- 睡眠薬を飲んでも眠れない時はどうすればいい
- こんなに不眠症状があるのは何かの病気なの?
このようなお悩みをお持ちの方も少なくないでしょう。
睡眠薬は、医師の指示に従って適切に使用することで、不眠症状の改善に役立つ薬です。しかし、服用しても十分な効果を感じられないことや、一度眠れても途中で目が覚めることがあります。
睡眠薬が効きにくい理由としては、薬の種類や服用するタイミングが症状に合っていない、生活リズムや飲酒などによって睡眠が妨げられている、ほかの病気が隠れているなど、さまざまな可能性があります。薬の種類によっては、長期間の服用によって耐性や依存が生じる場合もあります。
睡眠薬を飲んでも眠れない場合でも、自己判断で追加服用したり、量を増やしたりしてはいけません。処方した医師に現在の症状や服用状況を伝え、原因を確認することが大切です。
この記事では、睡眠薬を飲んでも眠れないときの対処法や原因、背景に隠れている可能性のある病気について詳しく解説します。安全に治療を続けながら、睡眠と日中の生活への影響を改善するための参考にしてください。
不眠が続き、朝起きられない、立ちくらみ、倦怠感などもみられる場合は、起立性調節障害が関係していることもあります。
朝起きられない症状や立ちくらみ、倦怠感などを伴う場合は、起立性調節障害のセルフチェックも参考にしてください。

睡眠薬を飲んでも眠れない時はどうするべき?対処法とは?
眠いのに寝つけない、眠っても途中で何度も目が覚めるといった状態が続くと、心身が十分に休まらず、本人にとってつらい状態となります。
睡眠薬を服用しても眠れない場合は、自己判断で薬を追加したり、飲酒したりせず、安全な場所で過ごしましょう。翌朝に眠気やふらつきが残っている場合は、車の運転や危険を伴う作業を控えてください。
眠れない状態が繰り返される場合は、服用した薬の名前や時間、就寝時刻、夜中に目覚めた回数などを記録し、処方した医師に相談することが大切です。
ここでは、睡眠薬を飲んでも眠れないときに確認したい対処法を5つ紹介します。
日中に適度な運動をする
睡眠薬を飲んでも眠れない場合は、体調に合わせて日中に適度な運動を取り入れる方法があります。習慣的な運動は、寝つきや睡眠の休養感の改善に役立つ可能性があります。
ウォーキングや軽いジョギングなど、無理なく続けられる運動を選びましょう。屋外で活動して日中に光を浴びることは、睡眠・覚醒リズムを整えるうえでも役立ちます。
ただし、就寝直前の激しい運動は身体を興奮させ、かえって寝つきにくくなることがあります。負荷の高い運動は就寝の2時間以上前までを目安に終え、就寝前は軽いストレッチ程度にとどめるとよいでしょう。
就寝環境を見直す
睡眠薬を飲んでも眠れない時は、就寝環境を見直しましょう。睡眠にとって就寝環境の質は非常に重要であり、就寝環境が劣悪だとなかなか寝付けなかったり、寝ても途中で目覚める原因となってしまいます。
マットレスや枕など、使用している寝具の固さや高さが適切か確認し、寝室の温度や湿度が心地よい設定になっているか確認しましょう。また、防音や防振、遮光などが十分であるかも重要です。
就寝環境は気付いて自覚できれば改善は比較的容易であるため、ぜひこれを機に見直してみると良いでしょう。
薬の飲み方や種類を主治医に確認する
睡眠薬を飲んでも眠れない場合は、薬の飲み方や種類について、処方した医師や薬剤師に確認しましょう。
睡眠薬には、寝つきの悪さ、中途覚醒、早朝覚醒など、症状に応じてさまざまな種類があります。また、食事の影響を受ける薬もあるため、服用する時間や食事との間隔が適切でないと、期待した効果を得にくい場合があります。
医師へ相談する際は、次の内容を伝えると状況を確認しやすくなります。
- 薬を飲んだ時間と実際に眠れた時間
- 寝つき、中途覚醒、早朝覚醒のうち何に困っているか
- 翌朝の眠気やふらつき、物忘れなどの有無
- 飲酒、カフェイン、併用している薬やサプリメント
自己判断で薬を増やす、同じ夜に追加で服用する、急に中止する、ほかの人の薬を使用するといった行為は避けてください。アルコールとの併用も、過度の鎮静やふらつき、記憶への影響などを招く可能性があります。
誤って多く服用した場合や、呼びかけへの反応が悪い、呼吸がおかしいなどの症状がある場合は、速やかに救急医療へ相談してください。
不眠症に使用される薬の種類については、下記の記事も参考にしてください。
