「強いストレスを感じて食欲がわかない」「不安で夜も眠れない」などの症状でお悩みの方もいるのではないでしょうか。
食欲の低下や不眠に加えて、気分の落ち込み、意欲や興味の低下などが続いている場合は、うつ病が関係している可能性があります。ただし、これらの症状は一時的なストレスや睡眠不足、ほかの病気でも現れるため、症状だけで判断することはできません。
うつ病は、自分では症状を自覚しにくいことがあります。また、精神科や心療内科を受診することへの抵抗感や、周囲に相談しにくい気持ちから、相談が遅れてしまう場合もあります。
症状が進行すると、「死にたい」「消えてしまいたい」と考える希死念慮や、自分を傷つける行動につながることもあるため、本人や周囲の人が変化に気づくことが大切です。
死にたい気持ちを訴えている場合は、本人を一人にせず安全を確保したうえで、速やかに医療機関などへ相談してください。
本記事では、うつ病の人に見られることがある行動の変化について、シチュエーション別に解説します。自分自身や大切な人の変化に気づき、適切な相談につなげるための参考にしてください。
気分の落ち込みだけでなく、強い不安や緊張が続いている方は、不安障害とうつ病の違いを解説した下記の記事も参考にしてください。
うつ病の人がとる行動【仕事編】

特に上司からの叱責や対人関係、プレッシャーのかかる業務など、職場にはうつ病になりやすい環境が少なくありません。仕事に真面目に取り組みすぎるあまり、うつ病を患ってしまえば仕事から離れる必要があるため、本末転倒です。
ここでは、仕事中によく見られるうつ病の行動パターンを紹介します。
仕事のミスの増加
うつ病では集中力や判断力が低下し、仕事上のミスが増えることがあります。
書類の誤字脱字や数字の間違いが増えるほか、会議の時間を忘れる、必要な報告ができなくなるなど、以前は問題なくできていた業務が難しくなる場合があります。
ミスが増える原因は疲労や睡眠不足などさまざまですが、これまで仕事をこなしていた人に変化が続き、気分の落ち込みや体調不良も伴っている場合は注意が必要です。
遅刻や欠勤が増える
うつ病の人には、遅刻や早退、欠勤が増えることがあります。
うつ病では寝つけない、夜中に何度も目が覚める、朝早く目が覚めるといった睡眠の問題が現れることがあります。また、強い倦怠感や意欲の低下によって、朝起きたり出勤したりすることが難しくなる場合もあります。
これまで問題なく出勤していた人に遅刻や欠勤が増えた場合は、怠けていると決めつけず、体調や困りごとを確認することが大切です。
モチベーションが低い
うつ病の人がとる行動として、著しいモチベーションの低下が挙げられます。
うつ病では脳内での神経伝達物質の分泌が低下し、抑うつ気分や興味・意欲の減退などの症状が出現します。
これまで高いモチベーションで仕事に取り組んでいた人でも、うつ病の発症とともにモチベーションを失い、投げやりな仕事態度が目立つようになるでしょう。また睡眠不足で仕事に集中できないことも原因の1つです。
もともと仕事へのモチベーションが高い人の場合、上がらないモチベーション自体にストレスを感じてしまうため、うつ病が悪化してさらに悪循環に陥る可能性もあり注意が必要です。
身だしなみへの意識の低下
うつ病の人がとる行動として、身だしなみへの意識の低下が挙げられます。
興味や関心が無くなり、細かな身だしなみや周囲からの目線に対する意識が低下するためです。
具体的にはネクタイの乱れ・シャツの汗染み・スーツのシワなどが多いでしょう。また、寝癖が直っていない・無精髭が生えている・目ヤニがあるなど、清潔感が失われることも多いです。
女性の場合もうつ病が進めば身だしなみが乱れる事があるため、注意が必要です。
コミュニケーションの低下
うつ病の人がとる行動として、コミュニケーションの低下が挙げられます。
うつ状態になると自分の中に閉じこもり、他者とのコミュニケーションを極力避けるように行動する方が多いです。
今まで一緒に昼食を食べていた同僚が突然一人で食事を摂るようになれば、注意が必要でしょう。また、仕事を円滑に進める上で必要最低限のコミュニケーションすら怠るようであれば深刻です。
元からコミュニケーションが苦手な方もいるため、あくまでコミュニケーションの量ではなく、変化に注目するようにしましょう。
うつ病の人がとる行動【学校編】

うつ病は大人だけでなく、小学生や中学生、高校生などの子どもにも起こることがあります。子どもの場合は、気分の落ち込みだけでなく、イライラする、頭痛や腹痛を訴える、学校での活動が難しくなるといった形で変化が現れる場合もあります。
ここでは、学校生活で見られることがある行動の変化を紹介します。ただし、これらの行動には睡眠不足や人間関係、身体の病気など、うつ病以外の原因も考えられます。
授業中によく寝る
授業中によく寝てしまう場合、うつ病のサインの1つです。
うつ病は睡眠障害を伴う事が多く、夜間の不眠の影響で日中の授業中に寝てしまう事が増えてしまいます。
また、うつ病に罹患した人の中には過眠症状をきたす方もいるため、授業中によく寝るようになった場合は注意が必要です。また、眠るために保健室に行く頻度が増えるケースもあります。
部活を休む
部活を休む機会が増えることも、うつ病のサインの1つです。
うつ病では意欲や活力が低下するため、精力的に部活動に励む機会は減ってしまうでしょう。
また、朝練などがある部活の場合はさらに参加が困難です。これまで部活動に積極的に取り組んでいたにも関わらず急に参加頻度が減っている場合は注意が必要です。
テストの点数が下がる
うつ病になるとテストの点数が下がる可能性もあります。
うつ病に伴う集中力の低下、日中の眠気に伴い授業にも集中できないためです。また、自宅での自習にも目標を見出せず、以前ほど身が入らないでしょう。
得意科目であるにも関わらず、継続的に点数が下がった場合は注意が必要です。
一人行動が増える
一人行動が増えた場合も注意が必要です。
うつ病では他人に対する興味・関心が減退し、自分の世界に閉じこもりがちです。よく友達と話していた子供や、友達が多いような子供で一人行動が増えた場合は要注意です。
うつ病の人がとる行動【家庭編】

