朝なかなか起き上がることができないことはありませんか?
寝たはずなのに、体がだるく、重たい、寝起きがすっきりせず、体が動かないことはありませんか?
この記事では寝起きが悪く、朝体が動かない原因、病気の可能性や対処方法などについて解説していきます。
朝起きられず体が動かない状態が続く場合、起立性調節障害が関係していることもあります。
朝起きられない症状や立ちくらみ、倦怠感などを伴う場合は、起立性調節障害のセルフチェックも参考にしてください。
朝、体が動かないときの原因
朝に体が動かないと感じる背景には、睡眠不足や生活リズムの乱れ、体内時計のずれなどが関係していることがあります。睡眠時間だけでなく、眠る時間帯や睡眠の質も確認することが大切です。
睡眠不足や不規則な生活
夜勤や夜更かしなどによって生活時間が不規則になると、体内時計と実際の睡眠時間にずれが生じることがあります。睡眠時間を確保していても、眠る時間帯や睡眠の質によっては、起床時に強い眠気やだるさが残る場合があります。
また、多忙によって食事や就寝・起床の時間が日によって大きく異なると、睡眠と覚醒のリズムが乱れやすくなります。短い睡眠が続けば十分な休養が取れず、疲労感や集中力の低下などにつながることもあります。
ただし、睡眠不足や生活リズムの乱れだけでなく、低血圧、睡眠時無呼吸症候群、甲状腺や副腎の病気、心の不調などが関係する場合もあります。生活を整えても症状が続く場合は、ほかの原因も考えることが大切です。
体内時計と光の影響
私たちの体には、睡眠と覚醒、体温、ホルモン分泌などを約24時間の周期で調節する「体内時計」が備わっています。体内時計による覚醒作用と、起きている間に蓄積する睡眠欲求が組み合わさることで、眠気や目覚めのタイミングが調節されています。
メラトニンは、体内時計と環境の光によって分泌が調節されるホルモンです。通常は夜間に分泌が高まり、朝から日中には低下します。
夜間に明るい照明やスマートフォンなどの光を長時間浴びると、メラトニンの分泌や体内時計に影響することがあります。一方、起床後から日中に明るい光を浴びることは、睡眠と覚醒のリズムを整えるうえで役立ちます。
ただし、朝に光を浴びるだけですべての起床困難が改善するわけではありません。生活リズムを整えても朝に体が動かない状態が続く場合や、学校・仕事に支障が出ている場合は、医療機関へ相談しましょう。
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朝、体が動かないときに考えられる病気とは
朝に体が動かない感覚には、強い眠気やだるさで動き出せない場合と、筋力が入らず実際に体を動かせない場合があります。
突然、片側の手足が動かなくなった、ろれつが回らない、意識がもうろうとする、胸痛や呼吸困難がある場合は、速やかな受診が必要です。
それ以外でも、症状が長く続いて生活に支障が出ている場合は、内科やかかりつけ医などへ相談しましょう。子どもであれば小児科も選択肢になります。
低血圧
血圧が低くても症状がない人はいますが、体質や脱水、薬の影響などによって、立ちくらみ、めまい、だるさ、頭痛などが現れることがあります。
特に、横になった状態から起き上がったときに症状が強くなる場合は、起立時の血圧や心拍数の調節が関係している可能性があります。
朝の症状を繰り返す場合は、低血圧だけでなく、貧血や起立性低血圧、起立性調節障害なども含めて確認することが大切です。
起立性低血圧の主な症状や、起立性調節障害との違いについて詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
低血糖
低血糖は、血液中のブドウ糖が必要以上に低下した状態です。冷や汗、手の震え、動悸、強い空腹感、ふらつき、集中力の低下などが現れ、重い場合には意識障害やけいれんを起こすこともあります。
特に、インスリンや一部の糖尿病治療薬を使用している人では、薬の作用や食事量、運動などの影響で低血糖が起こることがあります。
糖尿病治療を受けていない人が同様の症状を繰り返す場合は、低血糖と自己判断せず、医療機関で原因を確認しましょう。
副腎機能不全
副腎機能不全は、副腎皮質から分泌されるコルチゾールなどのホルモンが不足する病気です。副腎自体の病気だけでなく、副腎を調節する下垂体の病気や、ステロイド薬の急な中止などが原因になることもあります。
全身の強い倦怠感、食欲不振、体重減少、低血圧、吐き気、腹痛などが現れ、低血糖や電解質異常を伴う場合もあります。
発熱や感染症、外傷などをきっかけに症状が急激に悪化し、血圧低下や意識障害を起こす「副腎クリーゼ」に至ることもあります。強い倦怠感に加えて嘔吐や意識障害などがある場合は、速やかな受診が必要です。
睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が繰り返し止まったり浅くなったりする病気です。睡眠が分断されるため、十分に寝たつもりでも、朝に疲れが残る、体が動かない、頭痛がする、日中に強い眠気が出るといった症状が現れます。
大きないびき、睡眠中の無呼吸、起床時の口の渇きなども確認のポイントです。
