起立性調節障害は初期段階ではなかなか気が付きにくいことが多いです。
今、体調不調で悩んでいる症状は起立性調節障害の可能性があるのか、こちらの記事では起立性調節障害の症状を初期の軽症、中等症、重症に分けて解説していきます。
早期に起立性調節障害の可能性に気付くことでスムーズな治療につなげることができ、症状で苦しむ時間も短くなるため、ぜひこちらの記事を参考にしてみてください。
起立性調節障害の症状
起立性調節障害とは自律神経の働きのバランスが崩れることで様々な症状が見られる病気です。
典型的には朝起き上がることができないことやめまい、頭痛、腹痛、倦怠感、動悸など実に多様な症状が見られます。
日本小児心身医学会が出している起立性調節障害の診断に使用する症状としては以下のものがあります。
- 立ちくらみやめまい
- 起立時の気分不良や失神
- 入浴時や嫌なことで気分不良
- 動悸や息切れ
- 朝なかなか起きられず午前中調子が悪い
- 顔色が青白い
- 食欲不振
- 腹痛
- 倦怠感
- 頭痛
- 乗り物酔い
起立性調節障害は体やホルモンバランスが大きく成長する思春期に多い病気です。小学生高学年から高校生頃に好発しますが、大人になってからも見られることがあります。
ここからは、起立性調節障害の症状を小学生・中学生・高校生・大人と、成長別に解説していきます。
小学生が起立性調節障害を患った場合の症状
小学生全体の約5%程度が起立性調節障害に罹患すると言われています。
朝起き上がれなくなる、夜寝つきが悪い、立ち上がるとふらつく、学校に登校できなくなるなどの症状が見られます。多彩な症状が見られ、子供自身もうまく症状を大人に伝えられない場合もあります。
中学生が起立性調節障害を患った場合の症状
中学生では全体の約10%程度が起立性調節障害を罹患すると言われています。
朝起き上がれなくなる、夜寝つきが悪い、立ち上がるとふらつく、学校に登校できなくなる、イライラする、自己肯定感が低くなるなどの症状が見られます。学校生活に参加できないことによる不安や焦りも大きくなります。
高校生が起立性調節障害を患った場合の症状
午前中は気分が悪いことが多く、授業に集中できない、保健室によく通うなどの症状が見られます。受験や学生最後の部活動の大会などがあり、不安や焦りなどが大きくなります。
大人が起立性調節障害を患った場合の症状
午前中は体調不良であることが多く、仕事のことを考えると気分が重くなる、遅刻が増え、午前中は特に仕事に集中できない、日々の体調が安定しないなどの症状が見られます。
朝礼などで立って話を聞いているとバタッと失神してしまうことは起立性調節障害の症状としてよく知られており、どの年代にも見られます。
起立性調節障害の初期症状
- 朝礼など、朝の全校集会で気分が悪くなり倒れてしまう
- なんだか頭が痛かったり、お腹の調子が悪かったりして気分がすぐれない日がある
- 特に午前中は調子が悪い日もあるけれど、午後は比較的体調は戻って部活動には問題なく参加したり、放課後友達とも遊べる
これらは起立性調節障害で比較的典型的に見られる症状です。起立性調節障害は何らかの原因で自律神経系である交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで、多様な症状を来す病気です。
自律神経のバランスには日内変動のパターンがあり、交感神経が優位に働くことで日中は活動するためのスイッチが押され、夕方にかけて副交感神経にスイッチしていき、睡眠中は副交感神経が優位に働くことで体を休息させます。
起立性調節障害の方は朝方起床時に副交感神経から交感神経へのスイッチがうまくいかず、活動するためのスイッチがなかなか押されない状態になってしまいます。
そのため、朝なかなか起き上がれず、朝食も食べることができず、午前中は体調が悪いことが多いのです。次第に改善し、午後には元気になることが多く、放課後の部活動や友達と遊ぶことはできます。
自律神経は個人差が大きく、また、気候にも影響を受けるので日によって症状の変動が大きく調子がいい時もあれば、悪いこともあります。
しかし、初期の場合は比較的症状が治まることが多く日常生活に大きく支障を与えないことが多いです。
起立性調節障害の軽症の事例
発症して間もない初期の段階では、症状はそれ程重くなく、朝はたまに起きられないことがあるくらいで、学校にも何とか通えます。
