起立性調節障害とは

思春期の情緒不安定の対処法とは?治す上でやってはいけないNG言動も解説

 

この記事の監修者

医師(匿名)

医師歴:10年
勤務病院:某3次救急病院

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

  • 中学生になってなぜか親の言動1つ1つにイライラする
  • 昔は可愛かった子供が思春期になったらひどく反抗的になってしまった

このようなお悩みをお持ちの親子は少なくないでしょう。

思春期は、大きな身体的変化とともに、精神面でもさまざまな外界の影響を受け、自立心の形成や自我の確立を行なっていく時期です。一方で、自立心の向上や自我の形成は親子関係にも変化を与えます。

これまでのような親の干渉を嫌ったり、自分の意見を強く貫こうとする機会も増え、これまでとの違いに戸惑う親御さんも多いです。また、自身の変化にイライラして、親御さんについ強く当たってしまう子供も少なくないです。

最悪の場合、親子関係に修復不可能な亀裂や溝が生まれる可能性もあるため、本記事を参考に、対処法をしっかり理解しておきましょう。また、思春期の情調不安定を治す上でやってはいけないNG言動も紹介するため、ぜひご一読ください。

思春期の情緒不安定に対する対処法とは?

思春期の子供は情緒不安定になりがちです。子供も親も、経験がないことであればうまく対処できず、双方を傷つけてしまう可能性もあります。

そこで、ここでは思春期の情緒不安定に対する適切な対処法を5つ紹介します。下記の対処法を実践し、穏やかな日々を手に入れましょう!

そういうものだと理解する

思春期の情緒不安定に対しては、この時期の子供とはそういうものだと理解して、ある程度受け流すことが重要です。思春期の子供は身体的変化や、それに伴う精神面での変化など、さまざまな変化に苦悩・葛藤しながら、必死に自我を形成している最中です。

言うなれば、思春期の情緒不安定は正常な成長の過程であるとも言えます。そのため、子供の変化にイライラすることなく、そういうものだと受け流しすことで親子関係に軋轢を生まず、結果として双方のためになります。

また、思春期の情緒不安定は自分だけに起きていることではなく、多くの子供が実は実感したり悩んでいるということを、子供自身も知っておくことも重要です。

程よい距離感を維持する

子供が思春期で情緒不安定な時は、程よい親子関係の距離感を維持しましょう。思春期の子供は自我の確立とともに、幼少期の時のような親からの干渉を煩わしく感じるためです。

一方で、親御さんは子供の反抗的な態度や幼少期からの変化に気持ちが追いつかず、つい干渉したくなってしまいます。しかし、思春期の子供に干渉しすぎるとより情緒不安定に拍車をかける可能性もあるため、控えましょう。

程よい距離感を保ち、子供が困っている時だけサポートできるように準備しておくと良いでしょう。

頼られたらしっかりサポートする

幼稚園や小学生の時にはあまり自覚しなかった学業や人間関係などについて、思春期になると本格的に悩み始めてしまう子供が増加します。勉強で周りに置いていかれてしまうのではないか、グループの中で仲間外れにされないか、色々なことで情緒不安定になるものです。

そのため、程よい距離感を保ちつつも、子供が何か困っているときはしっかりサポートしてあげましょう。一方で、子供自身も何か困ったことがあるときは親御さんにしっかり伝えて、打ち明けることが重要です。

不機嫌なまま自分の殻の中で閉じ込もっていても、親御さんからすれば何に悩んでいるのかよくわからないため、できる限り伝えることが重要です。

一線を越えたときはしっかり叱る・諭す

「思春期で情緒不安定だから仕方ない」とさまざまな子供の言動を受け流したり、飲み込むことは悪いことではないですが、その結果子供が一線を越えたときはしっかり叱ったり、諭してあげましょう。

大人になるための階段を登っているとはいえ、思春期の子供はまだまだ精神的にも未熟です。親御さんがストップをかけなければ、反抗的な態度が治らなくなってしまったり、何をやっても許されると勘違いしてしまいます。

例えば、夜の門限を決めたり、1日の中で勉強する時間を決めるなど、事前に子供といくつかのルールを決めて、その範囲内で自由に行動させてみるのもいい選択肢です。

そのルールを子供が守らなかったときは、なぜ守らなかったのかを聞いた上で、子供の成長にもつながるためしっかり叱ってあげましょう。

第三者に相談する

思春期の子供がどれくらい情緒不安定になるのかは個人差も大きく、またその受け皿となる親御さんの許容力も個人差が大きいです。あまりにも子供の態度や言動が目にあまり、自分たちだけでは解決できないと感じたときは第三者に相談しましょう。

親御さんが一人で抱え込んでいる悩みも第三者を介すことで解決できる可能性があり、また子供も第三者になら打ち明けられる悩みもあるかもしれません。

近いところで言えば学校の先生やママ友・パパ友に相談するものいいでしょう。また、保健所や保険センター・精神保健福祉センターなど、自治体の運営する相談窓口もあるため、目に余る場合は利用を検討すべきです。

思春期の情調不安定を治す上でやってはいけないNG言動

思春期に伴う子供の情緒不安定は、いつ始まり、どの程度なのか、事前には誰にもわかりません。だからこそ、これまで可愛く自分を頼ったり甘えていた子供が急に素っ気ない態度や反抗的な態度に変わってしまうことに準備できていない親御さんも多いです。

