- 子供の頃に発症した起立性調節障害の症状が大人になるまで持ち越している
- 一旦症状が治まっていたが何らかの原因で症状が再燃している
- 大人になってから初めて起立性調節障害の症状に悩まされている
子どもの頃に発症した起立性調節障害の症状が大人になるまで続いている、一度治まっていた症状が再び現れた、大人になってから初めて症状に悩まされるなど、大人の起立性調節障害にはさまざまなケースがあります。
起立性調節障害は思春期に多い病気ですが、症状が成人期まで続く場合もあります。ただし、大人の立ちくらみやめまい、倦怠感などは、貧血や心疾患、内分泌疾患、服用している薬などによって起こることもあるため、医療機関で原因を確認することが大切です。
症状が重く仕事を続けることが難しい場合、休職や退職を検討する方もいるでしょう。また、仕事を休んだ場合に利用できる経済的支援について、不安を感じることもあると思います。
この記事では、大人の起立性調節障害と仕事の両立、休職・退職を検討する際の注意点、利用できる可能性のある経済的支援、復職時に確認したいポイントについて解説します。

大人が起立性調節障害になった場合、仕事はどうするべき?
起立性調節障害は、立ち上がったときの血圧や心拍数などを調節する働きがうまく機能せず、立ちくらみやめまい、動悸、倦怠感などの症状が現れる病気です。
朝や午前中に症状が強い方や、長時間立った状態が続くと体調が悪くなる方もいます。そのため、早朝勤務や長時間の立ち仕事が負担になる場合があります。
また、睡眠や生活のリズムが乱れると症状に影響することがあるため、夜間・深夜勤務についても、体調を確認しながら慎重に検討する必要があります。ただし、負担になる勤務時間や業務内容は人によって異なります。
仕事との両立を考える際は、次のような調整が可能か職場に相談してみましょう。
- 時差出勤やフレックスタイム、在宅勤務を利用する
- 長時間の立ち仕事や暑い場所での作業を減らす
- 座って作業する時間や、こまめな休憩を設ける
- 通院に必要な時間を確保する
自分の症状が出やすい時間帯や状況を記録し、無理のない働き方を検討することも大切です。自己管理だけで対応しようとせず、必要に応じて上司や人事・労務担当者などに相談してください。
職場に病状や必要な配慮を伝える際は、主治医の診断書や意見書が役立つ場合があります。診断書には、就業上避けたほうがよい作業や、勤務時間・休憩などについて医師の意見を記載してもらえることがあります。
診断書の作成料は健康保険の適用外となることが多く、金額は医療機関や書類の種類によって異なります。事前に受診先へ確認しましょう。
常時50人以上の労働者がいる事業場では、産業医の選任が義務付けられています。産業医がいる場合は、症状や治療状況、職場で必要な配慮について相談することも選択肢です。
産業医がいない場合も、会社によっては相談窓口や外部の産業保健サービスを利用できることがあるため、人事・労務担当者に確認してみましょう。
起立性調節障害を理由に休職・退職できるのか
症状によって仕事を続けることが難しい場合は、休職や退職を検討することもあります。
利用できる制度や必要な手続きは勤務先によって異なるため、就業規則を確認しながら判断しましょう。
休職する場合
症状によって仕事を続けることが難しい場合は、主治医や職場と相談したうえで、休職制度の利用を検討します。
休職制度は法律で一律に定められているものではなく、制度の有無や対象者、休職できる期間、休職中の給与、復職の手続きなどは会社によって異なります。
休職を検討する際は、休職できる期間や期間延長の可否、休職中の給与、復職の条件などについて、勤務先の就業規則を確認しましょう。
また、休職を申請する際は、医師の診断書の提出を求められることがあります。
休職を検討する際は、次の点を人事・労務担当者などに確認しましょう。
- 休職制度を利用できる条件と期間
- 休職期間を延長できるか
- 休職中の給与や社会保険料の負担
- 復職の条件や提出が必要な書類

退職する場合
休職期間が満了する時点で復職が難しい場合の取り扱いは、会社の就業規則によって異なります。休職期間の延長が認められる場合もありますが、期間満了によって退職扱いとなる場合などもあるため、事前の確認が必要です。
症状が改善し、本人に復職の意思があり、主治医が就業可能と判断した場合でも、実際に復職できるかどうかは、会社が業務内容や職場環境などを踏まえて判断します。必要に応じて、産業医との面談が行われることもあります。
復職や退職を急いで決める前に、短時間勤務や時差出勤、業務内容の変更などによって仕事を続けられないか、会社や主治医と相談してみましょう。
退職を選ぶ場合は、健康保険の傷病手当金を継続して受給できる条件や、雇用保険の受給期間延長などについて、加入している健康保険やハローワークへ事前に確認することが大切です。
仕事ができないときに利用できる経済的支援
病気によって仕事を休んだり退職したりすると、収入について不安を感じる方も多いでしょう。
一定の条件を満たす場合は、傷病手当金や雇用保険の給付を利用できる可能性があります。
傷病手当金
病気やケガのために仕事を休み、無収入もしくは減収になってしまう被保険者とその家族の生活を保障するための制度で、健康保険から支払われます。
条件としては、
- 休んだ期間が4日以上
会社を休んだ日が連続して3日間あったうえで、4日目以降、休んだ日に対して支給されます。(初めの3日間は待期といい、支給期間からは除かれます。) - 業務外の病気やケガであること
業務中の傷病は労災となります。 - 仕事に就くことが医学的にできないこと
提出書類の中に医師による意見の記入欄があります。
加入している健康保険によって手続きが異なる場合があるため、詳細は勤務先や健康保険の窓口に確認してください。
失業保険
雇用保険に加入し、その他いくつかの条件を満たすことで受給できる手当です。手続きはハローワークで行い、一般的に在職中の給与の約50~80%が基本手当として給付されます。
年齢、被保険者期間にもよりますが、最短で90日、最長で360日の間で給付されます。
雇用保険加入期間や申請手続きなど、その他詳細については厚生労働省・雇用保険制度をご確認ください。
仕事を復帰する際の基準
起立性調節障害から仕事に復帰するための一律の基準はありません。症状の程度や仕事内容、通勤方法、勤務時間などを踏まえ、本人・主治医・会社で相談しながら判断します。
復職を検討する際は、以下の状態を目安として確認しましょう。
- 仕事を再開する意思があり、勤務時間に合わせて起床できる
- 通勤や勤務に必要な程度まで体力が戻っている
- 体調の大きな変動が減り、休憩を取りながら一定時間活動できる
- 症状が出たときに休む、周囲へ助けを求めるなどの対応ができる
復職前に通勤と同じ時間帯に外出したり、一定時間机に向かったりして、勤務を想定した生活を試してみる方法もあります。
復職後は、最初から元の勤務時間や業務量に戻すのではなく、短時間勤務や時差出勤、業務量の調整などを行い、段階的に勤務時間を延ばすことも選択肢です。
復職の可否や必要な配慮については、主治医の診断書や意見書をもとに、会社や産業医と相談してください。
大人の起立性調節障害の治し方や、漢方薬・市販薬の考え方について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)