飲食の内容を確認する
睡眠薬を飲んでも眠れない時は、自分の飲食の内容や時間帯を確認することも重要です。実は食事内容は睡眠にとって非常に重要であり、その内容や摂取時間によって睡眠の質も左右されます。
就寝直前の暴飲暴食は深部体温を上昇させ、就寝中に身体の中に体温がこもってしまうことで睡眠の質が低下することが知られています。また、アルコールやカフェインには中枢神経系を興奮させる作用があり、睡眠の質を低下させるため、就寝前の摂取は控えるべきです。
逆に、乳製品には多くのトリプトファンが含まれているため、普段から摂取することでメラトニン産生が促され、より良い睡眠が得られる可能性が上がります。
就寝前のスマートフォン操作を減らす
睡眠薬を飲んでも眠れない場合は、就寝前のスマートフォンやパソコンの使い方を見直しましょう。
夜間に明るい光を浴びると、メラトニンの分泌や体内時計に影響し、寝つきにくくなることがあります。また、SNSや動画、ゲームなどの内容によって気持ちが高ぶったり、使用時間が延びて睡眠時間そのものが短くなったりする場合もあります。
目安として就寝の1~2時間前から使用時間を減らし、使用する場合は画面の明るさを下げるなどの工夫をしましょう。
寝床に入ってもしばらく眠れず、焦りが強くなる場合は、いったん寝床を離れ、暗めで静かな場所で穏やかに過ごします。再び眠気を感じてから寝床に戻る方法もあります。
睡眠薬を飲んでも眠れない原因とは?
睡眠薬は特に内服し始めは効果を実感しやすいですが、内服期間が長期化するとさまざまな理由で効果を実感しにくくなり、飲んでも眠れなくなります。
ここではその原因を3つ紹介します。
睡眠薬に耐性や依存が生じている
睡眠薬を飲んでも眠れない場合、使用している薬の種類によっては、耐性が関係している可能性があります。
耐性とは、同じ量の薬を使用していても、以前より効果を感じにくくなる状態です。ベンゾジアゼピン系睡眠薬や一部の非ベンゾジアゼピン系睡眠薬では、長期間の使用などによって耐性や依存が生じる可能性があります。
一方、メラトニン受容体作動薬やオレキシン受容体拮抗薬など、作用の仕組みが異なる薬もあります。耐性や依存のリスクは、薬の種類、服用量、服用期間、本人の状態などによって異なります。
効果を感じにくくなっても、自己判断で増量すると、副作用や依存のリスクが高まります。また、急に中止すると、以前より強い不眠が現れる反跳性不眠や、離脱症状が起こる薬もあります。
薬の変更や減量、中止は、必ず主治医と相談しながら段階的に行いましょう。

睡眠薬の効果と不眠症状が合っていない
睡眠薬を飲んでも眠れない場合、睡眠薬の効果と不眠症状が合っていない可能性があります。睡眠薬にはその効果発現時間によって幾つかの種類があり、超短時間作用型・短時間作用型・中間作用型・長時間作用型と分類されます。
例えば、寝付きにくいけど一度寝れば熟睡できる人であれば、超短時間作用型もしくは短時間作用型が適切ですが、すぐ寝れるけど途中で起きてしまうような人には超短時間作用型もしくは短時間作用型は不向きです。
一方で、長時間作用型は夜間安定して効果を発揮するため、早朝に覚醒して寝れなくなる人には適していますが、効果が持続してしまい翌日に眠気を引きずってしまう可能性が高まります。
このように、自身の不眠症状にあった睡眠薬を選ばないと、かえって睡眠リズムを崩して眠れなくなってしまうため注意が必要です。
生活習慣や睡眠リズムによって睡眠が妨げられている
睡眠薬を飲んでも眠れない場合、生活習慣や睡眠・覚醒リズムが関係している可能性があります。
起床時刻や就寝時刻が日によって大きく異なる、長時間の昼寝をする、夜間に明るい光を浴びるといった生活が続くと、希望する時間に眠りにくくなる場合があります。
また、就寝直前の熱い湯での入浴、激しい運動、多量の食事、飲酒、カフェインなども、寝つきや睡眠の継続に影響します。不安や緊張が強く、「早く眠らなければ」と考え続けることが、かえって覚醒を高める場合もあります。
ただし、生活習慣を整えるだけで慢性的な不眠症が改善するとは限りません。不眠症に対しては、睡眠制限法や刺激統制法などを組み合わせた不眠症の認知行動療法が有効な場合があります。
生活習慣を見直しても不眠が続く場合は、主治医に治療方法を相談しましょう。
不眠症の原因について詳しく確認したい方は、下記の記事も参考にしてください。
睡眠薬を飲んでも眠れない時に考えられる病気とは?
