眠気でむかつきや吐き気などの気分不良が見られたり、日中の活動に集中できないことはありませんか?
この記事では「眠くて気持ち悪い」時の原因や考えられる疾患、対処法などについて解説していきます。
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「眠くて気持ち悪い」ときの原因
まず、適切な睡眠をとらない場合、どのようなことが起こるのか。私たちの身体と睡眠について解説していきます。
睡眠は体を休め、色々な代謝機能を調整するためにも非常重要です。年齢により必要な睡眠時間は異なりますが、厚生労働省によると平均して7-8時間程度の睡眠時間を確保する必要があります。
日本人は世界の国々の中でも睡眠時間が短く、健康への影響に注意が必要です。
睡眠には下記の効果があると言われておりますが、これら以外にも多くの効果があります。
<疲労回復>
日中活動時は交感神経が優位に働き、睡眠中は副交感神経の作用により血管を拡張させ、脈や血圧を下げ、体を休めることで疲労回復につながります。
<脳の休息と記憶の整理>
睡眠中に今日の出来事などを整理し、記憶を定着させます。特に長期記憶に重要だと言われており、徹夜で勉強するよりもしっかりと睡眠をとることが記憶の定着に役立ちます。
<成長ホルモンの分泌>
時間帯にもよりますが、睡眠中は成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンには細胞の修復や代謝の調整、身体の成長などの働きがあります。
<食欲のコントロールによる肥満の予防、改善>
睡眠中は食欲を抑え、コントロールするホルモンであるレプチンが分泌されます。
したがって、睡眠が不足すると、食欲増進ホルモンのグレリンが増加し、食欲を抑制するホルモンのレプチンが低下することで過食、肥満、生活習慣病になりやすくなってしまいます。
<免疫力の向上>
十分な睡眠は免疫力アップが期待できます。睡眠時間が少ないと、ウイルスに感染しやすくなることも証明されています。
睡眠中に各種ホルモンバランスの調整、免疫の調整がなされるため、睡眠をしっかりとり風邪などのウイルスにかかりにくい体作りをしましょう。
<精神面の安定>
睡眠を十分にとることによって、不安感やストレスが減ることも知られています。厚生労働省から提案されている健康づくりのための睡眠指針2014でも、睡眠による休養感はこころの健康に重要と明記されています。
睡眠不足になると、自律神経の調整のバランスが乱れやすくなり、色々な症状が出やすくなってしまいます。睡眠と自律神経の関係について少し解説いたします。
私たちの体内には地球の自転周期である24時間に合わせて、体内の様々な機能を自然に調節する仕組みが備わっており、このことを体内時計と言います。
特に睡眠に関しては、体内時計以外にも自律神経が大きく関連しています。自律神経には交感神経と副交感神経があり、これら2つのバランスにより体の様々な調整が行われています。これら2つの神経は常に同じ程度活性化しているわけではなく、日内変動があります。
朝起床頃より交感神経が優位になり、午後になると徐々に副交感神経の割合が増加していき、夜間には交感神経の働きは弱くなり、就寝が近くなる頃には副交感神経が優位に働き、睡眠中体を休めます。
したがって、自律神経のバランが崩れることで睡眠の周期が乱れてしまうことは十分にあります。睡眠の周期が乱れることでさらなる自律神経の異常につながり、悪循環にはまってしまいます。
自律神経が乱れることで早朝の起床が困難になり、めまいや吐き気など多様な症状がみられる可能性があります。
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「眠くて気持ち悪い」ときに考えられる病気とは
下記、「眠くて気持ち悪い」場合に考えられる病気についてそれぞれ解説していきます。
<低血圧>
血圧が低いことで、全身の血のめぐりが悪くなり、脳への血流が低下することで朝起き上がれず、体が動かない、ふらつきやめまい、頭痛や体のだるさなどが見られます。
生まれつき血圧が低い、睡眠不足、筋肉量の不足などが原因として考えられます。
<貧血>
血液中で全身に酸素を運搬する働きがあるヘモグロビンの濃度が低下することで、全身で酸素が不足している状態。
