起立性調節障害とは

五月病の症状とは?なりやすい人の特徴を解説【医師解説】

2024年4月28日

 

この記事の監修者

医師(匿名)

医師歴:10年
勤務病院:某3次救急病院

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

「ゴールデンウィークでゆっくり休んだら、急に仕事のやる気がなくなってしまった」「五月になったら子供の体調が優れず学校に行けなくなってしまった」このような症状にお悩みの方も多いでしょう。

五月、特にゴールデンウィーク明けに特に理由なく、身体的・精神的に不調によって通勤や通学に支障をきたしている場合、いわゆる「五月病」の可能性があります。

五月病は医療用語や正式な疾患名ではなく、新学期や就職・転職・転居などの環境の変化に伴うストレスによって、ゴールデンウィーク明け頃から無気力になる状態を指します。

放置していても症状は改善しないどころか、悪化していく可能性もあるため、早期発見のためにもまずは五月病の症状や特徴を把握しておくことが肝要です。この記事では五月病になりやすい人の特徴や症状、セルフチェック方法も紹介するため、ぜひご一読ください。

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五月病の症状とは?

春先は受験からの入学や入職・転職・引っ越しなど、多くの方にさまざまな環境の変化が発生し、1年の中でもストレスの溜まりやすい時期です。

その環境にうまく適応できなければストレスはどんどん蓄積していき、五月病に至れば精神面のみならず身体や行動面にも悪影響が出ます。

ここでは、五月病の症状を精神面・身体面・行動面に分けて解説します。

精神面における症状

五月病における精神的な症状としては、やる気が起きない、何をするにも億劫、将来への目標がない、思考力の低下、感情コントロールの乱れ、不安感、焦燥感などが挙げられます。

先述したように五月病はあくまで医学的な病名ではなく、ストレスが溜まることでさまざまな精神疾患を併発し、その結果として上記のような精神症状が出現するわけです。

具体的には、適応障害・うつ病・パーソナリティー障害・発達障害・パニック障害・不眠症などの精神疾患、もしくはそれに近い状態となることが主な原因です。

特に、うつ病を発症した場合は放置すれば希死念慮・自殺企図に陥る可能性もあり、命の危険性もあるため、早期発見が非常に重要となります。

身体面における症状

五月病における身体的な症状としては、全身倦怠感、食欲不振、下痢、悪心嘔吐、腹痛、不眠、動悸、息切れ、めまい、手足の震えなどが挙げられます。

ストレスが身体に影響を及ぼす主な原因は、交感神経の活性化です。過剰なストレスは自律神経のうち交感神経を活性化させますが、自律神経は血圧や脈拍・発汗・消化や排泄・睡眠・体温・睡眠などさまざまな生理機能を調整しています。

そのため、交感神経によってこれらの機能も過剰に活性化し、例えば、心臓の拍動が早まって動悸を感じる、発汗しやすくなる、消化が遅れて吐き気や腹痛を感じるなど、上記のような症状が出現するわけです。

これらの身体症状は別のなんらかの病気(甲状腺機能亢進症や不整脈など)によって出現している可能性もあるため、自覚されている方は早期に医療機関を受診すべきです。

行動面における症状

ストレスが溜まることで、行動面にも異変が生じる可能性があります。人は過剰なストレス反応に対して、心身の防衛のためにストレス回避行動として過剰な飲酒や喫煙、過食などを繰り返すことがあります。

これらの行動面の変化は、日々のルーティンワークになっている本人では気付きにくい反面、周囲の家族や友人から見ると気づきやすい点であるため、気付いた段階で本人に指摘してあげると良いでしょう。

五月病になりやすい人の特徴

五月病の原因となる入職や転居などの環境の変化は誰しも経験するイベントであり、誰でも五月病になる可能性があります。

一方で、下記のようなパーソナリティーの方は他の人よりも五月病になるリスクが高いと言われており、注意が必要です。

ここでは、五月病になりやすい人の特徴を紹介します。

完璧主義者

完璧主義者の場合、五月病になりやすいため注意が必要です。

新しい環境では誰でも失敗や挫折を経験して成長していくものですが、完璧主義者の場合、そういった経験を成長の糧ではなく失敗と捉えてしまい、過大なストレスを感じる傾向にあるためです。

ストレスは溜め込まず周囲と共有し、失敗の弱音や愚痴を周囲に吐けるような人間関係の構築に努めましょう。また、失敗や挫折は自分を成長させてくれる試練だと前向きに捉えるメンタリティが重要です。

