中学生の貧血は、成長期の子どもに多く見られる健康問題の一つです。
特に思春期、成長期真っ只中の中学生は、身体の急激な成長やホルモンの変化により、鉄分や栄養素の不足が原因で貧血を引き起こすことがあります。
特に女の子の場合、月経も開始するためより貧血のリスクは上がりやすいです。こちらの記事では、貧血の主な原因と対策、してはいけない行動などについて詳しく説明します。

中学生が貧血になる原因とは?
中学生の時期は成長が著しく、血液をつくるために必要な栄養素の需要が増えるため、貧血が起こりやすい年代です。主な原因は以下の通りです。
鉄欠乏性貧血
最も多いタイプの貧血で、成長期には血液量が増加するため多くの鉄が必要となります。
特に女子は月経の開始により鉄分の消耗が増え、不足しやすくなります。男子でも急激な成長に伴い鉄の需要が高まることで鉄欠乏性貧血を起こすことがあります。
栄養不足
偏食や食生活の乱れにより、鉄分だけでなくビタミンB12や葉酸など造血に必要な栄養素が不足すると、貧血につながります。
近年は朝食を抜いたり、菓子やスナック中心の食事が原因となるケースも増えています。
運動の影響
部活動などで激しい運動を続けると、酸素消費量が増え、血液の需要が高まります。
さらに、長距離走などの反復運動では、足裏への衝撃で赤血球が壊れる「運動性溶血」が起こり、貧血を悪化させる場合もあります。
中学生の貧血を治すためにおすすめの食べ物
中学生の貧血改善には、鉄分を中心とした栄養素のバランス摂取が重要です。ここでは、特に効果が期待できる栄養素とその食品例をご紹介します。
鉄分を多く含む食品
鉄分には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があり、ヘム鉄の方が吸収されやすいです。
ヘム鉄は動物性食品に多く含まれ、タンパク質と結合した状態で存在する鉄成分です。非ヘム鉄に比べて、体内での吸収率が高いという特徴があります。
非ヘム鉄は野菜や牛乳、卵など植物性食品に多く含まれており、ヘム鉄に比べると吸収率は低いですが、量を摂る、ビタミンCと組み合わせることで吸収率が高まります。
ヘム鉄が豊富な食品(吸収されやすい)
- レバー(鶏、豚、牛)
- 赤身の肉(牛肉)
- 魚(マグロ、カツオ、サバ)
- 貝類(あさり、しじみ)
非ヘム鉄が豊富な食品
- ほうれん草、ブロッコリー
- ひじき、海藻類
- 大豆製品(納豆、豆腐)
- ごま、ナッツ類(アーモンドなど)
ビタミンCを含む食品
ビタミンCは、鉄の吸収を促進する働きがあります。特に非ヘム鉄と一緒に摂取することで効果が高まります。
- 柑橘類(オレンジ、レモン、グレープフルーツ)
- いちご、キウイ、パパイヤ
- ピーマン、ブロッコリー、キャベツ、トマト
ビタミンB12を含む食品
ビタミンB12は、赤血球を含む細胞の正常な生成にとても重要です。特に、DNAの合成に関わるため、細胞分裂が活発に行われる組織、特に骨髄での赤血球の形成において重要です。
ビタミンB12が不足すると、赤血球の正常な分裂が妨げられ、異常に大きな赤血球が作られてしまい、正常に機能することができないため貧血となります。
- 魚(サバ、イワシ、サケ)
- 肉(特にレバー)
- 卵
- チーズや牛乳などの乳製品
葉酸を含む食品
葉酸はDNAの合成や修復に関与し、細胞の分裂や増殖に重要な役割を果たします。特に赤血球の生成が行われる骨髄において、ビタミンB12同様葉酸も正常な細胞分裂に不可欠です。
葉酸が不足すると、赤血球の形成に異常が生じ、未熟な赤血球が作られるため、体内での酸素供給が不足し、貧血の症状が出ます。
- 緑黄色野菜(ほうれん草、アスパラガス、ブロッコリー)
- 果物(バナナ、オレンジ)
- レバー
- 大豆製品(納豆、豆腐)
タンパク質を含む食品
鉄を効率的に体内に取り込むためには、タンパク質も重要です。
- 鶏肉、豚肉、牛肉
- 魚介類
- 卵
- 大豆製品(豆腐、納豆)

中学性の貧血を治すためにサプリは効果がある?
