる時はゆっくりと
急に立ち上がると血圧が急激に変化し、頭痛やめまいが起こることがあります。
ベッドや椅子から立ち上がるときは、まず座った状態で数秒間深呼吸し、その後ゆっくりと立ち上がるようにしましょう。
医療機関を受診する
今までに経験したことがない激しい頭痛や、突然発症して短時間で痛みがピークに達する頭痛がある場合は、くも膜下出血などの危険な病気が隠れている可能性があります。
次のような症状を伴う場合は、すぐに救急要請を検討してください。
- 意識がもうろうとする、けいれんがある
- 手足の麻痺、言葉の出にくさ、視界の異常がある
- 激しい嘔吐や発熱、首の強いこわばりを伴う
- 頭部を強く打った後に頭痛が現れた
突然の頭痛ではなくても、立つと悪化して横になると軽くなる頭痛が繰り返される場合や、徐々に悪化している場合、日常生活に支障が出ている場合は、脳神経内科や脳神経外科などを受診しましょう。
もしかしたら起立性調節障害かも
立ち上がると頭痛がするなど気分が悪くなる場合、自律神経が関与している場合もあります。起立性調節障害とは、自律神経である交感神経と副交感神経の働きのバランスが崩れることでめまいやふらつき、たちくらみ、頭痛、腹痛など様々な症状を来す病気です。
一般的に、朝起床頃より身体を覚醒させるための交感神経が優位になり、午後になると徐々に交感神経から副交感神経の割合が増加していき、就寝が近くなる頃には身体を休める副交感神経が優位に働きます。
起立性調節障害の子どもは交感神経と副交感神経の働きのバランスに不具合が生じ、適切に神経をスイッチすることができないため、色々な症状に悩まされます。
典型的な症状としては、朝活性化されるべき交感神経がうまく活性化されないために、起床することができない、起床できたとしてもめまいやふらつき、頭痛、吐き気など体調不良が続きます。時間とともに交感神経の活性が追い付き、症状は和らぎ、午後からの活動は普通に行うことができることが多いです。
したがって、起床時や午前中にひどい頭痛が見られた場合には、起立性調節障害の可能性があります。下記記事では、起立性調節障害のセルフチェックについて解説しておりますので、是非ご一読ください。








