起立性調節障害とは

男性で寝ても寝ても眠いのはなぜ?原因・考えられる病気・対処法を解説

 

この記事の監修者

医師(匿名)

医師歴:10年
勤務病院:某3次救急病院

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

  • 寝ても寝ても日中我慢できないくらい眠い
  • 眠気で日中の仕事や学業に支障をきたしている

このようなお悩みをお持ちの方も少なくないでしょう。

寝ても寝ても日中に眠い場合は、生活習慣が乱れていたり、睡眠に対する誤った認識が原因で睡眠の質が低下している可能性が非常に高いです。長期的にこの状態が継続すると、仕事や学業などに支障をきたすため、早期に生活習慣を見直す必要があります。

また、背景に何らかの病気を発症して眠気に襲われている可能性もあります。特に男性では睡眠時無呼吸症候群などの疾患を発症しやすく、放置すれば命に関わる危険性もあるため、早期に発見して適切な治療を受けることが肝要です。

この記事では、特に男性で寝ても寝ても眠い場合の原因や考えられる病気、対処法について詳しく解説します。この記事を読むことで眠気から解放され、快活な生活を取り戻すことができるため、ぜひご一読ください。

男性で寝ても寝ても眠いのはなぜ?原因を解説

男性で寝ても寝ても眠い場合、自身の生活習慣の乱れや、睡眠に対する誤った認識が原因であることが多いです。睡眠の質は日常生活の通信簿のようなもので、日常生活の質次第で睡眠の質も左右されます。

そこで、ここでは男性で寝ても寝ても眠い場合の原因を5つ紹介します。どれも比較的簡単に改善できるため、当てはまる方はぜひこれを機に生活を見直しましょう。

劣悪な就寝環境

男性で寝ても寝ても眠い場合、就寝環境が劣悪な可能性が挙げられます。就寝環境は睡眠の質にとって非常に重要であり、不適切な場合はどんなに睡眠時間を確保しても身体や脳が十分休まらず、日中眠くなる原因となります。

硬すぎる、もしくは柔らかすぎるマットレスの使用、高さの合わない枕の使用、不適切な寝室の湿度や温度、不十分な防音・遮光・防振など、睡眠を妨害する要因は多岐にわたるため注意が必要です。

上記のような就寝環境は見直すだけで簡単に改善可能なため、ぜひこれを機に見直すと良いでしょう。

入眠直前の入浴や運動

入浴や運動が睡眠の質を向上させると認識されている方が多いですが、これは半分正解で半分間違いです。確かに入浴や運動は良質な睡眠のためには重要ですが、実施する時間次第で睡眠の質を低下させる可能性があります。

就寝直後から深部体温が一気に低下することで良質な睡眠を得られることが知られており、通常は運動や入浴によって深部体温が上がった状態だと就寝後に深部体温が低下する振り幅が大きくなり、より良い睡眠が得られます。

しかし、就寝直前の入浴や運動は就寝後にも深部体温が上がった状態からなかなか下がらず、かえって睡眠の質が低下してしまうのです。そのため、少なくとも就寝の2時間以上前には運動や入浴は終わらせておくべきです。

暴飲暴食

男性で寝ても寝ても眠い場合、暴飲暴食が原因の可能性が挙げられます。暴飲暴食をすると食事の消化吸収によって代謝が上がり、深部体温が低下しにくくなるため、睡眠の質が低下します

また、就寝前まで暴飲暴食を行うと胃が膨らみ、肺が広がりにくくなるため、睡眠中に十分な酸素を取り込むことができなくなり、睡眠の質がやはり低下するため注意が必要です。

就寝直前の暴飲暴食は避け、少なくとも就寝の4時間以上前には食事を終わらせておくと良いでしょう。

アルコールやカフェインの多量摂取

アルコールやカフェインを多量摂取すると寝ても寝ても眠くなる可能性があるため、注意が必要です。これは、アルコールやカフェインにはそれぞれ睡眠の質を低下させる作用があるためです。

アルコールには催眠作用があり、最初は眠気を誘う作用がありますが、その後アルコールを代謝する過程で発生する代謝産物「アセトアルデヒド」には中枢神経系の覚醒作用があるため、結果として夜間に中途覚醒してしまう可能性が高まります。

