起立性調節障害とは

自律神経を整える24の方法-食べ物・サプリ・ツボ・ストレッチ・飲み物・運動別に解説

2023年9月17日

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医
2018年から起立性調節障害患者の診療を行い、累計30人以上の起立性調節障害患者を担当。

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

 

生命維持に重要な活動を支えている自律神経ですが、生活習慣やストレスで容易に乱れてしまうことがあります。

自律神経が乱れることは動悸、めみい、ふらつき、肩こり、吐き気など身体の様々な不調につながります。毎日を健やかに過ごすためにも、自律神経を整えることは非常に重要です。

本記事では、自分で行うことができる自律神経を整える方法についてご紹介していきます。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

自律神経を整える方法【食べ物】

食べ物で自律神経を整える方法を3つ解説していきます。

タンパク質

タンパク質はアミノ酸から作られており、特に必須アミノ酸は非常に重要であり、自律神経を整える働きがあります。

タンパク質は肉類、魚介類、大豆製品、卵類、乳製品などに多く含まれています。

GABA(γ-アミノ酪酸)

GABAは神経伝達物質の一つです。神経伝達物質には、アドレナリンやノルアドレナリンなど興奮系に関わるものと、抑制系に関わるものがあり、GABAは抑制系に関わる神経伝達物質です。

したがって、ストレスを和らげたり、身体を休めたりする効果があります。GABAが含まれる食べ物には、発芽玄米、トマト、ナス、きゅうり、カボチャ、アスパラガスなどがあります。

カルシウム

カルシウムは自律神経の中でも交感神経の活性を抑える働きがあり、緊張や、興奮、イライラなどの緩和に有効です。

牛乳やチーズなどの乳製品、小魚、大豆製品などに多く含まれています。

関連記事:自律神経失調症で食べてはいけないものは?|症状改善に効果的な食べ物を紹介

自律神経を整える方法【ツボ】

続いて、自律神経を整えるツボを3つ解説していきます。

百会(ひゃくえ)

両方の耳を結んだ線と後頭部と鼻を結んだ線の交わる場所であり、ちょうど頭のてっぺんのど真ん中にあるツボです。

身体の真ん中を流れる気の通り道にあるツボであり、自律神経を整え、不眠に効果的です。また、鼻が通り、目や肩の疲れ、頭痛改善にも効果的です。

足三里(あしさんり)

膝の下、スネの外側に位置し、膝の4横指下にあるのが足三里です。自律神経を整え、全身の倦怠感をとるのに効果的です。

失眠(しつみん)

足裏かかとの中央にあるツボで、不眠に対し比較的即効性が期待できます。不眠解消以外にも、下半身の冷えやイライラなどの自律神経症状の改善にも効果的です。

これら以外にも、耳や後頭部、手のひら、足の裏などに自律神経をと問える作用のあるツボが多くあるので、マッサージしてみると良いでしょう。

自律神経を整える方法【サプリ】

続いて、自律神経を整えるサプリを3つ解説していきます。

カルピス ココカラケア

CP2305ガセリ菌と呼ばれる乳酸菌を含む機能性表示食品です。

腸内環境を改善させることで、自律神経を整え、睡眠の質を向上させる効果が期待できます。

ディアナチュラ カルシウム・マグネシウム・亜鉛・ビタミンD

自律神経を整える働きが期待できるカルシウムをはじめ、その他ビタミンや微量元素が含まれている栄養機能食品です。

マグネシウムは交感神経の興奮を抑える働きがあり、亜鉛は神経伝達物質を作るために必要な物質です。ビタミンDは体内のカルシウムの代謝に影響を与えるビタミンでどれも自律神経を整えるために重要な栄養素です。

ファンケル ストレスケア

γーアミノ酪酸(GABA)を100㎎含む機能性表示食品です。

健康な方の一時的な精神的ストレスの緩和や、血圧が高めの方の血圧を下げる機能が報告されているようです。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

自律神経を整える方法【ストレッチ】

続いて、自律神経を整えるストレッチを3つ解説していきます。

血行をよくすることや深呼吸をすることがポイントです。

体側を伸ばす

両足を肩幅に開いて立ち、両手を上げてグーと背筋を伸ばします。

深呼吸をしながら左右へゆっくり動かしながら、両側の体側を伸ばしていきましょう。

肩甲骨を動かす

両手を肩において肩関節を回します。なるべく大きく回すことで肩甲骨周囲の筋肉がほぐれやすくなります。

首肩の筋肉をほぐし、血流を良くすることで自律神経のバランスを整えることができます。

股関節を動かす

椅子に座り、片方の下肢を折り曲げ、もう片方の腿に下肢をくの字にして置きます。

この状態で背筋を伸ばし前屈することでお尻周りの筋肉がほぐれ、足のむくみや腰痛なども改善されます。

自律神経を整える方法【漢方薬】

続いて、自律神経を整える漢方薬を3つ解説していきます。

加味逍遙散(かみしょうようさん)

体力が落ちている方で、イライラや不眠などの精神症状が強く見られている場合に効果的です。

血の巡り、気の巡りを良くし不安、不眠、イライラなどの症状に使用します。

加味帰脾湯(かみきひとう)

