起立性調節障害とは

季節の変わり目に朝起きられない原因と対策|受診の目安も解説

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医
2018年から起立性調節障害患者の診療を行い、累計30人以上の起立性調節障害患者を担当。

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

季節の変わり目になると、「朝起きられない」「体がだるい」「学校や仕事の準備がつらい」と感じる人が増えます。

気温や気圧、日照時間の変化は、私たちが思っている以上に体へ影響を与え、自律神経や睡眠リズムを乱す原因になることがあります。特に成長期の子どもや、もともと朝が苦手な人では、季節の変化をきっかけに体調不良が目立つことも少なくありません。

周囲からは「気のせい」「甘え」と見られやすい症状ですが、体の調整機能が追いついていないサインである場合もあります。

本記事では、季節の変わり目に起きられなくなる理由や体の仕組み、起立性調節障害との関係、日常生活でできる対策について、医師の視点からわかりやすく解説していきます。

季節の変わり目に起きられない主な原因

季節の変わり目に起きられない主な原因を5つ解説します。

寒暖差による自律神経の乱れ

季節の変わり目は、朝晩と日中の気温差が大きくなりやすく、体は頻繁に体温調整を行う必要があります。この体温調整を担っているのが自律神経です。寒いと血管を収縮させ、暑いと拡張させる働きを繰り返すことで、自律神経は常にフル稼働の状態となり、疲れやすくなります。

本来、朝は眠っている状態を保つ副交感神経から、活動モードの交感神経へスムーズに切り替わることで起床しやすくなります。しかし自律神経が乱れるとこの切り替えがうまくいかず、「目は覚めても体が動かない」状態が起こります。

これは怠けや気持ちの問題ではなく、体の調整機能による自然な反応です。特に思春期は自律神経の働きが不安定になりやすく、季節の影響を受けやすい時期であることも知られています。

朝の血圧がうまく上がらないことによる不調

人の体は、起き上がるときに血圧を上げて脳へ十分な血流を送ることで活動を開始します。しかし季節の変わり目には自律神経の調整が不安定になり、この血圧調整がうまく働かないことがあります。その結果、朝だけ体が重い、起き上がるとふらつく、動き出せないといった症状が現れます。

特徴的なのは、午前中はつらいのに午後になると徐々に元気になる点です。具体的には立ちくらみ、頭痛、吐き気、倦怠感などがみられることがあります。周囲からは「朝が弱いだけ」と思われがちですが、体が活動モードへ切り替わりにくい状態ともいえます。

季節の変化による一時的な不調の場合も多いものの、症状が続く場合は体のサインとして注意深く見守ることが大切です。

気圧の変化による体の不調

季節の変わり目は天気が変わりやすく、気圧の変動も大きくなります。低気圧になると体にかかる外からの圧力が弱まり、血管が拡張しやすくなるため血圧が下がりやすくなります。血圧の低下は脳への血流に影響し、だるさや眠気、頭痛の原因になることがあります。

もともと朝は1日の中でも血圧が低い時間帯であるため、気圧変化の影響を受けると「朝だけ起きられない」と感じやすくなります。雨の日や台風が近づく前に体調が悪くなる人も多く、いわゆる天気痛(気象病)と呼ばれる状態と関連します。

内耳は気圧変化を感じ取る器官の一つで、自律神経とも深く関係しています。こうした体の反応は珍しいものではなく、気象条件によって起こり得る自然な変化の一つです。

日照時間の変化による体内時計のズレ

体内時計は、朝の光を浴びることでリセットされる仕組みになっています。しかし秋から冬にかけては日照時間が短くなり、日の出も遅くなるため、起床直後に十分な朝日を浴びられないことが増えます。

早朝の登校や出勤では、外がまだ暗いまま活動を始めることも少なくありません。その結果、眠気を促すホルモンであるメラトニンの分泌が長引き、体内時計が後ろへずれやすくなります。

夜になって目が冴え、朝がさらに起きづらくなる悪循環が生じることもあります。特に思春期はもともと生活リズムが後ろへずれやすい時期であり、季節の影響を強く受けやすいとされています。夜更かしだけが原因とは限らず、環境の変化も大きく関わっている点を理解することが重要です。