また、アルコールには利尿作用もあるため、夜間にトイレに行くたくなって起きてしまうことで睡眠の質が低下します。次に、カフェインにはアデノシンと呼ばれる物質を阻害して中枢神経系を刺激する作用があるため、やはり覚醒作用があり注意が必要です。

より良い睡眠を得るためにも、どちらも就寝直前の摂取は控えましょう。

サーカディアンリズムの乱れ

男性が寝ても寝ても眠い場合、サーカディアンリズムが乱れている可能性があります。サーカディアンリズムとは体内時計のことで、通常は1日24時間のところ、サーカディアンリズムは1日25時間刻みと言われています。

その仮定で考えると、毎日1時間ずつ寝る時間や起きる時間は後ろにずれ込むはずです。しかし、実際には私たちは毎日同じような時間に寝て、同じような時間に起きています。

これは、毎日サーカディアンリズムと現実の時間のずれが修正されているからであり、修正するためには朝に太陽光を浴びたり、朝食を摂取するなど、規則正しい生活が必要です。

出不精になったり、土日だけ寝溜めするような生活を繰り返すとサーカディアンリズムが大きく乱れ、日中に眠気が襲ってくるようになってしまうため、注意が必要です。

男性で寝ても寝ても眠い場合に考えられる病気とは?

男性で寝ても寝ても眠い場合、上記のような生活習慣の問題以外に、何らかの病気に罹患している可能性もあります。病気による眠気の場合、セルフケアでの改善は困難であり、病状の悪化とともに眠気も悪化していく可能性があるため、注意が必要です。

早期発見・早期治療が重要となるため、ここでは眠気の原因となる疾患を4つ紹介します。

うつ病

男性で寝ても寝ても眠い場合、うつ病の可能性があります。うつ病は脳内のセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の分泌不全が病態として考えられており、それによってさまざまな精神・心理症状をきたす疾患です。

主な症状としては、抑うつ気分・気分や意欲の減退・食欲低下(もしくは過食)、不眠(もしくは過眠)などが挙げられます。うつ病は気力や根性で改善できるような病気ではなく、医療機関での適切な治療が必要であり、放置すれば希死念慮や自殺企図など、命にも関わるような事態を招きかねないため、早期発見・早期治療が重要です。

男性よりは女性で発症しやすい病気ですが、特に50代の中高年では男性でも発症しやすいため、上記のような症状に当てはまる場合は注意しましょう。

睡眠時無呼吸症候群

男性で寝ても寝ても眠い場合、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。睡眠時無呼吸症候群とはその名の通り、睡眠中の呼吸が減る、もしくは一時的に完全に止まることで、取り込める酸素量が低下する病気です。

取り込める酸素量が低下すれば脳や身体は十分に休むことができず、中途覚醒の頻度も増えることで睡眠の質が低下します。主な原因は肥満であり、頸部に蓄積した脂肪によって気道が狭くなることで発症するため、中高年で太ってきた男性は注意が必要です。

肥満を認めなくても、巨舌・小鰐・扁桃肥大・アデノイドなど、解剖学的な理由から気道が狭くなり発症する可能性もあります。

睡眠時無呼吸症候群による低酸素状態が長期的に続くと、低酸素によるストレスが交感神経を活性化させ、高血圧や糖尿病・心房細動などの不整脈疾患・脳血管障害などの疾患の発症リスクを増大させることが知られているため、早期発見・早期治療が肝要です。

甲状腺機能低下症

男性で寝ても寝ても眠い場合、甲状腺機能低下症を発症している可能性があります。甲状腺機能低下症とは、何らかの原因で甲状腺の機能が低下し、代謝を司る甲状腺ホルモンの分泌が減少することで代謝機能が低下する病気です。

甲状腺ホルモンは全身の代謝機能を司っているため、分泌が減少することで無気力、疲労感、むくみ、寒がり、体重増加、動作緩慢、記憶力低下、便秘などの症状をきたします。

また、症状が進行すると精神活動の低下によって傾眠傾向になり、眠気が強くなります。甲状腺機能低下症の場合、甲状腺ホルモンの補充など、適切な治療を行えば症状の改善も見込めるため、疑わしい場合は必ず医療機関に受診しましょう。

ナルコレプシー

男性で寝ても寝ても眠い場合、ナルコレプシーを発症している可能性があります。ナルコレプシーを発症すると原因不明に日中に過度な眠気を招き、その眠気によって日常生活や仕事にも支障をきたす疾患です。

日中の過度な眠気以外に、感情の変動とともに突然の一時的な筋力低下が引き起こる情動脱力発作、入眠時または覚醒時の幻覚、睡眠麻痺(金縛り)、夜間の睡眠障害(頻繁な覚醒、鮮明で恐ろしい夢を見る)などの随伴症状が特徴的です。

交通事故や転倒転落によって命を失うケースも少なくないため、疑わしい場合は専門の医療機関を受診して治療を行いましょう。

男性で寝ても寝ても眠いの対処法とは?

