起立性調節障害とは

起立性調節障害の子供は通信制、定時制、全日制のどこに進学がいい?メリット・デメリットを解説

2022年8月18日

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

 

起立性調節障害のお子さんは起床時が最大の難関と言われており、起床後も特に午前中は体調がすぐれないことが多いです。学校に遅れてしまったり、午後からの登校になってしまうことも少なくありません。

遅れて登校することに引け目やストレスを感じてしまったり、学校の先生や同級生に理解してもらえずに怠け者と思われてしまっていると感じることで、次第に学校に行かなくなってしまうお子さんもいます。

この様な場合、親御さんは非常に心配になってしまい、多方面で焦りや不安が多いことと思います。

起立性調節障害好発年齢である、小学生高学年~高校生にかけてのお子さんは、学生であるため、学業の遅れが大きな心配のポイントになると思います。ご本人はさることながら、親御さんは非常に心配になるのではないでしょうか。受験を控えておれば、なおさらです。

本記事では、毎日皆と同じように登校し、学校で学ぶことのできない起立性調節障害のお子さんにどの様な選択肢があり、治療との両立という観点も含め解説していきます。

日本の高校は全日制、定時制、通信制の3種類あり、それぞれの違いを解説するとともに、起立性調節障害のお子さんが自分に合った学習環境、方法を選択できることが目標です。

 

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全日制高校のメリット、デメリット

全日制高校とは、小学校や中学校と同様に朝登校し、1日5〜6時間の授業を受けます。毎日「50分授業×6時間」の時間割が組まれ、クラス全体で同じ授業を受けます。定期試験や出席日数により基準を満たすことで進級ができる学年制になっています。

<メリット>
クラスメイトと学校時間を過ごすため、
・多くの友達を作ることができる。
・学校行事や部活動に参加することでも高校生活を充実させることができる。

毎日朝定時に登校するため、
・規則正しい生活リズムを保てる。

<デメリット>
症状が安定しない起立性調節障害のお子さんにとってはデメリットが大きいかもしれません。
・朝早くの登校に毎日ついていくことができず、遅刻が増え、ストレスになり症状が悪化する可能性がある。
・特に午前中など、参加できない授業も多く、学業の遅れが見られることがある。
・学力や出席日数によって留年の可能性がある。

通信制高校のメリット、デメリット

全日制、定時制、通信制のうち、最も自分のスタイルに合わせて学習や登校を決定できるのが通信制です。通学の回数やタイミングを自分で決めることができるほか、あらかじめ決められた合宿などへ参加することで卒業を目指します。

単位制であることが多く、レポート作成をしたのちに、テストを受け単位を取得することになります。入学は4月、9月のところが多く、随時新入生を募集しているところも多いです。

学習スタイルに関しては、自学自習を基本スタイルとし、それぞれのペースで学習することができ、卒業までの期間もそれぞれです。自学自習になるため、サポート校といい、卒業に必要とされる単位取得や進級、レポート作成などをサポートしてくれる、卒業に向けた学習支援を行う民間の教育施設のサポートがあります。このサポートを最大限に活用し、卒業に向け自分のペースで学習することができます。

<メリット>
・自分のペースで学習できる。
・登校日が少なく、スポーツ、体調面などとの両立が可能。
・さまざまな事情を持つ生徒に対し、サポート体制が整っている。

<デメリット>
・自分で学習計画を立て、コツコツ進める必要がある。
・人と関わる機会が減る可能性がある。

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定時制高校のメリット、デメリット

全日制高校と同様、毎日学校に通い1日4時間程度の授業を受けます。全日制高校との違いとして、定時制高校では全日制高校とは異なる時間帯にも授業を受けることができます。時間帯によって、夜間定時制、昼間二部定時制、三部制の様に分けられています。

<メリット>
・自分の都合に合った時間帯で学ぶことができる。
症状が落ち着く午後の時間帯を選択して通うことで、学校に遅刻してしまうという不安からも解放され、比較的ストレスがかかることなく通学できることが多いです。

・様々な事情がある生徒が多いため、自分の事情も理解を得られやすい。
高校を中退した方やすでに就労している方、もともとは不登校だったというように、それぞれ様々な背景を持っていることが多く、中には起立性調節障害のお子さんもいるかもしれません。病気や気持ちを理解してもらえる可能性もあるかもしれません。

・就職に向けたサポートが充実している傾向にある。
全日制高校よりも就職率が高いこともあり、就職に向けたイベントや講座を学校で行っていることも多いです。

<デメリット>
・進学に向けたサポートが手薄な傾向にある。
全日制高校に比べ、大学・専門学校進学率は約30%です。進学サポートに関しては、学校にもよりますが、受験対策講座などを行っている学校もあり、進学を希望の場合は、事前に学校説明会などで確認しておくとよいでしょう。

・中途退学率が高い。
文部科学省によると、3種類の高校のうち、定時制高校の中途退学率が9.4%と最も多かったです。原因は、学校に適応できなかったり、進路変更など様々なようです。自分がこの学校に適応できるか、あらかじめ見学など学校の雰囲気を感じることが重要かもしれません。

まとめ

全日制、定時制、通信制それぞれの特徴や違いについて解説してきました。友達付き合いや学習のペースなどをどの様にしていきたいか、また症状とも相談しながら学校を選択しましょう。

学校説明会で校風や色々な講習会、イベントなどの学校生活環境について事前に確認に、気になることは何度も確認することで少しでも不安なく登校できることが望ましいです。

下記記事では「起立性調節障害の子供に対して親御さんができること」をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

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【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
小児心身医学会ガイドライン

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