起立性調節障害とは

起立性低血圧の症状とは?子ども・大人別に出やすい症状を解説

2023年11月29日

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医
2018年から起立性調節障害患者の診療を行い、累計30人以上の起立性調節障害患者を担当。

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

 

「朝起きた時にめまいがする」「立ち上がったときに立ちくらみがする」といった症状を経験されたことはありませんか?

これらの症状は、起立性低血圧が原因かもしれません。この記事では、起立性低血圧の主な症状について解説していきます。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

起立性低血圧の症状

起立性低血圧は、起き上がったり、立ち上がったりするときに血圧が急激に低下する状態です。これは、血圧が適切に調節されないために起こります。

まず、起床時や起立時にどの様に血圧が調整されているかご説明します。

長時間座っていると、重力の影響で血液は下肢に溜りやすいい状態になっています。この状態から立ち上がる場合、重力に逆らって心臓へ血液を戻す必要があります。

そして、何の調整もなされなければ立ち上がった後に心臓へ血液が戻りにくく、脳への血流不足からめまいや立ちくらみなどの症状が出現します。

私たちが問題なく立ち上がることができるのは、身体が適切な調整を行っているからです。座っている状態から立ち上がる際に、重力に逆らって血液を心臓へ戻すために、大きく以下の2つの調整を行っていまうす。

  1. 下肢の筋肉のポンプ力を駆使している
  2. 交感神経を活性化させ、下肢の血管を収縮させる

何らかの原因で、これらの調整ができないと、起立性低血圧の状態になってしまいます。

以下に、起立性低血圧の一般的な症状をご紹介します。

  • めまいやふらつき: 立ち上がるときに急激な低血圧が原因で、めまいやふらつきが生じることがあります。
  • 失神: 一部の人は、起立性低血圧によって意識を失うことがあります。これは、脳に十分な酸素が供給されないために起こることがあります。
  • ぼんやりとした感じ: 立ち上がった瞬間に視界がぼんやりすることがあります。
  • 吐き気や嘔吐: 血流が不足することにより、胃などの臓器に十分な酸素が行き渡らないことがあり、吐き気や嘔吐が起こることがあります。
  • 冷汗: 低血圧の影響で、冷汗が出ることがあります。
  • 疲労感: 血圧が低いままだと、体全体に十分な酸素や栄養が供給されない可能性があり、疲労感を引き起こすことがあります。

子どもで特に多い症状

上記でご説明したどの症状も見られますが、子供では特に以下の症状が見られる可能性があります。

  • 立ち上がるときのめまいやふらつき
  • 立ちくらみ:立ち上がるときや急な動作の後に頭がくらくらすることがあります。
  • 倦怠感:起立性低血圧が原因でエネルギー不足や倦怠感が現れることがあります。
  • 学業や運動の障害:低血圧によって十分な酸素が脳に供給されない場合、集中力が低下し、学業や運動のパフォーマンスに影響を与える可能性があります。
  • 不安や落ち着きのなさ:低血圧が不快な症状を引き起こすことで、子供が不安や落ち着きのなさを感じることがあります。

大人で特に多い症状

大人でもどの症状も出現しますが、特に注意する症状として以下のものをご紹介します。

  • ぼんやり感や視力の変化:立ち上がると視界が暗くなったり、ぼんやりしたりすることがあります。
  • 吐き気や嘔吐:血流が不足することで、胃などの臓器に十分な酸素が供給されないため、吐き気や嘔吐が生じることがあります。
  • 疲労感:低血圧のために体全体に十分な酸素や栄養が行き渡らない場合、疲労感が生じることがあります。
  • 心拍数の増加:起立性低血圧の際に、心臓が急激に働かざるを得なくなり、心拍数が増加することがあります。
  • 冷汗:低血圧によって交感神経が活性化され、冷たい汗が出ることがあります。