一緒に暮らす家族は、職場や学校よりも相手の変化に敏感に気付けるでしょう。職場や学校よりもストレスから回避しやすい環境だからこそ、回避行動が見た目に出やすいです。
ここでは、家庭でよく見られるうつ病の行動パターンを紹介します。一緒に暮らす大切な人に症状が見られるかどうか、チェックしましょう。
食事量が減った
食事量が減った場合はうつ病の可能性があります。
うつ病では意欲や食欲が減退するためです。食欲そのものがなくなるため、好き嫌いに関わらず食事量そのものが減ってしまいます。
ダイエットなど行っていないにも関わらず食べ残しが増えた場合は注意しましょう。一方で、アルコール摂取が増えることもあるため、飲酒量もチェックするといいでしょう。
会話が減った
会話が減った場合はうつ病の可能性があります。
これまで色々と会話していた時間が減り、無口の時間が増えた場合は何か考え事をしている可能性があります。
特に、上の空で適当な返事、話しかけても聞いていないなどの症状が見られる場合は精神的に追い込まれている可能性があるため、注意しましょう。
朝起きてこない
平日にも関わらず朝起きてこない場合はうつ病の可能性があります。
うつ病の場合、夜間に入眠困難・中途覚醒の割合が増加し、寝不足になります。
また、仕事や学業への意欲も低下するため、なかなか朝起きられなくなります。一緒に暮らす家族だからこそ気付けるポイントでもあるため、ただ疲れているだけなのか、連日のように起きてこないのか、注視しましょう。
眠れない、夜中に目が覚める、朝早く目が覚めるなどの症状が続いている方は、不眠症とうつ病の違いを解説した下記の記事も参考にしてください。
うつ病の人がとる行動【恋愛編】

うつ病になると恋愛面でもさまざまな症状が出現します。恋愛は家族関係や友人関係よりもエネルギーを必要とする関係のため、うつ病で意欲や活力が低下した状態ではうまくいかない可能性も高いです。
パートナーの変化に気づけば早期治療も可能なため、どのような症状が見られるとまずいのか把握しておきましょう。
性欲の減退
うつ病の場合、性欲が減退する可能性があります。
食欲や意欲と同様、男女問わず性欲が減退する可能性もあり、恋愛において弊害となる可能性もあるでしょう。
これまで盛んだったスキンシップが減ったと感じた場合、異性としての興味がなくなったのか、性欲や意欲が減退したのか、判断が難しいところですが、勇気を持って確認してもいいでしょう。
相手自身が自覚できていない可能性もあるため、指摘することで解決できる可能性もあります。
会う機会が減る
会う機会が減った場合、うつ病の可能性があります。
うつ病に罹患すると自分の世界に閉じこもり、対人関係への恐怖心から会う頻度が減少してしまうこともあります。
また、自己評価が低くなる傾向にあるため、新たな恋愛への意欲も湧かないでしょう。これまでたくさん会っていたにも関わらず、急に会う頻度が減った場合は注意が必要です。
依存度が高まる
会う機会が減るのとは反対に、依存度が高まる可能性もあります。
自分に自信が持てず不安が強い場合、自分を受け止めてくれる家族や恋人に対して甘えてしまうためです。可能な依存は健全な恋愛とは言えず、互いに負担となるため、注意が必要です。
うつ病は起立性調節障害と症状が似ている
朝起きられない、強い倦怠感がある、学校や仕事へ行けないといった変化には、うつ病だけでなく、起立性調節障害が関係している可能性もあります。
起立性調節障害は、立ち上がったときの血圧や心拍数など、循環器系の調整がうまく働かず、さまざまな不調が現れる病気です。朝起きられない、立ちくらみ、めまい、頭痛、動悸、倦怠感などの症状が見られ、午前中に症状が強く、午後になると軽くなる傾向があります。
一方、うつ病でも睡眠の問題や倦怠感、意欲の低下などが現れるため、症状が重なることがあります。また、起立性調節障害とうつ病が併存する可能性もあり、行動の変化やセルフチェックだけで見分けることはできません。
気になる症状が続いている場合は、年齢にかかわらず医療機関へ相談しましょう。受診先に迷う場合は、まずは内科やかかりつけ医に相談し、子どもであれば小児科を受診することも選択肢になります。
下記の記事では、起立性調節障害のセルフチェックについて詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
また、起立性調節障害は一般的に子どもに多い病気ですが、大人でも発症するリスクもあります。
下記の記事では、大人の起立性調節障害のセルフチェックについて詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
【参考文献】
日本うつ病学会
厚生労働省(うつ病を知る)
MSDマニュアル(うつ病)









