起立性調節障害とは

高校生の頭痛が長引くと危険|治し方・原因・考えられる病気について解説

2023年5月13日

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医
2018年から起立性調節障害患者の診療を行い、累計30人以上の起立性調節障害患者を担当。

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

 

大人と同じように高校生の子どもにも頭痛は見られます。

頭痛と言われると、片頭痛などを思い浮かべる方が多いと思いますし、実際に頭痛の原因が片頭痛であることは多いのですが、思春期に多い起立性調節障害でも頭痛が見られることが多いです。

したがって、子どもが頭痛を頻繁に訴えている場合、起立性調節障害の恐れもあります。

こちらの記事では、子ども、特に高校生に見られる頭痛について解説していきます。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

高校生で頭痛がする原因

高校生を含め子どもの頭痛の多くを占めるのが片頭痛です。

片頭痛で頭痛が見られるメカニズムは、収縮した脳血管が急激に拡張し血流が一気に流れることで痛みが出現すると言われています。

頭痛が出現するメカニズムには血管や脳圧、神経伝達物質、筋肉などが深く関与しています。

脳への血流は体を循環する血流量や体位によって変化し、自律神経により調整されています。したがって、自律神経のバランスが崩れることでも頭痛は出現します。

気温や気圧によっても頭痛が見られることがあり、雨天や曇りも注意が必要です。

特に、高校生の場合、学業や部活動での成績へのプレッシャーや人間関係などのストレス、大学・就職への不安などで頭痛が見られることが多いと考えられます。

授業中に頭痛が見られることで集中力が低下し、授業を理解できない焦りから頭痛が悪化するということもあります。

高校生で頭痛がする時に考えられる病気

頭痛がする時に考えられる病気としては以下のものがあります。

片頭痛

詳しいメカニズムは不明ですが、脳血管が拡がることで血管周囲の神経が刺激され頭痛が引き起こされると言われています。

誘因はない場合も多いですが、よく知られているものとしては、飲酒や空腹、チョコレートやワイン、ナッツ類の摂取、睡眠不足や過眠、天候や気温の変化、ストレス中やストレスから解放された後などに頭痛が見られることが多いです。

やや女性に多く、生理周期や女性ホルモンとの関与も指摘されています。

片頭痛ですが、片側だけにとどまらず両側のこめかみが心臓の拍動に従ってズキンズキンと痛みます。

光や音、臭いに敏感になることもあります。発作は数時間から長ければ数日継続することがあります。

緊張型頭痛

後頭部から首、肩などの筋肉の緊張により起こる頭痛で、片頭痛とは異なり、基本的には両方が痛みます。

最近では、スマートフォン操作による姿勢の悪化が原因でこの緊張型頭痛が見られているケースが増えています。

うつ病

起床時に頭痛がある人では、うつ病や不安障害、不眠などが多いと報告されています。

うつ病は気分が強く落ち込み、何事にも意欲が出なくなり、睡眠や食事などへも影響を与える病気です。

不眠や過眠により頭痛が出現したり、体の色々な不調が見られます。起床時や午前中が特に不調であることも良くある特徴の一つです。

脳腫瘍

非常にまれではありますが、脳腫瘍でも頭痛が起こることがあります。

脳腫瘍には良性のものから悪性のものまであります。年齢によりなりやすいものもあります。

小児では神経膠腫(しんけいこうしゅ)、胚細胞腫瘍(はいさいぼうしゅよう)、髄芽腫(ずいがしゅ)、頭蓋咽頭腫(ずがいいんとうしゅ)、上衣腫(じょういしゅ)の5つがよく見られます。なかでも神経膠腫の発生頻度が高いです。

大人では、神経膠腫、中枢神経系原発悪性リンパ腫、髄膜腫(ずいまくしゅ)、下垂体腺腫(かすいたいせんしゅ)、神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)、頭蓋咽頭腫(ずがいいんとうしゅ)、転移性脳腫瘍などがあります。