新生活や環境変化によるストレス

春の進学やクラス替え、部署異動など、季節の変わり目には生活環境の変化が重なりやすくなります。新しい人間関係や慣れない環境への適応は、本人が意識していなくても心身に負担を与えることがあります。ストレスは自律神経のバランスを乱し、睡眠の質の低下や朝のだるさとして現れることがあります。

「特に理由はないけれど朝がつらい」という場合でも、背景に環境変化による緊張が隠れていることがあります。周囲から見ると元気そうに見えても、体は無意識に頑張り続けている状態かもしれません。

こうした反応は珍しいものではなく、新しい環境に適応する過程で起こる自然な変化ともいえます。まずは変化の多い時期であることを理解し、心身に余裕を持たせることが大切です。

季節の変わり目に起きられないときの具体的な対策

季節の変わり目に起きられないときの具体的な対策を5つ解説します。

朝の光を活用する

体内時計は「朝の光」を浴びることでリセットされ、体が活動モードへ切り替わります。季節の変わり目に起きづらいときは、起床後できるだけ早くカーテンを開け、部屋に光を入れることが大切です。

晴天でなくても、曇りの日の自然光でも一定の効果があるとされています。ベッドから出るのが難しい場合は、まず光を目に入れるだけでも構いません。

最近は、設定した時刻に徐々に明るくなる「光目覚まし時計」を活用する方法もあります。自然な日の出に近い光で覚醒を促すため、急なアラーム音が苦手な人にも取り入れやすい方法です。

特別なことをするよりも、「朝は明るく、夜は暗く」という環境を意識することが、体のリズムを整える第一歩になります。

起床後すぐに水分と塩分を補給する

朝は睡眠中の発汗や呼吸によって体内の水分が減り、血液量がやや不足した状態になっています。この状態では血圧が上がりにくく、だるさや立ちくらみが起こりやすくなります。起床後はコップ1杯の水分補給を意識し、必要に応じて少量の塩分を一緒に取ると血流の安定に役立つことがあります。

例えばスポーツドリンクを少量飲む、味噌汁やスープを朝食に取り入れるなど、無理のない方法で十分です。一度に大量に飲む必要はなく、少しずつ体を慣らすことがポイントです。胃腸が弱い場合はぬるま湯から始めても問題ありません。

ただし塩分の取り過ぎを目的とするものではなく、持病などで医師から指示がある場合は必ずその内容を優先してください。

ゆっくり段階的に起き上がる

朝に体調が悪いときは、急に立ち上がらないことが重要です。寝ている状態から一気に起きると、血液が下半身へ移動し脳への血流が一時的に低下しやすく、立ちくらみや気分不良が起こることがあります。

まずは「横になる→上半身を起こして座る→足をベッドの下に下ろす→ゆっくり立つ」という段階を踏み、体を徐々に慣らしていきましょう。

起き上がる前に足首を動かしたり、軽く膝を曲げ伸ばししたりすると血流が促され、症状の予防につながります。朝は時間に余裕を持つことで焦りが減り、自律神経の負担も軽くなります。少し遠回りに感じても、「ゆっくり起きる」こと自体が体調管理の一つの方法になります。

夜の生活リズムを整える

朝の不調を改善するためには、夜の過ごし方も大切です。就寝直前まで強い光を浴びると脳が昼間と勘違いし、眠気を促すホルモンの分泌が遅れてしまいます。

就寝の2時間ほど前から、スマートフォンや明るい画面の使用を少し控えると、自然な眠気が訪れやすくなります。また、入浴は就寝1〜2時間前に済ませると、体温がゆるやかに下がる過程で眠りにつきやすくなります。

ただし完璧に守ろうとすると負担になるため、「できる日から少しずつ」で十分です。生活習慣だけを原因として責める必要はありません。思春期はもともと体内時計が後ろへずれやすい時期であり、体の特性を理解しながら整えていく視点が大切です。

