子どもが体調不良を訴える症状の一つに腹痛があります。急な腹痛や長引く腹痛を訴えた場合、どのように対処したらよいのか不安で困ってしまうこともあると思います。
こちらの記事では、特に小学生の子どもで腹痛が続く場合の原因や対処法などについて解説していきます。

小学生で腹痛が続くのはなぜ?原因とは?
小学生の子どもで腹痛が続く原因は様々ですが、特に多い原因について解説していきます。
便秘
小学生によくある原因のひとつです。学校などで排便をすることが恥かしいと感じることでトイレを我慢する子どもがいます。
また、食物繊維や水分が足りないことも影響します。排便が週3回もない、便が硬くてコロコロした状態である、強くいきみ肛門の痛みを訴える、などは便秘と判断しても良いでしょう。便やガスが溜まっていることで腹痛が発生します。
食べすぎや消化不良
子どもの胃腸、消化機能は成長段階にあり、大人ほど強くはありません。
したがって、脂っこいものやお菓子を食べすぎたときやよく噛まずに飲み込むことで腹痛を訴えることがあります。
ストレスや不安
学校のこと(勉強、友人関係、いじめなど)が原因で、お腹が痛くなることがあります。
これは「心因性腹痛」と呼ばれ、一般的には、繊細な性格の子や環境の変化に敏感な子に起こりやすいと言われています。
食物アレルギー
特定の食品に対して体が過剰な免疫反応を示し、さまざまな症状が出る状態です。
主な原因食品には卵、牛乳、小麦、ナッツ類、そば、甲殻類などがあります。軽症の場合は、軽い発疹や腹痛程度ですが、重症になると呼吸困難等の症状が出現し、いわゆるアナフィラキシーショックの状態になるため注意が必要です。
小学生で腹痛が続く場合の対処法とは?
小学生で腹痛が続く場合の対処法を3つ解説します。
まず様子を見る(軽度の腹痛の場合)
・安静にする
横になってしばらく休むと落ち着くことがあります。
・水分をとる
お茶や白湯など、刺激の少ない飲み物で脱水を防ぎます。
・温める
お腹や足元を温めると、筋肉の緊張が和らぎ痛みが軽減することがあります。
・排便を促す
便秘が疑われる場合は、トイレに行くよう促します。日頃の食生活において、食物繊維の多い食品(野菜、果物、海藻など)や水分摂取を増やすとよいでしょう。
生活習慣を見直す
・食事の改善
脂っこい食事やお菓子は控え、規則正しい食生活を心がけます。
・睡眠と運動
睡眠不足や運動不足も排便へ影響し、腹痛の原因になるので、生活リズムを整えましょう。
・ストレスへの配慮
学校生活、人間関係、家庭での不安などがないか、お子さんとゆっくり話す時間をとることが大切です。

小学生で腹痛が続く場合に考えられる病気とは?
小学生で腹痛が続く場合に考えられる病気を3つ解説します。
感染性胃腸炎
感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌などによって起こる胃腸の感染症で、下痢・嘔吐・腹痛・発熱などが主な症状です。
特に冬場には「ノロウイルス」や「ロタウイルス」が流行しやすく、保育園・幼稚園・学校などで集団感染することもあります。
ウイルス性であることが多く、一般的には水分補給をこまめに行いながら療養することで自然と回復することが多いです。腹痛が強い場合は、細菌性の場合もあるので抗菌薬が必要のなることもあります。脱水症には十分に注意しましょう。
過敏性腸症候群
子どもの過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)は、消化器に明らかな病気がないにも関わらず、腹痛や便通の異常(下痢・便秘)を繰り返す病気です。心と体の両面が影響し合って発症すると考えられており、特にストレスに敏感な小学生〜中高生に多く見られます。
医学的な診断基準としては、3か月以上、①月に少なくとも4日間の腹痛がある、②痛みが排便に関連している(排便で症状が改善する)③便の回数や性状が変化する 症状により診断されます。
下痢がメインのタイプ、便秘がメインのタイプ、両者が混合したタイプ等がありますが、生活習慣の改善、ストレス解消、必要な場合は薬物療法を行って治療を行います。
虫垂炎(盲腸)
虫垂炎は虫垂という小さな袋状の器官に炎症が起こる病気です。虫垂は大腸の最初の部分にある小さな突起で、通常は消化に直接関与しませんが、虫垂が炎症を起こすと腹痛、発熱、吐き気、嘔吐、食欲低下などが生じます。
軽症の場合、抗生物質で炎症を抑えて治療を行うこともありますが、炎症が重度になると破裂し腹膜炎になる危険性もあり、重症の場合は手術を行うことが多いです。
もしかしたら起立性調整障害かも
子どもが「お腹が痛い」と朝に訴えた場合、実はその腹痛が起立性調節障害によるものというケースもあります。
起立性調節障害は、自律神経である交感神経と副交感神経の働きが乱れることで、立ち上がったときに血圧や心拍がうまく調整できず、脳や内臓への血流が一時的に不足し、腹痛やめまい、頭痛、倦怠感などの症状が現れる病気です。特に小学校高学年から中学生にかけての思春期に多く見られ、朝に症状が強く、午後になると元気になるという「体調の波」が特徴です。
このため、学校を休んでいるのに家では普通に過ごしている様子を見て、「怠けているのでは?」と誤解されることもあります。しかし、起立性調節障害はれっきとした身体の病気であり、本人は本当に体調が悪いのです。治療には、生活リズムの見直しや十分な水分・塩分の摂取、軽い運動、必要に応じて薬を使うなどの対処が必要です。
また、無理な登校を避け、保健室登校や時差登校など、学校との連携も大切です。子どもの「朝の腹痛」は、心と体のSOSかもしれません。早めの理解とサポートが、安心して学校生活を送る第一歩となります。
起立性調節障害かも?と思ったら一度セルフチェックをしてみてください。下記の記事では、起立性調節障害のセルフチェックについて解説しておりますので、是非ご一読ください。