スマートフォンやゲームは、子どもにとって身近な娯楽やコミュニケーションの手段です。一方で、使用時間が長いと「依存しているのではないか」と心配になる保護者もいるでしょう。
起立性調節障害の子どもは、立ったり座ったりすることがつらく、横になって過ごす時間が長くなる場合があります。そのため、体を休めながらできるスマートフォンやゲームの使用が増えることもあります。
また、朝起きられず日中の活動が限られることや、夜になっても眠れないことから、結果として使用時間が長くなる場合もあります。必ずしもすべてが依存によるものとは限りません。
本記事では、起立性調節障害の子どもがスマートフォンやゲームを長時間使用しやすい理由と、心身への影響、家庭での付き合い方について解説します。
起立性調節障害の子どもがスマホ・ゲームを長時間使用する理由
スマートフォンやゲームを長時間使用しているからといって、すぐに依存と判断できるわけではありません。
使用を自分でやめられない、使用できないと強い不安やいら立ちが生じる、食事や睡眠、学校生活などに大きな支障が出ている場合は、ゲームやインターネットとの付き合い方を見直す必要があります。
一方、起立性調節障害の子どもでは、体調不良によって外出や運動が難しく、横になって過ごす時間が長くなることがあります。その際、体への負担が比較的少ない娯楽として、スマートフォンやゲームを使用している場合があります。
また、朝起きられないことで日中の活動時間が短くなったり、夜になっても眠気を感じにくかったりすることで、結果として夜間の使用時間が長くなることもあるでしょう。
このように、スマートフォンやゲームの使用が増える背景には、体調不良や暇を持て余していること、友人とのつながりを保ちたい気持ちなど、さまざまな理由が考えられます。
まずは一方的に取り上げるのではなく、「どのようなときに使っているか」「何のために使っているか」を本人に確認することが大切です。
長時間スマホ・ゲームを使用した場合の影響
スマートフォンやゲームは、適度に楽しむ範囲であれば、気分転換や友人とのコミュニケーションに役立つことがあります。
一方で、長時間同じ姿勢で画面を見続けたり、夜遅くまで使用したりすると、次のような不調につながる場合があります。
- 目の疲れや乾燥
- 肩こりや頭痛
- 運動不足
- 集中力の低下
- 就寝時刻の遅れ
- 睡眠時間の不足
- 気分の落ち込みやいら立ち
特に、横になったまま長時間同じ姿勢を続けると、首や肩に負担がかかることがあります。一定時間ごとに画面から目を離し、姿勢を変えることが大切です。
また、就寝直前まで明るい画面を見たり、ゲームで気持ちが高ぶったりすると、寝つきにくくなる場合があります。夜間は画面の明るさを下げ、就寝前は使用を終える時間を決めるなどの工夫を取り入れましょう。
ただし、スマートフォンやゲームだけが睡眠の乱れや起立性調節障害の症状の原因とは限りません。使用時間だけを問題にするのではなく、睡眠時間や体調、日中の過ごし方も含めて確認することが大切です。
起立性調節障害の子どもにスマホ、ゲームをさせてもいいの?
スマートフォンやゲームを一律に禁止する必要はありません。
体調が悪く外出できない日に、気分転換として楽しんだり、友人とのつながりを保ったりする手段になることもあります。また、本人にとって数少ない楽しみになっている場合もあるでしょう。
一方で、使用によって睡眠時間が短くなる、食事や入浴ができない、家族との会話がなくなるなど、日常生活への影響がみられる場合は、使い方を見直す必要があります。
使用時間だけで判断するのではなく、次の点を確認しましょう。
- 睡眠時間を確保できているか
- 食事や服薬に影響していないか
- 使用後に頭痛や目の疲れが強くならないか
- 本人が自分で終了できるか
- 日常生活に大きな支障が出ていないか
本人の体調や利用目的を確認しながら、家庭で無理なく続けられる使い方を考えることが大切です。
体調がよい日は、短時間の散歩や室内でできる軽い運動など、無理のない範囲で体を動かすことも検討しましょう。
起立性調節障害における運動療法や注意点については、下記の記事も参考にしてください。
スマホ・ゲームの使いすぎを防ぐための対策
スマートフォンやゲームの使い方を見直す際は、保護者が一方的にルールを決めるのではなく、本人の体調や過ごし方を確認しながら話し合うことが大切です。
例えば、次のようなルールが考えられます。
- 食事中は使用をいったん止める
- 就寝前は画面の明るさを下げる
- 寝床に入ってからの使用時間を決める
- 一定時間ごとに休憩して目や体を休ませる
- 体調がよい日は、ほかの過ごし方も取り入れる
まずは現在の使用状況を確認し、本人が取り組める内容から始めましょう。
また、ルールを守れなかったときにすぐ叱ったり、端末を取り上げたりすると、親子関係が悪化することがあります。なぜ守れなかったのかを確認し、内容が厳しすぎないか、体調に合っているかを見直しましょう。
体調がよい日は、短時間の散歩やストレッチ、読書、音楽など、スマートフォンやゲーム以外の過ごし方を少しずつ増やす方法もあります。ただし、無理に運動させたり、使用時間を減らすことだけを目標にしたりする必要はありません。
スマートフォンやゲームは、適切に使えば情報収集や気分転換、コミュニケーションに役立ちます。使用そのものを悪いことと決めつけず、睡眠や体調への影響を確認しながら、本人と家庭内のルールを調整していきましょう。
スマートフォンやゲームの使い方だけでなく、起立性調節障害の子どもへの接し方や、家庭でできる生活上のサポートについては、下記の記事も参考にしてください。
【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)







