なかなか眠れなかったり、夜中に目が覚めてしまうなど睡眠に問題を抱えている方は少なくないのではないでしょうか。
本記事では、不眠の原因について解説していきます。男女別の不眠の原因についてもご紹介していますので、是非参考にしてみてください。
不眠症の原因は大きく分けて5つ
寝室の環境が不適切であることなどの生活習慣に関するものから不眠症を伴う病気まで、眠れない原因は多岐にわたります。
不眠症の原因について主なものをご紹介していきます。
不適切な睡眠環境
睡眠には適した環境が重要です。いくら眠気があっても睡眠環境が不適切であれば、なかなか寝付けない、途中で眼が覚めてしまう、熟睡感がないなど睡眠障害を来します。
私たちを睡眠へと誘導する物質の一つにメラトニンがあります。メラトニンは脳内から分泌される睡眠と覚醒のバランスを司る物質であり、夜間、暗い状態で分泌が増えます。
したがって、寝室は暗くすることが重要です。その他、寝具、温度などについても適切に調整する必要があります。
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不適切な睡眠前の習慣
睡眠前のアルコール摂取やカフェイン摂取、睡眠直前の食事摂取は良質な睡眠を妨げる原因になります。ご存じの方も多いと思いますが、カフェインには覚醒作用があるので、夕方以降は摂取を控えた方が良いと考えます。
アルコールには睡眠導入のような作用がありますが、中途覚醒(夜中に目が覚めること)、早朝覚醒(朝予定前に目が覚めること)や熟眠障害(熟睡感がないこと)を来し、翌日倦怠感などの症状につながるためやはり睡眠前のアルコール摂取は控えることをおすすめします。
また、睡眠前のスマートフォン操作も快眠へ非常に悪影響を及ぼします。スマートフォンからはブルーライトが放たれ、睡眠を誘導するメラトニンの分泌量を低下させてしまいます。
スマートフォンはテレビなどとは異なり、眼からの距離が非常に近いためブルーライトを比較的大量に浴びることになってしまうことも問題です。
スマートフォンで動画を10分間見ることはカフェインが含まれているコーヒー5杯分程度の覚醒度があるとも言われており、夜間のスマートフォン操作は控えて頂く方が良眠につながると考えます。
不適切な早朝起床後の習慣
早朝起床後は窓を開け、新鮮な外気を取り入れ、日光を浴びることが重要です。日光を浴びることで睡眠のサイクルなどの体内時計をと問える作用があります。
そして、忙しい朝ではありますが、朝食は炭水化物やタンパク質を中心にバランス取れた食事を摂取できるとなおさら望ましいです。
うつ病
はっきりとした原因はわかっていませんが、精神的・身体的ストレスなどを背景に、脳の働きに何らかの不調が起きることで発症するとされています。
症状はメンタル不調から身体的な症状まで多様なものが見られます。具体的には、気分の落ち込み、何事にも興味が持てない、不安、食欲低下、疲れやすい、頭が重い・頭痛、首や肩のこりなどがありますが、やはり睡眠にも大きな影響を与えます。
寝つきが悪い状態から一睡もできない状態になるここでさらにうつ病の病状が悪化する可能性があります。無理しすぎず、特に体調・メンタルの不調が見られている場合は休息し、早期に医療機関を受診することも重要です。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に一時的に無呼吸になり、日中の眠気や集中力低下、身体のだるさなどが出現し、将来的には高血圧、心不全などの心血管系への影響もある病気です。
睡眠中は無呼吸のため、良質な睡眠が得られず睡眠障害を伴います。睡眠障害以外にも、日中の眠気・集中力低下、身体のだるさ、頭痛、熟眠感が無い、夜間のいびき・睡眠中の無呼吸を家族などから指摘されるなどの症状が目立ちます。
重要な会議中の居眠りや仕事や学業などでのケアレスミスが増える、運転中に居眠りしてしまうなど危険な状態に発展する可能性もあり早期治療が非常に重要です。
【男女別】不眠症の原因
DSM-5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th edition 1)によると、成人の約1/3が不眠症状をもっといるとされており、不眠の訴えの男女比は1:1.44でやや女性に多いようです。
男女別の不眠症の原因について明確にされているものはありませんが、考えられるものについてご紹介していきます。
男性における不眠症の原因
働き盛りの中高年代においては、食生活の乱れ、睡眠時間の変動、運動習慣の欠如などが不眠につながることが考えられます。
また、特に睡眠の質に関係する閉塞性睡眠時無呼吸症候群の有病率は男性が女性の2倍であると言われております。
女性における不眠症の原因
女性の睡眠は、年齢や特に初経開始からの色々なライフイベントに伴い変化していきます。妊娠・分娩、育児期、更年期とホルモンバランスの変化に伴い不眠症が見られます。
妊娠期では、つわりや腹部の圧迫感それに伴う頻尿などの不調に伴い睡眠障害を来しますし、出産後は頻回の授乳など育児で睡眠時間自体が不足、更年期には、ほてりや多汗などとともに不眠の訴えが出現します。
男性不眠症の原因で考えられる閉塞性睡眠時無呼吸症候群ですが、ベッドパートナーのいびき・無呼吸による不眠も女性は多く見られる傾向にあります。
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不眠症は自力で治る?
不眠症の原因や程度により自力で治せる状態もあれば、専門的な治療が必要な状態である可能性もあります。症状が長期間継続していたり、気になる症状がある場合は一度医療機関で相談されることをおすすめします。
不眠症が自力で治るかどうかについて、下記の記事で詳しく解説しているので是非ご一読ください。
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不眠症の治し方
上記でお話しましたように、不眠症の原因は大きく、生活習慣によるものと不眠を伴う疾患によるものも2つに大別されます。
したがって、生活習慣を見直すことが非常に重要です。不眠の原因がうつ病などの疾患である場合は、生活習慣を見直すと共に疾患を治療することで不眠症が改善されていきます。
下記の記事では不眠症の治し方について詳しく解説しているので是非ご一読ください。
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不眠症が続くとどうなる?
睡眠中は脳内の整理や身体の代謝活動の調整、身体を休ませるなど生命を維持するための重要な調整をしているため眠れない状態が継続すると次第に日常生活に支障を来す状態になっていきます。
具体的には以下のようなことが見られます。
- 日中の仕事や学業、家事などの作業に支障がある(疲労感がある、集中できない、よくミスをするなど)
- 日中の気分に変化がある(やる気がでない、イライラする、眠れないことへの不安、ストレスなど)
- 日中の強い眠気(会議中や運転中などに居眠りをしてしまうなど)
思わぬミスや事故につながる可能性もあるため、一度医療機関を受診することをおすすめします。
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不眠症と思っていたら起立性調節障害の場合もある
夜なかなか眠気が見られない、寝つきが悪く、朝起きることが困難であるなど不眠症と思いこんでいたら、実は起立性調節障害であることもあります。
起立性調節障害は自律神経に問題が起こることで見られる病気ですが、睡眠障害も来すことがしばしばあります。最も典型的な症状として、早朝の起床困難がありますが、それ以外にも、めまいやふらつき、立ちくらみ、頭痛、腹痛など実に様々な症状が見られます。
一般的には、起立性調節障害は思春期前後の子どもに多い病気ですが、大人でも見られることがあります。不眠やその他色々な体調不良に悩まされている場合は医療機関を受診するようにしましょう。
下記の記事では、起立性調節障害のセルフチェックについて解説しておりますので、是非ご一読ください。
>>起立性調節障害のセルフチェックリスト(子ども)|すぐにできる診断テスト
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