起立性調節障害とは

自律神経失調症が治ったきっかけ|子どもから大人まで5事例紹介

2023年7月9日

この記事の監修者

匿名(医師)

内科・小児科

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

 

本記事では、自律神経失調症の治ったきっかけについて分かりやすく解説していきます。

本記事を読むことで、自律神経失調症の治し方を理解し、適切な対処法を知っていただければ幸いです。

 

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

【医師の見解】自律神経失調症が治る時の前兆

自律神経失調症は症状の幅が広く、原因もストレス、ホルモンバランスの乱れ、生活習慣や食生活の不調など人によって異なります。そのため画一的な治療法はなく、回復までに時間を要するケースも少なくありません。

改善のきっかけとして重要なのは、自律神経失調症の仕組みを理解し、自身の症状がどのような要因と結びついているかを把握することです。例えば、過剰なストレスは交感神経を過度に刺激し、動悸やふらつきの原因となります。このため、十分な休養、規則正しい生活リズム、ストレス解消法の実践が基本となります。

症状が和らぐ前兆としては下記のような変化がみられます。

  • 倦怠感や疲労感の軽減
  • 食欲や睡眠リズムの改善
  • 動悸やめまいの頻度減少
  • 気分の安定や集中力の回復

これは原因が正しく把握され、適切な対処が進んでいるサインと考えられます。

一方で、セルフケアだけでは改善が難しい場合もあります。その際は医療機関での治療が有効です。薬物療法では抗不安薬や抗うつ薬などで精神的負担を軽減し、自律神経の安定化を図ります。加えて、カウンセリングにより心理的サポートや生活習慣の調整方法を学ぶことも回復につながります。

つまり、「治る前兆」とは単に症状が和らぐだけでなく、自分の体調を客観的に把握し、適切な生活改善や医療介入が軌道に乗った状態を指します。

自律神経失調症は何科?症状別に解説-早期治療で症状悪化を防ぎましょう

自律神経失調症が治ったきっかけを5つ紹介

自律神経失調症が治ったきっかけを実例を踏まえてご紹介します。

Y.Kさん(中学2年:女性)の場合

中学2年生のY.Kさんは、明るい性格で友人も多く、発症前は充実した学校生活を送っていました。ところが、スマートフォンを持ち始めたことをきっかけに夜更かしが増え、友人とのチャットや通話で睡眠時間が削られるようになりました。

その結果、朝は強い倦怠感や疲労感が残り、食欲の低下、めまい、動悸などの症状も出現。さらに起床困難から遅刻や欠席が増え、医療機関を受診したところ、自律神経失調症と診断されました。診断を受けた当初は大きなショックを受けましたが、生活習慣の改善に取り組むことを決意しました。

特に意識したのは「睡眠時間の確保」です。日中に適度な運動を取り入れ、就寝2時間前からスマホやテレビを控えるように心がけました。当初は夜になっても眠気が来ず、不安感も伴いましたが、続けるうちに徐々に睡眠リズムが安定していきました。

生活習慣の見直しを徹底したことで、症状は少しずつ改善し、受診から約3か月で倦怠感や動悸などの自覚症状はほとんど消失。比較的短期間で改善が認められた症例といえます。

T.Mさん(中学3年:男性)の場合

中学3年生のT.Mさんは、真面目で几帳面な性格の持ち主でした。受験勉強に追われ、精神的に余裕のない日々を過ごしていた時期に、原因不明の耳鳴りや手の震えが出始めました。

その後、症状は次第に頻度を増し、普段なら気にならないことにも強いイライラを感じるようになりました。親御さんは当初「受験のストレス」と考えていましたが、身体症状の増加に不安を覚え、医療機関を受診。診察では自律神経の乱れを指摘され、抗不安薬が処方されましたが、症状の改善はあまり見られませんでした。

転機となったのは「食生活の見直し」でした。T.Mさんは勉強中に多量のコーヒーを飲んでおり、カフェインが交感神経を刺激して症状を悪化させていた可能性が高いと考えられました。カフェインを控えるよう指導したところ、耳鳴りや震えは徐々に軽快していきました。

明確な原因が特定できたことが幸いし、生活習慣の改善によって症状は安定。最終的には体調も整い、受験も無事に乗り越えることができたケースです。

H.Nさん(高校3年:男性)の場合

高校3年生を卒業したH.Nさんは、大学進学を機に一人暮らしを始めました。しかし、それまで家事の経験がなく、次第に食生活が乱れていきました。

高校時代は母親の作る栄養バランスのとれた食事をとっていましたが、進学後はコンビニ弁当やカップ麺など、インスタント食品中心の生活に変わってしまいました。その結果、体の重さやのぼせ、原因不明の発汗など、これまでなかった体調不良を感じるようになり、倦怠感も強まってさらに食生活が不規則になっていきました。

