- 睡眠時間を確保できるいるのに日中耐えられない眠気に襲われる
- 子どもが夜に眠れず朝も起きられなくなって困っている
このような症状にお悩みの方も少なくないでしょう。
睡眠障害は、夜になかなか寝付けない入眠困難、睡眠中に覚醒してしまう中途覚醒、朝に起きることができない起床困難などの症状によって、正常な睡眠を得られない状態を指します。
25〜40%の子どもは何らかの睡眠障害を発症するという報告もあり、子どもにおける睡眠障害は決して稀な病気ではありません。また、もし仮に発症した場合、本来成長期の子どもの心身に悪影響を与え、さまざまな疾患の原因にもなるため、早期に対策すべきです。
多くの場合、子どもの睡眠障害は日常生活におけるちょっとした工夫や変化によって改善させることができます。適切な知識を持って、早期に対策できれば通学や通塾にも影響せずに改善を目指せます。
そこで、この記事では子どもの睡眠障害に対する対処法について詳しく解説します。睡眠障害にとっておすすめの食べ物ややってはいけないNG行動についても紹介するため、ぜひご一読ください。
睡眠障害の子どもへの対処法とは?
子どもが睡眠障害に陥った場合、多くのケースでは日常生活のちょっとした工夫や変化で改善可能です。放置すると重症化して改善困難となるため、早期から介入しておくことが重要です。
ここでは、睡眠障害の子どもへの対処法を6つ紹介します。
生活習慣を整える
まず最も重要なことは、子どもの生活習慣を整えることです。生活習慣と睡眠の質は非常に密接な関わりがあり、生活習慣が乱れることで睡眠のリズムや質が障害され、睡眠障害の原因となります。
規則正しく栄養バランスの良い食事の摂取・定期的な運動習慣などが睡眠にとっては重要です。睡眠を調整している自律神経は、生活習慣が安定することで整うためです。
特に子どもの場合、好き嫌いが激しく偏食になってしまい、栄養バランスが乱れがちです。睡眠の質にとって重要な栄養分を摂取できずに睡眠障害になる可能性もあるため、生活習慣の乱れには十分注意しましょう。
眠る前の光刺激を抑える
睡眠障害の子どもへの対処法として、眠る前の光刺激を抑えることも重要です。入眠直前まで光刺激を浴びてしまうと、脳の中で睡眠ホルモンである「メラトニン」がうまく生成されず、自然な眠気を得られにくくなります。
通常であれば、光刺激が少なくなることをきっかけに、脳の松果体と呼ばれる部位でメラトニンが合成されて自然な眠気が誘発されますが、光刺激によってメラトニンが分泌されにくくなるわけです。
特に、近年では子どもの深夜までのPCやスマホいじりによる入眠困難が問題視されているため、最低でも就寝の2時間以上前にはスマホやPC、ゲームはやめるように教育することが重要です。
ストレスを発散する
精神的ストレスも睡眠にとって有害であるため、子どもが定期的にストレス発散できるようにしましょう。ストレスが溜まってしまうと自律神経が乱れてしまい、睡眠障害に陥りやすくなります。
特に、進級によるクラス替えや進学、受験前などはストレスが溜まりやすいため、注意が必要です。子どもが少しでもストレスを発散しやすいように、夫婦関係などの家庭環境を整えておくことも重要です。
子どもによっては、ストレスを溜め込んでしまいなかなか親に共有できない子どももいるため、親御さんは普段から子どもとよく会話しておくことで早期発見できることもあります。
就寝環境を整える
子どもが睡眠障害の場合、就寝環境を整えることも重要です。適切な就寝環境は睡眠の質にとって非常に重要で、就寝環境が劣悪な場合、睡眠時間を確保しても質が低く効率的な睡眠を得ることができません。
枕の高さがあっていない、マットレスが固すぎる(もしくは柔らかすぎる)などの不適切な寝具の使用、寝室の異常な温度や湿度、寝室における音・光・振動などの刺激は、すべて睡眠の質を低下させるため、避けるべきです。
