起立性調節障害とは

思春期のうつ病|主な症状や小中高校生別に事例を紹介

2023年1月22日

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医
2018年から起立性調節障害患者の診療を行い、累計30人以上の起立性調節障害患者を担当。

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

 

思春期は心も体も大人へと成長していく時期です。身体的にも、精神的にも変化が大きく、また周囲の環境なども加わり変化が大きく、非常に不安定な時期とも言えます。その中で色々な不安やストレスによりメンタルヘルスの不調が見られることもあります。

こちらの記事では思春期のうつ病について解説していきます。うつ病と思っていたら、実は起立性調節障害という病気だったということもあり注意が必要です。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

思春期に起こるうつ病の症状

子どもも大人と同じようにメンタルヘルスの不調を来すと言われており、症状も大人と同様の症状を示すことが明らかになってきました。

大人と同じ診断基準が用いられ、下記のような症状が現れます。

  • 気分がはれない
  • 楽しみや興味の減退
  • 食欲がない
  • 眠れない
  • 考えが止まってしまう
  • すぐに疲れてしまう
  • 自分には価値がないと感じる
  • 集中力の減退
  • 死んでしまいたいと思う

といった9つの症状のうち5つ以上当てはまれば、うつ病の可能が高いと言われています。

大人との違いとしては、気分がはれないことが多い大人に対し、子どもはイライラしてしまうことも多い点です。また、子どもの場合、成長に見合った体重の増加がない場合もうつ病の可能性がある症状です。

精神や脳の発達に伴い、思考や表現する力も発達するため、年齢により見られる症状は少しずつ異なります。

小学生の場合

自分の症状をなかなかうまく言葉にすることができないため、行動に抑制がかかることや頭痛、腹痛などの身体的な症状が前面にでることが多いです。

クラス替えや学校での人間関係に馴染めない(友達や先生との関係性が作れない)など環境の変化に伴って、孤立し、イライラした気分をぶつけることでしかSOSが出せません。

怒りっぽく、授業中に暴れたりすることも見られます。食欲がなくなり、頭痛や腹痛などの身体的な症状を訴え学校にいかなることが多くみられるようになります。

中学生・高校生の場合

自分の症状をある程度適切に解釈、訴えることができるようになってきます。楽しみだったことに興味を見いだせなくなり、気分がはれず、睡眠に影響が出てくることが多いです。

睡眠障害としては、眠れない以外にも寝すぎてしまう過眠という状態もあります。学年が上がってくると、受験へのプレッシャーなども要因になる可能性があります。

学校での人間関係以外にも、塾での友達関係、ライバルとの成績争いなど多くのストレスがかかっていきます。

思春期に起こるうつ病の初期症状

うつ病の典型的な初期症状というものはなく、思春期も大人と同じです。

しかし、一つの特徴としては、日常生活のサイクルに影響が出てくることが言えます。つまりは食事や睡眠への影響です。食欲が出なかったり、夜なかなか寝付けない、何度も起きてしまうなどの症状が見られる可能性が高いです。

また、対象のない漠然とした不安が生じることが多いです。不安のため、動悸や呼吸困難感、腹痛や頭痛などの身体的な症状としても現れます。

不安によっても食欲低下や不眠につながるため、日常生活のサイクルに影響が見られ始めている場合、うつ病の初期の可能性があると考えられます。

思春期に起こるうつ病の軽症の例

軽症の場合、なかなかすぐに気が付きにくいことも多いです。

朝起き上がりにくくなった、寝つきが悪くなった、軽い頭痛や腹痛がする、体がだるい感じがしてとれない、など原因がはっきりわかりにくい色々な不調がみられます。

勉強や部活が忙しくなったからちょっと疲れているのかもしれないと思うことがほとんどではないでしょうか。これらの症状からうつ病と早期に気付くことは難しいかもしれません。

日常生活のサイクルに影響が見られてもカバーすることができ、この段階では、特に学校生活や家庭内での生活に支障を来すことはないのがほとんどです。

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思春期に起こるうつ病の中等症の例

中等症になってくると、不眠や食欲の低下など日常生活のサイクルへの影響が強く見られ、無理がきかなくなり、少しずつカバーができなくなっていきます。

気分がはれず、興味がわかない、以前興味があったものに対しても特に感情がわかない、何をするにも集中できず、手につかないなどの症状が見られ、友達付き合いがおっくうになり、団体生活に支障を来し始めます。

次第に引きこもりがちになり、学校に行かない日(行けない日)が目立つようになっていくこともあります。中等症になると、家族も異変に気付き始めます。

思春期に起こるうつ病の重症の例

重症になると、食欲の低下、睡眠障害、無気力などの色々な症状の程度も重くなり、日常生活に大きく支障を来すことになります。

◆食欲の低下

好きだったものすら食べる意欲がなくなり、体重が減少します。それに伴い体の色々な機能が低下し、免疫力の低下により感染症にかかりやすくなったりと別の病気になりやすくなる可能性も高くなります。

◆無気力

何に対しても興味がわかなくなり、身辺の掃除や整理、入浴などもできなくなります。

◆睡眠障害

全く眠れない、熟眠できないことが増え、それによりイライラしてしまいストレスによりさらにうつ病の症状が悪化してしまうことがあります。

自分の部屋や布団の中に引きこもってしまい、大きく日常生活に支障を来した状態になってしまいます。

特に気をつけたいのは、自分なんて消えてしまいという感情です。重症になると自分を消してしまいたいと考えることがありますが、何の解決にもならないため、早期に受診することが重要です。

よくある質問

思春期の心の病気は?

思春期は身体的にも、周りの環境も変化が大きいため、精神的にも不安定になりやすいため、様々な心の病気にかかることがあります。うつ病以外にも、不安障害、摂食障害、統合失調症などがあります。

うつ病の前兆は?

寝つきが悪い、頭痛や腹痛が見られる、体がだるいなど、うつ病の初期ははっきりした症状がないため、なかなかうつ病と察知することは難しいと思います。

しかし、食事、睡眠など生活サイクルに影響を与えかねない症状が見られている場合は少し注意して休養する方が良いでしょう。

子どものうつ病の特徴は?

特に低学年の場合、症状を具体的に表現することができないため、怒りっぽく、すぐにイライラしてしまうことが症状で見られる場合があります。

うつ病になる人の特徴は?

一般的に、真面目で几帳面、頑固な性格の方はおおざっぱでややいい加減な性格の方よりうつ病になりやすいと言われています。

もしかしたら起立性調節障害かも

起立性調節障害という病気をご存じでしょうか?

この病気も思春期によく見られる病気の一つであり、うつ病に似た症状を来します。

起立性調節障害は自律神経である交感神経と副交感神経の調整のバランスが崩れることで様々な症状がみられる病気です。

典型的には、朝起き上がれない、午前中は頭痛やめまい、ふらつき、全身倦怠感などの様々な症状が見られ調子が悪く、午後にかけて次第に症状が改善します。

午前中は集中力や注意力が散漫で、ベッド上やソファーで横になっていることも多く、無気力でうつ病にも似た症状と言えます。

起立性調節障害も重症になると、一日中ベッド上で過ごすことが多く、引きこもりがちになります。症状だけを見ると、非常に共通点が多いうつ病と起立性調節障害ですが、体調不良が続いている場合、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

以下の記事では、起立性調節障害のセルフチェックについてご紹介しております。ぜひ一度ご覧ください。

→起立性調節障害のセルフチェック(子ども)

 

【参考】
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)

【無料】起立性調節障害診断

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

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【無料】起立性調節障害の相談窓口

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