立ち上がった際にクラッとする「立ちくらみ」や、身体がフワフワするような「めまい」を経験したことはありませんか。
立ちくらみとめまいは、どちらも日常的に使われる言葉であり、症状の感じ方や表現には個人差があります。
一般的に立ちくらみは、立ち上がったときに目の前が暗くなったり、意識が遠のいたりする感覚を指します。一方、めまいには、周囲が回る感覚や身体が揺れる感覚など、などさまざまな症状が含まれます。
症状の現れ方によって考えられる原因や受診する診療科が異なるため、違いを把握しておくことが大切です。
この記事では、立ちくらみとめまいの違いや、それぞれの主な原因、受診する診療科などについて解説します。
立ちくらみやめまいが続く場合、起立性調節障害が関係していることもあります。
朝起きられない症状や立ちくらみ、倦怠感などを伴う場合は、下記のセルフチェックも参考にしてください。
「立ちくらみ」と「めまい」の違いとは?
立ちくらみとめまいは、日常会話では同じような意味で使われることもありますが、症状が現れる状況や感じ方には違いがあります。
それぞれの症状について解説します。
立ちくらみ
立ちくらみとは、横になった状態や座った状態から立ち上がったときに、目の前が暗くなったり、頭がクラッとしたりする感覚です。
立ち上がった際に血圧が低下し、脳への血流が一時的に減少することで起こります。数秒程度で治まることが多いものの、症状が強状がい場合は意識が遠のいたり、失神したりすることもあります。
起立性低血圧や脱水、薬剤などが主な原因ですが、貧血や不整脈などが関係している場合もあります。
立ち上がったときに繰り返し立ちくらみが起こる場合は、起立性低血圧の可能性もあります。起立性低血圧のセルフチェックについては、下記の記事も参考にしてください。
めまい
めまいとは、周囲や自分が回っている、身体が揺れている、足元がふわふわするといった感覚の総称です。
主な症状の現れ方には、周囲や自分が回るように感じる「回転性めまい」や、身体が揺れる、ふわふわすると感じる「浮動性・動揺性めまい」などがあります。
めまいは、立っているときだけでなく、座っているときや横になっているときにも起こります。ただし、良性発作性頭位めまい症のように、寝返りや起き上がりなど、頭の位置を変えたときに起こるものもあります。
一般的に、立ち上がったときに目の前が暗くなったり、意識が遠のいたりする場合は立ちくらみが考えられます。
一方、周囲が回る、身体が揺れるといった感覚がある場合は、内耳や脳などが関係するめまいの可能性があります。
ただし、症状の表現には個人差があるため、感じ方だけで原因を判断することはできません。
立ちくらみ・めまいの原因とは?
立ちくらみは、主に立ち上がったときに目の前が暗くなったり、意識が遠のいたりする症状です。
一方、めまいには、周囲が回るように感じる回転性めまいや、身体が揺れるように感じる浮動性・動揺性めまいなどがあります。頭を動かしたときに現れるめまいもあれば、体勢にかかわらず続くめまいもあります。
立ちくらみは起立時の血圧低下や脱水など、めまいは内耳や脳の病気などが主な原因となりますが、両方に共通する原因もあります。
ここからは、立ちくらみとめまいの主な原因について、それぞれ解説します。
立ちくらみの原因
立ちくらみの主な原因として、下記が挙げられます。
- 起立性低血圧や脱水、出血などによる血圧・循環血液量の低下
- 不整脈や弁膜症などの心疾患
- 貧血や低血糖
- 自律神経機能に影響する病気や薬剤
立ち上がった際に血圧が大きく低下する起立性低血圧では、目の前が暗くなる、身体がふらつくといった症状が現れます。水分摂取不足や発汗、下痢などによる脱水でも、循環する血液量が減少して立ちくらみが起こることがあります。
また、不整脈や弁膜症などによって心臓から十分な血液を送り出せなくなると、立ちくらみや失神を起こす場合があります。動悸や胸痛、息切れなどを伴う場合は注意が必要です。
貧血では全身へ酸素を運びにくくなることで、立ちくらみ、倦怠感、動悸、息切れなどが現れます。低血糖でも、冷や汗、手の震え、動悸、意識が遠のく感覚などがみられることがあります。
降圧薬や利尿薬、一部の向精神薬などの影響で、起立性低血圧や立ちくらみが起こることもあります。薬を飲み始めてから症状が現れた場合は、処方した医師に相談しましょう。
立ちくらみが起こる原因については、下記の記事も参考にしてください。
めまいの原因
めまいの主な原因として、下記が挙げられます。
- 良性発作性頭位めまい症やメニエール病などの内耳の病気
- 脳梗塞や脳腫瘍などの脳の病気
- 貧血、低血圧、低血糖などの全身状態
- 持続性知覚性姿勢誘発めまいなどの慢性めまい
内耳には、身体の傾きや回転を感知し、バランスを保つ器官があります。良性発作性頭位めまい症、メニエール病、前庭神経炎などによって内耳や前庭神経の働きに異常が起こると、回転性めまいやふらつきが現れることがあります。
脳幹や小脳などに生じた脳梗塞でも、めまいやふらつきが起こる場合があります。片側の手足の麻痺、ろれつが回らない、物が二重に見える、立っていられないといった症状を伴う場合は、速やかな受診が必要です。
また、低血圧や貧血、低血糖などでも、めまいに似た感覚が現れることがあります。
慢性的なめまいには、内耳の病気などをきっかけに発症し、立位や身体の動き、複雑な視覚刺激によって悪化する「持続性知覚性姿勢誘発めまい」などもあります。
立ちくらみ・めまいは何科を受診すべき?