親子で一緒に寝ている場合、実は親御さんのいびきが子どもの睡眠を障害している可能性もあるため、自覚がある方はいびき治療を検討すべきです。就寝環境は比較的簡単に是正できるため、ぜひこれを機に一度見直してみると良いでしょう。
運動不足を解消する
子どもが運動不足の場合、睡眠障害の原因となっている可能性もあるため、注意が必要です。定期的な運動は自律神経を整える効果が期待され、睡眠の質を向上させることが知られています。
部活動などに参加している子どもならまだしも、特に部活動に参加せず家でも運動しない子どもの場合、自律神経が乱れて睡眠が障害されてしまう可能性もあるため、運動を促してみると良いでしょう。
あまり負荷の高い運動は避け、ランニングや水泳、マット運動など負荷が少なく、継続して行える運動がおすすめです。最低でも週に2日、1回30分以上継続できると良いでしょう。
医療機関を受診する
上記のような対処法を実践しても睡眠障害が一向に改善されない場合は、医療機関を受診すべきです。睡眠障害の原因がセルフケアで可能なものではなく、何らかの病気を発症している可能性があるためです。
子どもの睡眠障害の原因となる病気としては、うつ病・睡眠相後退症候群・睡眠時無呼吸症候群・ナルコレプシー・レストレスレッグス症候群・レム睡眠行動障害などの疾患が挙げられます。
これらはどれも医療機関での治療が必要となる病気ですが、特にうつ病や睡眠時無呼吸症候群は長期的に悪化すると命の危険性もあるため、早急に治療が必要な病気です。
重症化する前に、まずは近隣の小児科を受診するようにしましょう。
睡眠障害を治すためにおすすめの食べ物
先述したように、普段摂取する食べ物も睡眠の質に影響します。ここでは、睡眠障害を治すためにおすすめの食べ物を3つ紹介します。
ただし、これら3つの食事だけを偏って摂取することは得策ではなく、栄養バランスを考えて普段の食事に取り入れていくことが重要です。
乳製品
睡眠障害を治すためにおすすめの食べ物の1つが乳製品です。乳製品の中に豊富に含まれる「トリプトファン」と呼ばれるアミノ酸が、睡眠にとって良い影響を与えることが知られています。
日中、光刺激を浴びることで体内ではトリプトファンを原料にセロトニンが合成され、このセロトニンが夜になるとメラトニンの原料となるため、良質な睡眠のためにはトリプトファンが必要不可欠なのです。
トリプトファンはチーズやヨーグルトなどの乳製品に豊富に含まれているため、ぜひ摂取してみると良いでしょう。また、それと同時に日中に太陽光を浴びないと効果的にトリプトファンからセロトニンは合成されないため、太陽光を浴びることも重要です。
豆類
睡眠障害を治すためには豆類の摂取もおすすめです。豆類に豊富に含まれるビタミンBには神経機能を正常に保つ効果があり、ビタミンBが不足することで神経機能が不安定になったり、精神状態が不安定になるため、睡眠にとって有害です。
ビタミンBは豆類以外にも、豚肉や大豆・穀物・ナッツなどに豊富に含まれているため、定期的に摂取していくことを勧めます。
エビやホタテなどの魚介類
睡眠障害を治すためにはエビやホタテなどの魚介類もおすすめです。エビやホタテなどの魚介類に豊富に含まれるグリシンはアミノ酸の1種であり、末梢血管の血流を良くする効果が報告されています。
良質な睡眠のためには、入眠直後に深部体温が低下することが重要であるとされており、末梢血管の血流が良くなると体内に溜まった熱が自然と放散され、深部体温が低下しやすくなります。
グリシンによって深部体温の低下が促されるため、睡眠の質の向上が期待されるわけです。グリシンは他にも肉類や大豆類にも豊富に含まれており、ぜひ摂取してみると良いでしょう。
