起立性調節障害とは

立ちくらみとめまいの違いとは?原因や受診すべき病院を解説

2023年12月17日

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

 

立ち上がった際にクラっとした「立ちくらみ」やフワフワとした「めまい」をご経験されたことはありませんか。

立ちくらみやめまいは経験することの多い症状の一つで、症状もよく似ています。ご存じの方も多いかもしれませんが、実はこの2つの症状は全く異なる症状です。

こちらの記事では、立ちくらみとめまいの違いやそれぞれの原因などについて解説していきます。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

「立ちくらみ」と「めまい」の違いとは?

まずは、それぞれの症状について解説していきます。

立ちくらみ

立ち上がった瞬間や急な動作の際に、頭がくらくらする感覚です。

主な症状としては、立ち上がった瞬間に頭がクラクラとする感覚があり、数秒から数分続くことがあります。立ち上がる時など体位を変換する場面で起こることが多いです。

めまい

周囲が回転したり揺れたり、あるいは自分が回転したりする感覚が見られます。

めまいの種類を大きく分けると、回転性めまいと浮動性めまいの2つに分けることができます。めまいはさまざまな病気や状態の症状として現れることがあります。

回転した感じや揺れ感、ふらつき感などが特徴で、立っているときだけでなく、座っている時や寝ているときにも発生することがあります。

立ちくらみは、主に起立時に現れ、一過性であることが多いですが、めまいは回転感や揺れ感などが起立時に限らず継続して感じられることがあり、これらが両者の大きな違いと言えます。

立ちくらみ・めまいの原因とは?

上記でご説明しましたように、立ちくらみは主に起立時に見られやすく、立ち上がった際にくらくらする感じです。

一方、めまいは体勢に関係なく、回転性めまいや浮動感が見られる状態です。症状を現れ方や症状の特徴がことなるため、原因も大きくことなります。立ちくらみは主に心臓血管系の問題、めまいは心血管系以外にも神経系や平衡感覚などが原因となっています。

これから、立ちくらみ、めまいそれぞれの原因について解説していきます。

立ちくらみの原因

立ちくらみの原因は特に心血管系の問題が多いですが、様々なものがあります。

心臓の問題

心臓のポンプ機能に異常があり、適切に血液を拍出できない場合、血液供給が不足し、めまいが生じることがあります。

低血圧

立ち上がる際に血圧が急激に低下することがあり、これが立ちくらみの原因になることがあります。特に高齢者や特定の状態にある人々に影響します。

脱水症状

十分な水分を摂取していない場合、血液量が減り、これが立ちくらみを引き起こすことがあります。

低血糖

血糖値が低くなると、脳に十分なエネルギーが供給されず、めまいが生じることがあります。

貧血

赤血球が不足することで酸素供給が不十分になり、めまいが起こることがあります。

自律神経の調整の異常

交感神経と副交感神経からなる自律神経の調節のバランスが崩れることで、血管の拡張や収縮の調整がうまく働かず、立ちくらみを引き起こすことがあります。

薬の副作用

血圧を下げる薬やうつなど精神科で使用される特定の薬物の副作用として、めまいや立ちくらみが現れることがあります。

ストレスや不安

精神的なストレスや不安が立ちくらみを引き起こすことがあります。

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めまいの原因

めまいの原因も多様ですが、特に神経系の問題、内耳の問題、心臓血管系の問題に関連していることが多いです。

内耳の問題

内耳にある平衡感覚を制御する器官に問題が生じると、めまいが発生することがあります。メニエール病や前庭神経炎、良性発作性頭位めまい症などが原因でめまいが生じることがあります。

中枢神経系の問題

脳やその他の中枢神経系の異常もめまいの原因となります。脳の血流障害による脳梗塞や腫瘍、神経性の疾患でもめまいが見られることがあります。

低血圧または低血糖

血圧や血糖が低下した状態でめまいが起こることがあります。

ストレスや不安

精神的な要因もめまいの原因となることがあります。ストレスや不安が身体に影響を与え、めまいを引き起こすことがあります。

立ちくらみ・めまいは何科を受診すべき?