症状としては、脳内に腫瘍ができることで脳圧が上昇する頭蓋内圧亢進、また、腫瘍ができる部位により視力の障害、耳鳴り、性腺機能障害、麻痺など様々な症状が見られます。

頭痛は脳腫瘍の患者さんの30~60%程度に見られると言われております。また、早朝に見られる頭痛(morning headache)は30%前後と報告により頻度はまちまちです。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

高校生で頭痛する時の治し方

上記でご紹介した頭痛がする場合に考えられる病気についての治療法をそれぞれ解説していきます。

片頭痛

ロキソニンやアセトアミノフェンなどの鎮痛薬の使用は頻回使用を避ければ推奨されています。ロキソニンの頻回使用は薬物乱用頭痛と言って頭痛を悪化させてしまうため注意が必要です。

発作時には、血管の拡張を抑え、神経終末からの神経ペプチドの放出抑制・三叉神経核における痛みを伝える経路を遮断することで頭痛を抑えるトリプタン製剤の使用が効果的です。

発作時には光や音の刺激がない部屋で十分な休養をとる必要があります。また、日ごろより十分な睡眠時間を確保しストレスを溜めないように心がけましょう。

緊張型頭痛

首などの筋肉に負担がかからないように寝具の見直し、スマートフォン操作などでの長時間の同一姿勢を控えることなどが必要です。

また、運動不足により筋力が低下することでも首や肩に負担がかかりやすくなるため、適度な運動も重要です。

痛みが強い場合は鎮痛薬を使用することもあり、その他場合によって筋弛緩薬や抗うつ剤、抗不安薬が一時的に使用されることもあります。

うつ病

抗うつ剤などの薬物療法に加え、心と体を休養させることが重要です。

脳腫瘍

良性か悪性か、また腫瘍ができた部位、病期にもよりますが、基本的には腫瘍を取り除くための外科手術が行われます。

頭蓋内圧を下げるためにステロイドや高浸透圧利尿剤を使用することもあります。

すぐにできる対処法

寝不足やダイエットなどによる栄養不足など生活習慣の乱れがないかを再確認してみてください。

介入できそうな問題を改善しても頭痛が継続する場合、市販の頭痛薬を漫然と使用するより、やはり一度は医療機関を受診することをおすすめします。

緊張型頭痛であれば温めやマッサージで痛みが和らぐことも多いのですが、温めやマッサージを片頭痛の子どもにすると痛みがひどくなってしまいます。

この様に、頭痛のタイプによっても対処方法が異なるため、医療機関を受診し診断をつけることは重要です。場合によっては脳の病気がないか検査をする必要があります。

また、今まで経験したことがないような強い痛みの場合は、早急に受診してください。

もしかしたら起立性調節障害かも

自律神経は脳血流にも関連しており、自律神経の不調は頭痛などの不調を来す原因になります。

起立性調節障害とは、自律神経である交感神経と副交感神経の働きのバランスが崩れることでめまいやふらつき、たちくらみ、頭痛、腹痛など様々な症状を来す病気です。

特に、朝は活性化されるべき交感神経がうまく活性化されないために体がなかなか覚醒状態にはなりません。朝起き上がることができず、起きたあともめまいやふらつき、頭痛、吐き気などの体調不良が続きます。

時間とともに症状は和らぎ、午後からの活動は特に問題ないことが多いです。したがって、起床時や午前中にひどい頭痛が見られた場合には、起立性調節障害の可能性があります。

起立性調節障害の子どもは緊張状態が続くことでストレスにより自律神経に更なる乱れが起こりやすく、頭痛が持続する傾向にあります。

下記記事では起立性調節障害のセルフチェックすることができます。ぜひ参考にされてください。

 

【参考】
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)

【無料】起立性調節障害診断

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

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【無料】起立性調節障害の相談窓口

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