気圧の変化を意識して生活を整える

気圧の変化によって体調が左右されやすい人は、天気や気圧の変動を生活の参考にすることも役立ちます。天気アプリには気圧の変化を確認できるものもあり、「気圧が下がる日は朝がつらくなりやすい」と知っておくだけでも心構えができます。

体調が不安定になりそうな日は予定を詰め込みすぎず、余裕を持ったスケジュールを意識すると負担を減らせます。睡眠時間や体調、天気を簡単に記録しておくと、自分の不調の傾向が見えてくることもあります。

無理に活動量を維持するより、意識的に休息を取ることも大切な対策です。気圧による体調変化は珍しいものではなく、「予測して備える」ことで日常生活を過ごしやすくすることができます。

季節の変わり目に起きられないときの受診目安

季節の変わり目に起きられないときの受診目安を5つ解説します。

1か月以上、朝の不調が続いている

季節の変わり目には、一時的に体調が崩れやすくなることがあります。気温や気圧の変化に体が慣れるまで、数日から1〜2週間ほど朝がつらくなることは珍しくありません。

しかし、数週間から1か月以上にわたり朝のだるさや起きづらさが続き、改善の兆しがみられない場合は一度相談を検討してもよいタイミングです。長く続く不調は生活リズムや自律神経の乱れが固定化している可能性もあり、早めに相談することで悪化を防ぎやすくなります。

「もう少し様子を見よう」と無理を重ねるより、軽い相談のつもりで受診することが安心につながります。受診は必ずしも病気を意味するものではなく、体調を整えるためのきっかけの一つです。

午前中ほとんど動けない状態が続いている

朝になると体が重く、ベッドから起き上がれない状態が続いている場合も受診の目安になります。起きようとしても力が入らず、横になっていると楽になる、午後になると徐々に動けるようになるといったパターンは、体の調整機能がうまく働いていないサインのことがあります。

学校や仕事の準備が進まず、日常生活に支障が出ている場合は特に注意が必要です。このような症状は周囲から「朝が苦手なだけ」「怠けている」と誤解されやすいものですが、本人の努力不足とは限りません。朝に症状が集中して現れる状態が続く場合は、体調評価を受けることで原因や対処法が見えてくることがあります。

立ちくらみ・頭痛・動悸などの症状がある

朝の起きづらさに加えて、立ち上がったときの立ちくらみやふらつき、頭痛、動悸、吐き気などがある場合は医療機関への相談を考えてみましょう。人の体は起床時に血圧を上げて脳へ血液を送る必要がありますが、季節の変わり目にはこの調整が不安定になり、症状が出やすくなることがあります。

特に起き上がった直後に悪化し、座ったり横になったりすると楽になる場合は体の反応が関係している可能性があります。症状が徐々に増えている、頻度が高くなっていると感じる場合は、早めに相談することで安心につながります。身体症状は重要なサインであり、我慢し続ける必要はありません。

遅刻や欠席が増えている

体調の変化を判断するうえで、学校や仕事への影響も大切な目安になります。朝起きられず遅刻が週に何回も続く、欠席が増えてきた、午前中の活動が難しいといった状況がみられる場合は、生活リズムだけでは説明できない不調が隠れていることがあります。

学生であれば保健室登校や午後登校などの調整、社会人であれば時差出勤や勤務時間の相談といった選択肢もありますが、医療機関に相談しておくことで学校や職場と連携しやすくなることがあります。

早い段階で状況を共有することで、無理を続けて悪化する前に環境調整が可能になります。「生活への影響」が出てきた時点が、相談を考える一つのサインです。

本人がつらさを強く感じている

周囲から見る症状の強さだけでなく、本人がどれだけつらさを感じているかも重要な受診の目安です。「どうせ起きられない」「また迷惑をかける」と自己否定的な気持ちが強くなっている場合、体調不良に加えて心理的な負担も大きくなっている可能性があります。

朝起きられない状態は本人の努力ではどうにもならないことも多く、無理に頑張ろうとするほど疲れてしまうことがあります。相談することは決して弱さではなく、自分に合った対処法を見つけるための前向きな行動です。