男性で寝ても寝ても眠い場合、通勤や日中の仕事に支障をきたし、また家族にも負担をかけてしまうため、早期に対処することが重要です。
ここでは、男性で寝ても寝ても眠い場合の対処法を3つ紹介します。

生活習慣を整える

先述したように、寝ても寝ても眠い場合の多くの原因は生活習慣の乱れや睡眠への不適切な認識です。そのため、規則正しくバランスの良い食事摂取や定期的な運動習慣、ストレス発散など、生活習慣を整えることが肝要です。

また、最近では夜間のスマホやPCによって不眠に陥り、日中眠気に襲われる方も増えています。寝る直前まで電子機器から発せられるライトを見ていると、光の刺激が脳に伝わり、睡眠の質を向上させる睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌が阻害されます。

その結果睡眠の質が低下し、日中に眠気に襲われることになるため、少なくとも就寝の2時間以上前にはスマホやPCの操作を止めることが肝要です。

就寝環境を整える

生活習慣を整えても改善しない場合は、就寝環境を整えましょう。身体の体格に合った寝具を揃え、遮光のためのカーテンや防音のための耳栓なども購入を検討すると良いでしょう。

また、湿度や温度はエアコンや加湿器・除湿機で調整できるため、季節に合わせて最適な温度・湿度を保ちましょう。

医療機関を受診する

上記のような対策を行なってもなお症状が改善しない場合、背景に何らかの病気が隠れている可能性があるため、医療機関を受診するのがおすすめです。

原因となる病気によっては自然軽快は見込めず、むしろ時間の経過とともに症状がどんどん悪化していく可能性があるため、早期に医療機関を受診して適切な医療を受けることが重要です。

特に、うつ病や睡眠時無呼吸症候群は放置すれば命にも関わる可能性があるため、必ず疑わしい場合は精神科や内科を受診しましょう。

もしかしたら起立性調節障害かも

寝ても寝ても眠い男性は、もしかしたら起立性調節障害の可能性もあります。起立性調節障害とは、身体の急激な成長に対して自律神経の成長が追いつかず、自律神経のバランスが乱れることで動悸や発汗など、さまざまな症状をきたす疾患です。

本来朝に活性化すべき交感神経が活性化してこないため、身体が起床後や午前中に活動モードに切り替わらず、寝ても寝ても倦怠感や眠気が残ってしまいます。その結果、仕事に支障をきたしてしまうこともあるため、注意が必要です。

逆に、午後や夕方になると徐々に遅れて交感神経が活性化してくるため、本来副交感神経が活性化することで眠くなるはずの夜間に、興奮してしまい眠れなくなってしまうのです。その結果、さらに翌日の午前中は眠気が強まってしまう負のスパイラルに陥ります。

発症後、早期対策できなければ仕事や通勤が困難となり、日常生活に大きな支障をきたしてしまうため、早期発見・早期治療が肝要です。

本記事で紹介した病気とは異なり、起立性調節障害の場合は午後や夕方に元気になる傾向があるため、当てはまる場合は起立性調節障害を疑いましょう。

下記の記事では、大人における起立性調節障害のセルフチェック方法を詳しく紹介しています。ぜひ下記の記事を参考に早期発見に努めましょう。

また、起立性調節障害は身体が急激に発達する時期に発症しやすいため、大人よりも子どもで発症しやすい病気です。子供の場合、症状が悪化して不登校などになれば、進級や進学にも支障をきたし、将来の進路にも大きく影響するため、早期発見によって重症化を未然に防ぎましょう。

下記の記事では、子どもにおける起立性調節障害のセルフチェック方法を詳しく紹介しているため、ぜひ参考にして早期発見に努めましょう。

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