思春期は、心と体が大きく変化し、大人へと成長していく時期です。学校生活や人間関係、受験、家庭環境などの変化も重なり、心の不調が現れることがあります。
この記事では、思春期のうつ病について、症状の現れ方や重症度の目安を解説します。
朝起きられない、頭痛、めまい、強いだるさなど、うつ病と似た症状が起立性調節障害でみられる場合もあります。症状だけで判断せず、体の病気も含めて確認することが大切です。
気になる症状を整理しておきたい方は、下記の起立性調節障害のセルフチェックも参考にしてください。
思春期に起こるうつ病の症状
思春期の子どもにも、大人と同じようにうつ病がみられることがあります。ただし、気分の落ち込みだけでなく、イライラや怒りっぽさ、頭痛や腹痛などの身体症状として現れることもあります。
主な症状として、以下のようなものがあります。
- 気分が落ち込む、イライラする、これまで楽しめていたことに興味が持てない
- 食欲や体重が変化する、眠れない、寝すぎる、疲れやすい
- 集中できない、自分に価値がないと感じる、死にたい・消えたいと思う
厚生労働省では、このうち「気分の落ち込み」または「興味や喜びの低下」を含む5つ以上の症状が2週間以上続いている場合は、専門家への相談を勧めています。
ただし、症状の数だけでうつ病と診断することはできません。症状の程度や続き方、学校生活や家庭生活への影響、身体疾患やほかの心の病気の可能性などを含め、医師が総合的に判断します。
小学生の場合
小学生は、自分の気持ちや症状をうまく言葉にできず、頭痛や腹痛、食欲低下、登校しづらくなるといった形で不調が現れることがあります。
落ち込んでいるように見えるとは限らず、怒りっぽくなる、イライラする、家族に強く反発するなど、行動の変化が目立つ場合もあります。
ただし、こうした変化は、学校での悩みや発達上の特性、体調不良などでも起こります。一つの行動だけでうつ病と判断せず、以前との違いや変化が続いている期間に注目しましょう。
中学生・高校生の場合
中学生・高校生では、これまで楽しんでいたことに興味を持てない、気分が晴れない、疲れやすい、集中できないといった症状がみられることがあります。
睡眠については、眠れないだけでなく、寝すぎる場合もあります。
学校や塾の人間関係、学業、受験などの負担が症状に影響することもありますが、原因を一つに決めつけることはできません。
学校を休む日が増えた、成績が急に低下した、友人との交流を避けるようになったなど、以前と異なる状態が続く場合は、本人を責めずに相談先を検討しましょう。
うつ病のときにみられやすい行動の変化や、周囲が気づきたいサインについて詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
思春期に起こるうつ病の初期症状
うつ病の典型的な初期症状というものはなく、思春期も大人と同じです。
しかし、一つの特徴としては、日常生活のサイクルに影響が出てくることが言えます。つまりは食事や睡眠への影響です。食欲が出なかったり、夜なかなか寝付けない、何度も起きてしまうなどの症状が見られる可能性が高いです。
また、対象のない漠然とした不安が生じることが多いです。不安のため、動悸や呼吸困難感、腹痛や頭痛などの身体的な症状としても現れます。
不安によっても食欲低下や不眠につながるため、日常生活のサイクルに影響が見られ始めている場合、うつ病の初期の可能性があると考えられます。
思春期に起こるうつ病の軽症の例
うつ病の軽症では、朝起きづらい、寝つきが悪い、頭痛や腹痛がある、体のだるさが続くなど、原因を特定しにくい不調がみられることがあります。
学校へ通ったり、普段の活動を続けたりできる場合もありますが、本人は強い負担を感じながら無理をしている可能性があります。「学校へ行けているから大丈夫」と考えず、以前との変化や本人のつらさを確認することが大切です。
思春期に起こるうつ病の中等症の例
中等症になってくると、不眠や食欲の低下など日常生活のサイクルへの影響が強く見られ、無理がきかなくなり、少しずつカバーができなくなっていきます。
