小学生のめまいは、成長や環境の変化にともなう一時的なものから、耳や脳、循環器などに関わる病気が原因となることもあります。
めまいは子ども自身がうまく言葉で説明できないことも多く、見過ごされやすいため、保護者や周囲の大人が注意深く様子を観察することが大切です。
本記事では、小学生のめまいの主な原因や関連する病気、対処法についてわかりやすく解説します。
小学生でめまいが続くのはなぜ?原因とは?
小学生でめまいが続く場合、いくつかの原因が考えられます。以下に代表的な原因を5つに分けて、わかりやすく説明していきます。
自律神経の乱れ
小学生の中でも特に思春期に近づく頃は、自律神経のバランスが乱れやすく、血圧の調整がうまくいかないことがあります。
朝起きたときや立ち上がったときにフラフラする、気分が悪くなるなどの症状が見られます。
耳の病気(内耳の異常)
耳の奥にある「内耳」は、バランス感覚を司る大事な場所です。
たとえば中耳炎、前庭神経炎、メニエール病などにより、めまいが起こることがあります。耳が痛い、聞こえにくいなどの症状があれば耳鼻科での診察が必要です。
貧血(鉄分不足など)
成長期の子どもは鉄分の需要が多く、相対的に鉄分が不足しがちです。
特に女の子は月経が始まると貧血になりやすくなります。貧血になると、酸素が脳に届きにくくなり、フラフラしたり立ちくらみが起きることがあります。
ストレスや精神的な原因
学校や家庭でのストレス、不安、いじめ、過度なプレッシャーなどが原因で「心因性のめまい」が起こることがあります。
体の病気ではなく、こころの不調からくる場合もあるので、子どもの様子を丁寧に観察することが大切です。
睡眠不足や生活習慣の乱れ
夜ふかし、ゲームのしすぎ、朝食を抜くなど、生活習慣の乱れも原因の一つです。
脳や体がしっかり休めていないと、日中にめまいや疲れを感じやすくなります。
小学生でめまいが続く場合の対処法とは?
小学生でめまいが続くときは、原因に合わせた「正しい対処」が大切です。ここでは、特に大切な対処法を3つにわけて、わかりやすく説明します。
【体をととのえる】生活リズムを見直そう!
めまいは、睡眠不足や朝ごはんを食べない、夜ふかしなどの生活習慣の乱れが原因になることがあります。
まずは以下のことを心がけてみてください。
- 夜は早めに寝る、夜更かしをしない
- 朝食をしっかり食べる
- ゲームやスマートフォン操作の時間を決める、就寝前は使用を控える
【体の不調をチェック】医療機関を受診する
めまいが何日も続いたり、耳が痛い・聞こえにくい・頭が痛い・ふらついて転びそうになるなどの症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
全体的な体調不良の場合は小児科、聴力の問題などがある場合は耳鼻科、精神的な不調もある場合は必要に応じて心療内科等へ受診してください。
【こころを休める】ストレスをためないことも大切!
めまいの原因が「こころのつかれ(ストレス)」の場合もあります。学校での人間関係、習い事、学業でのプレッシャー、部活動など、がんばりすぎてストレスになっているかもしれません。
「つらい」「しんどい」と思ったら、すぐに両親や学校の先生など大人に相談する、無理に学校に行かず、少し休むことも大切です。絵を描く、読書をする、散歩に出かけるなど、好きなことをしたり、軽い運動をしてリラックスする時間を作ると良いでしょう。
小学生でめまいが続く場合に考えられる病気とは?
小学生でめまいが続く場合、考えられる病気は大きく3つにわけられます。
耳からくるめまい
耳からくるめまいは、耳の奥(内耳)にあるバランスをとる器官に異常が起きることで生じます。
代表的な原因には、良性発作性頭位めまい症(耳石のずれ)、メニエール病(内耳の水ぶくれ)、前庭神経炎(バランス神経の炎症)などがあります。これらは、グルグル回るような強いめまいや、耳鳴り・耳のつまり感・難聴をともなうことがあります。
良性発作性頭位めまい症
この病気は、内耳にある小さな石(耳石)がずれてしまうことで、頭を動かしたときにグルグルとしためまいが一時的に起こるものです。寝返りをうったときや起き上がるとき、顔を上や横に向けたときに強く感じるのが特徴で、数秒から数分でおさまることが多いです。
大人に多い病気ですが、小学生にもまれにみられます。命に関わるものではありませんが、症状が強いときは耳鼻科を受診し、耳石を元の位置に戻す「頭位治療(めまい体操)」が効果的です。
脳からくるめまい
脳からくるめまいは、脳のバランスをつかさどる部分(脳幹や小脳など)に異常がある場合に起こります。めまいに加えて、手足のしびれ・ろれつが回らない・物が二重に見える・意識がぼんやりするなどの症状をともなうことがあります。
原因には脳腫瘍・脳梗塞・てんかん・偏頭痛などがあり、まれですが緊急の対応が必要なケースもあります。気になる症状があれば、すぐに医療機関を受診しましょう。
脳腫瘍
脳腫瘍は、良性のものと、悪性のものがあります。腫瘍が小脳や脳幹など、体のバランスをつかさどる部分にできると、めまいやふらつきが起こることがあります。めまいのほかにも、頭痛・吐き気・手足の動かしにくさ・視力の変化などをともなうことが多く、症状が徐々に進行していくことが特徴です。脳腫瘍はめまいの原因としてはまれですが、症状が長く続くときは検査が必要です。
循環障害からくるめまい
循環障害からくるめまいは、脳に十分な血液が届かなくなることで起こるタイプのめまいです。立ち上がったときにクラッとしたり、フラフラした感じになるのが特徴です。
原因には、低血圧・貧血・脱水などがあります。特に子どもの場合、朝起きたときや長時間立っていたあとに起こりやすく、一時的に視界が暗くなることもあります。多くは生活習慣の見直しで改善しますが、症状が続く場合は医療機関での確認が必要です。
貧血
貧血は、体の中の赤血球やヘモグロビンが少なくなり、酸素が全身に十分に運ばれなくなる状態です。
子どもの場合は、鉄分不足(鉄欠乏性貧血)が原因で起こることが多いです。貧血になると、立ちくらみ・めまい・顔色が悪くなる・息切れ・だるさなどの症状が出ます。
特に立ち上がったときや朝にクラッとするようなめまいを感じやすくなります。食事で鉄分をとることや、必要に応じて医師の指導で鉄剤を使うことが治療の基本です。
もしかしたら起立性調節障害かも
特に思春期の子どもがめまいを訴えている場合、もしかしたら起立性調節障害かもしれません。
起立性調節障害は、自律神経である交感神経と副交感神経の働きが乱れることで、立ち上がったときに血圧や脈拍の調整がうまくいかず、脳への血流が一時的に減ってしまう病気です。上記の説明の中で言うと、循環障害からくるめまいに分類されます。特に小学生から中学生に多くみられ、成長期の体の変化やストレスが関係していると考えられています。
この病気では、朝起きたときにフラフラする、立ち上がるとめまいがする、動悸がする、頭がぼーっとする、疲れやすいといった症状がよく見られます。午後には症状が軽くなる傾向があり、「朝に弱い子」と思われがちですが、本人にとってはつらい状態です。
めまいはこの病気の代表的な症状のひとつで、特に立ちくらみやふらつき、目の前が暗くなるような感覚としてあらわれます。
気になる場合は、一度セルフチェックをしてみてください。起立性調節障害のセルフチェックに関しては、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。