起立性低血圧と似た症状の病気

上記でお話ししましたように、起立性低血圧の症状は主にめまいやふらつき、失神、悪心・嘔吐、倦怠感や疲労感などがあります。

立ちくらみがあり起立性低血圧と思っていたら実は別の病気だったということもよくあります。これらの症状を来す別の疾患について解説していきます。

貧血

立ちくらみを来す良く知られた病気の一つが貧血です。貧血は、血液中のヘモグロビンや赤血球の量が不足することによって引き起こされる状態を指します。ヘモグロビンは、酸素を肺から体の各部に運び、二酸化炭素を体外に排出する役割を果たしています。赤血球は、このヘモグロビンを含む細胞で、酸素を運ぶ役割を担っています。

貧血になると、酸素の運搬が不足し、身体の各組織や臓器が十分な酸素を受け取れなくなります。これによって立ちくらみ、倦怠感、息切れ、めまい、頭痛などの症状が現れることがあります。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

低血糖症

低血糖症は、血糖濃度が異常に低下する状態を指します。正確な血糖値の範囲は個人差がありますが、一般的に空腹時血糖は70〜100 mg/dL前後です。

低血糖症は、血糖値がこの範囲を下回るときに発生します。主な原因としては、血糖を上げるための機能が不足したり、血糖を急激に消費する状況が生じたりすることです。

例えば、食事量の不足、過剰な運動、血糖降下薬が効きすぎているなどが考えられます。症状は、めまいやふらつき、冷汗、疲労感、失神など起立性低血圧の症状とよく似ています。

不整脈

不整脈は、心臓の正常なリズムや頻拍が乱れた状態を指します。通常、心臓は一定のリズムで収縮と拡張を繰り返すことで、血液を体中に送り出しています。

しかし、不整脈が発生すると、このリズムが乱れる、十分に血液を拍出することができない可能性があります。さまざまな原因によって不整脈は引き起こされますが、一般的には心臓病、狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患、喫煙、ストレス、過度の飲酒、または一部の薬物の使用が含まれます。

また、心臓の構造的な異常や先天性の心臓異常も不整脈の原因となることがあります。不整脈の症状には、動悸、息切れ、胸痛の他、起立性低血圧にも見られるめまい、失神などがあります。

起立性低血圧の改善には自律神経を整えることが重要

起立性低血圧は、特に急に立ち上がるときに血圧が低下し、めまいやふらつき、失神などの症状が現れる状態ですが、これには自律神経系の調節が大きく関与していることがあります。

自律神経系は交感神経と副交感神経から成り立っており、これらが心臓の動き、血圧、血管の収縮拡張などをコントロールします。自律神経のバランスが乱れると心臓の動き、血圧調整、血管の収縮拡張などをうまくコントロールすることができず、起立性低血圧の状態になりやすく、また症状も悪化しやすいです。

したがって、自律神経を整えることが非常に重要になります。自律神経を整える方法は一般的に下記の方法があります。

  • 体位の工夫
  • 適切な塩分、水分の摂取
  • 適切な運動
  • 規則正しい食事
  • 深呼吸やリラクセーション

自律神経を整えるには乳酸菌を効率よく摂取しましょう

最近よく話題になっている乳酸菌ですが、実は自律神経を整えることにも有効である可能性があります。一般的に、乳酸菌は、腸内環境に良い影響を与えることが知られおり、直接的に自律神経を整えるわけではありません。

しかしながら、腸内細菌叢(腸内フローラ)が神経系に影響を与えることが研究されており、一部の研究では、腸内細菌叢の調整が自律神経のバランスに良い影響を与える可能性があることが示唆されています。

そのため、乳酸菌やプロバイオティクスを摂取することが、腸内環境を改善し、自律神経のバランスを整えてくれる可能性があります。

以下の記事では、乳酸菌を効率良く摂取する方法についてご紹介しておりますので、是非ご一読ください。

https://odod.or.jp/products/lactic/

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【参考文献】
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