起立性調節障害とは

給食が食べられないのは病気?考えられる原因・対処法を解説

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医
2018年から起立性調節障害患者の診療を行い、累計30人以上の起立性調節障害患者を担当。

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

「給食が食べられない」という悩みは、学校生活の中で意外と多く見られるものです。周囲からは「好き嫌いが多い」「少し我慢すれば食べられるのでは」と思われがちですが、実際には体調や心身の状態が大きく関係している場合もあります。

朝から食欲が出ない、においで気分が悪くなる、食べ始めると吐き気を感じるなど、本人にしかわからないつらさを抱えていることも少なくありません。無理に食べさせようとすると、給食の時間そのものが苦痛になり、学校生活への不安につながることもあります。

こちらの記事では、「給食が食べられない」背景にあるさまざまな要因と、周囲ができる理解や配慮について、医療の視点を交えながらわかりやすく紹介していきます。

給食が食べられないときに考えられる主な原因・病気

給食が食べられないときに考えられる主な原因・病気を5つ解説します。

胃腸機能の不調

胃腸の働きが一時的に弱まると、給食を十分に食べられなくなることがあります。少し食べただけでお腹がいっぱいになる、食後に気持ち悪さや胃もたれを感じるといった症状が代表的です。

成長期の子どもでも、疲れやストレス、体調不良をきっかけに胃腸の動きが低下することは珍しくありません。その結果、「食べたい気持ちはあるのに体が受けつけない」状態になります。無理に食べ続けると症状が強まることもあるため、体調を見ながら量を調整することが大切です。

心理的ストレスによる影響(会食恐怖症を含む)

人前で食べることに不安や緊張を感じると、食欲が低下したり、喉を通らなくなったりすることがあります。特に給食は、周囲の視線や会話、時間の制限が重なり、心理的な負担を感じやすい場面です。会食恐怖症は、人前で食べる状況に強い不安が出る状態で、給食の場面と重なりやすい特徴があります。

ただし、「給食が食べられない=会食恐怖症」とすぐに決めつけることはできません。一時的な緊張や環境の変化が原因の場合も多くあります。

食物アレルギー・不耐症

特定の食材を食べた後に、腹痛、吐き気、下痢などの症状が出る場合、食物アレルギーや不耐症が関係していることがあります。給食は日替わりで献立が変わるため、どの食材が原因か気づきにくい点が特徴です。

「特定のメニューの日だけ体調が悪くなる」「給食後に決まってお腹の不調が出る」などの傾向がないか確認することが重要です。本人が理由をうまく説明できないこともあるため、周囲が丁寧に様子を観察することが早期対応につながります。

発達特性・感覚過敏

匂い、食感、温度、見た目などに強く反応する感覚過敏があると、給食がつらく感じられることがあります。家庭の食事では問題なく食べられていても、給食の独特な匂いや食感、騒がしい環境によって食べられなくなる場合もあります。

これは「好き嫌い」や「わがまま」ではなく、感覚の特性によるものです。しかし周囲に理解されにくく、無理強いされることでストレスが増し、さらに給食が苦痛になることもあります。特性への理解と配慮が重要です。

生活リズムや体調の乱れによる影響

夜更かしや寝不足が続くと、朝から体が十分に目覚めず、給食の時間になっても食欲が戻らないことがあります。また、朝は時間がなく、ほとんど何も食べずに登校している場合、血糖の乱れや疲労感が影響し、昼食がつらくなることもあります。

学校行事やテスト前などで生活リズムが乱れた後に、給食が食べにくくなるケースも少なくありません。まずは睡眠や食事のリズムを整えることが、改善の第一歩となります。

給食が食べられないときの対処法

給食が食べられないときの対処法を5つ解説します。

無理に食べさせず、体調を最優先に考える

給食が食べられないとき、最も大切なのは「無理をさせない」ことです。

「残してはいけない」「成長に悪い」と心配になる気持ちは自然ですが、体調が整っていない状態で無理に食べさせると、吐き気や腹痛が強まったり、給食そのものに強い苦手意識を持ってしまうことがあります。本人は怠けているのではなく、体が受けつけない状態であることが多いのです。

その日の体調に合わせて「今日はここまでで大丈夫」と認める姿勢が、安心感につながり、結果的に回復への近道になります。

食べられる量・タイミングを柔軟に考える

毎回、決められた量を決められた時間に食べる必要はありません。少量だけ口にする、主食だけ食べる、スープや飲み物を中心にするなど、その子が「このくらいならできそう」という形を探すことが大切です。

また、給食の時間帯は食べられなくても、放課後や帰宅後に食欲が戻ることもあります。その場合は、後から軽食をとることで栄養を補えます。「全部食べる」よりも「食べられた経験」を積み重ねることが、安心して食事に向き合う土台になります。

家庭で安心して食べられる環境を整える

家庭では、給食で食べられなかったことを責めたり、過度に心配しすぎたりしないことが重要です。「今日はつらかったんだね」と気持ちを受け止めるだけでも、子どもは安心します。好きな食材や食べやすい調理法を取り入れ、落ち着いた雰囲気で食事ができる環境を整えましょう。

家庭で「食べられた」「安心できた」という経験が増えると、少しずつ外での食事への不安も和らいでいくことがあります。

学校と状況を共有し、配慮を相談する

給食が食べられない状態が続く場合は、担任の先生や養護教諭に状況を共有することが大切です。「完食を求めない」「量を最初から少なめにする」「教室以外で落ち着いて食べられる場所を検討する」など、学校側ができる配慮も多くあります。