貧血の症状(めまい、ふらつき、動悸、倦怠感など)がある場合は、まず医療機関で血液検査を受け、原因を明らかにすることが重要です。鉄欠乏性貧血であっても、栄養不足だけでなく月経過多や消化器系の疾患が背景にある場合があるため、自己判断での対応は避けるべきです。
サプリメントは栄養補助として一定の効果が期待できますが、あくまで食事での栄養摂取が基本です。特に鉄サプリは過剰摂取により胃腸障害や鉄過剰症を引き起こす可能性があり、医師の指導なく安易に使用するのは推奨されません。
医師の診断のもとで鉄剤の内服が必要と判断される場合には、医薬品の鉄剤が用いられることが一般的であり、サプリメントは補助的に位置づけられます。中学生の場合は成長期に伴う鉄需要の増加があるため、食事管理を第一に、必要に応じて主治医と相談しながらサプリの使用を検討するのが安全です。
中学生の貧血を治す上でやってはいけないNG行動
貧血を改善するには正しい治療や生活習慣が欠かせません。一方で、誤った対応は症状の悪化や健康被害につながる恐れがあります。ここでは避けるべき代表的な行動を解説します。
自己判断でのサプリメントや薬の過剰摂取
鉄やビタミンのサプリメントを自己判断で過剰に摂取すると、胃腸障害や鉄過剰症などを引き起こす危険があります。
特に鉄は体内に蓄積しやすく、臓器障害の原因となることがあります。必ず医師の診断を受け、指導に基づいた使用が必要です。
偏った食事やダイエット
成長期の中学生は栄養需要が高く、鉄・ビタミンB12・葉酸などの不足は貧血の悪化につながります。
過度なダイエットや偏食は避け、主食・主菜・副菜をバランス良く組み合わせた食事を心がけましょう。
鉄の吸収を妨げる飲み物を過剰摂取
お茶やコーヒーに含まれるタンニン、乳製品に含まれるカルシウムは鉄の吸収を阻害します。
食事中や直後の摂取は控え、代わりにビタミンCを含む飲み物(オレンジジュースなど)を取り入れると鉄の吸収を助けます。
過度な運動や疲労の蓄積
貧血時に激しい運動をすると、酸素供給不足により強い疲労感や息切れ、めまいが悪化します。
症状がある場合は無理をせず、適度な運動にとどめ、十分な休養を取ることが重要です。
貧血の症状を放置する
「成長期だから」と思い込み症状を放置すると、重症化して心臓や脳への酸素供給が不足し、長期的な健康リスクにつながります。
貧血が疑われる場合は、早期に医療機関を受診し、必要な検査と治療を受けることが大切です。
もしかしたら起立性調節障害かも
中学生や思春期の子どもで「貧血」だと思っていたら、実は起立性調節障害だったというケースはよくあります。両者は症状が似ているため、混同されやすいですが、原因や治療法が異なるため、適切に区別することが重要です。
起立性調節障害は自律神経である交感神経と副交感神経の働きのバランスが崩れることでめまいやふらつき、たちくらみ、頭痛、腹痛など様々な症状を来す病気です。体が大きく成長し、ホルモンバランスの変動が大きい思春期に多くみられます。
特に早朝起床時が1日のうちで最も症状が重く、午前中はめまいや立ちくらみなどの症状が見られ、午後になるにつれて症状も改善していくことが多いです。
貧血の場合、午前と午後で症状に大きな変化がないことが異なります。しかし、両者は症状がよく似ているため、自分で診断することは難しく、医療機関を受診する必要があります。
めまいやふらつき、たちくらみなどの症状で貧血ではないかと悩まれている方は、一度起立性調節障害のセルフチェックをされることをおすすめします。
下記記事ではセルフチェックについて解説していますので、是非ご一読ください。







