- 起立性調節障害には、どのような漢方薬が使われる?
- 中学生や高校生が漢方薬を服用するときの注意点は?
漢方薬は、起立性調節障害の症状や体質に応じて処方されることがあります。ただし、起立性調節障害そのものを治す特効薬ではなく、誰にでも同じ漢方薬が適しているわけではありません。
本記事では、起立性調節障害に用いられることがある漢方薬について解説します。
【医師解説】起立性調節障害におすすめの漢方薬6選
中医学では、起立性調節障害は気や血の不足(気血両虚)、さらには気の滞り(気滞)などが複雑に絡み合って起こる複合的な病態と考えられています。
そのため、治療は不足した気、血を補い、気の滞りを解消する生薬が配合された漢方を使用します。よく使用されるものには、以下のものがあります。
半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)

体力が低下し、冷えがあり、胃腸が弱い方のめまいや頭痛などに用いられることがあります。
<効果が期待できる症状>
めまい、立ちくらみ、頭痛
<副作用>
発疹、蕁麻疹
小建中湯(しょうけんちゅうとう)

体質虚弱で疲労しやすく、血色がすぐれず、腹痛、動悸、倦怠感などがある方に使用されます。
起立性調節障害に腹痛や疲労倦怠感などを伴う場合に、体質や症状に応じて処方されることがあります。
<効果が期待できる症状>
腹痛、疲労倦怠感など
<副作用>
偽性アルドステロン症、ミオパチー、発疹・発赤、かゆみ
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)

古くから風邪によく使用されてきた漢方薬ですが、起立性調節障害に対しては、心身両面の症状や体質を踏まえて処方されることがあります。
<効果が期待できる症状>
腹痛、吐き気、食欲不振など
<副作用>
間質性肺炎、偽性アルドステロン症、ミオパチー
肝機能障害、黄疸、発疹・発赤、かゆみ、下痢便秘などの消化器症状
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

貧血傾向や冷え性があり、比較的体力の低下した方(特に女性)に使用されます。
血液の巡りをよくし、全身倦怠感、めまい、立ちくらみなどの改善に役立ちます。
<効果が期待できる症状>
全身倦怠感、めまい、立ちくらみ
<副作用>
発疹・発赤、かゆみ、肝機能障害
食欲不振・悪心・腹痛・胃部不快感などの消化器症状
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

消化機能が衰え、食思不振や全身倦怠感が著しい虚弱体質の方に使用されます。
胃腸の消化・吸収機能を整えることで、疲労感や食欲不振などの改善が期待されます。
<期待できる効果>
疲労感の回復、食欲増進
<副作用>
間質性肺炎、偽性アルドステロン症、ミオパチー
肝機能障害、黄疸、発疹・発赤、かゆみ、下痢便秘などの消化器症状
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

比較的体力が低下しており、めまい、立ちくらみが強い人に使用されます。
水の代謝を良くすることで循環を改善し、めまいや頭痛などの症状に対して、体質を踏まえて処方されます。
<効果が期待できる症状>
めまい、立ちくらみ、頭痛など
<副作用>
偽性アルドステロン症、ミオパチー、発疹・発赤、かゆみ
上記の漢方薬は、起立性調節障害により出現した症状、随伴症状、もともとの体質などを診た上で、適切な漢方薬が処方されます。
起立性調節障害に漢方薬を取り入れた方の体験談や治療経過について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
漢方薬と西洋薬の違い
起立性調節障害に対して使用されることがある西洋薬には、以下のようなものがあります。
◆血圧が下がることを防ぐ/血圧を安定させる薬
- ミドドリン塩酸塩(メトリジン)
- アメジニウムメチル硫酸塩(リズミック)
◆心拍数の増加を抑える薬
- プロプラノロール塩酸塩(インデラル)
- ビソプロロールフマル酸塩(メインテート)
◆貧血などを改善させる鉄分やビタミン剤
これらの薬剤と漢方薬との大きな違いは、服薬のタイミングです。
西洋医学で使用される薬は基本的には食後に服用するものがほとんどですが、漢方薬は食前や食間に服用することが基本です。
食前とは食事の30分程前、食間とは食後2~3時間を指します。どちらも空腹時であり、空腹時に服用することにより、漢方薬がより効果的で安全に吸収されます。
漢方薬の副作用と服用時の注意点
起立性調節障害の薬物療法では、症状や病型に応じて西洋薬が使用されるほか、体質や随伴症状を踏まえて漢方薬が処方されることもあります。いずれも起立性調節障害を根本から治す特効薬ではなく、非薬物療法などと組み合わせて使用します。
漢方薬は植物や動物、鉱物などを由来とする生薬から作られていますが、自然由来だからといって副作用がないわけではありません。代表的な副作用として、甘草を含む漢方薬による偽アルドステロン症があります。
甘草に含まれるグリチルリチン酸の影響によって、血圧上昇や低カリウム血症、むくみなどが現れることがあります。また、低カリウム血症に伴って、筋力低下や手足のけいれんなどのミオパチーが生じる可能性もあります。甘草を含む漢方薬やグリチルリチン酸を含む薬を併用すると、こうした副作用が現れやすくなるため注意が必要です。
また、漢方薬による間質性肺炎や肝機能障害なども、頻度は高くないものの報告されています。服用後に咳や息苦しさ、発熱、強いだるさなどが現れた場合は、服用を中止して医療機関へ相談してください。
漢方薬には医療機関で処方されるものと、ドラッグストアなどで購入できるものがあります。ただし、市販薬でも体質に合わない場合や、ほかの薬と生薬が重複する場合があります。特に中学生や高校生が服用する場合は、自己判断で選ばず、医師や薬剤師に相談することが大切です。
漢方薬と西洋薬には、それぞれ異なる特徴と副作用があります。症状や起立性調節障害の病型、体質、服用中の薬などを確認した上で、自分に合った治療法を選びましょう。
起立性調節障害の治療では、まず生活習慣の改善などの非薬物療法が基本となり、必要に応じて薬物療法を組み合わせます。具体的な治し方や家庭でできる対策について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
起立性調節障害では、睡眠リズムを整える方法の一つとして、光療法が検討されることもあります。光療法の仕組みや注意点について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。








