思春期はホルモンバランスも大きく変化し、身体の成長、心の変化など多様な面で変化に多い時期です。一般的には、身体の成長に伴い必要なエネルギー量、栄養素の量が最も高い時期ですが、様々な原因で食思不振になることもあります。
大人から自立していく時期でもあるので、自分の好むものを外出先で購入して食べたりすることも自由にできることも影響があるかもしれません。
こちらの記事では、思春期における食思不振の原因を中心に、解消方法などについても解説していきます。
思春期の食思不振は何が原因?男女別に解説
思春期のお子さんをお持ちの親御さんであれば、我が子にはたくさん食べてしっかりと健康的に成長していってほしいと願うと思います。子どもの食事量が少ない、なかなか食べてくれない、どんどん痩せていくなどの状況であれば、とても心配になると思います。
思春期の子どもに食思不振の症状がある場合、原因は何なのか、性別に分けて解説していきます。
男女に共通する原因
男女ともに共通する原因は下記の3つです。
自己イメージや体型への意識
思春期になると、外見や体型への意識が高まります。特に女子は「痩せたい」という強い願望から無理なダイエットを行い、食事を制限するケースが見られます。
また、男子も筋肉質な体型を理想とし、過度なトレーニングや食事制限を行うことがあります。このようなボディイメージに対する過度な意識が、食欲不振につながることがあります。
ストレス
学校の成績、進学のプレッシャー、部活動、友人関係、家庭内の問題、バイトをしている場合、職場での人間関係、など、思春期の子どもは多くのストレスにさらされています。
このような心理的ストレスが、消化器系に影響を及ぼし、食欲不振を引き起こすことがあります。特に思春期は感情が敏感で、ストレスが直接的に身体症状として現れることがよくあります。
不規則な生活習慣
思春期には夜更かしやスマートフォンの長時間使用、徹夜で勉強するなど、様々な要因で睡眠や食事の時間が不規則になることが増えます。
これにより、体内時計が乱れ、食欲を正常に感じるタイミングがずれてしまうことがあります。
感染症や消化器系の問題
風邪やインフルエンザなどの感染症、あるいは胃腸炎など胃腸の不調が原因で一時的に食欲がなくなることがあります。
思春期は成長過程で免疫力が不安定な時期でもあり、病気が食欲不振に繋がることもあります。
男子の場合
こちらでは思春期の男子が食欲不振になる原因を解説します。
過敏性腸症候群
消化管の機能的な異常で、腸の過敏性が高まり、腹痛や腹部の不快感、膨満感、便通異常などの症状がみられます。
腹痛や腹部の膨満感は食後に悪化することが多く、食事をすると不快感を認めるため、自然と食べることを避けようとする傾向が出てきます。
このため、食事に対する意欲が減退することがあり、結果的に食欲不振に繋がります。
うつ病
はっきりとした原因はわかっていませんが、精神的・身体的ストレスなどを背景に、脳の働きに何らかの不調が起きることで発症するとされています。
症状としては、気分の落ち込み、何事にも興味が持てない、不安、食欲低下、疲れやすい、頭が重い・頭痛、首や肩のこりなどがみられ、症状の程度も個人差があります。
思春期の子どもが発症することも多くみられます。エネルギーや活動意欲が低下することで、食事に対する興味や欲求が薄れることもあります。
女子の場合
こちらでは思春期の女子が食欲不振になる原因を解説します。
月経前症候群やホルモンバランスに関連した問題
月経前には、エストロゲンとプロゲステロンという二つのホルモンの変動が大きく関与しています。エストロゲンは、食欲を抑える効果、プロゲステロンには食欲を増進させる効果があるとされています。
これらのホルモンが月経周期にそって変動することで食欲の変化が現れることがありますが、特に思春期においてはホルモンバランスの変動が激しく、食欲の変化も大きいことが考えられます。
月経が始まる1~2週間前に心身にさまざまな不快な症状が現れ、月経が始まると軽減または消失するPMS:月経前症候群の場合、消化器系の不調(腹部膨満感、便秘、下痢、胃痛など)が現れることがあります。
こうした消化器の問題があると、食べ物を消化すること自体が不快に感じられ、結果的に食欲が低下することがあります。
摂食障害
食事に対する異常な行動や考え方が、身体や精神に深刻な影響を及ぼす精神的な疾患です。
絶食する、大量に食べて自分で吐く、体重や体形への強い不満がある、やせに対し異常な程の強い願望があるなどの症状が見られます。
思春期の子どもや若い女性に多く見られ、特に思春期には身体的な変化や感情の不安定さが増すため、摂食障害のリスクが高まると言われています。
思春期の食欲不振を解消する方法とは?
