ドライブやクルージングなどの楽しい時間も、乗り物酔いがあると非常につらく、苦痛に感じてしまうことがあります。
乗り物酔いの起こりやすさは、睡眠不足や疲労、空腹、食べ過ぎなど、その日の体調によっても変わります。大人になってから乗り物酔いが強くなったと感じる方もいるでしょう。
乗り物酔いには、内耳で感じる揺れや加速の情報と、目や筋肉などから脳へ伝わる情報のずれが関係しています。このずれによって自律神経反応が起こり、吐き気や冷や汗、あくびなどの症状が現れると考えられています。
本記事では、乗り物酔いが起こる仕組みや、改善しない場合に考えられる病気、対処法について解説していきます。
「大人の乗り物酔いが治らない」
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「大人の乗り物酔い」が治らない原因
まずは、乗り物酔いが起こるメカニズムについて解説していきます。
内耳には、体の傾きや直線的な動きを感じ取る耳石器と、回転を感じ取る三半規管があります。これらの器官から得られる情報に加えて、目から得られる視覚情報や、筋肉・関節から得られる体の位置に関する情報を脳が統合することで、体のバランスが保たれています。
乗り物に乗ると、内耳では揺れや加速を感じている一方、座席やスマートフォンなどを見ている目からは「動いていない」という情報が伝わることがあります。このように感覚情報が一致しない状態が続くと、脳がうまく処理できず、吐き気、冷や汗、顔色不良、頭痛、あくびなどの症状が現れることがあります。
乗り物酔いの起こりやすさには個人差があります。また、次のような状況では症状が強くなることがあります。
- 睡眠不足や疲労、不安、緊張がある
- 空腹、食べ過ぎ、飲酒などで胃腸に負担がある
- 車内で読書やスマートフォンの操作を続ける
- 揺れが強い、換気が悪い、においが強い
乗り物に乗っているときだけ症状が出る場合は、一般的な乗り物酔いの可能性があります。一方、乗り物から降りてもめまいが続く、乗っていないときにも繰り返す、大人になってから急に悪化したといった場合は、耳や脳、循環器などの病気が関係していないか確認することが大切です。
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「大人の乗り物酔いが治らない」ときに考えられる病気
乗り物に乗っているときだけ現れ、降りると治まる場合は、一般的な乗り物酔いの可能性があります。しかし、乗り物から降りてもめまいが続く、耳鳴りや難聴を伴う、日常生活の中でも繰り返す場合は、別の病気が関係していることもあります。
特に、突然のめまいに加えて、顔や手足のしびれ・麻痺、ろれつが回らない、物が二重に見える、まっすぐ歩けない、激しい頭痛などがある場合は、速やかな受診が必要です。
立ちくらみとめまいの違いや、それぞれの主な原因について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
耳鼻科領域
メニエール病
メニエール病は、内耳に「内リンパ水腫」と呼ばれる状態が生じ、回転性のめまいとともに、難聴、耳鳴り、耳が詰まった感じなどの症状を繰り返す病気です。
発作時には吐き気や嘔吐を伴うこともあります。 発症の仕組みは完全には解明されていません。
疲労や睡眠不足、心理的な負担などが、発作のきっかけや症状の変動に影響する場合がありますが、ストレスだけが原因ではありません。
めまいと同時に聞こえにくさや耳鳴りが現れる場合は、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
良性発作性頭位めまい症(BPPV)
内耳の前庭にある耳石が三半規管に紛れ込むために、寝返りをうつ、起き上るなど頭の位置が変わった際に回転性のめまいが見られます。特殊なメガネを使った目の動き(眼振)の確認や難聴がないことなどを確認し診断されます。
内耳炎
内耳炎は、内耳に炎症が起こり、強いめまいや吐き気に加えて、難聴、耳鳴りなどが現れる病気です。中耳の感染や髄膜炎などから炎症が広がる場合のほか、ウイルスなどが関係すると考えられる場合もあります。
原因によって治療方法が異なり、抗菌薬や炎症を抑える治療、吐き気やめまいに対する治療などが検討されます。
急な聞こえにくさや強いめまいが現れた場合は、自己判断せず早めに耳鼻咽喉科を受診してください。
脳外科・脳神経科領域
一過性脳虚血発作
一過性脳虚血発作は、脳への血流が一時的に不足し、手足や顔のしびれ・麻痺、ろれつが回らない、言葉が出にくい、視野が欠けるなどの神経症状が現れる状態です。後方の脳循環が影響を受けた場合には、めまいやふらつきがみられることもあります。
症状が短時間で消えても、その後に脳梗塞を発症する可能性があります。突然の神経症状が現れた場合は、治まるのを待たず、速やかに医療機関を受診してください。
脳梗塞・脳出血
高血圧、脂質異常症、糖尿病を背景として脳の血管につまりが生じることで脳の虚血が起こる脳梗塞、血管が破綻することで起こる脳出血はともにめまいや上下肢のしびれ・麻痺、呂律が回らないなど多様な症状を来します。