体力が落ちて、消化機能も落ちている方で、不安が強く、気分の落ち込みや眠りにくいなどの症状に効果的です。

気と血を補い、胃腸機能も強くする効果があります。

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

比較的体力が低下しており、めまい、立ちくらみが強い人に使用され、水の代謝を良くすることで循環を改善し、めまい、頭痛などの症状改善に比較的即効性があります。

関連記事:自律神経失調症が漢方で治った方の事例|子どもから大人まで6事例紹介

自律神経を整える方法【薬】

続いて、自律神経を整える薬を3つ解説していきます。

自律神経調整薬

トフィソパムなどがありますが、一般的には自律神経の乱れにより見られている症状に対して、それぞれ薬剤を使用します。

トフィソパムは脳に働きかけることで、自律神経の異常から由来する動悸や発汗、倦怠感などの症状に効果を発揮します。

抗不安薬・抗うつ薬

自律神経のバランスが崩れることでメンタルヘルスへの影響が見られることがあります。イライラする、不安が強い、気分が落ち込むなどに対しては、抗うつ薬や抗不安薬などが使用されます。

精神的な問題を解決することで自律神経の不調も改善されやすくなります。

睡眠薬

自律神経のバランスが崩れることで睡眠にも異常が見られることはよくあります。睡眠を良くすることで自律神経のバランスが整いやすくなります。

睡眠薬には色々な種類があります。ご自身の不眠のパターンによって使用される睡眠薬もことなります。

自律神経を整える方法【飲み物】

続いて、自律神経を整える飲み物を3つ解説していきます。

ハーブティー

リラックス効果、副交感神経の働きを強めるカモミールやラベンダー、レモンバームなどの香りは自律神経を整える効果があります。

寝る前に温めてゆっくり飲むと眠りやすくもなります。

ココア

上記の自律神経を整える食べ物でもご紹介したGABAですが、ココアはGABAが豊富に含まれているので、ストレスを感じている時や不安が強い時に飲むと良いでしょう。

豆乳

豆乳にはトリプトファンという成分が多く含まれています。トリプトファンには自律神経を整える効果が期待できます。

豆乳などの大豆製品のほかに、バナナにも多く含まれているので、バナナと豆乳を混ぜてジュースにして飲むと非常に効果的です。

自律神経を整える方法【運動方法】

続いて、自律神経を整える運動方法を3つ解説していきます。

自律神経を整える場合、激しい運動をする必要はありません。強度の低い運動を行うことが効果的です。

ピラティス

体幹の筋肉、肩甲骨周りの筋肉などに意識を集中させて全身の筋肉を強化することができます。

また、胸式呼吸で交感神経が高まり、副交感神経に切り換わりやすくなることも大きな特徴とされています。

水泳

水中での全身運動で、関節にも負担がかからないため、どの年代にも非常に効果的な運動方法です。

ウォーキング

ダラダラと歩くのではなく、少し早歩き程度のペースで20分程度歩くと、非常に良い有酸素運動になります。

自律神経を整える他にも各種生活習慣病の予防、改善にもつながります。

自律神経を整える一日の過ごし方

規則正しい生活を心がける必要があります。忙しい現代人にとっては、なかなか難しいことも多いかもしれませんが、以下のことに気をつけると良いでしょう。

  • 日が昇る頃に起床し、起床後は日の光を浴び、部屋にも日光を取り入れる
  • バランスのとれた朝食を摂る
  • 日中も適切な水分補給を行い、毎日だいたい同じ時間帯に昼食、夕食を摂取する
  • 昼寝は15:00までに20-30分までにとどめる
  • 夕食は早めに済ませ、就寝前に食べ物や飲酒、カフェインを摂取しない
  • 湯船につかり、入浴後はリラックス効果ある音楽やアロマ、飲み物などを飲みながらゆったり過ごす
  • 就寝前はスマートフォン操作をせず、定時に就寝する

自律神経の乱れから起立性調節障害を発症することがある

起立性調節障害は自律神経である交感神経と副交感神経の働きのバランスが崩れることでめまいやふらつき、倦怠感、動悸など様々な症状を来す病気です。基本的には、中学生~高校生前後の思春期の子供に多い病気です。

しかし、ストレスや生活習慣の乱れなどが原因で引き起こされる自律神経の乱れによって大人でも起立性調節障害になることは十分にあります。

大人の場合、子供の場合と異なり単純な起立性調節障害ではなく、その背景に別の病気が隠れていことも考えられるため、気になる症状がある場合、早期に医療機関を受診しましょう。

下記の記事では、起立性調節障害のセルフチェックについて解説しておりますので、是非ご一読ください。

>>起立性調節障害のセルフチェックリスト(子ども)|すぐにできる診断テスト

 

>>大人の起立性調節障害セルフチェック項目|診断テスト

 

関連記事:自律神経失調症とは?治し方や原因、症状、セルフチェックについて解説

 

【参考文献】
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)
自律神経失調症 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
日本臨床内科医会(自律神経失調症)

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