起立性調節障害は、自律神経の働きが乱れ、立ち上がったときに血圧や心拍数の調節がうまくできなくなる病気です。そのため、立ちくらみやめまい、朝起きられない、倦怠感などの症状が現れます。
こうした症状を和らげる方法の一つとして注目されているのが「着圧ソックス」です。着圧ソックスは、足を適度に圧迫することで下半身に血液がたまるのを防ぎ、心臓へ戻る血液量を増やす効果が期待できます。
その結果、立ち上がった際の血圧低下を抑え、症状の改善につながる場合があります。ただし、すべての患者さんに効果があるわけではなく、圧の強さや着用方法にも注意が必要です。
この記事では、起立性調節障害に対する着圧ソックスの効果や選び方、使用時の注意点について、医学的根拠をもとにわかりやすく解説します。
起立性調節障害に着圧ソックスは効果がある?
着圧ソックスは、起立性調節障害による立ちくらみやめまいを和らげる補助的な対策の一つです。
足にたまりやすい血液が心臓へ戻るのを助け、立ち上がった際の症状の改善が期待できます。ただし、頭痛や腹痛、吐き気などが主な症状の場合は効果を感じにくいこともあります。
あくまで補助療法であり、自分に合った方法かどうかを確認しながら、医師の指導のもとで生活改善や治療と組み合わせて取り入れることが大切です。
着圧ソックスは下半身に血液がたまりやすい状態をサポートする
起立性調節障害では、立ち上がると重力の影響で血液が足に集まりやすくなります。本来であれば自律神経が働いて血液を心臓へ押し戻しますが、この調節がうまくいかないため、脳への血流が一時的に低下し、立ちくらみやめまいが起こります。
着圧ソックスは、足首からふくらはぎにかけて適度な圧力を加えることで、下半身にたまった血液が心臓へ戻りやすくなるようサポートします。そのため、医療用弾性ストッキングや着圧ソックスは、起立時の症状を軽減する目的で勧められることがあります。
ただし、効果には個人差があり、医師と相談しながら使用することが大切です。
立ちくらみ・めまい・ふらつきの対策として取り入れやすい
着圧ソックスは、立ち上がったときの立ちくらみやめまい、ふらつきが気になる方に比較的取り入れやすい対策です。
例えば、朝の洗面や身支度、通学中、学校の朝礼、電車で立っている時間など、「立ち続ける場面」で症状が出やすい方では、症状が軽くなることがあります。ただし、全員に同じような効果があるわけではありません。
使用を始めたら、「立ちくらみが減った」「朝の通学が楽になった」など、症状の変化を記録しておくと、自分に合っているかどうかを判断しやすくなります。無理に続けるのではなく、効果を確認しながら活用しましょう。
頭痛・腹痛・吐き気が中心の場合は効果を感じにくいことがある
起立性調節障害では、立ちくらみ以外にも頭痛や腹痛、吐き気、強い倦怠感など、さまざまな症状がみられます。
これらの症状が中心となっている場合は、着圧ソックスを履いても十分な改善を感じられないことがあります。
着圧ソックスは、主に下半身に血液がたまることを防ぎ、立ち上がった際の血流をサポートするための対策であり、すべての症状に効果があるわけではありません。
症状が強い場合や、着圧ソックスを使用しても改善しない、あるいは悪化する場合は、自己判断で続けるのではなく、早めに医療機関を受診して適切な治療を受けることが大切です。
着圧ソックスだけで起立性調節障害が治るわけではない
着圧ソックスは起立性調節障害の症状を和らげる補助的な対策であり、病気そのものを治すものではありません。
症状を改善するためには、十分な水分補給や適度な塩分摂取、規則正しい生活、無理のない運動習慣などを継続することが基本となります。また、学校では座って休める環境を整えたり、朝礼で配慮してもらったりするなど、生活環境の調整も重要です。
保護者の方も、「着圧ソックスを履けばすぐに登校できる」と期待しすぎるのではなく、さまざまな治療や生活改善を組み合わせながら、お子さんの回復を長い目で支えていくことが大切です。
起立性調節障害の着圧ソックスはいつ履く?寝るときは使える?