気分がはれず、興味がわかない、以前興味があったものに対しても特に感情がわかない、何をするにも集中できず、手につかないなどの症状が見られ、友達付き合いがおっくうになり、団体生活に支障を来し始めます。
次第に引きこもりがちになり、学校に行かない日(行けない日)が目立つようになっていくこともあります。中等症になると、家族も異変に気付き始めます。
思春期に起こるうつ病の重症の例
重症になると、食事や睡眠、着替え、入浴などの日常的な行動が難しくなり、学校生活や家庭生活に大きな支障が出ることがあります。
食欲の大きな変化
食欲が著しく低下し、好きだったものも食べられなくなったり、体重が減少したりすることがあります。一方で、食欲が増えて体重が増える場合もあります。
食事や水分をほとんどとれない状態が続く場合は、早めの受診が必要です。
強い意欲の低下
これまで興味を持っていたことを楽しめなくなり、着替えや入浴、部屋の整理なども難しくなることがあります。周囲からは怠けているように見える場合がありますが、本人の意思だけでは動けないこともあります。
深刻な睡眠の変化
ほとんど眠れない、夜中や早朝に何度も目が覚める、反対に長時間眠り続けるなどの変化がみられることがあります。
特に注意が必要なのは、「死にたい」「消えたい」「自分はいないほうがよい」といった言葉や、自傷行為がみられる場合です。否定したり説得したりせず、本人を一人にしないようにして、速やかに医療機関へ相談してください。
今すぐ自分を傷つける可能性がある、具体的な方法や計画を話しているなど、命の危険が迫っている場合は、危険なものを本人から遠ざけ、119番や救急医療機関へ連絡してください。
よくある質問
思春期の心の病気は?
思春期は身体的にも、周りの環境も変化が大きいため、精神的にも不安定になりやすいため、様々な心の病気にかかることがあります。うつ病以外にも、不安障害、摂食障害、統合失調症などがあります。
うつ病の前兆は?
寝つきが悪い、頭痛や腹痛が見られる、体がだるいなど、うつ病の初期ははっきりした症状がないため、なかなかうつ病と察知することは難しいと思います。
しかし、食事、睡眠など生活サイクルに影響を与えかねない症状が見られている場合は少し注意して休養する方が良いでしょう。
子どものうつ病の特徴は?
特に低学年の場合、症状を具体的に表現することができないため、怒りっぽく、すぐにイライラしてしまうことが症状で見られる場合があります。
うつ病になる人の特徴は?
うつ病は、特定の性格の人だけが発症する病気ではありません。一般に「真面目な人がなりやすい」といわれることがありますが、性格だけで発症を判断することはできません。
体質的な要因、生活環境、心身の負担など、複数の要因が関係すると考えられています。性格を原因として本人や家族を責めないことが大切です。
もしかしたら起立性調節障害かも
朝起きられない、午前中は動けない、強いだるさがあるといった状態から、うつ病を心配する方もいるかもしれません。
一方で、朝の起床困難に加えて、立ちくらみ、めまい、頭痛、腹痛、動悸などがあり、午後になると少し楽になる場合は、起立性調節障害が関係している可能性もあります。
起立性調節障害は、立ち上がったときの血圧や心拍数の調整がうまく働かず、さまざまな不調が現れる病気です。思春期に多くみられ、症状によって登校や日中の活動が難しくなることがあります。
ただし、うつ病と起立性調節障害は症状の一部が似ているだけでなく、両方が関係する場合もあります。朝に症状が強いという特徴だけで見分けることはできません。
起立性調節障害とうつ病にみられる症状の違いや、見分ける際のポイントについて詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
気分の落ち込みや興味の低下が続く場合、朝の体調不良によって学校生活に支障が出ている場合は、小児科や児童精神科などの医療機関へ相談しましょう。
気になる症状を整理しておきたい方は、下記の起立性調節障害のセルフチェックを参考にしてください。