立ちくらみやめまいは原因が多様ですが、共通している部分も多い症状です。それぞれの原因によって受診する診療科も異なりますが、ご自身で判断がつきにくい場合は、総合内科や一般内科を受診すると良いでしょう。

そこで、適切な診療科に紹介してもらえる場合が多いと思います。胸の痛みや動悸、息切れなどがある場合は循環器内科、耳鳴りや耳の聞こえにくさなどがある場合は耳鼻科、身体のしびれや麻痺症状、頭痛などがある場合は脳外科や神経内科に受診すると良いでしょう。

また、精神的に負担がかかっている場合は、心療内科や精神科を受診することも選択肢です。

立ちくらみ・めまいの治し方

立ちくらみやめまいは貧血や低血糖などでも見られるため、食事や運動など生活習慣に関係していることがあります。

糖質、脂質、タンパク質の栄養素がバランス良くとれる3食をしっかり摂取し、朝食もなるべく摂取することが重要です。栄養素としては特に鉄分を注意して積極的に摂るようにしましょう。

不整脈や弁膜症などの心臓の病気、脳梗塞や腫瘍などを中枢神経の病気、メニエール病や良性発作性頭位めまい症などの耳鼻科の病気であればそれぞれに対する治療が必要です。

心臓の病気

<不整脈>
不整脈の種類にもよりますが、内服治療からアブレーションと呼ばれるカテーテルでの治療が必要になる場合もあります。

<弁膜症>
心臓にある弁の動きが悪くなることで心臓の動きや拍出の機能に問題が起きる病気です。心不全の治療を行いながら、状態によっては手術による治療を行う場合もあります。

中枢神経の病気

<脳梗塞>
脳梗塞が起きている部位の周りの脳細胞を保護する薬剤の点滴や血液をサラサラにする薬剤などを使用することが多いです。

<脳腫瘍>
部位や大きさなど腫瘍の性状にもよりますが、一般的に手術での治療を行うことが多いです。悪性の場合は、手術後に伴い化学療法や放射線療法を行うこともあります。

耳鼻科の病気

<メニエール病>
ウイルス感染やストレスにより内耳のリンパ液が増えすぎることで内リンパ水腫という状態になっていることが原因です。抗めまい薬や抗不安薬を使用することが一般的です。また、発作時に症状が強い場合はステロイドを使用することもあります。

<良性発作性頭位めまい症>
身体の平衡感覚を司るため内耳には耳石という砂のようなものがあります。この耳石が何らかの原因により間違った場所に入ってしまうことがこの病気の原因です。したがって、耳石をもとの位置に戻す体操を行うことが最も有効です。補助的に抗めまい薬や吐き気止め、抗不安薬を使用することがあります。

立ちくらみ・めまいの背後に病気が潜んでいる可能性もある

これまでご説明してきましたように、心臓や脳、耳鼻科の病気、貧血や低血糖、精神的な病気により立ちくらみやめまいが起こることが十分に考えられます。

これら以外にも、もう一つ、立ちくらみやめまいが起こる可能性があります。それは、自律神経の異常です。自律神経は交感神経と副交感神経からなり、血圧や脈拍、消化・吸収など様々な代謝活動を調整しています。

自律神経の調整に問題が発生すると、血圧の低下や動悸が見られ、立ちくらみやめまいの症状が見られます。

もしかしたら起立性調節障害かも

自律神経の調整に問題が生じる病気の一つに起立性調節障害という病気があります。

交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで、特に早朝起床時にひどい症状が見られ、午前中は体調がすぐれず、午後にかけて少しずつ改善する特徴がある病気です。

起床時間になっても本来活性化されるはずの交感神経が活性化せず、なかなか起き上がることができず、午前中はめまいやふらつき、頭痛など様々な症状が見られます。

特に、思春期前後の子どもに多い病気ですが、大人でも見られることがあります。立ちくらみやめまい以外に気になる症状がある場合は、起立性調節障害の可能性もありますので、一度セルフチェックをしてみてください。

>>起立性調節障害のセルフチェックリスト(子ども)|すぐにできる診断テスト

 

>>大人の起立性調節障害セルフチェック項目|診断テスト

 

【参考】
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)
日本神経学会 めまいとは

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

起立性オンライン講座

トトノエライトプレーン

【無料】起立性調節障害の相談窓口

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