ここでは着圧ソックスを着用するタイミングと寝るときの注意点について解説します。
朝の起床後から通学・外出前に履く
起立性調節障害では、朝は自律神経が十分に働かず、立ちくらみやふらつきが起こりやすい時間帯です。そのため、朝に症状が出やすい方は、起床後から通学や外出前に着圧ソックスを履く方法が勧められます。
特に、ベッドから起き上がる前や立ち上がる前に着用すると、朝の血液の滞留を抑えやすくなります。
初めて使用する場合は、休日の朝や自宅での身支度中など、短時間から試して締め付け感や違和感がないか確認しましょう。
また、十分な水分補給を行い、急に立ち上がらずゆっくり体を起こすことも、朝の症状を軽減するために大切です。
長時間立つ予定がある日は事前に履いておく
朝礼や体育祭などの学校行事、満員電車での通学、旅行やテーマパークなど、長時間立つ予定がある日は、あらかじめ着圧ソックスを履いておくと症状を予防できる場合があります。
立ちくらみやめまいが起きてから履くよりも、症状が出る前に着用しておく方が効果を期待しやすいと考えられています。
ただし、大切な予定の日に初めて使用すると、締め付けが気になったり、サイズが合わなかったりすることもあります。事前に自宅や近所への外出などで試し、自分に合うかどうかを確認してから本格的に使用すると安心です。
寝るときの着用は慎重に判断する
「寝るときも履いた方がよいですか?」という質問を受けることがありますが、日中用の着圧ソックスを就寝中に使用することは基本的に勧められません。
日中用や圧力の強いタイプでは、寝ている間にしびれや締め付け、皮膚トラブルが起きても気づきにくいことがあるためです。就寝時に使用する場合は、夜間専用や弱圧タイプとして販売されている製品かどうかを確認しましょう。
特に子どもの場合は自己判断で使用せず、商品の説明書をよく読み、必要に応じて医師へ相談してから取り入れることをおすすめします。
起立性調節障害に使う着圧ソックスの選び方
着圧ソックスはさまざまな種類が販売されていますが、自分に合ったものを選ぶことが大切です。
選ぶ際は、圧の強さや長さ、サイズだけでなく、毎日無理なく続けられるかどうかも重要なポイントになります。下記を参考にして頂き、自分に合った着圧ソックスを選びましょう。
最初は強すぎない圧のものから試す
初めて着圧ソックスを使用する場合は、13〜20hPa程度の弱めの圧力から試すのがおすすめです。まずは履き心地や症状の変化を確認し、問題なく使用できることを確かめましょう。物足りなさを感じる場合には、20〜27hPa程度の中程度の圧力も選択肢になります。
一方で、27〜40hPa程度の強い圧力のものや医療用弾性ストッキングは、自己判断で使用せず、医師へ相談したうえで選ぶと安心です。
また、使用中に痛みやしびれ、足先の冷え、赤み、かゆみなどが現れた場合はすぐに脱ぎ、症状が続く場合は医療機関へ相談しましょう。
足首からふくらはぎまでサポートできるタイプを選ぶ
起立性調節障害による立ちくらみ対策では、足首からふくらはぎまでをしっかり支えるタイプが一般的に使いやすいとされています。
特に、足首の圧力が最も強く、上に向かって徐々に弱くなる「段階着圧タイプ」は、下半身にたまった血液が心臓へ戻るのをサポートする目的で広く利用されています。
製品には、ひざ下まで覆うハイソックスタイプや、ふくらはぎだけをサポートするタイプなどがありますが、初めて使用する場合は、日常生活でも取り入れやすいひざ下タイプを選ぶと続けやすいでしょう。
学校生活で使うなら目立ちにくさと続けやすさも大切
毎日学校で使用する場合は、効果だけでなく「続けやすさ」も大切なポイントです。
制服や靴下との相性、色や厚み、通気性などを確認し、学校生活で違和感なく着用できるものを選びましょう。黒や紺など制服になじみやすい色や、スポーツソックスのような見た目の製品であれば、周囲の目を気にせず使いやすいことがあります。
また、本人が着用に抵抗を感じる場合は、無理に毎日履かせるのではなく、自宅で過ごす時間や通学時、朝礼や学校行事など長時間立つ日に限定して使用する方法も有効です。無理なく続けられる方法を見つけることが、長期的な活用につながります。
起立性調節障害の着圧ソックスは補助対策として取り入れよう
着圧ソックスは、起立性調節障害による立ちくらみやふらつきを和らげる効果が期待できる補助的な対策の一つです。しかし、着圧ソックスだけで病気が治るわけではありません。
症状を改善するためには、十分な水分補給や適度な塩分摂取、規則正しい生活リズム、無理のない運動習慣に加え、学校での座位休憩や朝の活動への配慮などを組み合わせることが大切です。
また、使用中にしびれや痛み、足先の冷え、赤み、かゆみなどの症状が現れた場合は、すぐに使用を中止してください。
症状が強い場合や着圧ソックスが自分に合っているか判断に迷う場合は、無理に使い続けず、内科や小児科などの医療機関へ相談し、自分に合った治療や生活指導を受けるようにしましょう。
起立性調節障害の治し方や、家庭で親ができることについて詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。