生活習慣や就寝環境を見直しても、睡眠薬を飲んでも眠れない場合は、薬の使い方や不眠症そのものの治療方法を見直す必要があります。また、ほかの心身の病気や睡眠障害が関係している可能性もあります。
原因によって必要な治療は異なるため、自己判断で睡眠薬を増量したり、別の市販薬を併用したりせず、医療機関で相談することが大切です。
ここでは、睡眠薬を飲んでも眠れないときに考えられる病気を3つ紹介します。
うつ病
睡眠薬を飲んでも眠れない場合は、うつ病が関係している可能性があります。
うつ病の原因は完全には解明されておらず、心理的・社会的・身体的な要因などが複雑に関係し、脳の働きに変化が生じると考えられています。
主な症状には、気分の落ち込み、興味や喜びの低下、疲れやすさ、集中力の低下、食欲や体重の変化、不眠または過眠などがあります。夜中や早朝に目覚め、その後眠れなくなることもあります。
睡眠薬によって一時的に不眠が軽くなることはありますが、うつ病が関係している場合は、不眠だけでなく気分や意欲などを含めた治療が必要です。
気分の落ち込みや意欲の低下が続き、日常生活に支障が出ている場合は、精神科や心療内科などへ相談しましょう。「消えたい」「死にたい」と考えることがある場合は、一人で抱え込まず、早急に周囲の人や医療機関へ相談してください。
うつ病の人にみられる行動や、周囲が気づきやすい変化について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠薬を飲んでも途中で何度も目が覚める場合や、朝の休養感が得られない場合は、睡眠時無呼吸症候群が関係している可能性があります。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に気道が狭くなり、無呼吸や低呼吸を繰り返す病気です。呼吸を再開するたびに覚醒反応が起こるため、本人が自覚しないまま睡眠が分断されます。
肥満は主な要因の一つですが、肥満がなくても、小顎、舌が大きい、扁桃やアデノイドが大きいなど、気道の形態によって発症する場合があります。
主なサインには、大きないびき、睡眠中の無呼吸、夜間の頻尿、起床時の頭痛、日中の強い眠気などがあります。
治療では、体重管理、CPAP療法、マウスピース、手術などから、原因や重症度に合った方法を選択します。睡眠薬によって睡眠時の呼吸状態に影響が出る場合もあるため、いびきや無呼吸を指摘されている方は、処方医や睡眠外来などへ相談しましょう。
睡眠相後退症候群
睡眠薬を飲んでも眠れない時は、睡眠相後退症候群の可能性もあります。睡眠相後退症候群とは、入眠時間や起床時間が遅い時間にスライドしてしまう病気であり、つまりは普段寝る時間に目が冴えて眠れなくなってしまう病気です。
体内時計が乱れてしまうことが原因であり、普段の生活習慣の乱れや運動不足、不規則な食事摂取などによって体内時計は乱れるため、発症初期であればセルフケアで改善を見込めます。
一方で、症状が悪化するとなかなか自身では改善困難であり、睡眠外来などで専門的な治療が必要となるため、注意が必要です。
遅くなった睡眠リズムを整える方法について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
もしかしたら起立性調節障害かも
睡眠薬を飲んでも眠れず、朝起きられない、立ちくらみ、倦怠感、頭痛、動悸などの身体症状も続いている場合は、起立性調節障害が関係している可能性があります。
起立性調節障害は、起立時の血圧や心拍数などを調節する働きがうまく機能せず、さまざまな症状が現れる身体疾患です。思春期の子どもに多くみられますが、大人でも症状が続く場合があります。
主な症状には、朝起きられない、立ちくらみ、めまい、倦怠感、頭痛、腹痛、動悸などがあります。朝や午前中に症状が強く、午後になると軽くなる傾向があります。
起立性調節障害では、睡眠・覚醒リズムのずれや寝つきの悪さを伴うこともあります。ただし、不眠だけで起立性調節障害と判断することはできません。うつ病、睡眠時無呼吸症候群、睡眠・覚醒相後退障害など、ほかの原因も確認する必要があります。
睡眠薬を使用すると朝の眠気やふらつきが強くなる場合がありますが、必要性や薬の選択は症状によって異なります。自己判断で中止・減量せず、起床困難や立ちくらみなどの症状を処方医に伝えて相談しましょう。
起立性調節障害の治療では、病状への理解、水分や塩分の摂取、生活上の工夫などの非薬物療法を基本とし、必要に応じて薬物療法や学校・職場を含めた環境調整を組み合わせます。
気になる症状がある場合はセルフチェックを行い、必要に応じて医療機関を受診しましょう。
また、起立性調節障害は身体が急激に発達する時期に発症しやすいため、大人よりも子どもで発症しやすい病気です。
下記の記事では、子どもにおける起立性調節障害のセルフチェック方法を詳しく紹介しているため、ぜひ参考にして早期発見に努めましょう。









