起立性調節障害とは

睡眠障害の子どもにおすすめの市販薬はある?効果的な対処法を解説

2024年7月28日

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医
2018年から起立性調節障害患者の診療を行い、累計30人以上の起立性調節障害患者を担当。

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

子どもがなかなか寝てくれない、と心配されている親御さんはとても多いと思います。睡眠により記憶が定着し、身体の修復や休息により翌日も元気に過ごすことができるので、しっかり寝てほしいですよね。

また、子どもが寝ないと大人は家事や色々なことができないという現実的な問題もあったりしますよね。

こちらの記事では、なかなか寝てくれない子どもに睡眠薬を使用してもいいのか、を中心に薬物療法以外の対処方法などについてもお話していきます。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

睡眠障害の子どもに使用できる市販薬はあるの?

ほとんどの子どもの睡眠障害は間欠的または一過性の現象であるため、治療薬は必要ない場合が多いです。

また、夜驚症や睡眠時遊行症などの病気の場合でも、自然に治まる場合が多いため、通常は治療の必要はありません。青年期または成人期にもち越して重度の場合に治療が必要になります。

実際には、大人が使用するような睡眠薬を子どもに使用する場合、睡眠薬の依存性、離脱症状などの副作用が問題になるため、保険適応になっていません。

したがって、子どもに睡眠薬や市販のお薬を大人が服用する要領で服用させることはおすすめしません。

睡眠薬の種類によっては、子どもも服用しても良いとなっているものもありますが、基本的にはどれも15歳以上であり、15歳未満の子どもに使用できる薬剤はほとんどありません。

一部の状況では、アレルギーに対して使用する抗ヒスタミン薬やメラトニンが短期間で使用されることがありますが、医師の指示に従う必要があります。

結論としては、子どもがなかなか寝ない場合、薬物療法ではなく、非薬物療法を中心に対処することが重要です。

睡眠障害の子どもを治すには非薬物療法が重要

子供に睡眠を阻害するような大きな疾患や病気がない限り、睡眠薬の使用は控えるべきだと私は考えます。

まずは、睡眠に問題がある子どもの原因を見極めることが重要です。睡眠時間の問題か、睡眠の環境が悪く睡眠の質が悪いのか、あまり運動をせず身体があまり疲れていないのか。なかなか寝ない原因は子どもにより様々なので、原因に対した対処を行うことが必要になります。

お薬を飲ませれば大人は楽かもしれませんが、睡眠薬の依存性、離脱症状などの副作用が問題になるため、薬物療法よりも非薬物療法の方がより重要です。

効果が現れるまで少し時間がかかる場合もありますが、適切な睡眠リズムを身体に刻むことでより健康的な毎日を過ごすことができるため、大人も根気よく対応することが理想的です。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

睡眠障害を治すにあたっておすすめの非薬物療法

睡眠障害の子どもを治すには非薬物療法が非常に重要です。以下のような非薬物療法が推奨されます。

規則正しい生活のリズム

私たちの体内には、日中は活動をして夜間には眠るという仕組みを自然に作り出している体内時計が備わっています。体内時計が乱れると朝起き上がられない、夜は眠れないという睡眠の問題が発生してしまいます。

したがって、体内時計を適切に維持することがとても重要です。そのためには、毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きること、起床後は日光を浴びること、しっかり朝食を摂取すること、などを心がけると良いでしょう。

適切な睡眠環境の保持

睡眠環境はとても重要で、睡眠の質に影響を及ぼします。以下の点に注意すると良いでしょう。

  • 暗さ:カーテンやブラインドを使って部屋を暗くする。
  • 静けさ:騒音を避けるために耳栓などを使用する。興奮させるような音楽や大音量の音楽、ラジオなどは控える。
  • 快適さ:適切な温度と寝具を用意する。

就寝前のスマートフォン操作の制限

スマートフォンやタブレット、コンピュータの画面からはブルーライトという光が発せられています。ブルーライトは睡眠を促す効果のあるメラトニンというホルモンの分泌を抑制するため、眠気が妨げられ、寝つきが悪くなることがあります。

また、SNSのチェックやゲーム、メールの確認などは、脳を刺激し、交感神経を活性化させ、リラックスを妨げることがあります。したがって、寝る前の1時間はテレビやスマートフォン、タブレットの使用を避けることが重要です。

