起立性調節障害とは

子どもが眠れない時の対処法6選!眠りやすくなるための改善策を解説

2024年8月12日

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医
2018年から起立性調節障害患者の診療を行い、累計30人以上の起立性調節障害患者を担当。

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

子どもを持つ親御さんの心配事の一つに「睡眠」に関するものがあると思います。夜更かしをしている、なかなか寝ない、朝起きられないなど、対応に困っている親御さんも多いのではないでしょうか。

どの年代も睡眠はとても大切ですが、子どもの年齢が小さい程、しっかり睡眠をとって健康的に成長してほしいものです。眠れない子どもがしっかり眠れるようになるにはどうしたら良いのか。

こちらの記事では、子どもの睡眠に関して、特に、眠れない子どもが重視してほしい生活習慣や眠りやすくするための対処方法、食事について解説していきます。

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子どもが眠れない場合の対処法

寝つきを良くし、快眠を得るためには、体内時計、生活習慣を整えることが非常に重要となります。これを踏まえ、子どもが眠れない場合の一般的な対処方法をご紹介します。

ルーティンを作る

毎日同じ時間に就寝する習慣をつけると良いでしょう。毎日定時に就寝、起床することで体内時計を適正に調整することができます。

また、毎晩同じ時間に寝る準備をすることで、子ども自身も眠る準備ができるようになります。例えば、睡眠時間を決め、逆算して、以下のようなルーティンを作ると良いでしょう。

  • お風呂に入る:〇時
  • 歯を磨く:〇時
  • 絵本を読む:〇時
  • 就寝:〇時

起床後は朝日を浴びる

私たちの睡眠と深く関わっているセロトニンという物質があり、このホルモンは日中に日光を浴びることで生成され、午後にはメラトニンという別のホルモンに変わります。

メラトニンが増えることで眠気を来し、夜の睡眠に導きます。したがって、朝起きた後、1日の始まりに朝日を浴びることがとても重要です。体内時計をリセットし、覚醒を促進、夜も眠りやすくなり、いいサイクルへと導いてくれます。

1日3食の食事を摂取、特に朝食は重要

起床後、朝日を浴びた後は、必ず朝食を摂取しましょう。朝食を摂取することで、体内時計がリセットされます。バランスがとれた食事を3食、できれば定時に摂取しましょう。

また、就寝前の食事摂取は控える方が良いでしょう。寝る直前に食事を摂ると消化に時間がかかり、眠りを妨げることがあります。寝る前の2時間は食事を控えるようにしましょう。また、カフェインを含む飲み物(コーラ、チョコレートなど)も避けるようにしましょう。

適度な運動をする

運動習慣がある人には不眠が少ないことがわかっています。1回だけの運動では効果は期待できず、睡眠の維持には習慣的な運動が必要です。

また、日中に適度な運動をすることで、体を疲れさせ、夜に自然に眠れるようになります。ただし、寝る直前の激しい運動は逆効果となるので注意が必要です。睡眠前にはむしろリラックス効果のある軽いストレッチなどをすることがおすすめです。

心のリラックス

子どもがストレスや不安を感じている場合、リラックスする方法を一緒に見つけたりすることが重要です。例えば、深呼吸や軽いストレッチなどが効果的です。

寝る前に話をして不安なことをきいたり、心配する必要がないこと、助けが必要な時はいつもそばにいることなどを伝えると安心するのではないでしょうか。睡眠前は子どもとの穏やかなコミュニケーションを楽しむのはいかがでしょうか。

プロフェッショナルの助けを求める

上記の方法を試しても効果がない場合は、小児科医や睡眠専門医に相談することをお勧めします。

特に、子どもが定期的に眠れない場合や睡眠に関連する健康問題が疑われる場合には、専門家の意見を聞くことが重要です。

【就寝前】子どもが眠りやすくなるためにおすすめの行動

上記でご説明しましたように、生活習慣を整えることはとても重要です。

では、特に就寝前にするべき行動や習慣、または、就寝前にはしない方が良い行動や習慣について解説していきます。

入浴する

入浴と睡眠はとても重要な関連があります。一般的に、睡眠は脳の温度が低下するときに出現しやすくなるので、睡眠前に体温を上げておくことがポイントになります。

入浴の睡眠への効果は加温効果にあります。入浴する時間帯も重要で、午前あるいは午後の早い時間の入浴は効果がなく、夕方あるいは夜の入浴が効果的です。就寝直前の入浴は寝付きを悪くしてしまう可能性があるので、基本的には、就寝の2~3時間前の入浴が理想です。