思春期は多様な面で成長、変化するので、多様な側面からアプローチをすることがとても重要です。
バランスの取れた食事の工夫
下記の3点意識してバランスの取れた食事を摂りましょう。
少量を頻繁に食べる
どうしても食欲がない、食が進まない場合、無理に大量の食事を摂るのではなく、少量ずつ、栄養価の高い食事を1日に複数回に分けて食べるようにすることも効果的です。
これにより、食べることへの抵抗感が減り、必要な栄養を確保しやすくなります。
消化に良い食品を選ぶ
思春期は胃腸の調子が不安定なこともあります。
消化に優しい食品(スープ、蒸し野菜、柔らかい炭水化物、豆腐、フルーツなど)を中心にした食事が効果的です。
栄養補助食品やスムージーの活用
食欲が極端に低下している場合は、スムージーや栄養補助食品でカロリーと栄養を補うことも有効です。
特に、ビタミンやミネラルが豊富なものやプロテインシェイクなどがオススメです。
ストレスとメンタルケアの実践
下記の3点意識してストレスとメンタルケアを実践しましょう。
心理的なストレスの軽減
思春期の食欲不振は、ストレスや不安が原因となることが多いため、メンタルケアが大切です。
カウンセリングや信頼できる人との会話などで、ストレスの根本を見つけ、それを和らげるための対策を考えることが効果的です。
リラクゼーション法
ヨガや瞑想、深呼吸などのリラクゼーション技法を取り入れることで、ストレスを軽減し、リラックスした状態で食事ができるようになります。
趣味や運動
定期的に体を動かすことや趣味を楽しむことも、ストレス解消に役立ちます。
特に適度な運動は、食欲を自然に促進する効果があります。集中して取り組むことができる趣味を見つけることも大きなリラックス効果を発揮することができるでしょう。
規則正しい生活習慣の確立
下記の2点意識して規則正しい生活習慣を確立しましょう。
十分な睡眠
睡眠不足はホルモンバランスを乱し、食欲にも悪影響を与えるため、十分な睡眠を取ることが大切です。
寝る前にスマホやパソコンを使う時間を減らし、規則正しい生活リズムを作ることがポイントです。
決まった時間に食事を取る
食事の時間を毎日できるだけ同じにして、体内時計を整えることが食欲回復に役立ちます。
朝食を抜かず、決まった時間に3食取るよう心がけましょう。
もしかしたら起立性調節障害かも
食思不振だけではなく、腹痛や頭痛、など思春期は様々な不調が起きやすい時期とも言えるでしょう。思春期のお子さんが特に朝食を食べられず、午前中は食欲があまりないという場合、もしかしたら起立性調節障害という病気かもしれません。
起立性調節障害は自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで様々な症状が現れる病気です。本来早朝起床時に活性化するはずの交感神経の活性が遅れ、朝なかなか起きられない、というのがこの病気の典型的な症状の一つです。
早朝起床時が最も症状が重く、朝食は食べられないことも多いです。交感神経の働きが時間とともに増すことで、症状は次第に改善し、午後には本調子に戻ることが多いことも特徴の一つです。
したがって、昼食や夕食は食べられることが多いです。この病気は特に思春期前後の子どもに多く見られるので、気になる症状がある場合、セルフチェックを行い早期治療を行うことが望ましいです。
下記記事ではセルフチェックについて解説していますので、気になる症状がある方は是非ご一読ください。