ナルコレプシーは過眠を引き起こす疾患の一つです。
何らかの原因で身体を覚醒させておくオレキシンという物質を産生することができないために、通常寝てはならない場面で我慢できないほどの眠気に襲われ突然眠ってしまう病気です。
こちらの記事では、ナルコレプシーの診断について解説していきます。
ナルコレプシーのセルフチェック診断?子ども・大人別に解説
アメリカ精神医学会により作成されている精神疾患の診断・統計マニュアルDSMでは、ナルコレプシーと診断するためには、以下の基準を参考にすることが記載されています。
- 日中の耐えがたい回復性の睡眠発作が、少なくとも3ヶ月にわたって、毎日起こること
- 感情によって引き起こされる、急激で一過性の情動脱力発作(カタプレキシー)の明確な既往歴がある(覚醒時、気持ちの高ぶりやびっくりした際に身体の一部が脱力すること)
- その障害は、物質(例:乱用薬物、投薬)または他の一般身体疾患の直接的な生理学的作用によるものではない。
これらに追加して脳脊髄液中のオレキシンまたは反復睡眠潜時検査(multiple sleep latency test:MSLT)の検査結果により診断することになります。
セルフチェックの方法としては、エップワース眠気尺度(JESS)を使用して評価すると良いでしょう。具体的には以下の問1~問8でそれぞれに点数をつけて合計点を算出してみてください。
<評価方法>
うとうとする可能性はほとんどない : 0
うとうとする可能性は少しある : 1
うとうとする可能性は半々くらい : 2
うとうとする可能性が高い : 3
- 問1.すわって何かを読んでいるとき(新聞、雑誌、本、書類など)
- 問2.すわってテレビを見ているとき
- 問3.会議、映画館、劇場などで静かにすわっているとき
- 問4.乗客として1時間続けて自動車に乗っているとき
- 問5.午後になって横になって、休息をとっているとき
- 問6.すわって人と話をしているとき
- 問7.昼食をとった後(飲酒なし)、静かにすわっているとき
- 問8.すわって手紙や書類を書いているとき(または、 自分で車を運転中、交通渋滞などで2-3分停車しているとき)
合計得点は11点で一旦線引きをします。11点以上で眠気は病的であると考え、点数が高ければ高い程、ナルコレプシーの可能性が高くなります。
点数が11点以下でも完全に除外することはできないので、気になる場合は医療機関を受診しましょう。
大人の場合
多くの場合、10代後半から30代にかけて発症することが多く、カタプレキシーが一般的に見られ、比較的穏やかに進行することが多いとされています。
子どもの場合
幅広い年齢で発症します。突然の眠気や睡眠発作が発生することがあり、特に学校や社会的な場面での影響が大きい場合があります。
大人に比べると、しばしば急速に発展することがあり、診断に関しても、特に発症初期には他の問題(注意欠陥・多動性障害など)と混同されることがあり、大人に比べると診断がしばしば困難であることもあります。
もしかしたら起立性調節障害かも
日中の耐え難い眠気を特徴とするナルコレプシーですが、実は、日中、特に午前中に眠気が見られる起立性調節障害の可能性も考えられます。
起立性調節障害は自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが崩れることが主な原因で、日中特に朝、午前中の眠気(過眠)、気分不良が特徴的な疾患です。
早朝は交感神経が優位に働くことで、覚醒し活動することができるのですが、起立性調節障害の方の場合、交感神経がなかなか活性化しないため、起床時間になってもなかなか目覚めることができず、起床も困難な状況となってしまします。
次第に交感神経が活性化すると眠気も薄くなり、活動ができるようになっていきます。したがって、起床時>午前中>>午後という順で症状が和らいでいきます。
眠気が特に午前中につらい場合は、起立性調節障害の可能性も考えられるので、一度セルフチェックをして確認してみると良いと思います。
下記記事では、起立性調節障害のセルフチェックについて解説しておりますので、是非ご一読ください。
関連記事:起立性調節障害のセルフチェックリスト(子ども)|すぐにできる診断テスト