起立性調節障害とは

起立性調節障害による「不眠」いま注目の光療法とは?セロトニン、メラトニンの関係を解説

2022年12月24日

この記事の監修者

匿名(医師)

内科・小児科

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

 

  • 果たして本当に治るのか
  • なぜこんな症状が出ているのか

体調不良の子供を持つ親御さんであれば、一度はこういった漠然とした不安を抱いたことがあるのではないでしょうか?特に、病気に対する知識がない場合は不安が強いと思います。

なかでも起立性調節障害(OD)という病気の場合、小学生や中学生において急激な肉体の成長に自律神経の発達が付いていくことができずバランスが乱れ、起立時のめまいやふらつきをはじめとする様々な症状が出現してしまいます。

起立性調節障害の厄介な点は症状の出方にバラツキがあることや、これといった特効薬がないため治療経過にも個人差があることです。場合によっては通学すらできなくなってしまうため、親御さんにとっては人一倍不安を抱く病気だと思います。

起立性調節障害の症状の中でも睡眠障害や不眠症状は本人にとっても親御さんにとっても厄介な症状の1つであり、子供からすれば決して夜更かししたいわけでもないのに眠ることができないため辛い症状です。

実はこの不眠症状には、セロトニンやメラトニンと呼ばれるホルモンが大きく関わっていることが分かっています。また、最近では不眠に対する「光療法」と呼ばれる治療法が非常に注目されています。

本記事では、起立性調節障害による不眠とセロトニン、メラトニンの関係や光療法について解説します。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

起立性調節障害とセロトニン、メラトニンの関係

世間一般で幸せホルモンと名付けられている「セロトニン」というホルモンをご存知でしょうか?

セロトニンとは、トリプトファンという物質を原料にして作られている脳内の神経伝達物質の1種です。

神経伝達物質とは、脳内で神経と神経の間の情報伝達に関与しているホルモンです。セロトニンに関して有名なところで言うと、うつ病はセロトニンが分泌されずうまく情報伝達ができなくなっている状態のことです。

セロトニンの主な作用は、脳の興奮を鎮めて精神を安定させることや食欲のコントロール、疼痛の抑制などが挙げられます。幸福感を高めるのに役立つことから、幸せホルモンと言われているわけです。

逆に言えば、うまくセロトニンが分泌されなくなると脳の扁桃体と言う部分の興奮を鎮めることができなくなり、恐怖感や不安感を強く感じてストレスを感じてしまうわけです。

また、セロトニンはメラトニンと呼ばれるホルモンとも深い関係があります。メラトニンとは脳の一部である松果体と呼ばれる部分から分泌され、分泌されると人は眠くなる、いわゆる睡眠ホルモンです。

このメラトニンとセロトニンは拮抗関係にあり、日中にセロトニンが多く分泌される間はメラトニンの分泌量は低下しています。それに対し、夕方以降はセロトニンの分泌が抑制されるため、反対にメラトニンの分泌が活性化します。

分泌量に関しては拮抗関係にあるにも関わらず、メラトニンはセロトニンを原料として作られているホルモンであるため、昼間のセロトニンの分泌量が多ければ多いほど夜間のメラトニンの分泌量も多くなります。

一般的に起立性調節障害では自律神経のバランスが乱れることに起因して、ノルアドレナリンやアドレナリン、セロトニンなどの分泌異常が起きると言われているため、ひいてはメラトニンの分泌にも異常が生じてしまうのです。

では次に、セロトニンやメラトニンの話を踏まえて起立性調節障害による不眠症状について解説していきます。

起立性調節障害による「不眠」の原因

不眠を解説する前には、そもそも正常な人間の睡眠について理解しておく必要があります。

日中に太陽光を浴びることで体内でセロトニンが分泌され、逆にメラトニンの分泌が抑制されるため、日中は眠気を感じにくい状態が継続します。

しかし、その後夜間には日中に分泌された大量のセロトニンを原料に多くのメラトニンが分泌されるため眠気が誘発されます。人間の体内には25時間リズムの体内時計があり、睡眠リズムはこの体内時計によってコントロールされています。

夜間になるとメラトニン分泌が促進してくるので体内時計による覚醒の力は急速に低下し始めて睡眠に至るわけです。その後夜から朝になるにつれて徐々にメラトニンは消費されて行き、体内時計も覚醒傾向に進んで行きます。

朝になり太陽光を浴びることでセロトニンが再び分泌され始め、いよいよ覚醒に至ります。これこそが人間の正常な睡眠サイクルです。

余談ですが、体内時計は25時間周期であるため、地球の自転時間である24時間周期とはズレがあり、本来であれば日を追うごとに睡眠時間が1時間ずつ後ろにずれ込んでいくはずです。

しかし、体内時計は日中の太陽光や通学などの習慣、運動など外部の情報を取り込むことでズレを修正し、地球の24時間周期にフィットするように自動調整しているため、人間は自然と同じような時間に起きたり眠くなるのです。

以上のことを踏まえ、起立性調節障害ではなぜ不眠になってしまうのでしょうか?