全身の酸素が不足することで、めまいや立ちくらみ疲れやすさなど様々な症状がみられます。貧血の原因は様々であり、年齢や性別によっても異なります。
成長期にある小学生高学年から中学生にかけては体の鉄分の需要が高く、食事で追い付いていない場合もあります。女子の場合は、月経の影響もありますので、さらに注意が必要です。
<睡眠時無呼吸症候群>
睡眠中に呼吸が停止する(無呼吸)、もしくは呼吸が弱くなることで、睡眠の質が低下し、朝すっきりしない、体がだるく動かない、日中も強い眠気に襲われる病気です。
この状態を放置すると、全身様々な臓器に負担がかかります。特に心臓への負担が非常に問題であり、心筋梗塞や脳梗塞、最悪の場合は突然死のリスクにもなります。
<うつ病>
はっきりとした原因はわかっていませんが、精神的・身体的ストレスなどを背景に、脳の働きに何らかの不調が起きることで発症するとされています。
気分が落ち込み、何事にも興味が持てなくなり、食欲低下や睡眠障害を来し、疲れやすく、日常生活に支障をきたす場合も多い病気です。朝体が動かないことの原因になることも十分に考えられます。
「眠くて気持ち悪い」場合の治療法
適切な睡眠をとることは大前提になります。
【睡眠時間】
・平均して7-8時間の睡眠時間の確保。いわゆる寝だめなどは効果がない。
【睡眠の質・環境】
・就寝前のテレビやスマフォ操作は控える。
・就寝前の食事や飲酒、カフェイン摂取は控え、食事は就寝2時間前までには済ませる。
・室温や寝具なども自分に合ったものを選択する。
就寝時間、起床時間を決め、起床後は光を浴び、朝食を摂取し、規則正しい生活を送ることが重要です。
下記では、上記で説明した「眠くて気持ち悪い」場合に考えられる病気の治療方法についてそれぞれ解説していきます。
<低血圧>
体内の塩分と水分は血圧の維持に密接に関連しており、適量の塩分と水分の摂取を心がけましょう。
特に持病がない場合の塩分摂取量の目安は、1日あたり成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満とされています。
<貧血>
成長期には鉄の必要量が大人の2-3倍とも言われており、鉄分が多く含まれた食材の摂取を心がけましょう。
鉄分が多く含まれている食材としては、レバーやひじき、のり、バジル、プルーンなどがあります。
<睡眠時無呼吸症候群>
肥満があれば減量を行います。検査結果により適応がある場合、CPAPという呼吸器を使用することがあります。
<うつ病>
抗うつ剤などの薬物療法に加え、心と体を休養させることが重要です。
もしかしたら起立性調節障害かも
上記でご説明しましたように、睡眠と自律神経には大きな関連があります。睡眠不足により自律神経のバランスが乱れると様々な不調が出現します。
起立性調節障害という病気をご存知でしょうか?
起立性調節障害とは、自律神経である交感神経と副交感神経の働きのバランスが崩れることでめまいやふらつき、たちくらみ、頭痛、腹痛など様々な症状を来す病気です。体が大きく成長し、ホルモンの変動が大きい思春期に多くみられます。
一般的に、私たちは朝起床頃より交感神経が優位になり、午後になると徐々に副交感神経の割合が増加していき、夜間には交感神経の働きは弱くなり、就寝が近くなる頃には副交感神経が優位に働き、睡眠中体を休めます。
起立性調節障害の子どもは交感神経と副交感神経の働きのバランスに不具合が生じ、適切に神経をスイッチすることができないため、色々な症状に悩まされます。
特に、朝は活性化されるべき交感神経がうまく活性化されないために体はなかなか覚醒状態にはなりません。
したがって、朝眠くて気持ち悪い状態になり、起き上がることができず、起きたあともめまいやふらつき、頭痛、吐き気など体調不良が続きます。
時間とともに症状は和らぎ、午後からの活動は特に問題ないことが多いです。したがって、起床時、眠くて気持ち悪い状態が継続している場合、起立性調節障害の可能性があります。
下記の記事では起立性調節障害の可能性があるのかをセルフチェックすることができます。ぜひ参考にしてみてください。
【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)
日本消化器病学会ガイドライン
厚生労働省・健康づくりのための睡眠指針2014