胸の痛み(胸痛)というと、心臓からくるもので、何となく怖い病気が隠れているのではないかと心配になってしまうことも多いと思います。
それが、中学生の子どもに見られた場合、親御さんは非常に心配になると思います。胸痛にも色々な原因があります。
中学生の子どもに胸痛が見られた場合、どの様な病気の可能性があるのか、原因や対処法、注意すべき胸痛の種類などについて解説していきます。
中学生で胸が痛い原因
胸痛の原因は様々であり、痛みの場所・臓器から考えると、心臓、大動脈、肺、気管、食道、胃、肋骨、神経、筋肉などからくるものが考えられます。
その中でも、特に心臓や大動脈などからくる循環器領域の病気では緊急性が高いものが多く注意が必要です。
<注意が必要なタイプの胸痛>
- 階段をのぼるなど動いている時の胸痛
- 痛みが背中に移動している
- 締め付けられる様な急で強い痛み
- 胸痛とともに吐き気や冷や汗、歯・肩への痛みなども見られる
- 胸痛とともに吐血も見られる
- 胸痛とともに呼吸困難も見られる
これらの症状が見られた場合は、なるべく早めに医療機関を受診しましょう。
しかし、実際には子どもで見られる胸痛で心臓や大血管など緊急性が高い疾患が原因であることは極めて少ないのでご安心ください。
多くは筋肉や肋骨、横隔膜などから由来した痛みであり、自然に改善することが期待できます。
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中学生で胸が痛い時に考えられる病気
半数以上を占めるのが胸壁(筋肉や肋骨、横隔膜など)からの胸痛で、その次に多いのが呼吸器系の病気、心臓や大血管由来のものは非常に少なく、ケガや心因性のこともあります。原因がはっきりしないこともあります。
筋肉痛や打撲
部活動や激しいスポーツなどをした場合に、筋肉が傷み、修復段階で炎症が起こると言われており、それに伴い痛みを引き起こします。
胸部の打撲でも痛みが起きます。皮下出血がないか、肋骨の痛みがないかも確認する必要があります。
肋骨の骨折の場合、せき込んだりするとより痛みが増強することが考えられます。
気胸
肺がなんらかの原因で破れ、そこから空気が胸腔にもれて縮んだ状態のことで、突然の胸痛や呼吸困難が見られます。
特にやせ型で高身長の男子に多いとされており、ラグビーなど強い衝撃が加わることが誘因になることがあります。
先天性心疾患、不整脈
先天性疾患や遺伝性の不整脈、川崎病罹患後の冠動脈瘤などがある場合、動悸や胸痛、呼吸困難などが見られることがあります。
心因性
精神的な疲労やストレスが胸の痛みとして現れることがあります。検査を行っても原因がわからない場合、心因性の可能性も考えられます。
中学生で胸が痛い場合の治し方
上記でご説明した病気の治療方法について解説していきます。
筋肉痛や打撲
筋肉に更なる負担をかけないように安静にしましょう。緊張を和らげるために、筋肉を軽くマッサージをしたり、熱を持っている場合は冷やしてみるといいでしょう。
肋骨骨折の場合、自然に骨が癒合するのを待ち、痛みが強い場合は痛み止めを服用することがあります。
気胸
肺がどの程度縮んでいるかによって治療方法が異なります。胸部のレントゲンやCTを行い、肺がそれほど縮んでおらず、自覚症状も軽度の場合は安静で経過を見ます。
肺が非常に縮んでいる場合、ドレーンと呼ばれるチューブを胸腔に入れ、正常な肺を押しつぶしている余分な空気を抜きます。
これを胸腔ドレナージといいます。頻度は多くないのですが、胸腔ドレナージを行っても気胸を繰り返したり、改善が悪い場合、手術を行うこともあります。
先天性心疾患、不整脈
先天性心疾患には多くの疾患がありますが、自覚症状や重症度から手術による治療が選択されることも多いです。
心因性
不規則な生活をしていないか、生活習慣の見直し、ストレスを溜め込まないような環境作りが重要です。
リラックスできる時間や趣味を見つけたり、運動習慣を身につけることでストレスを発散させましょう。
症状が強い場合は、心療内科やカウンセリングに通院するのも有効です。
すぐにできる対処法
胸の症状が見られた場合には必ず医療機関を受診し、命に係わる病気がないか、検査を行い診断することが重要です。心電図やレントゲンで問題がなければ、場合によっては心臓のエコー検査を行うことがあります。
打撲やケガの場合は安静にし、患部を冷やす、筋肉痛の場合も冷やす、筋肉を軽くほぐすなどを行い経過を見てみてください。
日頃から肋骨、胸骨、胸椎で構成される胸郭を柔軟にすることで呼吸により胸が広がりやすくなり、胸痛の症状改善につながりやすくなります。
もしかしたら起立性調節障害かも
起立性調整障害は自律神経系である交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで立ちくらみや、めまい、胸の違和感や息苦しさなど多様な症状を来す病気です。
ストレスや緊張状態、不安な状態が続くことで自律神経のバランスは崩れやすくなってしまいます。
自律神経には体を活動的にする交感神経と体を休める副交感神経があり、日内変動に従い、うまくバランスをとり、体の様々な機能調整を行っています。
緊張状態や不安な状態では交感神経が活性化され、この状態が長期間にわたり継続すると、体は常に交感神経による活動的な状態が続き、休まることができず疲弊し胸の痛みなどの不調が出現してしまいます。
安静時や寝ている時にも症状が見られることがある狭心症などの循環器疾患とは異なり、起立性調節障害の場合、一日のうちで胸痛が最も見られやすい時間帯は日中です。
先ほど上記でお話しましたように、起立性調節障害の方においては、交感神経の緊張が胸痛を誘発する原因であるため、交感神経が活性化している日中が最も症状が見られやすくなります。副交感神経が優位に働く睡眠時には基本的には見られることはありません。
午前中を中心に胸の症状があり、その他にも体調不良が継続しているような場合は、起立性調節障害の可能性も考えられるので、一度セルフチェックをしてみてください。
下記記事では起立性調節障害のセルフチェックすることができます。ぜひ参考にされてください。