医療機関で状況を整理するだけでも安心感につながり、「原因が分かった」「対策がある」と感じることで気持ちが軽くなるケースも少なくありません。

季節の変わり目に起きられない体験談

季節の変わり目に起きられない体験談を3つ紹介します。

14歳女子|生活リズムの見直しで改善した事例

中学2年生の女子生徒。真面目な性格で部活動にも毎日参加し、普段は規則正しい生活を送っていたが、春の新学期が始まった頃から朝起きられない日が続くようになった。夜はスマートフォンの使用により就寝が遅れ、朝は倦怠感が強く、登校準備に時間がかかっていた。しかし、午後には体調が回復し、日中は普段通り過ごせていた。

季節の変わり目だけ症状が出るため家族も戸惑い、医療機関を受診すべきか悩んだが、まず生活リズムを整えることを選択。就寝時間を固定し、寝る前のスマホ使用を制限、朝はカーテンを開けて光を浴びる習慣を開始した。

すると2〜3週間ほどで徐々に朝のつらさが軽減し、自然に起きられる日が増加。現在も季節の変化前には睡眠を意識的に整えることで大きく崩れず過ごせており、季節要因と生活習慣が重なっていた可能性を家族も理解できた。

22歳男性|生活調整と職場相談で改善した事例

新卒入社1年目の22歳男性。春から初めての一人暮らしを始め、仕事後は夜遅くまでスマートフォンや動画視聴を続ける生活となり、朝だけ体が動かない状態が続いた。コーヒーを頻繁に飲み眠気をしのいでいたが改善せず、特に低気圧の日には強い倦怠感を自覚。午後になると問題なく働けるため怠けているのではと悩んでいた。

内科を受診したところ血圧がやや低めで、季節変化や生活リズムの影響が考えられると説明を受けた。医師の助言をきっかけに上司へ相談し、一定期間の時差出勤を導入。就寝時間の固定とカフェイン摂取の見直しも行った結果、1〜2か月で朝の不調が徐々に軽減した。

現在は無理を重ねない働き方を意識し、環境調整が体調改善につながることを実感しながら安定して勤務できている。

15歳男子|受診の結果、起立性調節障害だった事例

中学3年生の男子生徒。秋の季節の変わり目から朝起きられない日が増え、遅刻や欠席が目立つようになった。就寝時間は一定だったが、起床時に強い立ちくらみや動悸があり、横になると楽になるという特徴的な症状があった。

水分摂取や早寝など家族と対策を試したものの改善せず、本人は「自分が弱いせいだ」と自己否定が強くなっていったため小児科を受診。起立試験などの評価を経て起立性調節障害と診断された。

生活指導として水分・塩分摂取、段階的起床、朝の活動量調整を開始すると徐々に登校可能日が増加。季節の変わり目が症状悪化のきっかけになる場合もあると説明を受け、家族の理解も深まった。現在は体調の波を把握しながら無理を避け、症状とうまく付き合えるようになっている。

もしかしたら起立性調節障害かも

季節の変わり目に「朝だけ起きられない」「午前中はつらいのに午後になると元気になる」といった状態が続くと、生活の乱れや気持ちの問題だと考えてしまいがちです。しかし中には、自律神経の働きが不安定になる起立性調節障害が関係している場合もあります。

特に成長期の子どもや環境変化の大きい時期には、気温差や気圧変化がきっかけとなり症状が表面化することがあります。立ちくらみ、動悸、強い朝の倦怠感、横になると楽になるといった特徴が続く場合は注意が必要です。

一方で、生活リズムやストレス調整だけで改善するケースも少なくありません。大切なのは「怠け」や「気合い不足」と決めつけないこと。数週間以上続いたり、学校や仕事に支障が出ている場合には、小児科や内科へ相談することで原因が整理され、適切な対処につながります。早めに体のサインに気づくことが、無理を重ねない第一歩になります。

気になる症状がある場合、まずは、セルフチェックをしてみることから始めましょう。下記の記事では、起立性調節障害のセルフチェックについて解説していますので、是非ご一読ください。

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