頭痛や腹痛、吐き気や気分不良があっても午後には改善したり、症状自体も比較的すぐに治まることが多いため、起立性調節障害やそもそも病気であるとの認識はないことが多いと考えられます。
この時点で医療機関などに行く人は少なく、初期症状があっても見過ごしてしまうことが大半です。
しかし、この初期の段階は症状が一番治りやすい期間でもあるので、このときに適切な治療を行えば、比較的にすぐに改善される可能性が高いです。日常生活での習慣で少し注意するだけで大きく改善することがあります。
したがって、最近子供がよく体調不良を訴えている場合はセルフチェックを行い、起立性調節障害の可能性が考えられる場合は早めの受診がすすめられます。
起立性調節障害の中等症の事例
知らない間に起立性調節障害が発症して、そのまま体調不良の状態が続くと症状が悪化し、中等度の段階に移行していきます。
朝ほとんど起きることができていたのが、次第に起きられることがほとんど無くなってしまい、学校に行くことが難しくなってしまいます。
午前中は特に症状がひどく、ベッドやソファーで横になっていることが多く、頭痛や吐き気、めまい、腹痛など様々な症状もなかなか治まらず、長時間悩まされる場合も多いです。この段階から異常があると認識する方々が増え、医療機関などに行き始めます。
症状は日によって程度が変動し、午後には元気になることも多いため、部活動には参加できたり、放課後友達とは遊ぶことができ、週末の元気な時は遊べたりもしてしまうので、怠けているだけとも捉えられてしまうこともあります。
投薬でも効果が見られないことも多く、なかなか治すことが難しいことも多いです。起立性調節障害のお子さんの多くはこの中等症の状態が多いです。
起立性調節障害の重症の事例
さらに状況が悪化してしまうと、朝起きることがほとんどできず、一日中ベッド上で寝たきりの状態になってしまいます。
多様な症状もかなり重いものが、朝から夜にかけてまで見られます。自律神経の調節機能が大幅に低下し、体の循環障害、免疫力低下や筋力低下など体全体が完全に弱り切ってしまいます。
重症の症状ではメンタルヘルスの不調にも影響を与え、うつ病やパニック障害などの日常生活に大きく支障が出てしまう病気も発症しやすくなってしまいます。
場合によっては、医療機関で入院治療が必要な状況であり、短期間の治療ではすぐに改善しないことも多く、長期的な治療が必要になります。
よくある質問
ここからは、よくある質問に回答していきます。
起立性調節障害はどうやってわかる?
起立性調節障害の症状でご説明しました通り、日本小児心身医学会により診断基準が出されています。
セルフチェックにより11項目の内3項目以上当てはまる場合は起立性調節障害の可能性があるため、医療機関を受診してください。
医療機関では問診や必要時は各種検査を行い診断されます。セルフチェックの詳細に関しては下記の記事を参考にしてみてください。
朝起きれない中学生の病気は?
朝起きれない場合、まずは睡眠時間が十分か、睡眠の質が良いかを評価する必要があります。
また、寝る前のゲームやスマフォ操作、寝る前に食事を摂取している場合は、これらを控えることで朝の目覚めが変化する可能性があります。
朝起き上がれない場合、病気としては、起立性調節障害、低血圧、低血糖、うつ病、睡眠時無呼吸症候群などが考えられます。
起立性調節障害で起きれないとはどんな感じ?
起立性調節障害の方で特に辛いのが早朝起床時です。
体がだるくてなかなかすんなりと起き上がることができません。起き上がってからもすっきりせず、ベッドから立ちあがるとめまいやふらつきが見られることもあります。
交感神経の活性化が追い付いておらず、足田はまだ覚醒していないためにこの様なことが起こります。
起立性調節障害の思考力は?
起立性調節障害の場合、特に午前中は交感神経の活性化が遅れるため、めまいやふらつき、立ちくらみ、頭痛など不調が見られやすいです。
次第に、交感神経の活性化が追い付き、午後には症状は改善し、特に体調には問題ないことが多いです。
したがって、思考力に関しても、午前中の授業より午後の授業の方が集中でき、よく考えることができます。
起立性調節障害には血圧や症状のタイプによりいくつかに分類されます。起立性調節障害のタイプと血圧、治った人の声などは以下の記事をご覧ください。
下記記事では、「起立性調整障害の改善方法や治療法・親ができること」に関して詳しく説明していますので、ぜひご一読ください。