結論から言えば、自律神経のバランスが乱れることで体内時計にズレを与えてしまい睡眠相が後退してしまうと考えられています。

さらに、起立性調節障害によって午前中起きれなくなると徐々に太陽光を浴びる機会が減っていき、日中のセロトニン分泌量が低下するため夜間のメラトニン分泌量も低下して、さらに不眠が加速してしまいます。

つまり、体内時計のズレを修正する機会すら奪われていくため、なかなか夜間の入眠や朝の早起きができなくなり、負のスパイラルに陥ってしまうのです。

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起立性調節障害による「不眠」に活用される光療法

以上のことから分かる通り、生理的で健康的な睡眠を得るには日中に光を浴びることが非常に重要です。日中に光を浴びれば日中のセロトニンや夜間のメラトニン分泌が刺激され、体内時計のズレも修正されるからです。

セロトニン分泌を誘発するにはただ漫然と太陽光を浴びるだけではなく、2,500~3,000ルクスほどの強烈な光を目の奥の網膜に投射し、セロトニン神経を活性化させる必要があります。

太陽の光は曇りの日でも10,000ルクス程度ありますが、一般的な家庭用の蛍光灯は500ルクス程度です。つまり、蛍光灯の光ではセロトニン神経が活性化しにくいため、セロトニンの分泌量を増やすには屋外に出て日光を直接浴びることが大切です。

実際には、可能であれば起床後から午前中のあいだ、遅くても正午までに屋外で15~30分程度の日光浴を行うのがオススメです。冬や秋、雨や曇りでは光量が減弱するため、その際は時間を延長して1時間ほど日光浴できれば理想的です。

しかし、起立性調節障害の子供の場合は太陽光が出ている時間にこそふらつきやめまいなどの症状が出やすいため、なかなか屋外で太陽光を浴びることができず、不眠のスパイラルから抜け出すことが難しいです。

そこで、最近ではご自宅内でも定期的に網膜に光刺激を入れる光療法が注目されています。専用の装置を使用して、屋外に出ることなく自宅でも簡易的にセロトニン分泌を促せるため、夜間の不眠に対する治療法として非常に便利なのです。

自宅でできる光療法

自宅における光療法でも、可能であれば起床後から午前中の間に、毎日30分~2時間程度の照射が好ましいです。治療期間は1~2週間行われますが、期間を長くすれば治療効果が高まります。

光療法において重要なのは、適切な照度で照射することです。前述したように蛍光灯などの500ルクス程度の光ではほぼ意味がなく、一般的に光療法に使用される高照度光療法器具は2,500-10,000ルクス程度の照度の器具が使用されています。

板状の照射板から光を発する形状が一般的であり、家での仕事中や勉強中、もしくはゲーム中など何か作業を行なっている間も限りなく太陽光に近い光刺激を得ることができます。

また近年、光の成分のうち青色波長光が体内時計への作用の大部分を占めることが分かってきました。青色波長光による750ルクス程度の少ない照度で従来と同等の効果が得られるようになってきています。

ちなみに、セロトニンの分泌量には限界があるため、光を浴びれば浴びるほど無限にセロトニンが分泌されるわけではありません。屋外での長時間にわたる日光浴は熱中症や日焼けのリスクもあるため、十分注意してください。

睡眠障害に対する理に適った治療法として、光療法をご紹介しました。起立性調節障害の場合、他にも様々な機序で多くの症状をきたすため、下記記事では起立性調節障害に対するその他の治療法について詳しく解説されています。ぜひ参考にしてください。

自宅ですぐに取り組める光目覚まし時計

光目覚まし時計(トトノエライト)の光を浴びる女の子

ネットで「光目覚まし時計」と検索すると、さまざまな種類の光目覚まし時計が表示されますが、選ぶ際に注意していただきたい点があります。

それは「光量」です。

先ほどご紹介したように、光療法では2,500ルクス以上の光量が必要とされています。

海外製の光目覚まし時計の場合、光量が2,500ルクスに達していないものがしばしば存在します。

一方で、弊協会が推奨している「睡眠改善照明 トトノエライト」であれば、最大3,300ルクスの光(朝日と同等の光量)を浴びることができます。

自宅ですぐに実践することができ、また返金保証付きになっているため、お試しやすいかと思います。

ご興味があれば、ぜひ一度お試しください。

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