起立性調節障害(OD)は、起立時の血圧や心拍数を調節する自律神経の働きがうまく機能せず、めまいや頭痛、倦怠感などが現れる身体疾患です。小学生や中学生などの思春期に多くみられます。
治療の基本は、水分・塩分摂取や生活習慣の調整などの非薬物療法です。症状が強い場合は、状態や病型に応じて薬物療法を併用することがあります。
本記事では、ODの薬物療法に用いられることがあるアメジニウムメチル硫酸塩について、作用や期待できる効果、服用時の注意点を解説します。

アメジニウムメチル硫酸塩とは?
アメジニウムメチル硫酸塩は、血圧を上昇させる作用を持つ低血圧症治療薬です。まずは、主な用途と作用の仕組みについて解説します。
アメジニウムメチル硫酸塩の主な用途
アメジニウムメチル硫酸塩は、1969年にドイツで合成された低血圧症治療薬です。日本では、本態性低血圧や起立性低血圧、透析施行時の血圧低下の改善に用いられています。
血圧を上げる仕組み
アメジニウムメチル硫酸塩は、交感神経の神経伝達物質であるノルアドレナリンの再取り込みと不活性化を抑える薬です。
ノルアドレナリンの作用を高めて血管を収縮させ、血圧を上昇させることで、起立時の血圧低下を抑える効果が期待できます。
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起立性調節障害にアメジニウムメチル硫酸塩は効果がある?
アメジニウムメチル硫酸塩は、ODによる起立時の血圧低下を改善する目的で使用されることがあります。ODそのものを根本的に治す薬ではなく、血圧を上げることで症状の緩和を目指す薬です。
ODの薬物療法ではミドドリン塩酸塩が使用されることが多く、十分な効果が得られない場合などにアメジニウムメチル硫酸塩が検討されます。ただし、使用する薬はODの病型や症状によって異なります。
アメジニウムメチル硫酸塩の承認された適応は、本態性低血圧、起立性低血圧、透析施行時の血圧低下です。ODへの使用については、医師が診断や症状を踏まえて判断します。服用量や服用時間も自己判断で変更せず、医師の指示に従いましょう。
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アメジニウムメチル硫酸塩で期待できる効果
前述したように、アメジニウムメチル硫酸塩は交感神経終末におけるノルアドレナリンの再取り込み阻害・不活化の抑制によって、交感神経の機能を亢進させる効果が期待されます。
そのため、内服することで交感神経が優位となり、さまざまな効果が期待されます。特にODの症状を改善させる効果としては、血管収縮作用と心機能を上げる効果です。
ノルアドレナリンが血管のα受容体に取り込まれると、血管が収縮し、血圧が上昇します。これによって、脳への血流が維持されるためODの症状を緩和する効果が期待できます。
次に、ノルアドレナリンが心臓のβ受容体に取り込まれると、心臓の収縮力や心拍数が増加し、より強く・良い早く血液を全身に駆出できるようになるため、脳への血流も維持されやすくなります。
一方で、飲み薬は全身に行き届くため、心臓や血管以外の臓器にも影響を与えます。交感神経が優位になると、消化管や尿路の運動は不活化するため、便秘や嘔気嘔吐、排尿障害などの副作用が生じる可能性もあります。服用後に気になる症状が現れた場合は、医師や薬剤師へ相談しましょう。
アメジニウムメチル硫酸塩の服用対象者
では、どのような方がアメジニウムメチル硫酸塩による治療対象となるのでしょうか?
基本的には、ODによって起床時に血圧低下を認める子供が対象となります。前述したようにODに対する内服療法の第1選択はミドドリン塩酸塩であり、ミドドリン塩酸塩による治療で改善しない場合はアメジニウムメチル硫酸塩の使用を検討します。
ミドドリン塩酸塩は純粋な血管収縮剤であり、心臓の機能を亢進させるような作用は持ちません。アメジニウムメチル硫酸塩には心臓の機能を亢進させる作用もあるため、より脳血流が増加する効果が期待できます。
一方で、心臓を刺激することで頻脈を誘発する可能性があり、ODのサブタイプのうち、心拍数が急激に増加する体位性頻脈症候群の場合は動悸が悪化する可能性があり注意が必要です。
また、心臓の機能に問題がある子供や甲状腺機能が亢進している子供、ノルアドレナリンなどのカテコラミンを産生する腫瘍(褐色細胞腫など)を持つ子供では使用を控えるべきです。
症状がどのくらいで改善するのか、治らない場合にどのような対応が必要なのか知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
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アメジニウムメチル硫酸塩を服用した方の声
最後に、実際にODの症状に対してアメジニウムメチル硫酸塩を使用している子供の声をご紹介します。
「ミドドリン塩酸塩ではイマイチだったけど、アメジニウムメチル硫酸塩に変えてから明らかに頭痛やめまいが軽減した」「少し脈が早くなったけど、そこまで副作用を感じずに治療できた」など、一定の効果を実感できている方も多いようです。
一方で、「ミドドリン塩酸塩もアメジニウムメチル硫酸もほとんど効果を実感できなかった」「効果が出るまでに2時間近くかかり、起きてから動けるまで時間がかかる」などの声もあり、その効果については個人差も大きいように感じます。
起立性調節障害の治療には確立された治療法はなく、薬物療法以外にも疾患への理解を深め、非薬物療法を日常的に実践することが重要です。
下記記事では起立性調節障害の治し方についてさらに詳しく解説されているため、ぜひ参考にしてください。
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