睡眠障害を治すためにやってはいけないNG行動
睡眠にとって良かれと思ってとった行動が、実は睡眠にとってマイナスな影響を与える可能性もあるため、注意が必要です。誤って自己判断で行動した結果、かえって睡眠障害が悪化する可能性もあるため、注意しましょう。
ここでは、睡眠障害を治すためにやってはいけないNG行動を3つ紹介します。
・ストレス発散のために長時間ゲームする
ストレスを溜め込むのは睡眠にとって良くありませんが、ストレス発散のために長時間ゲームすることは控えましょう。長時間のゲームによって睡眠時間そのものが短縮してしまう場合や、夜間の光刺激によって睡眠相が後退してしまうリスクがあります。
またゲームの内容によってはかえってストレスが溜まったり、脳に負担のかかってしまうものもあるため、ゲームでストレス発散する場合、日中や夕方の限られた時間で行うのがいいでしょう。少なくとも、夜間の遅い時間のゲームは避けるべきです。
先述したように、ストレスを発散するならゲームやスマホではなく、軽い運動や精神的にリラックスできる趣味を見つけることを勧めます。
土日に寝溜めする
睡眠障害があるからといって、無理やり土日に寝溜めして睡眠時間を確保しようとするのは控えるべきです。本来、より良い睡眠のためには毎日同じ時間に起床し、同じ時間に就寝することが重要です。
毎日同じような時間に起床・就寝することで、体内時計と現実世界のズレが日々リセットされ、規則正しい睡眠習慣が形成されます。土日に寝溜めしてしまうと、夜眠れなくなり、体内時計が乱れる原因となるため、控えるべきです。
逆に、寝不足で睡眠不足の時は、日中に1時間以内の仮眠を取ることで生活リズムを崩さずに睡眠不足を解消できるため、おすすめです。
自己判断で誤った対処を行う
「子どもが睡眠不足だから眠気を誘うサプリを飲ませよう!」「夜眠れないのは運動不足のせいだから走らせよう!」など、自己判断で原因に合っていない対処を行うことは避けましょう。
ここまで解説した通り、睡眠障害の原因は多岐に渡り、その原因によって対処法もさまざまです。食生活の改善や、就寝環境の改善などはいかなる原因に対しても悪い選択肢ではないため、問題ありません。
一方で、 背景に病気が隠れている子どもに無理やり運動させたり、自己判断で購入したサプリなどに頼るのは危険なため、控えるべきです。
うつ病や睡眠時無呼吸症候群など、専門的な治療を行わなければ治らない病気の可能性もあるため、ご不安な方は早急に医療機関を受診しましょう。
もしかしたら起立性調節障害かも
子どもが睡眠障害に陥った場合、もしかしたら起立性調節障害かもしれません。起立性調節障害とは、特に小学生高学年〜中学生において発症しやすい身体疾患で、急激な身体の発達に対して自律神経の成長が追いつかず、自律神経が乱れてしまう病気です。
原因が身体の発達に伴う自律神経の乱れであるため、生活習慣の改善などによって自律神経が安定すれば症状が改善する子どももいますが、身体の成長が急激な場合は重症化してしまう子どももいます。
代表的な症状としては、午前中や起床時に強い、めまい・体動困難・ふらつき・腹痛・嘔気嘔吐などであり、午前中に起きられくなるため睡眠障害と症状が似ています。また、夜には遅れて交感神経が活性化するため、症状が改善して元気になってしまい、逆に寝れなくなります。
基本的には自然軽快しますが、約1%の子どもでは重症化することが知られており、通学や通塾、ひいては進学や受験など、子どもの将来にも響きかねない病気のため、早期発見・早期対応が肝要です。
下記の記事では、子供における起立性調節障害を簡単にセルフチェックする方法が詳しく紹介されているため、まずは下記記事を参考にセルフチェックして見ましょう。