不安を覚えて医療機関を受診したところ、生活習慣の改善を勧められました。当初は改善に消極的でしたが、症状が続いたため発症から2か月後に食生活の見直しを開始。野菜を積極的に取り入れ、栄養バランスを意識した食事に切り替えると、次第に症状は緩和し、日常生活に支障を感じなくなったといいます。

一人暮らしは特に食生活が乱れやすく、それが体調不良の原因になることも多いため、日頃から意識して整えることが重要です。

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K.Tさん(会社員:30代男性)の場合

30代のK.Tさんは、もともと内向的な性格で職場の人間関係に馴染めず、上司から厳しい叱責を受けることが多くありました。その結果、職場環境に強いストレスを感じるようになっていきました。

次第に仕事への集中力が続かなくなり、注意していてもミスが増加。そのことでさらに上司から叱責されるという悪循環に陥りました。さらに、耳鳴り・腹痛・立ちくらみといった身体症状も頻繁に現れるようになり、とくに通勤時に症状が強く出る傾向がありました。本人も職場ストレスが原因と自覚していたそうです。

医療機関を受診したところ、適応障害または自律神経失調症の可能性を指摘されました。当初は会社に相談できず無理に勤務を続けていましたが、症状が悪化したため最終的に休職。休養により心身の負担が軽減し、症状は次第に改善しました。その後、再び同じ環境で働くことに不安を感じ、転職という選択をしたといいます。

このケースは、過度な職場ストレスが自律神経の乱れや身体症状を引き起こす典型例です。社会人は相談相手が少なく一人で抱え込む傾向があるため、早めに医療機関や信頼できる人へ相談することが大切です。

関連記事:自律神経失調症には乳酸菌が重要!効率良く乳酸菌を摂取する方法を解説

E.Nさん(会社員:50代女性)の場合

50代会社員のE.Nさんは、明るい性格で人間関係にも恵まれていました。しかし、次第に精神的な不安定さを感じるようになり、イライラや不安感が増える日が続きました。

その後、動悸・発汗・のぼせ感といった身体症状も加わり、状況に関わらず出現するようになりました。自身で調べた結果、更年期障害を疑い、婦人科を受診。検査の結果「更年期障害に伴う自律神経失調症」と診断されました。

更年期では女性ホルモンの分泌が大きく変動し、それが自律神経の乱れを引き起こすことがあります。E.Nさんの場合も、加齢に伴うホルモンバランスの変化が背景にありました。治療としてホルモンの変動を抑える薬が処方され、服用開始から約2か月で症状は安定しました。

このように、更年期障害が引き金となる自律神経失調症は、原因が明確なため比較的診断がつきやすいのが特徴です。動悸や発汗、気分の不安定さに心当たりがある場合は、早めに医療機関で相談することをおすすめします。

自律神経失調症とは?治し方や原因、症状、セルフチェックについて解説

 

自律神経失調症は起立性調節障害と間違われやすい

自律神経失調症と症状が似ている疾患に「起立性調節障害(OD)」があります。ODは特に小学校高学年から中学生といった思春期に多くみられ、急激な身体の成長に自律神経の発達が追いつかないことで発症しやすいとされています。

両者とも自律神経の乱れが原因である点は共通していますが、ODは起床時や立ち上がった際に症状が強く、午後から夕方にかけて改善しやすいという特徴があります。一方で、自律神経失調症は年齢を問わず発症し、症状の出現時間帯に明確な傾向が見られない場合もあります。

誤診されやすい疾患ですが、いずれも 生活習慣の改善やストレスコントロールが治療の基本 であり、適切な診断と生活指導によって症状の軽減が期待できます。症状が長引く場合は、自己判断せず専門医の診察を受けることが大切です。

【医師解説】自律神経失調症と起立性調節障害の違いとは

もしかしたら起立性調節障害の可能性が

前述したように、起立性調節障害の場合は発症年齢が若い方に多く、症状に日内変動がある点が特徴的です。また、起立時に脳血流が低下することで症状が出現するため、起立時や長時間の立位で症状が生じる場合はODの可能性が高いでしょう。

ODを治療する上では早期発見、早期治療が非常に重要です。本記事を読んでODを疑う方は早期に医療機関を受診しましょう。また下記記事では、ODのセルフチェック方法についても詳しく解説されているため、ぜひ参考にしてください。

起立性調節障害のセルフチェックリスト(子ども)|すぐにできる診断テスト

 

大人の起立性調節障害セルフチェック項目|診断テスト

 

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