中学生の子供が朝起きられない、夜寝付けない、学校にも遅れていく。そんな症状を訴えた時、親御さんはどう対応されますか?
もしかしたら、そのような症状を訴える子供は起立性調節障害(OD)かもしれませんが、そんな病気を今まで知らなかった親御さんにとっては何をどう対応して良いのか分からないと思います。
基本的に起立性調節障害は年齢ごとに受診すべき科がある程度決まっています。担当外の診療科に行っても病院側の手に負えない可能性もあります。
そこで今回は、起立性調節障害の中学生が一体どれくらいの価格で、どんな治療をどこの科で受けることができるのか、わかりやすく説明していきます。
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中学生は何科を受診したらよいのか
起立性調節障害は一言で言ってしまえば自律神経の調節不全が原因です。成長期になるとホルモン分泌が不安定になり、肉体の成長にホルモンが追いつけないことで症状が出現します。
具体的には起立時に脳の血流が低下してしまい、全身倦怠感や嘔吐、頭痛などの症状が出現し起床後にうまく動けなくなってしまうのです。
起立性調節障害の罹患率は小学生で約5%、中学生で約10%と言われ、特に中学生までに発症することが多いです。自然に治ることもありますが、人によっては登校などの日常生活に支障をきたすほど強い症状が出る可能性もあります。
もし仮に中学生の親御さんが自分の子供の症状から起立性調節障害を疑った場合には、医療機関への受診、特に小児科に受診することを勧めます。
意外かも知れませんが、基本的に多くの小児科医が診察する場合の「小児」の定義は中学3年生までです。厚生労働省からの決まりがあるわけではなく、小児科医の中での暗黙のルールのようなものです。
もちろん病院次第ではありますが、仮に中学生までに小児科で起立性調節障害と診断されていれば、高校生まで症状が継続してもそのままかかりつけの小児科で治療を継続していくことは可能だと思います。
検査費用、受診費用はどれくらい?
小学校高学年から中学生のお子さんがいる親御さんが、症状・経過から起立性調節障害を含めた疾患を考えて小児科・児童精神科等に受診する前に最も気になる事の1つとして必要となる医療費があります。
まずは、小児科の外来を受診し、症状の経過を本人や家族から問診をして聴取します。身体所見をとり、その上で起立負荷試験や血液検査・尿検査を行っていきます。
不登校や朝が起きられないという症状であれば、自律神経失調症の1つの形である起立性調節障害も考えます。
「朝だるくて起きられない」「学校を休むことが多い」と訴えていれば、貧血・甲状腺機能異常(低下症・亢進症)、不整脈、副腎機能異常などの内分泌疾患、そのほかの精神疾患などを羅列し、1つ1つの可能性を考えていきます。
初診時には、通常の初診料に加えて、採血や尿検査・心電図検査などを行います。あわせて、診察の結果や今後の治療方針を検討していくカウンセリングとしての内容も診療料に加算されます(小児特定疾患慢性カウンセリング料)。
起立性調節障害の判定として、新起立試験(ODテスト)も実施されます。
具体的な検査手順は、まず10分間仰向けで安静を保ちます。その際、起立前に3回程度血圧や心拍数を計測します。その後、起き上がった状態で立位を10分間ほど保持します。起立後10分間の血圧や心拍を頻回にチェックし血圧低下の割合、心拍数の変化、血圧が元に戻るまでの時間などを測定していきます。
この結果をもとに、起立性調節障害の4つのサブタイプのいずれかの診断基準に当てはまれば起立性調節障害と診断され、治療開始となります。この検査を、1泊2日の入院で実施する医療機関もありますが、ごく少数でありほとんどは外来で行います。
これらをすべて実施した際には、医療機関の機能にもよりますが、医療保険点数として約2,000点(20,000円)となります。
ただ、多くの市町村では、中学生卒業までに必要とされた医療費の3割である自己負担分は無料となる制度があり(所得制限がある市町村もあり)、自己負担金はほぼ発生しないことが多いです。
上記内容はあくまでも目安です。実際に受診する病院によって診療費は異なると思いますので、検査の前に事前に病院へ問い合わせることをお勧めします。
中学生の子供に起立性調節障害を疑った場合、本記事の内容に沿って、決して叱責をすることがなく、話を傾聴し、つらさを共感してください。
実際に親御さんが起立性調節障害に対する知識があるかないかで子供の病状も変わってきます。親御さんが子供にしてあげられる事はたくさんあります。下記記事では起立性調節障害の子供に対して親御さんができることをまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)