起立性調整障害は中学生前後の子供に多い病気ですが、交感神経と副交感神経のバランスの問題ですので、大人にも同じ症状を認めます。
大人の場合は、起立性調節障害に分類された色々なタイプのタイプ名が病名として用いられることが一般的です。
メカニズムや症状は類似するので、どのような病気かを理解し、自分の辛い症状が起立性調節障害に当てはまるのか、悪化の原因と対処法などを解説していきます。
起立性調節障害における大人のセルフチェック項目|診断テスト
私たちは自律神経系である交感神経、副交感神経の両方がうまくバランスを取り合うことで生命維持に必要な機能調整がなされています。
交感神経は心拍数や呼吸数、血圧を上昇させるなどの働きがあり、副交感神経は心拍数や呼吸数、血圧を下げるなどの働きがあります。
交感神経は“闘争態勢”の神経、副交感神経は“リラックスモード”の神経と理解するとわかりやすいです。
はっきりした原因はわかっていませんが、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで以下のような様々な症状が出現します。
一般的に私たちは起立しても、血圧が下がることはなく、脳への血流不足もありません。なぜなら、立ち上がろうとする際に、交感神経の働きが強まるからです。
しかし、交感神経と副交感神経のバランスが崩れている起立性調節障害の方は、交感神経の働きが強まらず、脳への血流が低下し、立ちくらみや気分不良、失神など様々な症状が出現します。
- 立ちくらみ、めまい
- 起立時の気分不良や失神
- 入浴時やストレスがかかるなど嫌なことで気分不良
- 動悸、息切れ
- 朝起きることが困難で、午前中が特に調子が悪い
- 顔色が悪い、青白い
- 食欲不振
- 頭痛
- 腹痛(前兆なくへその周りが痛い)
- 倦怠感あるいは疲れやすい
- 乗り物で酔いやすい
上記11項目のうち、3つ以上該当すると起立性調節障害の疑いがあります。2つ該当していても、症状が強ければ起立性調節障害が疑われる可能性があります。
下記記事では、大人の起立性調節障害の治し方を解説していますので、ぜひ参考にされてください。
関連記事:【大人の起立性調節障害】治し方・薬の副作用や市販薬を解説
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起立性調節障害の症状が悪化する原因
起立性調節障害は自律神経の調整不良の問題でしたが、相対的に副交感神経の働きが強まり、脳への血流が低下することで症状が出現するため、副交感神経の働きを強めることや体を循環する血液量を低下させることで症状を助長し、悪化させます。
<自律神経の調整不良>
- ストレス
- ホルモンバランスの乱れ
<副交感神経作用の増強>
- 春~夏の暑い季節、熱中症
- 曇りや雨などの低気圧
<循環血液量の低下>
- 脱水
- 良性、悪性腫瘍による見えない出血
また、インフルエンザなどのウイルス感染後に発症するケースもあります。
悪化するとどんなリスクがあるのか
昼夜が逆転し、朝全く起き上がることができず、一日中自宅で過ごすことが増え、脳血流低下に伴い思考力や集中力が低下することもあります。
進学や出勤など社会活動にも支障をきたし、引きこもりがちになる可能性もあります。
更に悪化すると、一日中ベッドで過ごし、活動量が減ることで筋力低下、骨粗しょう症、呼吸機能の低下など重篤な状態になることも考えられます。
また、起立性調節障害は何かしらの別の病気が隠れている場合もあり、その場合は治療が遅れることで状態が悪化することもあります。
改善するためには
貧血、心臓の病気、てんかんなどの脳や神経の病気、甲状腺などのホルモンの病気の除外を必ずした上で、まずは、起立性調節障害の診断を受けることが重要です。
診断を受けることで周りから理解されない辛い症状は自分の弱さではなく、自律神経の病気であることがわかります。
起床時は、すぐに起き上がらず、頭を下に向けたままゆっくりと起き上がり少しの間座位を保ち、少しずつ離床することが推奨されています。
起床後は窓を開け、光を入れ、なるべく規則正しい生活、食生活を心掛けましょう。
知らないうちにストレスが溜り、体にも負担がかかっていることがあるので、定期的に気分転換、リフレッシュをしてください。
また、脱水は悪化の原因になるため、こまめな水分摂取(1.5~2.0L)も忘れずに行いましょう。
下記記事では、大人の起立性調節障害の治し方を詳細に解説していますので、ぜひご覧ください。
下記記事では、「大人の起立性調節障害は何科を受診するべきか」について解説します。
【参考文献】
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)