立ちくらみやめまいにはさまざまな原因があるため、症状に応じて受診する診療科を選びます。
立ち上がったときの立ちくらみや倦怠感が中心で、受診先を判断できない場合は、まず一般内科や総合診療科へ相談するとよいでしょう。診察や検査の結果に応じて、適切な診療科を紹介してもらえる場合があります。
症状別の主な受診先は、下記が目安です。
- 胸痛、動悸、息切れ、失神を伴う:循環器内科
- 耳鳴り、難聴、耳が詰まった感覚、回転性めまいがある:耳鼻咽喉科
- 手足のしびれや麻痺、ろれつの回りにくさなどがある:脳神経内科・脳神経外科
- 立ちくらみに倦怠感、息切れ、顔色不良などを伴う:一般内科
突然の激しいめまいに加えて、片側の手足の麻痺、ろれつが回らない、意識障害、今までにない激しい頭痛などがある場合は、脳卒中などの可能性があります。自分で診療科を探さず、救急車を呼びましょう。
身体的な病気が否定され、不安や気分の落ち込みなどが症状に影響していると考えられる場合は、心療内科や精神科への相談が検討されることもあります。
立ちくらみ・めまいの治し方
立ちくらみやめまいの治し方は、原因によって異なります。
脱水が原因の場合は適切な水分摂取、貧血の場合は原因に応じた治療、低血糖の場合は血糖値を下げている原因への対応が必要です。薬剤が原因の場合は、医師が薬の種類や服用量を調整することもあります。
日頃から主食・主菜・副菜を組み合わせ、バランスの良い食事を取ることは大切です。
不整脈や弁膜症などの心疾患、脳梗塞や脳腫瘍などの脳疾患、メニエール病や良性発作性頭位めまい症などの耳の病気では、それぞれに応じた専門的な治療が必要です。
心臓の病気
<不整脈>
不整脈の種類にもよりますが、内服治療からアブレーションと呼ばれるカテーテルでの治療が必要になる場合もあります。
<弁膜症>
心臓にある弁の動きが悪くなることで心臓の動きや拍出の機能に問題が起きる病気です。心不全の治療を行いながら、状態によっては手術による治療を行う場合もあります。
中枢神経の病気
<脳梗塞>
脳梗塞は、脳の血管が詰まることで脳組織への血流が途絶える病気です。発症からの時間や詰まった血管の位置、身体の状態などに応じて、血栓を溶かす薬を使用する静注血栓溶解療法や、カテーテルで血栓を取り除く機械的血栓回収療法などが検討されます。
治療開始までの時間が重要になるため、突然のめまいに手足の麻痺や言葉の出にくさなどを伴う場合は、速やかに救急車を呼びましょう。
<脳腫瘍>
部位や大きさなど腫瘍の性状にもよりますが、一般的に手術での治療を行うことが多いです。悪性の場合は、手術後に伴い化学療法や放射線療法を行うこともあります。
耳鼻科の病気
<メニエール病>
メニエール病は、内耳のリンパ液が過剰になる「内リンパ水腫」によって、めまい、難聴、耳鳴り、耳が詰まった感覚などを繰り返す病気です。
治療では、生活上の工夫や内リンパ水腫を軽減する薬、抗めまい薬などが使用されます。症状が改善しにくい場合は、中耳加圧療法や手術などが検討されることもあります。
<良性発作性頭位めまい症>
身体の平衡感覚を司るため内耳には耳石という砂のようなものがあります。この耳石が何らかの原因により間違った場所に入ってしまうことがこの病気の原因です。したがって、耳石をもとの位置に戻す体操を行うことが最も有効です。補助的に抗めまい薬や吐き気止め、抗不安薬を使用することがあります。
立ちくらみ・めまいの背後に病気が潜んでいる可能性もある
立ちくらみやめまいの多くは一時的なものですが、背景に心臓や脳、耳などの病気が隠れている場合もあります。
特に、下記のような症状がある場合は注意が必要です。
- 失神した、または意識が遠のく症状を繰り返す
- 胸痛、強い動悸、息苦しさを伴う
- 片側の手足の麻痺、ろれつの回りにくさ、物が二重に見える症状がある
- 突然の激しい頭痛や、立っていられないほどのめまいがある
これらの症状が急に現れた場合は、心疾患や脳卒中などの可能性があります。速やかに救急車を呼びましょう。
また、症状が軽くても、立ちくらみやめまいを繰り返す場合や、日常生活に支障が出ている場合は、医療機関で原因を確認することが大切です。
もしかしたら起立性調節障害かも
立ちくらみやめまいに、朝起きられない、倦怠感、頭痛、動悸などの症状を伴う場合は、起立性調節障害が関係している可能性もあります。
起立性調節障害は、起立時の血圧や心拍数などを調節する働きがうまく機能しないことで、さまざまな身体症状が現れる病気です。
朝や午前中に症状が強く、午後から夕方にかけて軽くなる場合があります。ただし、症状の現れ方や強さには個人差があり、時間帯だけで起立性調節障害と判断することはできません。
起立性調節障害は思春期前後の子どもに多くみられますが、症状が成人期まで続く場合もあります。
立ちくらみやめまい、朝起きられない症状、倦怠感などがみられる場合は、下記の起立性調節障害のセルフチェックも参考にしてください。
起立性調節障害の治し方や、家庭で親ができることについて詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
【参考】
日本神経学会 めまいとは