その結果、親御さんも子供に対して不適切に対応してしまうと、子供との間に溝や亀裂が生まれ、その後の親子関係にも影響してしまう可能性があります。

ここでは、思春期の情調不安定を治す上でやってはいけないNG言動を5つ紹介するため、思春期の子供に対しては控えるように気を付けましょう。

過干渉

思春期の情調不安定を治す上で、子供に対する過干渉は控えましょう。幼稚園生や小学生低学年の子供の場合、親御さんがさまざまなことを手取り足取り導いてあげる必要がありますが、思春期に差し掛かった子供の場合は違います。

結果として失敗したとしても、自分で考えた上で行動することが成長のために必要な時期です。また、思春期は周囲の子供と話すことで、これまで知ることのなかった自分の家族以外の価値観を知る時期でもあります。

新しい価値観を知り、これまで自分の価値観を形成してきた自分の家族と距離を取りたくなる時期でもあるため、親御さんは過干渉は控え、遠くから温かい目で見守ってあげましょう。

理想を押し付ける

思春期の情調不安定を治す上で、親の理想を子供に押し付けるのは控えましょう。思春期に差し掛かって子供の自我が確立され始めると、親御さんによっては「私の思っていたような成長の仕方ではない」と感じてしまう方もいます。

酷く反抗的な態度を取るようになった、全然勉強しようとしない、遊んでばかりで部屋も片付けないなど、自分と違ったパーソナリティーの変化に違和感を持ってしまうのです。

最悪の場合、周りの子供と自分の子供を比較して、「〇〇君は一人でできるのにどうしてあなたはできないの!」などど、自分の子供の至らない点を本人に伝えてしまう親御さんもいます。

しかし、子供は子供であって、親御さんと同じパーソナリティーで育つわけではありません。理想を押し付けたり比較するのではなく、温かい目で成長を見守ってあげることが重要です。

叱責する

思春期の子供を必要以上に叱責すると、情緒不安定が悪化するため控えるべきです。子供の反抗的な態度にイライラしたり、自分の考えと違う子供の行動を強く指摘しても、思春期の子供との溝が深まってしまいます。

先述したように、思春期の子供の変化は「思春期とはそういうものだよね」と、ある程度は受け止めてあげるようにしましょう。

一方で、あまりにも子供の態度が反抗的な場合や、非行に走りそうな時は親としてしっかり引き留めたり、正しい方向に導くために諭してあげましょう。

子供扱いする

思春期の子供を子供扱いしすぎると、さらに情緒不安定になるため注意が必要です。思春期の子供は身体的にも大人に近づき、また周囲から大人になったと言われる機会も徐々に増える一方で、家族からの子供扱いは変わらないため、その間で葛藤するものです。

例えば、中学生の男の子が友達の前で親から「〇〇ちゃん」と呼ばれると、恥ずかしさから反抗的な態度を取ってしまいます。その結果、さらに親子関係に亀裂が入ってしまう可能性があります。

思春期には大人と子供の間で揺れ動き、自分自身のアイデンティティーが不安定になることでさらに情緒不安定になるため、子供が大人の階段を登っていることを認識し、これまでのように子供扱いするのは控えるべきでしょう。

無関心になる

思春期の情緒不安定な状態に対して、無関心になるのも良くないです。大人の階段を登っているとはいえ、まだまだ子供なのが思春期。親が自分に関心がないと感じてしまうと、愛情の不足や寂しさからさらに家族との距離を置いてしまいます。

家に帰るのが遅くても誰も心配しない、自分の学業に誰も期待していないなど、親の無関心によって自己肯定感が下がってしまい、子供の成長にとって良くありません。

無関心ではなく、子供の良い行動に対してはしっかり誉めて、一定の距離感を常に保って温かく見守るように意識しましょう。

もしかしたら起立性調節障害かも

思春期の子供が情緒不安定な場合、もしかしたら起立性調節障害かもしれません。起立性調節障害とは、身体の急激な成長に対して自律神経の成長が追いつかず、自律神経のバランスが乱れることでさまざまな症状をきたす疾患です。

特に、身体の成長著しい小学生高学年〜中学生で発症しやすく、まさに思春期で発症しやすい病気です。特に午前中に症状が強く、めまい・立ちくらみ・腹痛・嘔吐・起床困難などの症状をきたし、午前中は学校に行けない子供も少なくありません。

一方で、午後や夕方になると症状が改善するため、ただ学校をサボりたいだけと誤解を受けやすい病気でもあります。ただし、起立性調節障害は自律神経の乱れを伴う歴とした身体疾患であり、決してサボりたい状態ではないです。

基本的には自然軽快する病気ですが、人によっては重症化し、通学どころか進級や進学にも支障をきたす可能性があるため、注意が必要です。

ただの思春期とは異なり、起立性調節障害を患っている場合は早期発見・早期治療が重要です。下記の記事では、子どもにおける起立性調節障害のセルフチェック方法を詳しく紹介しているため、気になる方はぜひ一度チェックしてみましょう。

関連記事:起立性調節障害のセルフチェックリスト(子ども)|すぐにできる診断テスト

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