治療せずに経過すると、高血圧や心臓・脳血管の病気などのリスクに影響する場合があります。家族からいびきや無呼吸を指摘されている場合は、医療機関へ相談しましょう。
うつ病
はっきりとした原因はわかっていませんが、精神的・身体的ストレスなどを背景に、脳の働きに何らかの不調が起きることで発症するとされています。
気分が落ち込み、何事にも興味が持てなくなり、食欲低下や睡眠障害を来し、疲れやすく、日常生活に支障をきたす場合も多い病気です。
朝体が動かないことの原因になることも十分に考えられます。
朝、体が動かない場合の治療法
まずは睡眠時間や就寝・起床時刻、日中の眠気、体調を簡単に記録してみましょう。起床後から日中に明るい光を浴び、夜間は強い照明や画面の光を減らすことも、生活リズムを整えるうえで役立ちます。
ただし、無理に早起きを続けることで睡眠不足が悪化する場合もあります。生活習慣を見直しても改善しない場合や、学校・仕事などに支障が出ている場合は、医療機関へ相談してください。
病気が関係している場合は、それぞれの原因に応じた治療が必要です。
低血圧の場合
起き上がるときは、横になった状態から座位、立位へと段階的に体を起こしましょう。脱水によって症状が悪化することがあるため、日中はこまめな水分補給も意識します。
塩分を増やす方法が適しているかどうかは、持病や血圧の状態によって異なります。高血圧や心臓病、腎臓病などでは制限が必要な場合もあるため、自己判断で増やさず医師へ相談してください。
低血糖の場合
糖尿病治療中の人に低血糖の症状が現れた場合は、あらかじめ医師から説明されている方法でブドウ糖などを摂取します。薬やインスリンの量を自己判断で変更せず、低血糖を繰り返す場合は主治医へ相談してください。
意識がもうろうとしている人に無理に飲食させるのは危険です。意識障害やけいれんがある場合は、速やかに救急要請を検討してください。
日常生活では、朝食を含めて規則的に食事を取り、食事量が極端に少なくならないようにしましょう。
副腎機能不全の場合
副腎機能不全では、不足している副腎皮質ホルモンを補うために、ヒドロコルチゾンなどのステロイド薬を使用します。必要な薬の種類や量は、原因や検査結果に応じて医師が判断します。
発熱や感染症、嘔吐、下痢、外傷などがあるときは、通常より多くの薬が必要になる場合があります。
体調不良時の服用方法は、あらかじめ主治医と確認しておきましょう。嘔吐によって薬を飲めない、強い倦怠感や血圧低下、意識障害がある場合は、副腎クリーゼの可能性があるため、速やかな受診が必要です。
睡眠時無呼吸症候群の場合
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、自宅や医療機関で睡眠中の呼吸状態を調べる検査を行います。
治療では、肥満が関係している場合の体重管理や飲酒習慣の見直しに加えて、症状の程度に応じてCPAPやマウスピースなどを使用します。鼻や喉の状態によっては、耳鼻咽喉科での治療や手術が検討されることもあります。
うつ病の場合
うつ病の治療では、十分な休養や環境調整を行い、症状に応じて心理療法や抗うつ薬などを組み合わせます。
本人に無理に普段どおりの活動を求めるのではなく、生活への影響や本人のつらさを確認しながら治療を進めることが大切です。
もしかしたら起立性調節障害かも
朝に体が動かない状態には、睡眠不足や生活リズムの乱れだけでなく、起立時の血圧や心拍数の調節が関係していることもあります。
起立性調節障害は、立ち上がったときの血圧や心拍数などを調節する働きがうまく機能せず、立ちくらみ、めまい、倦怠感、頭痛、吐き気、腹痛などが現れる身体疾患です。
思春期に発症しやすく、朝や午前中に症状が強く、午後になると軽くなる傾向があります。成人になっても症状が続く場合や、大人に起立時の循環調節の不調がみられる場合もあります。
ただし、朝に体が動かないという症状だけで、起立性調節障害と判断することはできません。睡眠時無呼吸症候群、甲状腺機能低下症、副腎機能不全、うつ病など、ほかの病気が関係している可能性もあります。
朝に体が動かない状態に加えて、次のような症状が続く場合は、年齢にかかわらず医療機関へ相談しましょう。受診先に迷う場合は、まずは内科やかかりつけ医に相談し、子どもであれば小児科を受診することも選択肢になります。
- 朝起きられず、午前中に調子が悪い
- 立ち上がるとめまいや動悸が起こる
- 長時間立っていると気分が悪くなる
- 横になると症状が軽くなる
診断では、症状の確認やほかの病気の除外に加えて、必要に応じて起立時の血圧・心拍数の変化を調べる新起立試験などが行われます。
気になる症状を整理しておきたい方は、下記の起立性調節障害のセルフチェックを参考にしてください。
【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)
日本消化器病学会ガイドライン
日本甲状腺学会 甲状腺機能低下症の診断ガイドライン
日本内分泌学会 副腎クリーゼを含む副腎皮質機能低下症の診断と治療に関する指針
日本うつ病学会治療ガイドライン
日本呼吸器学会 睡眠時無呼吸症候群の診療ガイドライン2020








