なかなか眠れないことは誰にでも時々あることだと思います。特に、年齢を重ねる中で中途覚醒が増え、日常生活に支障を来すこともあります。
中途覚醒とは、睡眠の途中で眼が覚めることですが、トイレで目が覚めその後またすぐに眠れる場合は特に気にしなくてもいいと思います。
眠りについてから朝起床するまでの間に何度も目が覚め、目が覚めるとなかなか眠ることができない場合が問題です。加齢に伴う睡眠の問題として中途覚醒がありますが、近年では若い方でも見られることがあります。
この記事では、夜中に目が覚める原因や病気の可能性、対処法などについて解説していきます。
眠れない・夜中に目が覚めるのはなぜ?原因を解説
夜中に目が覚める原因について、まずは解説していきます。原因を知ることで改善への道がひらけます。
ストレス
ストレスは自律神経のバランスを乱し色々な体調不良の原因になります。睡眠中は身体を休めるために副交感神経が働いていますが、ストレスにより緊張状態が続いていると、身体は交感神経が活性化しているので、なかなか寝付けず、眠りも浅くなり、腫眠中に何度も目が覚めてしまうという状態になってしまいます。
職場や学校での人間関係や業績によるストレスで身体が休まらないと、日中の活動に支障を来し、さらに眠りにくくなり、悪循環に陥ってしまいかねません。
生活習慣の乱れ
睡眠には自律神経の働きや睡眠を促すホルモン「メラトニン」の働きが影響しています。
メラトニンは脳内から分泌される眠りを司るホルモンです。1日中メラトニンは分泌されていますが、夜分泌が高まり、朝方は分泌が非常に弱まります。メラトニン分泌と光は密接に関係しており、光を浴びることでメラトニンの分泌は抑えられます。
つまり、日中は日光をたくさん浴びることでメラトニン分泌が抑えられ、日が沈んだのち、夜間はメラトニン分泌が増え、睡眠へと誘導します。したがって、朝目覚めた後には光を浴び、朝食を摂取し、夜更かしせずに就寝するという規則正しい生活が重要です。
睡眠環境
実は盲点になっている部分かもしれませんが、睡眠環境もとても重要です。寝室が明る過ぎないか、室温、寝具なども睡眠に適しているか見直す必要があります。
例えば、寝室が寒い、寝具が薄く寒い場合は、交感神経が働いてしまうので、睡眠中リラックスできず眠りが浅く、睡眠中に目が覚めやすくなってしまいます。
眠れない・夜中に目が覚める時に考えられる病気とは?
夜中に目が覚める際に考えられる病気として考えられる病気を解説していきます。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に一時的に無呼吸になり、それにより目が覚めることがあります。その他の症状としては、熟眠感がなく、朝の目覚めが悪い、日中の眠気や集中力低下、体のだるさなどが出現し、将来的には高血圧、心不全などの心血管系への影響もある病気です。
パートナーや家族にいびきや睡眠中の無呼吸を指摘されたことがある場合は一度受診することをおすすめします。
うつ病
はっきりとした原因はわかっていませんが、精神的・身体的ストレスなどを背景に、脳の働きに何らかの不調が起きることで発症するとされています。症状としては、気分の落ち込み、何事にも興味が持てない、不安、食欲低下、疲れやすい、頭が重い・頭痛、首や肩のこりなどがあります。
うつ病になることで睡眠障害が見られますし、逆に中途覚醒などの睡眠障害が原因でうつ病を発症することもあり睡眠とうつ病は非常に深い関係があるといえます。
むずむず脚症候群
足の異常な感覚(虫が這うような感覚、むずむずするなど)により、足を動かさずにはいられなくなる病気で、特に夜間に見られることが多いです。
原因がはっきりわからないことも多いですが、鉄欠乏性貧血、糖尿病、血液透析などに関連して症状が出現することもあります。足の異常な感覚のために眠りが浅くなり、夜間目が覚めることもあります。
眠れない・夜中に目が覚める時の対処法
眠れない・夜中に目が覚める原因や考えられる病気についてみてきました。それらを踏まえて改善方法、対策をご紹介したいと思います。
ストレスを溜め込まない
ストレスは自律神経のバランスを崩して、睡眠に影響を及ぼし、様々な体調不良の原因になります。
リラックスできる時間を作り、ストレスを発散させましょう。軽い筋トレやウオーキングなど身体を動かすと良いかもしれません。
生活習慣の見直し
朝食はちゃんと食べていますか。3食のうちでも1日の始まりに摂取する朝食は特に重要です。
食事は定時にバランスよく摂れているか、運動を取り入れているか、定時に就寝し睡眠環境は適切かを今一度見直してみましょう。
朝日を浴びる
朝起きた後、1日の始まりに朝日を浴びると良いでしょう。
体内時計をリセットし、覚醒を促進、夜も眠りやすくなり、いいサイクルへと導いてくれます。
もしかしたら起立性調節障害かも
起立性調節障害という病気をご存じでしょうか。
この病気は思春期によく見られる病気の一つで、睡眠にも支障を来します。思春期に多い病気ではありますが、大人でも見られることはありますので注意が必要です。起立性調節障害は自律神経である交感神経と副交感神経の調整のバランスが崩れることで様々な症状がみられる病気です。
典型的には、朝起き上がれない、午前中は様々な症状が見られ調子が悪く、午後にかけて次第に症状が改善します。
午前中は集中力や注意力が散漫で、ベッド上やソファーで横になっていることも多く、午後には症状は改善していき、逆に就寝時間になっても眠気が見られず、夜更かしをしてしまう状態になります。夜はなかなか寝付けず、眠りが浅くなってしまうこともしばしばあります。
この様に、起立性調節障害は睡眠の質やリズム障害を来します。眠れない以外にも、体調不良が続いている場合、早めに医療機関を受診することをおすすめします。以下の記事では、起立性調節障害のセルフチェックについてご紹介しております。是非一度ご覧ください。
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【参考文献】
・日本小児心身医学会