家庭だけで抱え込まず、学校と協力することで、子ども自身の心理的な負担が軽減されます。周囲の理解があるだけでも、給食の時間への不安は大きく変わります。

様子を見ても改善しないときは受診を検討

一時的な体調不良であれば自然に改善することもありますが、給食が食べられない状態が長く続く場合や、体重減少、強い腹痛・吐き気、学校生活への支障が出ている場合は、医療機関への相談を検討しましょう。小児科や心療内科などで、体と心の両方から原因を整理することができます。

早めに相談することで、本人や家族の不安が軽減され、適切な対応につながることも少なくありません。

給食が食べられない状態が続くときの受診目安

給食が食べられない状態が続くときの受診目安を5つ解説します。

受診を検討したいサイン

給食が食べられない状態が続く場合、体や心からのサインが隠れていることがあります。次のような様子が見られたら、一度受診を検討してみましょう。

▼ チェックリスト

  • 給食がほとんど食べられない状態が2週間以上続いている
  • 体重が減ってきた、成長が気になる
  • 食後に腹痛・吐き気・気分不良を繰り返す
  • 朝から強いだるさや食欲不振がある
  • 学校に行くこと自体をつらがるようになった

これらに当てはまらなくても、「いつもと違う」「何かおかしい」と感じたら、早めに相談することを検討してください。

最初に相談すべき診療科

最初の相談先は、小児科や内科、かかりつけ医で問題ありません。給食が食べられない背景には、胃腸の不調や体調の乱れなど、身体的な原因が隠れていることもあります。心理的な要因が強そうに見えても、いきなり心療内科を受診する必要はありません。

まずは身体面を一度きちんと確認してもらうことで、「重大な病気ではなかった」という安心につながることも多くあります。そのうえで必要があれば、専門科を紹介してもらう流れで十分です。

受診時に医師へ伝えたいポイント

診察の際は、できるだけ具体的な情報を伝えることが大切です。

▼ 医師へ伝えたいポイント

  • いつ頃から給食が食べられないか
  • 食べられない量・食べられる量の変化
  • 食後の症状(腹痛、吐き気、だるさなど)
  • 家庭では食べられているか
  • 学校生活での変化(欠席、保健室利用など)
  • 生活リズム(睡眠、朝食の有無)

事前にメモしておくと、限られた診察時間でも伝えやすくなります。

学校に伝えるときの考え方

給食が食べられない場合、「食べたくない」のではなく「体調的につらい」可能性があることを、学校に共有することが大切です。

完食指導や周囲からの注目が、かえって症状を悪化させることもあります。病名がはっきりしていなくても、「体調面で配慮が必要な状態」であることは伝えて構いません。医師の意見書や診察内容があれば、無理のない範囲で共有すると理解が得られやすくなります。

早めの相談が、子どもの負担軽減につながります。

家庭でできるサポート

家庭では、責めない・追い込まない姿勢が何より大切です。「どうして食べられないの?」と原因を問い詰めるより、「今日はつらかったね」と気持ちや体調を優先して受け止めましょう。食べられなかった事実よりも、安心して過ごせているかを重視してください。

家庭が安全な場所であると感じられることで、子どもは少しずつ自分の状態を言葉にできるようになります。その積み重ねが、回復や適切な支援につながっていきます。

給食が食べられなかった子どもの体験談と改善事例

給食が食べられなかった子どもの体験談と改善事例を3つ紹介します。

小学生:給食が食べられず心配したが、生活リズムの見直しで改善した事例

小学校低学年のAさんは、入学後しばらくしてから給食をほとんど食べられなくなりました。朝は眠そうで食欲がなく、給食の時間になると「気持ち悪い」と訴えることが増え、保護者は大きな不安を感じていました。

受診したところ大きな病気はなく、生活リズムの乱れが影響している可能性を指摘されました。そこで夜更かしをやめ、就寝時間を一定にし、朝は少量でも口にする習慣をつけました。数週間すると午前中の体調が安定し、給食も少しずつ食べられるようになりました。

中学生:給食が食べられない状態が続き、起立性調節障害(OD)の傾向を指摘された事例

中学生のBさんは、給食を前にすると食欲が出ず、午後に強いだるさを感じる日が続いていました。無理に食べようとすると気分が悪くなり、学校生活もつらくなっていきました。

小児科を受診したところ、ODの傾向がある可能性を指摘されました。すぐに診断が確定したわけではありませんが、生活リズムを整え、水分や塩分を意識してとるようにしました。

給食は量にこだわらず、食べられる分だけにしたことで心理的負担が軽減し、「前より楽になった」と感じるようになりました。

高校生:給食が食べられない状態が続き、起立性調節障害(OD)と診断された事例

高校生のCさんは、長期間にわたり給食をほとんど食べられない状態が続いていました。立ちくらみや頭痛、強い倦怠感もあり、「怠けているのでは」と自分を責めていました。

医療機関を受診した結果、ODと診断されました。学校には医師の意見書を提出し、給食の完食指導を免除、体調に応じた対応を受けることになりました。

あわせて睡眠や生活習慣を見直したことで、徐々に体調が安定し、給食も少量ずつ食べられる日が増えていきました。

もしかしたら起立性調節障害かも

  • 給食が食べられない
  • 午前中は体がつらい

そんな状態が続いている場合、もしかしたら起立性調節障害(OD)が関係している可能性もあります。起立性調節障害は、自律神経の働きが乱れることで、朝起きにくい、立ちくらみ、頭痛、強いだるさ、食欲不振などが起こる状態です。

特に午前中は症状が出やすく、給食の時間になっても体が追いつかず、食べられなくなることがあります。本人の気持ちや努力の問題ではなく、体の仕組みによるものです。気になる症状が重なっている場合は、「性格や甘え」と決めつけず、体調の一つとして受け止め、早めに医療機関へ相談することが安心につながります。

下記記事では、起立性調節障害のセルフチェックについて解説していますので、気になる症状がある方は是非ご一読ください。

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