起立性調節障害とは

不眠症でも昼間は眠れるのはなぜ?原因・対処法・やってはいけないNG行動を解説

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医
2018年から起立性調節障害患者の診療を行い、累計30人以上の起立性調節障害患者を担当。

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

不眠症で悩まれている方の中には、夜は眠れないが、日中は眠れるということをご経験されている方もおられると思います。

昼間は眠れる不眠症、何だかおかしい感じがするかもしれませんが、この状況は十分に考えられます。

こちらの記事では、不眠症で夜はなかなか眠れないが、昼間は眠れる場合の原因や対処法について解説していきます。

不眠症でも昼間は眠れるのはなぜ?原因とは?

不眠症で夜眠れないにもかかわらず、昼間は眠れるということはあります。

一般的に、このような状況は、睡眠リズムや心理的、身体的要因が影響していることが考えられます。特に重要な原因について解説していきます。

体内時計の乱れ

生活習慣の乱れ、夜更かし、夜勤などの理由で体内時計が乱れると、本来夜に眠るべき時間帯に覚醒状態が続き、昼間に眠気が強くなることがあります。

夜間の不安やストレス

夜は周りも暗くなり、静まりかえるため、自然と色々なことを考えてしまう時間帯でもあります。心配事などを考えてしまうと、結論がでないどころか、さらに不安に襲われてしまいかねません。

自分と向き合う時間が増えるため、不安やストレスが強まりやすく、眠りを妨げてしまいます。

慢性的な睡眠不足と身体の疲労

夜眠れないことで疲労が蓄積し、その分昼間に補おうとするため眠気が強くなることがあります。

不眠症でも昼間は眠れる場合におすすめの対処法

こちらでは、不眠症でも昼間は眠れる場合におすすめの対処法を6つ解説します。

規則正しい生活リズムを作る

毎日同じ時間に起き、起床後日光を浴びることが体内時計をリセットすることにとても重要です。日中にも十分な光を浴びることもポイントです。

私たちの睡眠と深く関わっているセロトニンという物質がありますが、セロトニンは日中に日光を浴びることで生成され、午後にはメラトニンという別のホルモンに変わります。

メラトニンが増えることで眠気を来し、夜の睡眠に導くので、日中はしっかりと日光を浴びることが非常に重要です。

ブルーライトを避ける

スマートフォンや他のデジタルデバイスの画面から放たれるブルーライトは、眠気を誘うメラトニンの分泌を抑制し、睡眠を遠ざけてしまいます。

就寝前のスマートフォン操作は睡眠の質を低下させるため控えましょう。

適度な運動

健康維持には運動習慣をつけることがとても重要です。特に睡眠に関してお話すると、運動はストレス発散、良眠を維持する効果があります。

日中に適度な運動をすることで、体を疲れさせ、夜に自然に眠れるようになります。

昼寝を制限する

日中眠気に襲われても、過剰な昼寝は避ける方が良いと考えます。日中しっかりと睡眠をとってしまうと、夜間の不眠につながり、悪循環になりかねないからです。

昼寝は午後の早めの時間帯で15〜30分以内に抑え、夕方以降は避けることに気をつけましょう。

リラクゼーションを取り入れる

副交感神経は身体をリラックスさせ、睡眠を促す作用があります。

瞑想や深呼吸でストレスを軽減し、副交感神経を優位にすることを意識してみてください。

受診し専門医の診察を受ける

色々な対策を行っているにも関わらず、睡眠に関して問題を抱えている場合、不眠症や概日リズム睡眠障害が疑われるので、専門医に相談する必要があります。

不眠症でも昼間は眠れる場合にやってはいけないNG行動

これらのことをやってしまうと、余計に夜間の不眠が改善しないことがあります。やってはいけない、避けるべきNG行動をご紹介します。

長時間の昼寝

日中に1~2時間以上の長時間の昼寝をしてしまうと、夜の睡眠をさらに妨げ、昼夜逆転の生活リズムを悪化させてしまいます。

特に夕方以降の昼寝は夜の眠気を削ぐ原因になります。昼寝は15~30分以内に留め、午後3時までにしてしまうことが重要です。

過剰なカフェイン摂取

カフェインの効果は6時間以上持続するため、夕方以降に摂取すると夜の眠りを妨げます。過剰なカフェイン摂取には注意が必要です。

運動不足

昼間にあまり動かず、ベッドやソファで過ごすと、身体がそれ程疲れていないので、自然と眠気は遠のいてしまいます。

寝室での長時間の活動

寝室で仕事やスマホ、ゲームなどをするなど、寝室を「活動の場」と認識すると、眠りにくくなることがあります。

寝室は「睡眠のための空間」として使い、リラックスできる環境を整えましょう。

夜間のブルーライト

ブルーライトは睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌を抑制し、眠気を妨げます。

寝る2時間前からスクリーンタイムを減らし、ナイトモードやブルーライトカットメガネを活用してみてください。

不規則な生活リズム

生活リズムが一定でないと、体内時計が乱れやすくなってしまいます。夜眠れないと「昼間多く眠る→また夜眠れない」という悪循環に陥りやすいです。

毎日決まった時間に起きるよう心がけ、日中は日光を浴び、活動量を増やしましょう。

食べ過ぎやアルコール摂取

夜、特に就寝前の高脂肪・高カロリーの食事や過剰なアルコール摂取は禁物です。就寝直前に食事を摂取してしまうと、寝ている間も胃腸は消化吸収活動を行うことになり、消化活動やアルコールの代謝が睡眠の質を下げてしまします。

軽い夕食を心がけ、アルコールは避けるか少量にすることが重要です。

もしかしたら起立性調節障害かも

夜なかなか眠れないけれど、日中、特に午前中は眠ってしまう場合、起立性調節障害という病気かもしれません。

起立性調節障害は自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが崩れることが原因で起こる病気で、睡眠にも大きく影響を与えます。

一般的に、私たちは朝起床頃より交感神経が優位になり、午後になると徐々に副交感神経の割合が増加していきます。就寝中は副交感神経が優位に働き、体を休めます。

起立性調節障害の方の場合、起床時に交感神経が優位にならず体がなかなか覚醒しません。したがって、午前中はベッドやソファーで横になったり眠って過ごすことが多いです。

午前中徐々に交感神経が活性化していき午後には体調が回復する場合が多いです。一方で、夜間は本来であれば副交感神経が優位になっていくのですが、これも遅れるため就寝時間になってもなかなか眠気が起こらず、夜更かしをしてしまうことが多いです。

夜はなかなか眠れないが、午前中は眠れる場合、起立性調節障害の可能性があります。一度セルフチェックをすることをおすすめします。

下記記事では、起立性調節障害のセルフチェックについて解説しておりますので、是非ご一読ください。

 

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