脳の中でも特に小脳に梗塞や出血が起こると強いめまいが出現することが多いです。小脳は体幹や四肢のバランスをつかさどっているため、小脳の異変はめまいにつながりやすいです。
血管・循環器科領域
低血圧
血圧が低くても症状がない人はいますが、体質や脱水、薬の影響などによって、めまい、立ちくらみ、だるさなどが現れることがあります。
特に、座った状態から立ち上がったときや、乗り物の中で長時間立っているときに症状が強くなる場合は、起立時の血圧や心拍数の調節が関係している可能性があります。
乗り物から降りた後にも立ちくらみやふらつきが続く場合は、低血圧だけでなく、貧血や起立性低血圧なども含めて確認することが大切です。
起立性低血圧の主な症状や、起立性調節障害との違いについて詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
「大人の乗り物酔い」の対処法・治療法
一般的な乗り物酔いでは、市販の酔い止め薬を使用することも選択肢の一つです。服用するタイミングや回数は製品によって異なるため、添付文書を確認しましょう。
酔い止め薬には、眠気や目のかすみなどが現れるものがあります。服用後は、自動車などの運転や機械の操作をしないでください。持病がある人やほかの薬を使用している人は、事前に医師や薬剤師へ相談しましょう。
乗車前には睡眠を十分に取り、空腹や食べ過ぎ、飲酒を避けます。乗車中は進行方向が見える座席を選び、遠くの景色を見る、頭をなるべく動かさない、読書やスマートフォンの操作を控えるなどの工夫も役立ちます。
乗り物に乗っていないときにもめまいが続く場合は、原因となる病気に応じた治療が必要です。
メニエール病の場合
発作時には、めまいや吐き気を抑える薬などを使用することがあります。発作を繰り返す場合は、内耳の状態や聴力を確認しながら、利尿薬などによる治療が検討されることもあります。
睡眠や食事などの生活リズムを整え、過労を避けることも大切ですが、生活改善だけで治るとは限りません。難聴や耳鳴り、耳閉感を伴うめまいが続く場合は、耳鼻咽喉科で治療を受けましょう。
良性発作性頭位めまい症(BPPV)の場合
良性発作性頭位めまい症では、三半規管に入り込んだ耳石を元の位置へ移動させる「耳石置換法」が行われます。エプリー法はその一つです。
どの三半規管に耳石が入り込んでいるかによって、適切な方法が異なります。まず耳鼻咽喉科などで診断を受け、医師や専門家の指導に沿って行いましょう。
抗めまい薬や吐き気止めが使用される場合もありますが、主に症状を一時的に和らげるための治療です。自己判断で体操を行うと症状が悪化する場合もあるため注意してください。
内耳炎の場合
脳や中耳など近隣の臓器、器官の炎症が内耳に波及することで内耳炎になることが多く、原因となっている感染症を治療する必要があります。
細菌が原因であれば抗生物質で治療を行いますが、ウイルスが原因であれば特に治療を行わず対症療法を行います。
一過性脳虚血発作の場合
一過性脳虚血発作が疑われる場合は、症状が治まっていても速やかな検査と治療が必要です。脳や首の血管、心臓などを調べ、原因や脳梗塞の発症リスクを評価します。
治療では、原因に応じて抗血小板薬や抗凝固薬などが検討されるほか、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの管理も行われます。
薬の選択は原因によって異なるため、自己判断で市販薬などを使用せず、医師の診断を受けてください。
脳梗塞・脳出血の場合
脳梗塞では、発症からの時間、画像検査、出血の危険性などを確認したうえで、血栓を溶かす治療やカテーテルによる血栓回収療法などが検討されます。
脳出血では、血圧管理や出血の状態に応じた治療が行われ、場合によっては手術が必要になります。治療方法は病型や重症度によって異なります。
低血圧の場合
体内の塩分と水分は血圧の維持に密接に関連しており、適量の塩分と水分の摂取を心がけましょう。特に持病がない場合の塩分摂取量の目安は、1日あたり成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満とされています。
しかし、高血圧や心臓病、腎臓病がある場合は6g/日未満の減塩が必要であることが多く、主治医と相談するようにしてください。
もしかしたら起立性調節障害かも
乗り物酔いでは、揺れに関する感覚情報のずれによって自律神経反応が起こり、吐き気、冷や汗、顔色不良などが現れます。
一方、乗り物酔いがあるだけで、起立性調節障害と判断することはできません。 起立性調節障害は、立ち上がったときの血圧や心拍数などを調節する働きがうまく機能せず、めまい、立ちくらみ、動悸、倦怠感、頭痛、腹痛などが現れる身体疾患です。
思春期に発症しやすい病気ですが、成人になっても症状が続く場合や、大人に起立時の血圧・心拍数の調節不良がみられる場合もあります。
下記記事では起立性調節障害の可能性がないかセルフチェック(大人)をすることができます。ぜひ参考にしてみてください。
下記記事では「大人の起立性調節障害の治療法」をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。