睡眠前のリラックス時間の確保

寝る前に副交感神経を活性化させるリラックス時間をつくりましょう。例えば、読書、軽いストレッチ、お風呂に入るなどが効果的です。

適度な運動・日中はしっかり活動する

やはり、日中たくさん活動すると疲れますので、夜には自然に睡眠をとるという流れになります。

また、運動することでストレス軽減効果が期待でき、寝つきが良くなり、睡眠の質が改善することも言われています。ただし、寝る直前の激しい運動は避けましょう。

心理的サポート

不安やストレスが原因で睡眠障害が生じている場合、心理的サポートやカウンセリングが有効です。

何か不安なことがないか、日常生活で変わった様子がないか観察しましょう。

もしかしたら起立性調節障害かも

子どもがなかなか寝ない、朝も起きられない場合、起立性調節障害の可能性も考えられます。起立性調節障害は思春期の子どもに多い病気で、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが乱れることが原因でめまいや立ちくらみ、頭痛など多様な症状が見られます。

起立性調節障害は睡眠にも支障を来します。なぜなら、1日の中で決まった動きをする交感神経と副交感神経のバランスに異常を来すからです。

一般的に、朝起床時には交感神経が活性化し身体を覚醒させ、午前中は交感神経が優位に働くため活動することができます。夕方になると、次第に副交感神経が優位になっていき、就寝時には副交感神経の働きにより身体をリラックスさせます。

しかし、起立性調節障害の子どもの場合、適切に交感神経と副交感神経のバランスが保持されないために、朝起き上がれず、夜はなかなか眠らない状況になってしまうのです。

したがって、子どもに睡眠の問題がある場合、また、その他の症状も見られる場合は起立性調節障害の可能性も考えられるので、一度セルフチェックをしてみると良いでしょう。

下記の記事では、起立性調節障害のセルフチェックについて解説しておりますので、是非ご一読ください。

関連記事:起立性調節障害のセルフチェックリスト(子ども)|すぐにできる診断テスト

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

起立性オンライン講座

トトノエライトプレーン

【無料】起立性調節障害の相談窓口

関連記事:起立性調節障害とは

・起立性調節障害の子供に親ができること・治療法・治った方の事例

・起立性調節障害の方の体験談

・起立性調節障害が治った人の声

・起立性調節障害における「光療法」効果や仕組みを解説

・起立性調節障害の原因は?発症期間や発症しやすい人の特徴

・起立性調節障害の症状を小中高生別に解説|重症・中等症・軽症の事例

・起立性調節障害患者の血圧数値はどれくらい?測定方法なども紹介

・起立性調節障害 6つの種類とその特徴【医師解説】

・起立性調節障害 重症での入院基準は?入院中の治療や期間を紹介

・起立性調節障害の子供はどうして遊びには行けるの?

・起立性調節障害はいつまで続くの?治療期間とは

・起立性調節障害は治る病気?それとも治らない?

・起立性調節障害に効果的な薬はある?その種類や薬物療法について解説

・起立性調節障害が「難病指定」されない理由|今後指定される可能性について解説

・季節や気圧によって起立性調節障害の症状が悪化|対応方法や原因を解説

・小学生でも起立性調節障害になる?原因や主な症状とは

・中学生の起立性調節障害。原因・症状・生活への影響・うつ病との違いとは

・高校生の起立性調節障害。原因・症状・うつ病との違いとは

・起立性調節障害のセルフチェックリスト(子ども)|すぐにできる診断テスト

・大人の起立性調節障害セルフチェック項目|診断テスト

・大人の起立性調節障害について

・全記事の一覧

関連記事:子どもへの対応

起立性調節障害に対応している病院紹介
本コンテンツは一般社団法人 起立性調節障害改善協会が独自に制作しています。メーカー等から商品・サービスの無償提供を受けることや広告を出稿いただくこともありますが、メーカー等はコンテンツの内容やランキングの決定に一切関与していません。当協会では編集ポリシーに則って製品・サービスを紹介しており、企業等の意見を代弁するものではありません。当記事では正確な情報提供に努めておりますが、内容の正確性を保証するものではありません。サイト内に表示している広告については、広告掲載ポリシーをご覧ください。当記事で記載している価格は全て税込み表記です。記事内容についてのご意見・誤字脱字のご指摘はお問い合わせフォームからお寄せください。

-起立性調節障害とは