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部屋の環境を整える

副交感神経を優位に働かせる様な状況を作ることが重要です。入浴後は副交感神経の働きが強まっています。この状態でテレビを観たり、はしゃいだりすると交感神経が活性化し眠りにくくなってしまします。

したがって、寝室や部屋の明かりを少し暗くし、静かで快適な温度に保つことで、子どもがリラックスしやすくなります。また、小さい子どもの場合は、ぬいぐるみやお気に入りのブランケットなど、安心感を与えるアイテムを用意するのも良いでしょう。

スマートフォンなど電子機器の操作を控える

快眠を遠ざける最も大きな原因と言っても過言ではないのが、睡眠前のスマートフォンなどの電子機器の操作です。スマートフォンからはブルーライトが放たれ、睡眠を誘導するメラトニンというホルモンの分泌量を低下させてしまいます。

スマートフォンはテレビなどとは異なり、眼からの距離が非常に近いためブルーライトを比較的大量に浴びることになってしまうことも問題です。

また、スマートフォン操作は内容にもよりますが、刺激的な内容のものも多く、脳を刺激し、交感神経を活性化させ、リラックスを妨げてしまします。睡眠前は控えることがとても重要です。

子どもが眠りやすくなるためにおすすめの食べ物

寝つきを良くするために効果的な食べ物はあるのでしょうか。

トリプトファン

私たちの睡眠に深く関係しているホルモンである「メラトニン」の生成に欠かせない成分がトリプトファンという物質です。

トリプトファンは体内で作ることができないため、食事から摂取する必要があります。トリプトファンを豊富に含む食品には、乳製品や大豆製品、ナッツ類があります。

GABA(γ-アミノ酪酸)

GABAは神経伝達物質の一つです。神経伝達物質には、アドレナリンやノルアドレナリンなど興奮系に関わるものと、抑制系に関わるものがあり、GABAは抑制系に関わる神経伝達物質です。

したがって、ストレスを和らげたり、寝つきやすくする効果があります。GABAが含まれる食べ物には、発芽玄米、トマト、ナス、きゅうり、カボチャ、アスパラガスなどがあります。

カルシウム

カルシウムは自律神経の中でも交感神経の活性を抑える働きがあり、緊張や、興奮、イライラなどの緩和に有効です。

牛乳やチーズなどの乳製品、小魚、大豆製品などに多く含まれています。

もしかしたら起立性調節障害かも

子どもがなかなか寝つかない、朝もなかなか起きられない場合、起立性調節障害という病気の可能性も考えられます。

起立性調節障害であった場合、朝起きられないことが典型的な特徴の一つとなります。この病気は自律神経のバランスが乱れることでめまいや立ちくらみ、頭痛、腹痛など様々な症状が見られ、特に起床時、午前中が症状が重い傾向にあります。

私たちの自律頻系には交感神経と副交感神経があり、それぞれ時間帯によって、置かれている状況によってどちらかが強く作用しお互いにバランスとって身体の様々な機能調整を行っています。

交感神経は身体を「戦う」状態に準備させます。血圧上昇、心拍数上昇、瞳孔拡大させ、特に起床時や午前中に優位に働きます。副交感神経は身体を「休息と消化」の状態にします。血圧低下、心拍数低下、瞳孔縮小させ、特に夕方から就寝中に優位に働き、身体を休息させます。

起立性調節障害はこのバランスが崩れることで、朝優位に働いているはずの交感神経の活性化が遅れることでなかなか起きることができません。

次第に交感神経が活性化していき、昼頃には体調も回復していることが多いのですが、夕方ごろから優位に働く副交感神経の活性が遅れ、就寝時間になってもなかなか眠れないという状況になってしまいます。

したがって、睡眠に問題があり、その他にも午前中を中心に頭痛やめまいなどの症状がある場合は、一度起立性調節障害のセルフチェックをすることをおすすめします。

下記の記事では、起立性調節障害のセルフチェックについて解説しておりますので、是非ご一読ください。

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