もし仮に自分の子供が起立性調節障害(OD)であれば、親御さんはどう対応すべきでしょうか。
多くの人は、何か子供の様子がおかしければとりあえず一度病院へ連れて行くことになるかと思います。しかし、今まで行っていた小児科は中学生までの受診であり、高校生の子供はもう小児科受診はできません。
また、一般の内科では起立性調節障害に対して十分な治療や検査を受けられない可能性が高いです。
基本的に起立性調節障害は年齢ごとに受診すべき科がある程度決まっています。見当違いの診療科に行っても病院側の手に負えない可能性もあるため、事前に調べて受診すべき病院は選んだほうがいいかもしれません。
そこで本記事では、起立性調節障害の高校生が一体どれくらいの価格で、どんな治療をどこの科で受けることができるのか、わかりやすく説明していきます。
◆関連記事:起立性調節障害の子供に親ができること・治療法・治った方の事例
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高校生は何科を受診したらよいのか
小学生で約5%、中学生で約10%の患者が罹患すると言われる起立性調節障害ですが、多くは中学生までに発症することが多いため基本的には小児科で診断されることが多いです。
仮に中学生までに小児科で診断されていれば、高校生まで症状が継続してもそのままかかりつけの小児科で治療を継続していくことも可能だと思います。
しかし、高校生で初めて診断された場合には少し異なります。場所にもよりますが、小児科が対応する年齢の上限は基本的に中学生までに設定しているところが多いからです。
では、高校生で起立性調節障害を疑う場合、どうすればいいのでしょうか?
起立性調節障害は本来、自然経過でも十分に回復が見込める疾患です。実際に症状が軽症なら、診断も治療も受けずに自然経過していくことは少なくありません。
しかし、具合の悪さが継続するようなら医療機関を受診することをお勧めします。早期診断をつけて早期介入することが症状の悪化を未然に防ぐことができるからです。高校生の場合ほとんど成人と同じ扱いになりますので、症状次第で行くべき診療科を検討したほうが良いでしょう。
起立性調節障害では自律神経のバランスが乱れた結果、立ち上がる際に本来起こるはずの心臓への刺激が弱いために、立ち上がると同時に血圧や脳血流が低下してしまいふらつき症状が出現します。
以上のことを踏まえると、例えば起立時の血圧低下や心拍数の異常などを強く自覚する場合には、心臓の専門家である循環器内科を受診することをお勧めします。
また、自律神経のバランスが乱れると血圧や脈拍以外にも、睡眠のリズムを崩したり食欲が低下します。そのような神経的な症状を強く自覚する場合には神経の専門家である神経内科を受診するのが良いと思います。
起立性調節障害の場合、精神的ストレスも自律神経のバランスを悪化させ症状を増悪させます。心理的側面の影響が強い場合には心のケアの専門家である心療内科の受診を検討しても良いと思います。
検査費用、受診費用はどれくらい?
さて、実際に起立性調節障害を疑って病院を受診したとして検査や診療の流れ、それにかかる費用はどのくらいなのか、などなど親御さんからしたら気になることはたくさんあります。
まず最初に症状の原因となるような疾患を考えて、それらを否定するための検査を行います。一般的に類似した症状を起こす疾患は、鉄欠乏性貧血、甲状腺機能低下症、不整脈、うつ病などです。
そこで、採血検査で貧血や甲状腺機能のホルモン値をチェックします。また、不整脈を疑う場合には心電図やホルター心電図も行います。
上記検査で原因となる疾患がみつからない場合は本格的に起立性調節障害を疑わなくてはいけません。これらの検査費用と診察代だけでも、保険適応3割負担で5,000円ほどはかかると思いますが、最終的には行った検査で変わってきます。
次に、起立性調節障害の診断には新起立試験(ODテスト)が必須となります。これは症状が出やすい午前中に行う必要があるため、検査実施には前泊入院などが必要になることがあります。
具体的な検査手順は、まず10分間仰向けで安静を保ちます。その際、起立前に3回程度血圧や心拍数を計測します。心電図をすることもあります。
その後起き上がり、立位を10分間ほど保持します。起立後10分間で血圧や心拍を頻回にチェックし、血圧低下の割合や、心拍数の変化、血圧が元に戻るまでの時間などを記録していきます。
その結果、起立性調節障害の4つのサブタイプのいずれかの診断基準に当てはまれば起立性調節障害と診断され、治療開始となります。
また、近赤外分光により脳血流の変化を0.25秒毎に測定する器具を用いて脳血流をチェックすることも診断に有用です。
保険診療、前泊の有無で費用は変わってきますが、保険適応があれば概ね20,000円程度、無保険なら70,000円程度はかかる病院もあります。
上記内容はあくまでも目安です。実際に受診する病院によって価格は異なると思いますので、検査の前に事前に問い合わせることをお勧めします。
下記記事では「起立性調節障害の子供に親ができること・治療法・治った方の事例」をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)