子どもがなかなか寝てくれない、と心配されている親御さんはとても多いと思います。睡眠により記憶が定着し、身体の修復や休息により翌日も元気に過ごすことができるので、しっかり寝てほしいですよね。
また、子どもが寝ないと大人は家事や色々なことができないという現実的な問題もあったりしますよね。
こちらの記事では、なかなか寝てくれない子どもに睡眠薬を使用してもいいのか、を中心に薬物療法以外の対処方法などについてもお話していきます。
睡眠障害の子どもに使用できる市販薬はあるの?
ほとんどの子どもの睡眠障害は間欠的または一過性の現象であるため、治療薬は必要ない場合が多いです。
また、夜驚症や睡眠時遊行症などの病気の場合でも、自然に治まる場合が多いため、通常は治療の必要はありません。青年期または成人期にもち越して重度の場合に治療が必要になります。
実際には、大人が使用するような睡眠薬を子どもに使用する場合、睡眠薬の依存性、離脱症状などの副作用が問題になるため、保険適応になっていません。
したがって、子どもに睡眠薬や市販のお薬を大人が服用する要領で服用させることはおすすめしません。
睡眠薬の種類によっては、子どもも服用しても良いとなっているものもありますが、基本的にはどれも15歳以上であり、15歳未満の子どもに使用できる薬剤はほとんどありません。
一部の状況では、アレルギーに対して使用する抗ヒスタミン薬やメラトニンが短期間で使用されることがありますが、医師の指示に従う必要があります。
結論としては、子どもがなかなか寝ない場合、薬物療法ではなく、非薬物療法を中心に対処することが重要です。
睡眠障害の子どもを治すには非薬物療法が重要
子供に睡眠を阻害するような大きな疾患や病気がない限り、睡眠薬の使用は控えるべきだと私は考えます。
まずは、睡眠に問題がある子どもの原因を見極めることが重要です。睡眠時間の問題か、睡眠の環境が悪く睡眠の質が悪いのか、あまり運動をせず身体があまり疲れていないのか。なかなか寝ない原因は子どもにより様々なので、原因に対した対処を行うことが必要になります。
お薬を飲ませれば大人は楽かもしれませんが、睡眠薬の依存性、離脱症状などの副作用が問題になるため、薬物療法よりも非薬物療法の方がより重要です。
効果が現れるまで少し時間がかかる場合もありますが、適切な睡眠リズムを身体に刻むことでより健康的な毎日を過ごすことができるため、大人も根気よく対応することが理想的です。
睡眠障害を治すにあたっておすすめの非薬物療法
睡眠障害の子どもを治すには非薬物療法が非常に重要です。以下のような非薬物療法が推奨されます。
規則正しい生活のリズム
私たちの体内には、日中は活動をして夜間には眠るという仕組みを自然に作り出している体内時計が備わっています。体内時計が乱れると朝起き上がられない、夜は眠れないという睡眠の問題が発生してしまいます。
したがって、体内時計を適切に維持することがとても重要です。そのためには、毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きること、起床後は日光を浴びること、しっかり朝食を摂取すること、などを心がけると良いでしょう。
適切な睡眠環境の保持
睡眠環境はとても重要で、睡眠の質に影響を及ぼします。以下の点に注意すると良いでしょう。
- 暗さ:カーテンやブラインドを使って部屋を暗くする。
- 静けさ:騒音を避けるために耳栓などを使用する。興奮させるような音楽や大音量の音楽、ラジオなどは控える。
- 快適さ:適切な温度と寝具を用意する。
就寝前のスマートフォン操作の制限
スマートフォンやタブレット、コンピュータの画面からはブルーライトという光が発せられています。ブルーライトは睡眠を促す効果のあるメラトニンというホルモンの分泌を抑制するため、眠気が妨げられ、寝つきが悪くなることがあります。
また、SNSのチェックやゲーム、メールの確認などは、脳を刺激し、交感神経を活性化させ、リラックスを妨げることがあります。したがって、寝る前の1時間はテレビやスマートフォン、タブレットの使用を避けることが重要です。
睡眠前のリラックス時間の確保
寝る前に副交感神経を活性化させるリラックス時間をつくりましょう。例えば、読書、軽いストレッチ、お風呂に入るなどが効果的です。
適度な運動・日中はしっかり活動する
やはり、日中たくさん活動すると疲れますので、夜には自然に睡眠をとるという流れになります。
また、運動することでストレス軽減効果が期待でき、寝つきが良くなり、睡眠の質が改善することも言われています。ただし、寝る直前の激しい運動は避けましょう。
心理的サポート
不安やストレスが原因で睡眠障害が生じている場合、心理的サポートやカウンセリングが有効です。
何か不安なことがないか、日常生活で変わった様子がないか観察しましょう。
もしかしたら起立性調節障害かも
子どもがなかなか寝ない、朝も起きられない場合、起立性調節障害の可能性も考えられます。起立性調節障害は思春期の子どもに多い病気で、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが乱れることが原因でめまいや立ちくらみ、頭痛など多様な症状が見られます。
起立性調節障害は睡眠にも支障を来します。なぜなら、1日の中で決まった動きをする交感神経と副交感神経のバランスに異常を来すからです。
一般的に、朝起床時には交感神経が活性化し身体を覚醒させ、午前中は交感神経が優位に働くため活動することができます。夕方になると、次第に副交感神経が優位になっていき、就寝時には副交感神経の働きにより身体をリラックスさせます。
しかし、起立性調節障害の子どもの場合、適切に交感神経と副交感神経のバランスが保持されないために、朝起き上がれず、夜はなかなか眠らない状況になってしまうのです。
したがって、子どもに睡眠の問題がある場合、また、その他の症状も見られる場合は起立性調節障害の可能性も考えられるので、一度セルフチェックをしてみると良いでしょう。
下記の記事では、起立性調節障害のセルフチェックについて解説しておりますので、是非ご一読ください。