仕事に意欲的

仕事に対して意欲的な方も、五月病になりやすいため注意が必要です。

仕事に対する意欲が高いと、その分プレッシャーや業務を一人で抱え込んでしまう可能性があり、ストレスが溜まりやすい傾向にあります。特に、大きな仕事や試練を達成した後の燃え尽き症候群(バーンアウト)は、その後五月病になりやすいため注意すべきです。

実際に、統計分析研究所が実施したアンケート調査では、仕事に対して意欲的な人ほど五月病を経験したことがある割合が高く、意欲的ではない人ほど割合が低いという結果が得られています。

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うまく肩の力を抜いて、周囲の協力を得ながら仕事に取り組むよう、心掛けましょう。

メンタルが弱い

生まれつきメンタルが弱い人は五月病のリスクが高いため、注意が必要です。メンタルが弱いと環境の変化を重く受け止め、より強くストレスを感じてしまうことが原因と考えられます。

実際に、統計分析研究所が実施したアンケート調査では、五月病を経験している人の48.4%が自分のメンタルについて「やや弱いと思う」「非常に弱いと思う」と回答しています。

一方で、同じく五月病を経験している人のうち、自分のメンタルを「非常に強いと思う」「やや強いと思う」と回答した人の割合はわずか18.9%でした。

メンタルが強いと自分を評価しているほど五月病になりにくく、弱いと感じているほど五月病になりやすい傾向にあるため、メンタルに自信がない方は特に注意が必要です。

コミュニケーション能力が低い

コミュニケーション能力の低い方は、五月病発症リスクが高いため注意が必要です。コミュニケーション能力が低いと、新しい環境に馴染むことができず、相談相手や話し相手を作ることができないためです。

一人でストレスを抱え込んでしまい、ストレスを発散・共有する場所を作り出すことができないため、五月病のリスクも高まります。

コミュニケーション能力を簡単に向上させることは困難ですが、日常の挨拶や会釈など、ハードルの低いコミュニケーションからでも実践していくと良いでしょう。

今すぐできる!五月病の簡単セルフチェック

五月病は医学的な病気ではないため、明確な診断基準が設けられているわけではありません。しかし、先述したようになんらかの精神疾患の発症とともに、精神・身体・行動面においてさまざまな症状をきたします。

特に下記のような症状を多く認めるほど、五月病になっている可能性が高いため、注意が必要です。

  • 夜寝付けない、もしくは夜眠れない
  • やる気が出ず、通学や通勤が億劫
  • 食欲がない
  • 身体が重く、疲れが溜まりやすい
  • マイナス思考になりがち
  • 集中力が低下して仕事や学業に身が入らない
  • 興味があることや好きなことでもやる気になれない

以上の項目で簡単にセルフチェックできます。より多く当てはまる方は五月病の可能性が高いため、一度医療機関を受診すると良いでしょう。

もしかしたら起立性調節障害かも

五月病のような症状が出ている場合、もしかしたら起立性調節障害の可能性もあります。

五月病ではストレスに伴う精神疾患の発症が背景として挙げられますが、起立性調節障害は身体疾患であるにも関わらず五月病と同じような症状をきたす疾患です。

特に、小学生高学年から中学生にかけて、身体が急速に発達するのに対して自律神経の成長が追いつかず、自律神経のバランスが乱れてしまうことでさまざまな症状を来します。

主な症状はめまい・ふらつき・全身倦怠感・腹痛・嘔気・起床困難・夜間不眠などです。特に、午前中や起床時に症状が強く出る傾向にあるため、通学や通勤に支障をきたしやすい点でも五月病と症状が似ています。

放置すると症状は悪化してしまう可能性もあるため、早期発見・早期治療が肝要です。まずは下記の記事を参考に、起立性調節障害のセルフチェックを行いましょう。

関連記事:起立性調節障害のセルフチェックリスト(子ども)|すぐにできる診断テスト

通常は子供に多い病気ですが、起立性調節障害は大人でも発症しうる病気です。

大人で発症すると仕事に影響が出て、収入や生活にも影響が出てしまうため、やはり早期発見に務めるべきです。下記の記事で大人の方もセルフチェックしてみましょう。

関連記事:大人の起立性調節障害セルフチェック項目|診断テスト

【参考文献】 
高浜市
統計分析研究所

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